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雨宮タイプBタンクの組み立て

ナローゲージの小型機関車を多数リリースしているトーマモデルワークスより、NゲージサイズのBタンクが発売されました。
組み立てはNゲージの金属蒸機としてはかなり簡単ですが、金属キットとして常識的にきちんと組み立てなくてはいけない部分もあり、本格的な模型だと思います。

2012.7.1/2012.9.2

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その後の関連製品はこちらです。


これは私がキットを組み立てた過程そのものをメモ書きしたもので、正しい組み立て手順の説明ではありません。
不適切な手順や勘違いも多々あるものと思いますので、必ず製品付属の組立説明書に沿ってご検討ください。

製品発売に先立ち、トーマモデルワークスのブログに5回連続で組み立てのポイントが紹介されたので、それを全面的に参考にしました。大変ためになりました。

キットの様子

標準ロッドタイプと簡易ロッドタイプの2種がありますが、組み立てたのは標準ロッドタイプです。

キットの様子

キットは基本的には真鍮エッチング…ではなく洋白エッチングです。洋白は一見ステンレスのようですが、ハンダの乗りは全然違い、真鍮と同様に扱えます(ハンダ付けしやすい、ということです)。

ボイラーはウェイトを兼ねた真鍮棒材、煙室扉や煙突などボイラー周辺のディテールパーツはホワイトメタルです。

動力フレーム

左右に分かれた金属フレームに車輪を左右から圧入する構造です。ワールド工芸の小型蒸機と同じく、一度組み立てると軸抜きは困難のようです。ただしギヤをフレームにネジ留めしないので、あとで緩むトラブルがなく、分解の必要は少なそうです。

左右フレームの折り曲げと穴あけ

フレームを折り曲げ、要所にネジを切ります。両者は絶縁ワッシャを挟んで1.7mmプラネジで留めるので、その部分には1.7mmタップを立てます。
実は1.7mmタップを持っていなかったので、2mmタップの先っぽだけで軽くネジを切りました。一方はやや失敗気味でしたが何とかなりました。

軸穴は、細く丸めた耐水ペーパーで軽く磨いておきました。

車輪の取り付け 軸穴に動輪を差し込み、真鍮ワッシャをはさんでギヤ軸を差し込みました。固いので無理せず、少し差し込んだだけです。
車輪の圧入 反対側も同様にして、万力で圧入しました。
たまたま自分が使っている万力が、公式ブログにて使用されているものとまったく同じものでして、何だか嬉しい(笑)。 これはガタが少ないので平行圧入するには便利です。どこで買ったか忘れましたが、5,000円くらいだったと思います。手のひらに載るほどの大きさなので場所をとりません。
左右の仮留め

左右のフレームにプラワッシャを挟み、1.7mmプラネジで留めます。あまり固く締めるとネジ山が削れます。この状態で転がりをチェックします。

アイドラーギヤ

前後の動輪は1個のアイドラーギヤで連動します。動輪の軸距離が短いのでこの方法が採れたのでしょう。
ギヤの表裏に、小さな真鍮ピン(ギヤ軸)を圧入します。公式ブログのとおり、両面テープでピンを貼り付けて、ギヤのほうを押し付けて圧入しました。簡単でした。

この真鍮ピンをはじめ、細かいピンがいくつもあるので、ピンセットでつまんで弾き飛ばしてしまわないように十分注意します。
・安物のピンセット/古くなって先端がずれやすくなったピンセットを使わない
・あまり強く挟まない
・不安ならピンセットの片側にも両面テープ
…何ひとつやりませんでした。なくしたら大騒ぎするくせに…。

アイドラーギヤの取り付け

左右のフレームを少し緩めて、アイドラーギヤをはめ込みます。

ギヤ取り付け後 ギヤを取り付けたところです。ギヤを直接フレーム内側にネジ留めするわけではないので、緩んで分解が必要になるようなことはありません。
左右のフレームを留めるプラネジのうち、後ろのネジにはあとで配線のラグを挟んで共締めします。
集電線の取り付け

0.2mm真鍮線を適当な長さに切り、取り付け金具で取り付けます。車軸に強く当たりすぎるようなら、軽く曲げて調整します。
小さな取り付け金具の裏側には溝が彫ってあるので、ここに真鍮線を挟むもののようです。最初、折り曲げ線と勘違いして内側に折り曲げてしまいました。

この集電線がなくても集電はされますが、車軸を軽く軸穴に押し当てて安定させる働きもしているようで、外すと走行時に振動が起きました。

輪心の組み立て

輪心は3枚をつづら折りに重ねて、断面から軽くハンダを流して固定しました。動輪に軽く入る程度のゆるさになります。塗装後に接着します。

なお、簡易ロッドタイプでは第1動輪がロッド連動していないため、輪心パーツもカウンターウエイトのない専用パーツになっています。設計者様のちょっとした遊び心というかこだわりを感じます。

動力フレームは意外にふにゃふにゃしているので(薄い洋白板なので当然でしょうが)、組み立て中は丁寧に扱わないと動きに影響が出ることがあります。前後のネジで床板に固定するときに、何となく曲がってしまったりですね。 ただそれほど神経質になる必要もないようです。一度きちんと組み付ければ、あとは大丈夫かと思います。

床板

下廻りは洋白エッチングで、シリンダーブロックのみホワイトメタルです。

床板、ダミー台枠 床板と台枠は折り曲げ、説明書に従って要所に1.4mmタップを立てます。
この台枠の内側には、先に組み立てた動力フレームを入れ込むので、台枠自体はダミーとなっています。
台枠は左右を垂直に曲げますが、曲げ具合によってスライドバーと動輪の間隔が微妙に変わるので、走行状態に影響が出ることがあります。
床板と台枠の固定 床板と台枠は前後2箇所のネジで仮留めし、ハンダ付けしてからネジを外しました。
床板上部 床板上部には缶台などを折り曲げて取り付けました。いずれも裏側からハンダ付けしました。
スライドバー スライドバーは、標準ロッドタイプ・簡易ロッドタイプで使用する部品が違います。一枚を折り曲げ、台枠に取り付ける「のりしろ」を付き合わせます。
スライドバー、ハシゴなどの取り付け 床板と台枠に、スライドバーやディテールパーツを取り付けます。スライドバーは台枠の浅いくぼみに重ねてしっかりハンダ付けします。
シリンダーブロックの加工

標準ロッドタイプの場合、ピストン棒が入り込むので、シリンダーブロックの穴を1.4mmドリルで貫通させておきます。直径は厳密ではなく、もう少し細いドリルで開けてヤスリで広げてもOKですし、1.5mmドリルでも大丈夫かと思います。

また、標準ロッドタイプでは、シリンダーブロックが少し外側に張り出すようで、内側にスペーサーを貼り付けておきます。

シリンダーブロックの取り付け

シリンダーブロックはハンダごての熱で溶けるホワイトメタル製のため、接着剤で固定するのが順当かと思います。しかし固まるのが待てない気分だったので、素早くハンダ付けしました。
前側のふたはゴム系接着剤で貼り付けました。

下廻り完成

仮に動力フレームを入れて、輪心を置いてみたものです。これで下廻りは終わりです。


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