― 指導と評価のページ ―
指導と評価の一体化と2学期制 | 「評価のページ」(別ページです) | ||
“指導と評価の一体化”を目指す授業の構想 | 絶対評価の進め方 | ||
2学期制の効果的運用について | 評価基準の作成手順 | ||
保護者向け評価基準及び児童自己評価表の作成にあたって | |||
図書文化社主催「指導と評価大学講座」参加記録 | |||
平成14年度 第44回 指導と評価大学講座 | 平成15年度 第45回 指導と評価大学講座 | ||
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平成24年度 第53回 指導と評価大学講座 |
“指導と評価の一体化”を目指す授業の構想 1 そのための条件整備 (1)ゆとりある教育課程を編成すること 〇 ゆとりある教育活動 ・時間的にも精神的にも余裕を持って学習に取り組むこと。 ・授業時数の確保によるゆとりある教育課程のもとで,どの子にも「学力」をつけることが可能。 〇 2学期制の実施に伴う授業時数の確保 ・従来の学期末(7・12月)の評価がないことで生じるゆとりを十分に生かすことができる。 〇 15分モジュール時間割の導入 ・必要に応じてモジュールを用い,柔軟かつ効果的に学習を進める。 (2)適切な評価活動を展開すること 〇 より子どもに添った評価活動を ・教師の評価・評定のための評価から指導に生かす評価への転換 ・年間2回の評価 ・長いスパンでのゆとりを持った適切な評価が可能となる。 〇 指導と評価の一体化 ・子どもの学習しているよさ,身についた資質や能力などを具体的な事実を通して継続的に,かつ適切に評価する。 ・指導の結果を評価し,指導内容や方法の改善を行い,次の指導に生かす。 ・評価結果の蓄積から,評価規準(基準)や年間指導計画,教育課程の改善を図る。 〇 個に応じた指導 評価結果に基づき,個に応じた指導を展開する。 2 実現のためになすべきこと (1)授業づくりの工夫を推進する 〇 個に応じた指導 学習指導要領に示された基礎的・基本的な内容を確実に習得させるために,指導の過程における子どもたちの学習状況を細かく把 握し,その評価結果を基に「個に応じた指導」を展開する。 ア 少人数指導の推進 ・少ない人数ならではの教材や指導法の工夫 イ「わかりたいむ」の充実 ・実施教科 ……… ぜひともつけたい力(基礎・基本) ・指導方法 ……… どんな指導法で〈例:学年解体習熟度別編制での個別指導など〉 ・教材等の工夫改善 ……… どんな教材を使って〈例:ドリル,進級テストなど〉 ・その他の留意事項 ……… 児童の希望選択制 ウ モジュール時間割の効用 ・必要に応じて(例えば,すぐに補充学習や個別指導を実施したい,反復練習を必要とする内容を帯タイムで実施したいなど)モジュー ルを用い柔軟かつ効果的に学習を進める。 (2)適切な評価活動を推進する 〇 指導と評価の一体化を目指した評価活動 教科の指導は目標の実現を目指し,以下のような一連の活動を展開する。 1)適切な教材を設定し, 2)指導法を工夫し, 3)評価基準を点検する。 4)そして指導計画を作成し, 5)授業実践し, *8)の中間評価を実施し,指導法を見直す。 6)評価する。 7)その後,補充(発展)学習を実施すると同時に指導法や評価基準の見直しをする。 子どもたちの学習の様子を正しく評価し,「努力を要する」と判断された子への補充学習を行ったり,「十分に達成した」と判断された 子への発展学習を行うなど,個に応じた指導を実施する。 *これに関しては教師のする子どもへの評価だけでなく,自己評価表の活用を積極的に導入する。 8)一単元終了後の評価のみでなく,事前のレディネス調査に加えて,短いサイクルでの評価(単元の中途に実施する評価)も取り入れ る。 *きめ細かい評価で次時以降の指導法を即時に見直す。 ■全体の流れ 事前調査→授業実施→小単元終了時→評価と指導法見直し→同左→大単元終了時→評価 〇 保護者用評価規準の作成……単元別に学年だよりの裏面に ア 保護者が得たい情報 ・この単元ではどういう力がつけばよいのか? ・どういう観点からそれを判断すればよいのか? ・目標が達成されなかった場合の措置は? イ こまめな評価活動の情報提供(通知表を補完する役割) 〇 児童用自己評価カード……単元ごとに実施(単元終了時) ア 自己評価の目的 ・児童に学習の見通しをもたせたり,意欲付けをする。 ・教師の指導の反省とする。 ・教師の評価の参考資料とする。 ・児童の自己評価能力そのものの育成を図る。 イ 自己評価が可能となる授業を構築する。 ・評価基準の点検をする。 ・〈単元レベル〉学習前に,この単元では何をどのように学習し,どんな力をつけるのか知らせる。 ・〈本時レベル〉この時間の目標は何なのか。 ・〈本時レベル〉何ができるようになればよいのか。 ・〈本時レベル〉つまずいたときどうすればよいのか。 ・〈本時レベル〉学習終了時に達成できたかどうかを確認する。 ・目的意識と見通しをはっきり持たせ,どう学習すればよいのかという展望を持たせる。 ― 指導と評価の一体化を目指す授業構想の例 ― 手順1:単元目標の分析 ・ 目標から導き出される「つけたい力」 を具体化させる。 ・ 学習内容に応じて具体的な表現とする。 ↓ *評価規準の見直し 手順2:短いスパンでの評価 ・ 毎時間の評価 ・ 小単元の評価 ↓ *次時以降の指導に生かす 手順3:単元終了後の評価 ・ 教師のする児童への評価 ・ 児童の自己評価 ↓ *補充学習(補いの時間や授業での個別指導) 〈具体例 5年算数「平行四辺形と三角形の面積」 10時間完了〉 ■手順1:単元目標の分析 1 単元目標は 平行四辺形,三角形の面積の求め方を理解し,それらを求めることができる。
1) 四角形の求積方法を使って平行四辺形の面積を求めることができる。 2) 平行四辺形の求積方法を使って三角形の面積を求めることができる。 3) @やAを使って,いろいろな図形の面積の求め方を考えることができる。 3 評価基準の確認 〈評価基準〉
■手順2:短いスパンでの評価 1 授業の展開と評価
2 次時の指導に生かす 〈教師の自己評価〉自分の指導が適正であったかどうか自己評価する。自己評価結果を次時以降の授業に生かす。 ■手順3:単元終了後の評価 1 教師のする児童への評価 評価基準に基づき,児童を評価する。 2 児童の自己評価 ・個別指導(ドリルなどで家庭学習) 自己評価表を用いて児童が自己評価する。 ↓ 未達成の児童に素早い対応を(個別指導・わかりたいむの活用など) 〈児童自己評価の例〉
〈児 童〉単元終了後,自己評価表記入 → 自分の学習をふり返る。 ↓ 〈教 師〉「先生から」を記入 → 個々の自己評価をチェックし,ことばかけをする。 ↓ 〈保護者〉「おうちの方から」を記入 → 学習の様子を理解してもらう。 ↓ 〈教 師〉保存,通知表と共に家庭へ → 個の指導と評価・評定に活用する。 このページのはじめに戻る |
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2学期制の効果的運用について 1 2学期制の導入により期待できること (1)授業づくりの工夫の余地拡大……………………………………………………………………………… 〇 ゆとりある教育活動 ・時間的にも精神的にも余裕を持って学習に取り組むこと。 ・授業時数の確保により,ゆとりある教育課程のもとで,どの子にも「学力」をつけることが可能 〇 生きる力の育成 ・知(身につけた学力)の総合化により生きる力を育成する。 ・総合的な学習で「社会力」を養う。 〇 授業時数の確保 ・従来の学期末(7・12月)の評価がないことで生じるゆとりを十分に生かすことができる。 (2)適切な評価活動…………………………………………………………………………………………… 〇 より子どもに添った評価活動を ・教師の評価・評定のための評価から指導に生かす評価への転換 ・年間2回の評価 ・長いスパンでのゆとりを持った適切な評価が可能となる。 〇 指導と評価の一体化 ア 評価の観点 1) 子どもが自分(たち)の学習を高め合うための自己(相互)評価【子どもの自己評価】 2) 今後の指導の改善に向けた自己評価【教師の自己評価】 3) 学習過程における子どもたち一人ひとりの学習の成果と問題点を的確につかみ,支援に生かす 評価【教師がする子どもへの評価】 イ 評価にあたっての留意点 ・指導計画に基づき,子どもの学習しているよさ,身についた資質や能力などを具体的な事実を通 して継続的に,かつ適切に評価する。 ・指導の結果を評価し,指導内容や方法の改善を行い,次の指導に生かす。 ・評価の結果の蓄積から,評価規準(基準)や年間指導計画,教育課程の改善を図る。 