本日の授業 第9日

◆ 義務と演技、権利と遊戯 ◆

 

レニアム総選挙、などと前評判だけは高かった
衆議院議員選挙がありました。
2000年6月25日。
しかし、予測されていたほどの高い投票率ではなかったようです。
そしてこの後も、我々の生活には特に変化も無く
毎日が過ぎてゆくことでしょう。
おそらく大多数の人々は、そう信じて疑わないはずです。
テレビによっては
「後世の人々はこの日を思い出すだろう、
あの時の総選挙が今の日本を造った、と」
などというもっともらしいフレーズを言っていたようですが、
何らかの変化など日本人は特に望んでいない、というのは
いつの選挙結果からでも判断できることです。
あるいは、選挙なんぞで日本を変えられるなどとは
これっぽっちも思っていない、という方がむしろ正直なところかしら。
これからも、我々の生活には特に大した変化も無く
毎日がそれなりに過ぎてゆく。
それがもっとも的を得た予測。
そしておそらく、実際そうなっていくはずです。
この平和な国は。

学三年生の公民で、選挙について学習します。
選挙権とは参政権の一つ。
日本は間接民主制。等々。
そしてたとえば選挙区については

小選挙区制
 
一つの選挙区から一人選出。
 死票が多くなるという問題点がある。

比例代表制
 
候補者名簿を示した政党に投票する。
 得票数に応じて議席を配分するため、死票が少ない。
 しかし小党が乱立するため、政治が不安定になりやすい。
 また、政党本位のため、候補者個人の良し悪しはあまり反映されない。

こんな内容がありました。
死票だとか小党乱立とか、はたまた政党本位など、
実際の選挙と照らし合わせてみればなるほど納得。
学校の勉強も、おやおやウソではありませぬ。
それにしても、中3の時点でもうこんなことを学んでいるんですねー。
とっくに中学校を卒業した方、覚えてました?
やはり一番の問題は、
学校の勉強はすぐ忘れちゃうってことでしょうか。
試験の科目として暗記するような内容だから
あまり面白いと感じられない。
そんな中学生が大人になれば
投票率はますます下がる一方ですわん。
とは言っても、今の子どもは
政治どころか学校にも大人に対しても
特に何も期待してないんだろうから、
はなっから心配する必要もないんでしょうけどね。
違う意味で。

局、投票率はもうそれほど上がらんでしょう。
別に誰が政治遊戯をやったってそれほどなんも変わらんから。
ヘタすりゃ隣ん家のおっちゃんがやったとしても大差ないんじゃないか。
今の現役の政治家たちよりはずっと若いしかえって良いかもなあ。
ステテコ党、なんつって。
だいたい今の政治家ったらジジイばっかなんだもん。
定年退職しろよ、普通の会社みたくさー。
普通は決算で赤字出してたら倒産だ、クビだぞクビ。
人生ゲームだったら最後にゴーストタウン行きだ。
なんてなことを思ってたら投票する気も起きてこない。
だから投票しない。
どうせあたしゃ政治にゃ無関心。
どうぞ勝手にやって頂戴。
ノンポリ上等!
一人で気合を入れてみたりして。

どと言っている人も。
もし自分に都合の悪い政策が決まったとしたら、
たとえばいきなり増税でもされた日には、
人はとりあえず文句を言うのではないでしょうか。
あるいは、政治家が失言でもしようもんなら
どうのこうのと批判を口にする人もいるはずです。
投票に行っていないという人でさえも。
しかし考えてみるに、
選挙「権」を使わなかった人が
政治についてあれこれ言う「権利」があるんでしょうか。
さっきも言ったとおり、選挙権というのは「参政権」です。
一度政治に参加する権利を放棄したのであれば、
どうなろうとも黙って見守る。
口を出す権利など無い。
どんな道に進もうとも「イエッサー」とついていく。
払った税金の使い道もすべてお任せ。
だって、自分は政治に参加する権利を棄てたんだから。
それをあれこれ口出しするというのは、
いってみればただの陰口です。
傍観者はあくまで傍観者に徹するべき。
それを面と向かわずに陰でごちょごちょ言うのは
ちょっと自分に都合がよすぎる。
そんなことでは政治家とおんなじです。
権利とはあくまでも、やるべきことをやってから口にするもの。
世の中なんでもそうだと思うんですけど。
投票しても別に世の中変わらないかもしれないけれど、
何か嫌なことが起きた時に文句を口に出来る権利、
それをあらかじめ買っておくのが
「投票すること」なんじゃないでしょうか。

んなことを思ったわけです。
それなんで私も投票に行って来ました。
いや、でもまあ実を言うとそのために行ったとか言うよりは、
絶対あとで生徒に聞かれるから。
「先生、選挙行ったの?」って。
さすがに選挙について教えてる人間が
投票所に足も運ばないんじゃちょっとまずいかな、と。
それに、「投票用紙はこんな感じで……」とかいう話も
少しはしなくちゃならんだろうし。
選挙に行った一番の理由は
「仕事柄やむを得ず、話のネタとして」、
などと言ったら怒られますかね。
しかしこうなるとある意味、私にとっては
「選挙権」というより「選挙義務」ですな。
義務を遂行して生徒達に務めを果たす。
いやー、言葉としちゃ美しいんだけどなー、
生徒に対する演技というのが実情。

政治という名の遊戯。

 

政治は数値化できるか?

 

 

◆ 本日の問題 ◆

今回は学校の試験風に。
選挙の四原則と言われてるものです。
それぞれ何選挙と言われている原則でしょうか?
これも中3の内容。答えは下のやつです。

1. 性別、財産、税額などによる制限(制限選挙)がない。

2. 一人一票。

3. 選挙人(投票する人)が直接に投票、選出する。

4. 無記名投票で行う。

 

←前日の授業へ   本日の授業メインページ   翌日の授業へ→

 



有悩講師陣HOME   MANIAってます!   プロフィール?