蜘蛛糸　碇豊長の漢詩　拙作紹介

huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye

蜘蛛絲

艮天鬼怒水橫溢，
壯士忘生救災民。
不見救民手背裹，
一條生命一條綸。

　　　　　　蜘蛛(くも)の絲(いと)

艮天(こんてん)　鬼(き) 怒(いか)りて　　水(みづ) 横溢(わういつ)し，
壯士(さうし )　生を忘れて　　災民(さいみん)を救ふ。
見(み)ずや　救民(きうみん)　　手に背に裹(つつみ)あるを，
一條(でう)の生命　　一條の綸(いと)。

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　　今日十日、台風から変わった低気圧のため、豪雨となった茨城県常総市では、鬼怒川の堤防が決潰した。テレビ報道では、被災民を救出するため、出動した自衛隊のヘリコプターの活躍が映し出されていた。
　　ホイストというのだろうか、隊員の体は一本の細いロープだけで繋がっているだけで、切れないかと、ひやひやして見ていた。その時の詩。

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・蜘蛛之絲：	ホイスト（巻上機）の細いロープを謂う。なお、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』はこちら。
・艮：	〔こん；gen4●〕うしとら。東北の方角。
・壯士：	勇壮な男子。血気さかんな壮年の男子。ここでは、自衛隊員を指す。
・忘生：	決死で。
・災民：	被災者。＝救民。
・不見：	見なかったのか。見ずや。蛇足になるが、「会わない」や「無くなる」の意では、使っていない。
・手背裹：	手に荷物を持ち、背に荷物を背負うことを謂いたい。
・一條：	ひとすじ。一本。
・綸：	いと。ここでは、ヘリコプターから垂らされた細いロープを謂う。