〇 個に応じた指導 1)や2)の評価結果に基づき,個に応じた指導を展開する。 2 そのための工夫点 (1)授業づくりの工夫の余地拡大に関すること………………………………………………………………… 〇 個に応じた指導 ア 少人数指導の推進 ・少ない人数ならではの指導法の工夫が求められる。 イ「わかりたいむ」の充実……“(2) 適切な評価活動に関すること”と関係する。 ・「わかりたいむ」設置の目的………“すべての子に基礎学力を” 学習指導要領に示された基礎的・基本的な内容を確実に習得させるためには,指導の過程におけ る子どもたちの学習状況を細かく把握し,その評価結果を基に「個に応じた指導」を実践することが 求められる。 ・実施教科 ……… ぜひともつけたい力(基礎・基本) ・指導方法 ……… どんな指導法で〈例:学年解体習熟度別編制での個別指導など〉 ・教材等の工夫改善 ……… どんな教材を使って〈例:ドリル,進級テストなど〉 ・その他の留意事項 ……… 〈児童の希望選択制〉 (2)適切な評価活動に関すること……………………………………………………………………………… 〇 指導と評価の一体化を目指した評価活動 教科の指導は,目標の実現を目指し,以下のような一連の活動が繰り返して展開されている。 1)適切な教材を設定し, 2)指導法を工夫し, 3)評価基準を点検する。 4)そして指導計画を作成し, 5)授業実践し, 6)評価する。 7)その後,補充(発展)学習を実施すると同時に指導法や評価基準の見直しをする。 子どもたちの学習の様子を正しく評価し,「努力を要する」と判断された子への補充学習を行ったり, 「十分に達成した」と判断された子への発展学習を行うなど,個に応じた指導が 求められる。 これに関しては教師のする子どもへの評価1(2)アのBだけでなく,自己評価表の活用を積極的に 導入したい。 なお,一単元終了後の評価のみでなく,事前のレディネス調査に合わせて短いサイクルでの評価 (単元の中途に実施する評価)を活用することも考えたい。(きめ細かい評価で次時以降の指導法 を見直す) * 参考:補充学習(CをBにするために,危ういBをより確かにするために) 発展学習(Aの子だけを対象とするのではなく,Bをより進めてAにするためにも) 〇 保護者用評価規準の作成……単元別に学年だよりの裏面に ア 保護者が得たい情報 ・この単元ではどういう力がつけばよいのか? ・どういう観点からそれを判断すればよいのか? ・目標が達成されなかった場合の措置は? イ こまめな評価活動の情報提供(通知表を補完する役割) 〇 児童用自己評価カード……単元ごとに実施(単元終了時) ア 自己評価の目的 ・児童に学習の見通しをもたせたり,意欲付けをする。 ・児童の自己評価能力そのものの育成を図る。 ・教師の指導の反省とする。 ・教師の評価の参考資料とする。 イ 自己評価が可能となる授業の構築 ・評価基準の点検をする。 ・学習前に何をどこまで学習するのかを知らせる。 ・この時間の目標は何なのか。 ・何ができるようになればよいのか。 ・つまずいたときどうすればよいのか。 ・学習終了時に達成できたかどうかを確認する。 ・目的意識と見通しをはっきり持たせ,どう学習すればよいのかという展望を持たせる。 3 週計画・日課表等の工夫 (1)モジュール日課の導入…………………………………………………………………………………… 〇 15分のモジュール制 必要に応じて(例えばすぐに補充学習や個別指導を実施したい,反復練習を必要とする内容を帯タ イムで実施したい)モジュールを用い,柔軟かつ効果的に学習を進める。 (2)わかりたいむ……………………………………………………………………………………………… 〇 基礎,基本の習得 児童の自己評価に基づく希望制による習熟度別グループ編制 指導法や教材の工夫 〇 個に応じた指導 補充学習だけでなく必要であれば発展学習も進める。 プリント類の準備と蓄積・保存 4 長期休業の扱い (1)学習意欲の継続………………………………………………………………………………………… 〇 基礎・基本の学力 ・4月以降の学習で身につけることができなかった学習内容 ・自己評価表から未習熟と自己認識している学習内容 〇 総合的な学習の実践 ・自分のテーマの追究活動を展開させる。 ・休み前に綿密な計画を立案 ・9月以降の学習展開に直結させる。 (2)夏休み版「わかりたいむ」……………………………………………………………………………… 〇 補充学習や発展学習の実施 ・昨年度以上の実施を。 ・夏期休業前期・中期・後期を意識した実施を。 〇 総合的な学習の個別相談 ・学習指導だけでなく,追究活動を個別に支援する。 (3)「自分でつくる夏休み」………………………………………………………………………………… 〇 継続的な取り組み ・達成感,充実感 ・工夫,段取り ・トライアンドエラー このページのはじめに戻る |
