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南薩鉄道5号機Cタンク その5

いよいよ大詰めです。短気を起こさず気長にやりませんと…。

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スライドバー基部の折り曲げ

スライドバーを取り付けた台枠前部を、90度外側に曲げます。
この角度や曲がり具合は、あとで色々調整が必要になるかもしれません。

エキセントリックロッド支持板

エキセントリックロッドの支持板を折り曲げます。
この素材は柔軟性がなく、曲げ方を間違えて曲げ直すと、簡単に折れてしまいます。
このパーツはすべて谷折になります。

支持板のネジ留め

台枠の横の穴にツメを引っ掛けて、1mmネジで固定します。
このネジだけ、他のネジとはネジ径が異なります。
(ワールド工芸の他の蒸機も、モーションプレートを取り付けるネジは1mmネジになっています)

クロスヘッド取り付け

ここから急に難しくなります。
クロスヘッドは、模様のあるほうを手前になるように折り返します。

クロスヘッドピンのカシメ

難関その1
非常に小さい、クロスヘッド用ピンという部品が2個付属しています。うっかりしていると見落とすくらい小さい部品です。
このピンを手前からクロスヘッドの穴に差し込み、裏側にメインロッドを差し込みます。

次に、このピンからメインロッドが抜けないようにしますが、説明書ではハンマーで叩き潰すように指示されています。
私はピンを飛ばしてなくしそうだったので、ヤットコでピンを両端からはさんでギュッとかしめました(それはそれで問題もあります)。
力加減がまずいと、メインロッドが動かなくなるくらいガッチリ止まってしまうので、加減が必要です。

もしメインロッドが動かなくなってしまったら、ゆっくり無理せずに少しずつ左右に動かしていれば、そのうち軽く動くようになります。
ただしあまりに重症の場合はダメかもしれません。

ピストン棒の折り曲げ

難関その2
ピストン棒を折り曲げます。
クロスヘッドピンから2mmの位置で折り曲げるように指定されていますが、ちょうどその位置から曲げてしまうと、クロスヘッドが一番前に来たときにつっかえてしまい、走れなくなります。
細いヤットコの先でも、なかなか曲げにくい場所なので苦労すると思います。回転の調整をしながら、何度も曲げ直すはめになるかもしれません。

クロスヘッドの取り付け

スライドバーの後方からクロスヘッドを差し込み、ピストン棒も穴に通します。
スライドバーは、少し内側に押すようにしてすき間を作らないと、クロスヘッドを入れるのに苦労するかもしれません。

ここで、クロスヘッドが軽く左右に動くか確認します。
軽く動かないときは、前述のピストン棒の折り曲げ方を変え、ピストン棒が穴に強く接触しないように、スライドバーと平行になるように調整していきます。

エキセントリックロッドの取り付け

難関その3
エキセントリックロッドの先端を穴に差し込み、リターンクランクのピンでメインロッド・サイドロッドを動輪に止めます。

線路の上で車輪を転がして、回転に引っ掛かりがないか確かめます。

ガシッと動かなくなってしまったときは、折り曲げたピストン棒がつかえてしまった可能性が大なので、慎重に曲げ直してみます。
また、台枠先端の90度に曲げた部分を、少し前方に押し戻すと、つっかえずにすむ場合もあります。
ここは時間をかけて調整します。

回転調整

うまくいったら反対側も調整します。
ここで不具合が残ると、後工程に入ってからでは戻ることができないので、100%満足できるまで時間をかけて調整します。

と簡単に書きましたが、100%満足だなんてとてもとても…。

ウォームの固定

モーターは、あらかじめ通電して回転することを確認しておきます。ウォームギヤはエポキシ系接着剤で接着します。はみ出した接着剤で軸がモーター軸受けと接着されてしまわないように注意します。
また、説明書にもありますが、瞬間接着剤が染み込むとおしまいなので、ここでは使わないのが無難です。 モーターに限らず、電気的な接点の近くでは、瞬間接着剤のガスが表面に付着して通電しなくなってしまうことがあるので、避けたほうがよいと思います。

