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C55 その5-KATO・マイクロエース・トミックス

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KATO

2011 C55 1997年 KATO 2011 C55
1997年 (拡大写真)
初代C50から数えて30数年ぶりに動輪のスポークが抜けました。
2011 C55 2011年 KATO 2011 C55
2011年 (拡大写真)
この年の再生産より車輪が黒色になり、先輪が薄型になりました。
2012 C55門鉄デフ付 1999年 KATO 門鉄デフ付 2012 C55門鉄デフ付
1999年 (拡大写真)
初回品の2年後の発売ですが、先輪のスポークが従来の甘い7本から、シャープな8本に変更されています。

C57の流用ですぐ発売されるかのように思えましたが、予告されてからかなり時間がかかり、ようやく1997年に発売されました。門鉄デフ付が発売されたのはその2年後です。 全体のつくりはC57と同様ですが、国内向けのKATO蒸機としては久々にスポークが抜けています。ゴムタイヤの材質の配合も変わり、それまでより牽引力が増したとのことです。
これが発売されたおかげで、下廻りを利用するキングスホビーの一連のキットが発売されました。
ただこの頃はワールド工芸やマイクロエースもこの分野に参入していましたし、待たされた割にはチャレンジングなところが少ない製品だなと当時は正直に感じました。従来のKATO製品としては普通という印象です。

長らく再生産されていませんでしたが、品番2011製品が2011年に再生産されました。現在の仕様に合わせてやや艶を増した黒っぽい塗装となり、黒ニッケル車輪に変更され、先輪も薄型の標準フランジ(8本スポーク)に変更されました。中身は変わっておらず、ライトも電球式です。

フロントや動輪廻りの印象がC55らしく目を引きます。最近の製品と並べると、1/140という古い規格の車体は大きいので、KATOの旧系列の蒸機と一緒に使うのがよいと思います。これらのC55シリーズは他の1/140シリーズとともに、2022年までに生産終了となってしまいました。


マイクロエース

●初回製品

A7101 C55 20 流線形 2000年 C55 20 流線形 A7101
C55 20 流線形

2000年 (拡大写真)
プラ量産品では難しい流線型を、思い切ってデフォルメした異色モデルです。
A7102 C55 25 2次形改造 2000年 C55 25 A7102
C55 25 2次形改造

2000年 (拡大写真)
流線形ボディーを外されて標準型に近い形に改造された、いわゆる流改です。

流線形は一見プラ蒸機に適しているように思いますが、肉厚と先台車の可動を確保するため、車幅を広くせざるを得ないようです。ほかにもデフ部の厚みが目立つなど苦労も多いようです。 同社蒸機としては最大級の横幅で、全長だけスケールなので変わったフォルムをしていますが、大幅なデフォルメによって何とか顔だけでも似せようと努力はされているようです。
(前から見ると車体幅がゲージの約3倍なので、Nゲージの国鉄型蒸機としては変わっているかもしれませんが、狭軌の機関車としては普通の形です。)

各部の特徴は一通り作られており、C55の一大特徴である動輪スポークの「水かき」も、この形式だけのためにちゃんと作られています。

流改のほうは同社の一般的なスタイルで、腰高が目立って本物のイメージからは離れていますが、題材としては面白いです。
なかなかこういうものに手をつけるメーカーはないので、マイクロエースらしい製品だと思います。

●2次製品

初回製品の10年後に、再生産を兼ねる形でラインナップが追加されました。
しかしなんと、C55の特徴である動輪の水かきが消滅。

A7108 C55 16 一次型・旭川機関区 2010年 C55 16 A7108
C55 16 一次型・旭川機関区

2010年 (拡大写真)
密閉キャブで火の粉止め付きです。
ドームの形は前の流改とは違い、標準的なC55の形です。
A7109 C55 20 流線型 改良品 2010年 C55 20 流線型改良品 A7109
C55 20 流線型 改良品

2010年 (拡大写真)
ナンバーが形式入りになり、各部の色入れが追加されました。

下廻りは最近の仕様で黒色車輪になり、動力ユニットも合理化後のものになっています。
その副作用か、右先行だった動輪が実物と逆の左先行に変わりました。せっかくの動輪スポークの水かきがなくなり、タイヤの厚いものに変わってしまいました。
初回からこの動輪だったなら別ですが、わざわざ初回品できれいに作ったものがなくなったのは、色々と不思議です。

ちなみに発売時の「鉄道模型趣味」誌の「製品の紹介」コーナーには、メーカーの案内と同様に「水かき付動輪を備えている」と紹介されていました。ああ、すでにTMSも量産品を実際に見て記事を書くことはできなくなっているのだなあと寂しく感じました。

流線型のほうは改良品とされているにもかかわらず、退化した点もあるので、初回品を持っている人にとっては改良感はなさそうです。

一次型のキャブについているタブレットキャッチャーは、今までのマイクロエース製品の中では一番よくできており、金属製品と比べても大きな違和感はありません。
ただ模型の姿全体としてみれば、C55一次形のプロポーションが再現されているわけではないので、今後はピンポイントの変更だけではなく、全体の印象を決定付けているあのスタイルにばっさりと切り込んでほしいと思います。


トミックス

トミックスからは、C11以来6年ぶりの新形式としてC55が発売されました。

2010 C55(3次形・北海道仕様) 2023年 C55 3次形北海道仕様 A7101
C55(3次形・北海道仕様)

2023年 (拡大写真)
密閉キャブと前方が切り詰められたテンダーを持つ、晩年の北海道形です。

2009年発売のC57 135以来、トミックスが国鉄現役機を想定した模型を発売するのは初めてで、驚きの声が聞かれました。
実物のC55とC57が直系の形式であることから、模型もC57 135をベースとしたバリエーション的な作りになっています。製品も外観の着せ替え的なものでほぼ同じです。ただし水かき付きスポーク動輪やボイラー外装を中心に新規パーツが製作されており、相応のコストが投じられています。その割に本体価格は14年前のC57 135から600円しか上がっておらず、バリエーション展開の効果が出ています。

同時発売の「98413 国鉄旧型客車(宗谷本線普通列車)」セットには、C55北海道形のオプションとして回転火の粉止め、C55 49号機のナンバー、それを装着する専用の煙室扉パーツが付属しています。ただし煙室扉の交換は本体を破損する危険があるため、模型を始めたばかりという方は避けたほうがよいと思います。
C55(3次形・北海道仕様) トミックス

トミックスはC55を1978年から1984年頃までカタログで予定品に入れていたことがありましたが、それは旧C57のバリエーションであり、今回の製品と直接の関連はありません。


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