Nゲージ蒸気機関車>蒸機の紹介>9600
D51・C59に続いてマイクロエースが出した日本型蒸機で、それまでと違いスタイルが的確なので、大評判になりました。
その後マイクロエースはこれを超える蒸機を作れていないように思えます。
構造がシンプルなので、改造のベースとしても適しています。
A9701 9600形 標準タイプ(大型デフ) 1999年 |
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A9702 9600形 標準タイプ(大型デフ・集煙装置付) 1999年 |
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A9704 9600形 デフなし(九州タイプ) 1999年 |
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A9705 9600形 デフなし 1999年 |
A9705 |
ここまでの4種が初年度に発売されました。
大きさは概ね1/150(機関部は1/147〜148、テンダーは1/150)で、それまでのエンドウ製品に比べて一回り小さく感じます。
まだ窓ガラスは入っていませんが、見た感じはそれほど変ではありません(KATOの1/140系列の蒸機でも、窓ガラスが入っているものはありません)。 当時の雑誌のメーカーインタビューで、最初の2種が白線入りである理由を問われていましたが、黒い機関車にアクセントということだそうです。9600も白線入りで活躍した例は結構あります。
基本的に特定番号をあまり意識しない選定になっていますが、デフなし九州タイプはキャブ下に窓を開けたり、テンダー増炭枠を後ろの閉じたものにしたりして、地域性を出しています。
当時の蒸気機関車の模型としてはスムーズな走りでした。テンダーの集電性能は後発のKATOよりもよいぐらいです。線路状態によらずタフな走りをします。
KATOは前側2軸集電ですが、マイクロエースは後側2軸集電です。そのため内部のバネの具合によっては、KATOと逆でテンダー後方が上がり気味になります。 ドローバーの集電線は、台車集電板とは独立した前側の接点に接しているため、台車集電板が圧迫されることがなく、走行中の追随性が良いように思います。 |
モールドはKATOほど精密ではなく若干の甘さがあり、各部の組み立て精度もそれほど高いものではありませんが、あまり問題にされることはないようです。末期の実物はまさに年季が入った外観だったこともあるかもしれません。
続いて翌年に北海道タイプが2種加わります。
A9706 9600形 79613 北海道重装備 |
A9706 |
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A9708 9600形 79618 北海道重装備(2ツ目タイプ) 2000年 |
A9708 |
新たに窓ガラスが入りました。モーターの幅がキャブ内いっぱいのため、薄いプラ板がガラスに使われています。 この前年に発売された8620では、厚いガラスが入っていたため、キャブがモーターに押し広げられて変形していました。
2タイプともボイラーの配管のモールドは同じで、2ツ目のほうはライトのほか、上部に給水温め器が付いていることが違います。 ともかく9600は基本の形が良かったために、こうしたディテールアップによるバリエーション展開が成功したのは幸運です。もしベースの形が悪ければ、バリエーションが追加されるたびに、割り切れない思いも積もって行ったと思います。 |
少し間が開き、3年後になってキマロキセットの形で新タイプが2種追加されました。その後ほぼ毎年少しずつラインナップが追加されます。
A0325 49648 キマロキ編成3両セット 2003年 |
A0325 |
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A0327 39679 キマロキ編成(黄帯)3両セット 2003年 |
A0327 |
9600+マックレー車+ヨ3500(ヨ4456/ヨ4400)とセット販売されたものです。 一緒にD51+ロータリー車のセットも発売され、両方合わせてキマロキ編成となるものでしたが、9600とD51の速度が違いすぎて、少し無理のある協調になります。
9600の空気溜めの位置には何タイプかありますが、上の49648はタンクがランボード後方にあってキャブに密着しているものです。ランボード上の中央寄りにあるタイプも存在しますが、Nゲージの市販品にはまだないと思います。
ここまででマイクロエースの9600の基本形はほぼ出来上がり、このあとの製品は既存品の組み換えや色変えが中心になります。
A9709 9600形 69699 北海道切詰デフ 2004年 |
A9709 |
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A9711 9600形 29660 オレンジ 2004年 |
A9711 |
キマロキの翌年に追加された製品です。29660は鮮やかなオレンジ色で目を引きますが、どちらかといえば実用というよりコレクションに向きそうな模型です。
69699は、上記のキマロキセットの2種を組み替えたものと考えれば良さそうです。
この頃からマイクロエースの蒸機の塗装は、それまでよりも少しツヤのある黒塗装に変更されました。同じ頃KATO製品もそうなっています。ユーザーの好みが変わってきたのでしょうか。
同様に同じ頃、マイクロエースの蒸機の動輪は、9600も含めて一斉に右先行に変更されました。これはユーザーの好みと関係なく、製造ラインの都合のようです(というのが邪推です)。他の形式に関していえばようやくこれで直ったということになりますが、9600だけが犠牲になった格好です(注:実物の9600は他形式とは逆の左先行)。
なお2009年現在では、今年発売された蒸機のうちC型は右先行、D型は左先行となっているようで、よくわかりません。 両側を同時に見ることはなく、実用上は関係ないので、もうこのへんに疑問を持っても仕方ないのかもしれません。
2005年10月、再生産をかねてさらに2種が発売されました。1両は改良再生産という位置付けになっています。
A9714 9600形 9633 ゼブラ塗装 2005年 |
A9714 |
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A9715 9600形 79618タイプ 北海道重装備(2ツ目)・改良品 2005年 |
A9715 |
今回の2ツ目は改良品とされていますが、大きい違いはテンダーがリベット付きに変更されたことで、他はキャブのに白文字や後部ライトの銀が追加された程度です。 下廻りは最近の仕様に合わせて黒色車輪になっており、値段は1000円以上アップしました。
9633は、デフなし九州タイプのエンジンに、キマロキの39679のテンダーをくっつけたような構成です。
5年ほど空きましたが、2011年以降もラインナップ追加が続いています。商品名が「9600形」から「9600型」に変わりました。
動輪はめでたく左先行に戻りました。
A9716 9600型 49654 デフなし後藤寺機関区 2011年 |
A9716 |
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A9710 9600型 29622 北海道切詰デフ 2013年 |
A9710 |
KATOの久々の新作蒸機であった9600もかなり力が入っていましたが、マイクロエースの9600も色あせることがなく、とてもファンの多い模型です。国鉄蒸機として最後まで活躍した9600は、模型の傑作にも恵まれた嬉しい形式になりました。
こういう機関車はいくつか欲しくなることもあるので、基本的な形態のものは定番化して、回数を多めに再生産していただければありがたいと思います。