街巷追憶年華

生出一身兵火中， 殘牆曾見已朦朧。 老來却憶往時景， 佇對昭和懷舊風。

生まれ出(い)でき　一身　　兵火(へいくゎ)の中， 殘牆(ざんしゃう)　曾(かつ)て見けめども　　已(すで)に朦朧(もうろう)。 老(お)い來(きた)りて　却(かへっ)て憶(おも)ふ　　往時(わうじ)の景(けい)， 佇(たたず)み對(たい)す　昭和　　懷舊(くゎいきう)の風。 　　　*****************************

風が吹いてきた。年なのだろうか、その風に、「季節がほんの少しだけ変わった」と感じるものがあった。何だか、昔、吹いてきた風を思い出した。　昔昔…。 --------------------------- 　より望ましいのは、次のような読み下しなのだろうが…。 生まれ出でたり 一身　兵火の中に， 殘牆 曾て見たれども　已に朦朧たり。 老い來り 却て想ふ　往時の景を， 佇みて對す 昭和　懷舊の風に。

平成二十三年二月三日

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