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C55 その4-中村精密・ワールド工芸

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中村精密

MK12 C55 1982年 標準型 MK12 C55
1982年 (拡大写真)
従台車はC51と同じものです。ちょっと先輪がせり出して見えます。
C55流線型 1982年 流線型 C55流線型
1982年 (拡大写真)
中村精密の製品としては私の一番のお勧めですが、今では本当に入手しにくくなってしまいました。

トータルな製品としてはNゲージ初のC55です。標準型はボイラー内部まで金属の塊なので、かなり重たい音を立てて走りますが、動輪が大きく見えて見かけは結構きゃしゃな感じです。

流線型は全長がKATOのC55を上回っていますが、すらりとして格好よく仕上がっています(やや軽いので動輪が空転することがあるかもしれません)。
美しい銀色のフチは塗装後に手作業で磨き出されたもののようで、銀で塗ったのとは違う質感があり、この模型の特長になっています。

ワールド工芸

●初代製品(1996〜1997)

C55流線型 1996年6月 流線型 C55流線型
1996年6月 (拡大写真)
ワールド工芸のテンダードライブシリーズの第一作です。テンダー台車は前後とも、左右の同じ側が固定された3点イコライザです。
機炭間隔は2段階を選べます。この写真は狭い側です。
C55流線型改造型(九州タイプ) 1996年12月 流改 九州タイプ C55流線型改造型(九州タイプ)
1996年12月 (拡大写真)
この頃はつかみ棒やステップなどの表現がなく、空気溜めもただの丸棒です。追加ディテールパーツが別売でしたが、それを取り付けても現在の製品には及びません。
C55流線型改造型(北海道タイプ) 1997年1月 流改 北海道タイプ C55流線型改造型(北海道タイプ)
1997年1月 (拡大写真)
先台車に排障器の表現が付きました。
左右同じ側が固定されていたイコライザは、前は右側固定、後ろは左側固定のように変更されました。
C55標準1次型 1997年2月 一次型 C55標準1次型
1997年2月 (拡大写真)
キャブの前側の角に丸みがついているので、キャブ前妻は側板とつながっており、中央で接合するようになっています(同社の電気機関車と同様)。
この頃からボイラー下部ふさぎ板が付属しました。
C55標準3次型 1997年4月 三次型 C55標準3次型
1997年4月 (拡大写真)
イコライザの構造がまた変わり、現在のように左右台車とも動くようになりました。
ここまでのキットはすべて紙箱ですが、流改以降ではそれまでの倍以上のサイズの箱に厳重に梱包されていました。

写真は発売順です。1996年から1997年にかけて順次発売されました。現在の同社のテンダードライブシリーズの最初のものです。
最初に出たのは流線型で、手作りの割にはとてもよく走ると思ったものですが、現在のワールド工芸の製品には遠く及びません。

ディテールは当初簡素なものでしたがどれもスケールに近づけられており、高さが抑えられて足回りがすっきりしています。途中から先台車に排障器がついたり板バネが表現されたり、ボイラー下部ふさぎ板がついたりして表現力が向上していきました。バックプレートはありません。
1次型・3次型の窓まわりの印象(見かけの前後位置など)は、今見ても感じがよいように思います。

タイヤの厚さをはじめとする下廻りの寸法は外観重視となっているため、レイアウトで走行させる際の許容範囲はプラ製品ほどにはありません。牽引力もシリーズの中では一番弱いので、これからワールド工芸製品を買ってみようという方は、これらの初期製品のC55は後回しにしたほうがよいと思います。

初期製品の動力ユニットはすべて組み立て済みでした。ウエイト兼用の石炭はただの山状の固まりで、粒子状のディテールはありませんので、自分で市販の石炭粒子やバラストを撒くなりして表現しなければなりません。

なお、流線型は完成品とキットとで、屋根開閉シリンダーの表現が異なりました。キットでは左右がつながったシルエット状の板パーツでしたが、少し遅れて発売された完成品では立体的なパーツに変更されています。

キットのテンダー 完成品のテンダー
キット 完成品

●2代目・フルリニューアル製品(2008年)

2008年になって、11年ぶりにC55のラインナップ2種が追加されました。

C55 1次型II 九州タイプ・前期 2008年11月 1次型II九州タイプ(前期) C55 1次型II 九州タイプ・前期
2008年11月 (拡大写真)
旧製品に比べて圧倒的に精密になりました。前期(2〜11号機)、後期(12〜19号機)が発売されました。
C55 1次型II 九州タイプ・後期 2008年11月 1次型II九州タイプ(後期) C55 1次型II 九州タイプ・後期
2008年11月 (拡大写真)
こちらは一次型後期です。前期型とは逆転機ロッドの形、コンプレッサーと給水ポンプの高さ等が違っています。

前年に一足先にフルリニューアルしたC57一次型九州タイプと同様、完全新規の設計となり、組み立て方にも多くの共通点があります。
動力部はユーザーによる組み立て式となりました。

