過源九郎稲荷神社　碇豊長の漢詩　拙作紹介

huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye

過源九郎稻荷神社

風入古松閑寂鄕，
不聞哀鼓白狐堂。
人倫顯得忠和信，
千載傳名源九郎。

　　　　　　源九郎(げんくらう)稻荷(いなり)神社を過ぎる

風は古松(こしょう)に入(い)る　　閑寂(かんじゃく)なる鄕(さと)，
聞かずや　哀鼓(あいこ )を　　白狐(びゃっこ)の堂に。
人の倫(みち)　顯(あらは)し得(え)たり　　忠(ちゅう)と信(しん)と，
千載(せんざい)　名を傳(つた)ふ　　源九郎(げんくらう)。

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　　大和郡山（こおりやま）の郡山城にお花見に出かけた。その後、城下町巡りをして、郡山城の東南、洞泉寺町にある源九郎稲荷神社に詣った。そこには、源九郎狐（げんくろうぎつね）が祀られている。浄瑠璃や歌舞伎の『義経千本桜』にも登場する狐である。

　　源九郎狐とは、鼓（つづみ）の皮となった親狐の「初音の鼓」の音を慕い、持ち主の静御前の許（もと）へ佐藤忠信（＝狐忠信）の姿になって現れ、その鼓の持ち主の静御前を守った。やがて、源義経が兄の頼朝に追われ、吉野山まで逃がれる道中、佐藤忠信に化けた白狐が、静御前を守り通し、義経の危機を救った。義経はその白狐の忠義に感服して、白狐の意中の物である親狐の皮で出来た「初音の鼓」を与え、源九郎義経より「源九郎」と名乗ることを許されたとの謂われのある狐である。

　　源九郎稲荷神社は、静かなところにあり、老松や樟（くすのき）に包まれた、人のいないところだった。余り広くない境内にはコーヒーだけを出す茶店があって、静かにその香が漂ってきた。なかなか風雅で、美味しかった。午前中に訪れた、人の溢れた郡山城とは趣を大きく異にしていた。
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・哀鼓：	ここでは、「初音の鼓」を謂う。源九郎狐が慕った、鼓の皮となった親狐の鼓。
・白狐堂：	ここでは、源九郎稲荷神社を指す。
・人倫：	人間として守るべき道。
・忠信：	まごころ。まこと。『論語・子罕』に「子曰：主忠信，毋友不如己者。過則勿憚改。」とある。また、狐が化けた佐藤忠信（＝狐忠信）のことでもある。
・源九郎：	源氏の九男の称。一般的に源義経の仮名。（源義経から名をもらった源九郎狐。）
(・稲荷：	即，狐仙。)