本日の授業 第17日

◆ 非常識量産体制完備 ◆

 

日、2003年度から使用される高校教科書の
検定結果が公表されたそうで。
学校週五日制がどうの、新学習指導要領がどうの、と
教育そのものが揺れ動いている昨今、
別に今ここであれこれ論じてみる気はさらさら無いので。

だ、その検定結果で気になったこと。
理科などを中心に大幅に内容が削られたそうですが、
その中の一つ、生物の教科書での削除内容。
細胞への取り込みなどの説明で「イオン」という言葉は不適切、
たとえば「ナトリウムイオン」は「ナトリウムの粒子」などと直せ、という。
おそらくは「授業時間も減少する中、生物でイオンまで教えてる暇は無い」
ということなんでしょうが。
あれ〜、でもイオンって中学で習ってた記憶があるけどなあ?
だいいちついこの間まで、中学三年生には現実に教えてたし。
酸性アルカリ性がどうとか、中和がどうとか。入試にも結構必出。
と思って今年から塾で使う新しい理科のワークを見てみてビックリ。
無い。イオンが無い。イオンのイロハのイの字も無い。
中学生のカリキュラムから「イオン」という言葉は完全に消え去ってしまった。
これじゃあイオンなんていつ習うの?
新聞をよくよく読んでみると、イオンについては高校の『化学 I 』で学ぶそうだ。
とはいっても高校の授業なんて正直、
大学受験を考えている生徒ぐらいしか真面目に聞かんだろう。
しかも自分の受験科目に関係のある授業ぐらいしか。
これからの高校生の半分以上が、イオンなんてものをちゃんと知らぬままに卒業し
そのまま社会へと巣立っていくのであろう。

に「イオン」なんて知らなくっても生きていけらあな。
なんて思う人も多いかもしれませんが、話はイオンに限ったことではなく。
少なくとも、我々のようなたいそう立派な大人たちが
常識として当然知っているはずの森羅万象を
ほとんど知らないままにして彼らは社会に乗り込んで来る、という事実。
たとえば自分の勤めている会社にやがて入って来る部下が、
あるいは一緒にビジネスを進めていかなければならないような相手が、
こっちの持っている常識とはかけ離れた世界で培養されてきた、という事実が
近い将来に必ず起こってくる。
常識とは役に立つ・立たないの話ではなく、
同じ概念を共有できるかどうか。
とすれば、少なくとも義務教育レベルの内容を
共有できなくなってしまう相手がこれから育とうとしているのです。
国のシステムとして、公然と。
国を挙げての「話、通じね〜」状態。
しかもこの常識の線引きは、去年の中学三年生まではギリギリ不変、
今年の中学三年生から突然変わってしまう、という事態。
たった一年という生まれ年の差が、学習内容の差、常識の差として
如実に表れてしまうというのは、実に哀しむべきことでしょう。
生まれた時代が悪かった。
義務教育中に学ぶ「義務」ではなくなってしまった数々の知恵。

校の教科書検定、他にも
とある『生物 I 』の教科書の序文、
「進化という光に照らしてみて、初めて生物学は意味と一貫性を持つ」
という科学者の言葉の引用に対し、「程度が高すぎる」とクレーム。
程度が高すぎる……!?
そう思って検定をパスした教科書の写真を見てみると、
たしかに絵がある、漫画がある。
この程度なら分かるだろう、というわけだ。
「できるだけ興味や関心をひくように」とのことだろうが、
なんつーか、生徒に媚びてない?
子どもに迎合しすぎじゃない?
あるいは、言葉を変えていえば
子どもをバカにしてない?
お前らじゃ難しいこと分からんだろう、
せいぜいこれぐらいしか理解できないだろう、
というのが見え見え。
教科書をできるだけ読みやすくして、学習内容もできるだけ減らして、
という傾向を生徒はもしかしたら喜んでいるのかもしれないけど。
バカにされてるってことさえ気付かないで。

徒諸君!
この際だからハッキリ言っとくけど、
キミたちはバカにされていますよ、大人たちに。
できるだけ常識の無い、非常識な人間に育てられようとしてますよ。
いいのかい、このままで?

自分の武装は自分でしとけよ。
社会に出れば丸裸。

 

目盛りを変える必要が出てくるぞ

 

◆ 本日の問題 ◆

イオンだなんだの話が出ましたので。

1. 酸ってそもそもどういうもの?

2. アルカリってそもそもどういうもの?

3. ってゆーかpH(ペーハー)って何?写真ばっか撮る林家の夫婦?

 

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