旧製品ではランボードの幅がキャブの幅と同じでしたが、今回はランボードが実際に狭められています。前側の端梁も狭くなり、前から見ると一回り小ぶりに見えます。

下廻りでは車輪が黒色になり、他形式で装備が始まっていた荷重分配装置も装備されました。ただボイラーが細く補助ウエイトも小さいので、C62などに比べれば効果のほどは限られています。8両編成なら平坦線で余裕、4%勾配でも走れましたので、C55の運用としては十分と思いますが、上り・下りで速度差が大きいので速度調整が必要です。

前期・後期の2種が発売されており、いずれも門デフ、変形デフ、標準デフの3種が付属しています。付属パーツも特定機に応じて各種選べるようになっています。

●3代目・高精度ギヤ製品(2010年〜)

2010年には新しい動力装置で流線型と3次形がリニューアルされました。
※名称の「型」「形」の使い分けは製品の説明書に従っています。

C55流線型II 2010年5月 流線型 C55流線型II
2010年5月 (拡大写真)
高精度ギヤの採用で動力が一新されました。側面カバーの下からダミーの合併テコが見えて、よい感じです。
参考:C55流線型(初代) 1996年6月 流線型 参考:C55流線型(初代)
1996年6月 (拡大写真)
外見的には未だ見劣りしない初代製品です。しかし、動力は最新製品にはかないません。

同社テンダードライブシリーズのトップバッターだった流線型もフルリニューアルされました。
2代目の1次形と同様に荷重分配装置が装備されました。動力部の改良により、動きは初代に比べ滑らかで音も静かになりました。もちろんキットなので、組み方によって違いは出ます。
車体はより実物形状を意識したものになり、キャブ側に比べてフロント側の車幅が若干狭い様子も作られました。側板に折り目を入れて狭くするのですが、この作例では私の好みから目立たないようにしてあります。
側板は機関部・テンダーとも洋白になり、中村精密と同様にフチを磨き出せるようになりました。

テンダー前後のディテールも初代に比べアップしています。初代製品のテンダー前面には何もなかったですね。

■テンダー前部 ■テンダー後部
初代テンダー前部 新製品テンダー前部 初代テンダー後部 新製品テンダー後部
初代リニューアル品 初代リニューアル品

同年に発売された3次形では、動力の変更に加え、加減リンクが可動式になりました。
構造的にも、ワールド工芸の蒸機キットとしてはひとつの完成の域に達したような気がします。
2012年には流改型も発売されました。

C55 3次形II 九州タイプ 2010年11月 3次形九州タイプ C55 3次形II 九州タイプ
2010年11月 (拡大写真)
デフは標準デフ・門鉄デフK-7・46号機用の3タイプが付属しています。作例は46号機用の上下に高いデフを付けています。
C55 3次形II 九州タイプ D51テンダー振替機 2010年11月 3次形九州タイプ D51テンダー振替機 C55 3次形II 九州タイプ D51テンダー振替機
2010年11月 (拡大写真)
ロングラン用にD51のテンダーに振り替えられた、51〜54号機が製作可能です。デフも各タイプが付属しています。
C55 3次形 北海道タイプ 密閉キャブ仕様 2011年4月 3次形北海道タイプ C55 3次形 北海道タイプ 密閉キャブ仕様
2011年4月 (拡大写真)
新シリーズ初の北海道タイプで、前部エプロンやテンダーライト位置の違いを作り分ける各種パーツが付属しています。
C55 30号機(流改型 北海道タイプ) 2012年7月 30号機 C55 30号機(流改型 北海道タイプ)
2012年7月 (拡大写真)
流改の初リニューアル製品です。テンダー台車がホワイトメタルから真鍮板の貼り重ねに変わりました。

2019年には、動輪がダイカスト輪心に変更されて再登場しています。

C55 27号機(流改型 九州タイプ) 2014年2月 27号機

C55 27号機(流改型 九州タイプ)
2014年2月 (拡大写真)
旧シリーズ以来18年目になる九州タイプの流改です。テンダー台車は真鍮ロストになりました。このまま落ち着くとよいのですが。

C55 34号機(流改型 九州タイプ) ※写真なし
2014年9月
ややデフの位置が低い34号機も同じ年に発売されています。

2017年になり、動輪輪心がダイカスト製に変更され、ロッド周りの組み立て方が少し変わりました。数か月前にC53が同様の変更を受けており、C55が2番目になります。

C55 1次形 北海道タイプ 密閉キャブ仕様 2017年9月 1次形北海道タイプ C55 1次形 北海道タイプ 密閉キャブ仕様
2017年9月 (拡大写真)
1次形で初の北海道タイプです。1号機と、16・17号機が作り分けられます。
動輪輪心がダイカスト製になりましたが、今までと同じく各型式共通の汎用品です。

細いボイラーと大きなスポーク動輪を持つC55には、九州タイプの門鉄デフやランボードの白線もよく似合います。

ここまでは金属製品です。次はプラ量産品です。


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