あとで発売された三井埠頭5号機のほうは、少し長いモーターがついているので、モーターの端がベースプレートから少し前方にはみ出します。この部分は煙室の内部に入り込みます。

モーターの取り付け

台枠の90度曲がったモーター取り付け座に、モーターをエポキシ系接着剤で接着します。
あとで取り付け座を曲げたりして、モーターの位置を微調整することがあるので、ここもできればハンダ付けしたかったのですが、ガマンしました。
あらかじめ、ウォームの中心が大ギヤの中心に来るように(前からも横からも)位置を合わせ、矢印の噛み合わせに薄い布が1枚入るくらいのアソビができるよう、取り付け座を曲げて位置を調整しておいたほうが、接着しやすいと思います。
私の場合、少し取り付け座を浮かす程度ですみました。

この噛み合わせにすき間を開けることはきわめて重要です。スムーズに動かない場合、このアソビが足りなくて、ギヤががっちり噛み合いすぎていることがよくあります。 接着剤が固まったら、パワーパックからモーターに直接通電して、動きを確認しておきます。

配線のためベースプレートを緩める

次は、モーターのリード線を台枠の上部にハンダ付けします。
…が、今回はハンダ付けしない工作なので、台枠とベースプレートの間にリード線をはさんでしまうことにします。

ところが、そのためにいったんベースプレートのネジを緩める必要があるのですが、車輪を取り付けてしまうとドライバーが入りません。
車輪に傷をつけないようにテープを何枚か張り重ね、車輪の上部に無理やり斜めにドライバーを差し込んで、ようやく少し緩めることができました。

配線

こうしてできた隙間に、リード線の先端を差し込み、もう一度ネジを締めて固定します。
この部分には、テープなどを張って絶縁しておきます。

集電ブラシの取り付け

最後に車軸の集電ブラシを取り付けます。
写真のように少し曲げ、第一動輪と第3動輪の車軸(台枠の外側)に接触するようにします。

集電ブラシ取り付け完了

左右を取り付け終わりました。ボディーを乗せないと軽くて集電がよくありませんが、線路に載せて走らせてみます。

最終組み込み

難関その4
組み上がった動力の前方をボディー下部に差し込み、後部をネジで止めて固定します。

なぜか、ボディーに固定すると走らなくなってしまうという症状に悩まされました。
いくつかの原因がありましたが、まずドームの取り付け足がボイラー内側に出ていて、モーターを圧迫してギヤの噛み合わせが固くなったのがひとつ。
次に、ピストン棒がシリンダーの入り口に引っかかってしまうのがひとつ。こちらはシリンダーの内側を削ったりしてみましたが効果が薄く、結局台枠の前方を少し内側に曲げて幅を狭くしました。

後部台枠の取り付け

後部台枠をネジ止めします。これですべての組み立てが終了です。

完成

完成

接着剤だけで金属キットを完成させることは一応できました。慣れないので強度や硬化時間の感覚が分からず難しく感じましたが、接着剤に慣れた方なら何でもないことかもしれません。
走りのほうは、当初は腕の問題で細かい精度不足が重なり、何となく危なっかしい感じでしたが、その後経験を積んでから再調整し、満足いくようになりました。プラ貨車で2〜3両が限度とされていましたが、平坦線でオハ31系を3両くらいまでなら牽くことができます。

K.S.KタイプCタンクと南薩鉄道5号機

トミックスのK.S.KタイプCタンクとのツーショットです。トミックスのCタンクは前デッキが長いのですが、そのほかは結構寸法的にがんばっているように見えます。

K.S.KタイプCタンクと三井埠頭5号機

2006年になってから発売された三井埠頭5号機と、トミックスのK.S.KタイプCタンクのとのツーショットです。かなり精度に気をつけて組んだので、モーターのない状態では惰性でしばらく転がるくらいまでに仕上がったのですが、モーターを積んでみると特別優れているわけでもなく、先の南薩鉄道5号機と同等になりました。
ワールド工芸で、機関車の動輪をモーターで回す形式のキットは、動力まわりの組み立て調整が桁違いに難しいです。私は今まで金属キットを相当組み立てたのですが、やはり難しいと思います。
(おわり)


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