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保護者向け評価基準及び児童自己評価表の作成にあたって 1 保護者向け評価基準の作成 (1)保護者が得たい情報は ・この単元ではどういう力がつけばよいのか? ・どういう観点からそれを判断すればよいのか? ・目標が達成されなかった場合の措置は? → 児童が習得できなかった場合 そして 教師の指導計画がよくなかった場合 (2)形式は ・指導要録に合わせた観点で ・簡潔明瞭に…………パンフレット形式,箇条書き形式,一覧表形式 (3)表現は ・専門用語(教育用語)はできるだけ避ける。 ・具体的に…………例:「○○を使って○○ができる」 (4)出す時期は ・単元に入る前に月1回程度…………例:学年通信の裏面など 2 児童自己評価表の作成 (1)自己評価の目的 ・ 児童に学習の見通しをもたせたり,意欲付けをする。 ・ 児童の自己評価能力そのものの育成を図る。 ・ 教師の指導の反省とする。 ・ 教師の評価の参考資料とする。 従来,次のような自己評価の欠点が言われていた。新しい教育課程のもとではこれらを差し引いてでも実践する価値があるものと考えら れる。そこで,これらの問題点をクリアできるように慎重 に取り組まねば同じ轍を踏むことになる。 ・ 反省点ばかりがクローズアップされ,今後に向かってのびていこうとする学力形成的な評価の側面が弱い。(辛めの評価になりがち) ・ 自己評価の概念が弱く,自己評価の習慣がないため,必要感が薄くなっている。 ・ 時間がかかり,長続きしない。 ・ 児童自身のための自己評価であるにもかかわらず,教師の評価の資料としての意味合いが強かった。 (評価項目に如実に表れている) (2)事前の準備 1) 設定した目標と評価基準を再確認しておく。 2) 観点別の評価基準達成のために指導法を検討しておく。 3) 各観点の評価方法を検討しておく。 4) 学習前に,学習の目標とその達成基準(評価基準)を児童に知らせておく。 ・何をどこまで学習するのかを明確にする。 ・ 学習の目標は何なのか。 ・ 何ができるようになればよいのか。 ・ つまずいたときどうすればよいのか。 5) 児童の学習につまずきが見られたとき,正しくおこなわれたことはきちんと認識させ,改善への示唆を与える。 学習前に,何を,どこまで,どのように学習すればよいのかを子どもたちに知らせることが大きな前提となる。子どもたちに,目的意識と見 通しをはっきり持たせ,どう学習すればよいのかとい う展望を持たせる。 (3)評価の方法 〈学習前に目標とその達成基準(評価基準)を子どもたちに知らせる〉 ・何をどこまで学習するのかを明確にする。 ・学習の目標は何なのか。 ・何ができるようになればよいのか。 ・つまずいたときどうすればよいのか。 〈自己採点も自己評価の一つの方法〉 ・児童でも正誤がはっきり区別できるもの(例:ドリル類) ・模範解答を見ながら自己採点→間違いの修正とその原因を考える→原因の自己解決と教師の確認 〈自己評価表による自己評価〉 ・毎時記録する方法と単元終了時に記録する方法がある。 ・設定した学習目標を達成したかどうかを自分で評価する。 ・評価にあたっては「できた,できなかった」という結果のみにとらわれるのではなく,学習の過程に注目させたい。 (4)評価項目の例〈評価基準の裏返し〉 1)授業への参加状況……「がんばってやった」「工夫して取り組んだ」「おもしろかった」 2)向上・成長の状況……「〜ができるようになった」「〜がわかった」「これから〜をやりたい」 3)学習への習慣・態度……「予習や復習をやっている」「難しくてもがんばった」「わかろうとして勉強した」 4)学習後の自分自身 ……「目標は達成できた」「〜がまだよくわかっていない」「たいへんだったけどがんばった」 このページのはじめに戻る |