本日の授業 第8日

◆ 自動積み立て9年間 ◆

 

学三年生の歴史の授業。
学校の社会科ではもう公民をやっているので、歴史はいわば復習なわけです。
「……で、鎌倉幕府が滅んで、後醍醐天皇ってのが始めた政治を何て呼んでたっけ?」
みなさんは覚えてますでしょうか。
で、受験生の反応は――
「――なんじゃそりゃ」
「〈建武の新政〉だね」
「何それ? 初めて聞いた」
「えっっ……、習ったでしょ?」
「えー、聞いたこと無い」
「いやー、小学校でも習ったと思うけど……」
「小学校? 小学校って何してたんだっけ?」
どうやら小学校での勉強など、覚えていないようなのです。
「小学校のことって、体育しか覚えてない」
「うちのクラスはみんな話聞いてなかったし。授業なんか覚えてないなあ」
えー、そういうもんかい?
「ってゆうか、うちらのグループみんなで先生嫌ってたし。先生いっつも泣いてた」
あー、そうですかあー。
こんなことを言ってる子もふつうーの生徒なんですけどねえ。
多かれ少なかれ、これが現在の小学校の一般的な現実なんでしょうなあ。
もしこれを「学級崩壊」などと呼ぶのであれば
学級崩壊など、ごく普通に、日常的にどこででも見られていることなんだろうなあ、
とこのとき直感しましたがそれはさておき、
結局中学校の時点で勉強ができないというのは
その前の段階である小学校の勉強が成り立っていないからだ、という
当たり前の事実にたどり着いたわけなのでした。

あよく言われる通り、勉強は積み重ねです。もうそれしかない。
類まれなる天才ででもない限り、
我々一般市民には、突然勉強が出来るようになるなんてことはありえない。
いや、天才と呼ばれる人でさえも
その天から与えられた才能を使わなければ、やがては朽ちてゆくはず。
普段から使って積み重ねていかないと、意味は無いのです。
我々凡人であればなおのこと。
基礎を学んで、少しずつ高い次元の話へ、応用へと進んでいく。
その分かりやすい区切りが学校の「学年」なわけです。
前の学年の知識があって今が分かる。今の学年の内容を理解してこそ次の学年の内容へ進める。
小学校の内容があってこそ、中学校、高校の内容が理解できる。
逆に言えば、小学校が分からなけりゃ中学で分かるわけが無い。
そのことを自分では気づかずに過ごしてしまうから、後あと苦労するのです。
となればある意味、義務教育期間でも落第制度があったほうがいいのかもしれませんね。
科目ごとに、個人の理解度に合わせて
進めるのであればいくらでも進み、分からなければいくらでも再学習できる、
そんな「科目別飛び級&落第制度」なんかがあれば本当は良いのかもしれません。
外国では実際にそのような仕組みを取り入れている学校も一部にはあるようです。
まあ、クラスの人数は何十人だ、などというレベルで議論しているどこかの国では
半永久的に不可能でしょうけど。

局、しっかりとした積み重ねが必要だということです。
建物でも、土台をきちんと積まないとそのうち倒れてしまう。
その土台を積み損なった、あるいは積むのを怠けていたからこそ
社会人になってから「もっと勉強したい。もっと勉強しなくちゃ」などと思うのでしょう。
「みんなも俺ぐらいの歳になったら『もっと勉強しとけばよかった』とか思うよきっと」
「えー、何でぇ?」
「だって俺も今そう思ってるもん」
「えー、思わないよぉ。っていうか、あたしもう勉強したくない。
高校も行かないで早く結婚したい。来年には結婚できる歳だし」
「……まあ、結婚は相手があってのことだけどね」
「ウキーッ!」
と、どうやら積み重ねうんぬん以前の話でした。
勉強の〈動機付け〉、あるいは〈意志〉の問題ですねこりゃ。
もっと根本的には、勉強が好きか嫌いか。

務で勉強するか、自分の意志で勉強するか。
義務だから勉強が嫌いになる。
無理矢理やらされれば、何でも嫌になるはずです。
自分でやりたいと思えば、人は行動する。
となれば、道は一つ。
こうなったら、義務教育撤廃。
意志のある者が学校に来て勉強する。
学校を「学ぶ」場所として成り立たせるには、これしかないでしょう。
あとの問題は、10歳前後の子に意志があるか、ということだけですかね??

んな形で積み重ねていっても、平等の9年間。
それが義務教育の期間。

 

学力は数値で測定可能か?

 

 

◆ 本日の問題 ◆

私が小学校六年の時、歴史年表を無理矢理覚えさせられました。義務で。
語呂合わせで口ずさむこの年表は、作った校長先生の名を取って
たしか「熊倉式」と呼ばれていました。
で、生徒が一人一人校長室まで行って、その「熊倉式」年表を暗誦させられたのです。
六年生全員、校長の前で口頭テストといった感じ。
ただ、この時に「義務で」これを覚えさせられたおかげで、
いまだに基本的な年号は丸覚えできています。
やはり頭の柔らかいうちは、義務での学習が必要なのかしら。
この年表を見てみたい方は
ここをクリック。
小六のお子さんがいるような方は、ぜひ。

それをふまえてかどうか。
次の芸能(人)が流行った順に、並べ替えてみましょう。
答えは下のやつです。

1.歌舞伎踊り(by出雲阿国)    2.平家物語(by琵琶法師)

3.浄瑠璃(by近松門左衛門)    4.能楽(by観阿弥・世阿弥)

5.リズム歌謡(by橋幸夫)

 

 

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