北投温泉　碇豊長の漢詩　拙作紹介

huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye

北投温泉

鬼湖碧霧一山紗，
地熱靑泉養百花。
覗見濛濛玉霧後，
昭和殘照大東華。


地熱谷（地獄谷）

地熱谷（地獄谷）	北投公園

北投温泉博物館（右後ろは畳の間）	北投温泉博物館

　　　　北投温泉()

鬼湖(きこ)の碧霧(へきむ )は　　一山(いちざん)の紗(うすぎぬ)，
地熱( ぢねつ)の靑泉(せいせん)　　百花(ひゃっくゎ)を養ふ。
覗(うかが)ひ見る　濛濛(もうもう)たる　　玉霧(ぎょくむ)の後，
昭和の殘照(ざんせう)　　大東(だいとう)の華(はな)を。

　　　　＊＊＊＊＊　　　　　

　十二月九日から十二日までの日程で、台湾北部のミニ旅行をした。

memo：九日の午後は九份(きゅうふん)を巡り、十日は台北市内で、林森公園の明石総督の墳墓跡→台北二二八和平紀念館（（昼食：サンドイッチ）～二二八和平公園）→総統府→信義（誠品書店・770元のお茶→台北１０１）を廻り、十一日は新北投（北投温泉博物館→地熱谷）→圓山（孔子廟→保安宮）、十二日…帰国。

　　この詩は十一日、新北投温泉でのもの。　現在の新北投は湯治場というよりも親子や友人同士の、ピクニックと憩いの地として栄えている。散策路（＝中山路か）を歩いていくと、北投温泉博物館など曽ての日本時代の建物が次々と現れてくる。やがて地熱谷（＝地獄谷、鬼湖）に近づくと硫黄の匂いが漂い、進んでいくと湯煙（ゆけむり）が立ち上り、谷間に籠もっていた。
　　湯煙の間に、曽ての時代を見出した----そのような情景を詠った。

　　　　------------------

・北投：	新北投。台北の北寄り・捷運（＝高速鉄道≒地下鉄）の新北投駅にある北投温泉。湯治場としては、明治時代に大阪商人の平田源吾が温泉旅館『天狗庵』を開業したことに始まった。
・鬼湖：	地熱谷の別称。北投温泉の泉源となる高温の池。＝地獄谷。
・碧霧：	青々とした湯煙（ゆけむり）（＝霧氣）の意で使う。
・地熱：	地熱谷のこと。北投温泉の泉源。＝地獄谷。
・靑泉：	地熱谷で湧き出る青々とした湯。＝青鉱泉。
・残照：	夕日。
・大東：	日本の別称。大日本帝国。また、東の果て。極東。ここは、前者の意で使う。