ストーカーマニア 
                       講師:須藤香亜

今回のテーマ : 合法ストーキング

 

ストーカーのみなさん、こんにちは。美しいストーキングしてますか?
と思ったら。

 『ストーカー行為規制法』 2000年5月18日成立、11月24日施行。

「ストーカー行為」の定義についてはここでは省略しますが、
このような法律が誕生したからには、もはやむやみやたらなストーキングはできなくなりました。
電話をかけまくればよい、後をつけまくればよい、そんな考えは通用しなくなったのです。
これからは、それぞれのニーズに合わせた正しいストーキングを行う必要があります。
今回は、みなさんと一緒に正しい合法的なストーキングを考えていきましょう。

 

◆ 相手の家での生活を知りたい ◆

相手のプライベートな時間をのぞき見たい。それはストーカーにはよくある欲求です。
しかし自分の力で見るのはもはや難しい。
そんな時は、外部の力を利用しましょう。ズバリ、マスコミを使うのです。
それにはまず、視聴者参加型の番組をチェックします。
そしてその番組に、相手の名前でハガキを送りまくるのです。
「アイドルにお助けお願い」番組でもいい、「素人をメイクでスターに変身」番組でもいい、
あるいはペット紹介だろうがお料理拝見だろうがなんでもいい、
とにかく何かと理由をつけて送ってしまいます。
そのハガキの内容が面白ければ面白いほどいい、やがてそれは採用されることになります。
そう、つまり相手の家にTVカメラがやってくるのです!!
あとはあなたがビデオの予約さえ忘れなければOK。
相手のプライベートな映像が、半永久的にあなたのものになります。
クリアな画質で。しかも合法的に。
できればS-VHSでの録画がお勧めです。

 

◆ 相手を尾行したい ◆

そんなことではストーカーとは言えない、もっと自分の体を張ってストーキングしたい、
そんなあなた、分かります。たとえば尾行も、自分で行ってこそ正しいストーキング。
しかし法に触れては元も子もない。そこで合法的な尾行のやり方を伝授しましょう。
どうやるか。そう、ここは逆転の発想。
ズバリ、相手をつけずに、相手につけられるのです。
「えっ、そんなことが?」もちろん、できるのです。
相手をつけたいほどのあなたなら、もうすでに
相手の家や利用する駅、時間などはなんとなく見当がついているはず。
正確には知らなくても、おおざっぱな辺りで分かれば十分です。
そこであなたはどうするか。
まずは相手が駅から出てくるであろう時間に駅を出ます。しかし相手より遅れてはいけません。
相手の後を行くのでは結局非合法な尾行になってしまいます。
あくまでも相手よりは一歩先に。これが重要です。これならば法に触れることはありません。
また、相手にあなたのことを気づかれてもいけません。
いつもとは違う道を通られてそれまでになってしまいます。
できれば変装なり、服の感じを変えるなりしたほうが良いでしょう。
そしてあなたは、相手の家を目指して歩きます。もちろん相手より一歩先に。
この時あなたは決して後ろを振り返ってはいけません。後ろを気にしてもいけません。
相手はあなたの後ろを歩いているのです。
そんな相手に自分の存在を気づかれては、尾行をする側とされる側の立場が入れ替わってしまいます。
あくまでも相手に自分をつけさせる。これが合法的成功のカギです。
やがて相手の家の前まで来る。しかしあなたはその家をチラッとでも眺めてはいけません。
ましてや立ち止まるなんてもってのほか。あくまでも何事もなく過ぎ去るのです。
「自分はまだ帰り道の途中なんだ、こんな場所には興味はないんだ」という顔をしながら。
そしてあなたは振り返ることもなく、歩き去っていく。
当然相手があなたに気づくようなことはないでしょう。絶対にバレません。
これで完璧です。あなたは見事に相手に尾行させました。
あなたは合法的「逆」尾行を完遂したのです。
あなたの胸は「相手に自分を尾行させてやった」という満足感で一杯になることでしょう。

イメージトレーニングを欠かさない 合法的尾行

 

◆ 相手をおとしめたい ◆

今までの話ではどうしても満足できないあなた。
自分の手で相手を苦しめてやりたい、そう本気で考えているあなた。
あなたと相手との関係は、もはや本当に冷え切っているようですね。
そんな泥沼ドップリ状態にハマっているあなたにお勧めする、究極のストーキング。
これなら必ずや相手は困惑すること間違いなし。
その方法について、これから解説しましょう。
そんなにも冷え切った状態にまでハマっているあなたと相手、
ちょっと想像してみてください、そんな様子で相手は今どう思っているのでしょうか?
答えは簡単、相手は当然こう考えているでしょう、
「いずれあなたがストーカー行為にでてくるのではないか」と。
相手は明らかに、あなたがしてくるかもしれないストーキングにおびえているはずです。
そんな中であなたがストーキングを行えば
「ほらきた、ほらきた、やっぱりきた、思ったとおりやっぱりきた」
などと言いながら、自分の予想通りになったことで逆に胸をなでおろすことでしょう。
「ようやく来たか」といった、ホッとした感覚です。
これでは、ストーキングにもかかわらず変な安心感を相手に与えてしまうことになります。
これはあなたの望むところではありません。
そこで賢明なあなたはどうするか。
ズバリ、「何もしない」のです。
あなたからのストーキングにおびえ、「いつくるか、いつくるか」と身構える相手に対して何もしない。
相手にとってこれほどの苦痛はありません。
なにしろ目に見えぬ恐怖と闘っているのですから。
その恐怖をできるだけ長期に渡って与えるためには、できるだけ何もしない。
できれば、死ぬまで何もしない。そうすれば相手は恐怖に身悶えながら死にゆくことでしょう。
合法的に相手を恐怖に陥れ、恐怖のうちに命を絶えさせる。
これぞ究極のいやがらせ、究極のストーキングです。
それはとことんまで冷え切った者のみがたどり着ける、ストーカーの桃源郷なのです。

 

◆ ストーカー規制法対策 ◆

そんな気の長いストーキングは行えない、もっと手っ取り早いほうがいい、
しかしストーカー規制法なんぞに引っかかるのは口惜しい、
そう考える欲張りなあなた、そんなあなたにもお教えします。
これならストーカー規制法には触れたりしません。
その方法はズバリ、「相手の家に全裸で押しかける」のです。
これなら相手も即いやがること間違いなし。
しかし注意点が一つ、相手の玄関先で服を脱ぎ始めたりしてはいけません。
そんなことでは近所の人に怪しまれてしまいます。
服はあらかじめ自宅で脱いでおき、全裸で家を出るのです。
そしてそのまま相手の家まで直行。それならば相手の近所にも怪しまれることはありません。
あとは思う存分押しかけていってください。
えっ、もし相手の家に着く前に捕まったらどうなるかって?
たとえそうなったとしても、ストーカー規制法には引っかかっていないので大丈夫です。
罪状としてはおそらく、「ストーキング」ではなく「ストリーキング」でしょうから。

 

以上、貧相なオチがついたところでお別れの時間です。
みなさんもこれを参考に、賢く正しいストーキングを心がけましょう。

 

 

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