Nゲージ蒸気機関車>蒸機の工作>アーノルドカプラーで自動解放
2008.9.23
前回手動式で製作した、アーノルドカプラー用アンカプラーを電動化しましたのでご紹介します。
アンカプラーは、解放ランプを道床内のカムで上下させる単純な仕組みです。固定式レイアウトならパネルの下に駆動機構を置けますが、ここでは道床内蔵式にしたため、KATOの4番ポイントの駆動装置をそのまま使いました。
手前が手動式のもの、奥が電動化したものです。駆動機構を収める関係で、倍の長さの124mmになってしまいました。ただ、これは固定式線路時代の「電動アンカプラー線路」と同じ長さです。その他海外メーカーの製品も同程度の長さでした。 今回、解放ランプの長さを枕木1つ分短くしました。上昇したときの傾斜部が長いと、停車位置によってはカプラーポケット等を押し上げてしまい、車両が少し浮くことがあったためです。また、前回とは反対側のレールに寄っているのは、内部の駆動機構の関係です。 |
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裏側です。使用していなかった4番ポイント(旧製品)のポイントコイルと、マグネットが両端に付いた黒い枠をそのまま移植しました。手動式のつまみも使えるようにするため、道床の端に穴をあけています。 KATOのポイントを手動で切り替えると、両端にぴたっ、ぴたっと吸い寄せられるような感覚で切り替わりますが、これはコイルの鉄心に外枠の磁石が吸い付くためです。 |
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まずはコイル外枠の位置を決めて道床の端につまみ穴を開け、内側のリブなど邪魔な部分を削り取ります。コイルは両端に適当な厚さのプラ板を重ね、ゴム系接着剤で接着しました。 配線は切らないように気をつけて、適当なプリント基板にハンダ付けし、そこに0.6mm真鍮線を1本ずつハンダ付けしてコネクタープラグとしました。ここにはKATOの4番ポイント付属のコードのプラグを差し込みます。 その後解放ランプを作り、その足(カムの接触子となる)の通る穴を道床に開けます。コイルの外枠の端には傾斜角のついたカムを作って接着します。 コイルの厚みが道床内ぎりぎりです。すべての組み込み後、薄いプラシートを貼って保護しました。 |
カムは1.2mm厚プラ板を3枚張り重ねて、道床の内部にぎりぎり収まる厚さまで削り、先端5mmほどを斜めに削りました。 傾斜がこれよりきついと、力が足りず、バネの強いカプラーは完全に上がらないことがあります。反対にこれよりゆるいと、可動範囲を上回るので最後まで上がりません。 もう少し稼動範囲が長ければ、上の水平部を少しギザギザにすれば、上昇したカプラーに振動を与えられ、引っかかっている相手のカプラーを振り落とすこともできそうです。AC方式の電動アンカプラーだと、勝手にそうなってしまうことがありました。 |
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解放ランプは1.2mmプラ板と0.5mmプラ板を張り重ね、幅4mm、上部の長さ14mm(うち水平部9mm)くらいの寸法に作りました。 足は厚さ1.2mmプラ板を4mm幅に切り、長さ6mmくらいにして接着し、カット&トライで形を決めました。 |
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解放ランプの後端は、枕木の上にプラ板の留め具を接着して留め、後部の軸(0.5mmプラ板細帯)の一方をプラ板小片で押えています。それほどちゃんと考えて作ったわけではなく、適当に留めたというのが正しいです。 |
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レール面から約3mm上がるくらいに調整しました。少しでも低いと相手のカプラーが引っかかって解放しませんが、足を長くしすぎると下降時にレール表面からはみ出して、約0.5mmを超えると一部の車両には引っかかってしまいます。足の長さやカムの形はテストを繰り返して微調整が必要です。 |
あとは普通にポイントスイッチでON/OFFの切り替えができます。大切なのは、解放ランプの先端5mm以内の位置、つまり上昇時に水平になっている部分に正確に解放ピンが来るように止めることです。現在のパワーパックなら車両のスロー制御はわけないことですが、解放ランプが遠くにあると位置を合わせにくいかもしれません。ただ何か目印をつけて何回か練習すればすぐ慣れます。
こうした機械式アンカプラーについては、「軽い貨車など丸ごと吹っ飛んでしまう」という伝説が昔から根強く残っています。しかし、言葉通り吹っ飛ばすのはまず無理と思います。解放ランプは3mmしか上がりませんし、軽いプラスチックの解放ランプで貨車を吹っ飛ばす仕事をさせるには、結構な加速度を与えなければいけません。普通はせいぜい、車軸などにヒットしたときにポンと浮くくらいです。おそらく、解放の衝撃で貨車がピョコンと動いたりするのを、面白おかしく話しただけではないかと思います。
(でも逆に、作り方・使い方によっては吹っ飛ばすこともできるのでしょうか。…力学のお得意な方、教えていただけませんか?)
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たぶん動画の作り方が悪いのだと思いますが、保存せずに直接再生すると最後まで再生されないことがあるようです。申し訳ございません。
アーノルドカプラー同士の連結なら、機関車の直後だけではなく、客車や貨車の編成の途中でも自由に切り離しができます。ただし、カプラーのバネが強いもの、車体が極端に軽いものは一度でうまくいかないことがあります。マイクロエースのワム80000のようにカプラーの上下動が少ないものも、車体の端が少し浮くことはありますが、切り離しはできます。
さらに、カプラー自体をリモコンで動かす方法もあります。