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C59/C60 その4(マイクロエース製品)

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マイクロエース

●初期ラインナップ(1998〜1999年)

最初の登場は1998年4月のことで、戦前型・戦後型が発売されました。

A9601 C59 42(戦前型) 1998年 C59(戦前型) A9601
C59 42(戦前型)

1998年 (拡大写真)
A9602 C59 164(戦後型) 1998年 C59(戦後型) A9602
C59 164(戦後型)

1998年 (拡大写真)
機関車は戦前型と同じモールドで、ボイラーバンドの配置も同じです。

KATOの旧品番208が出なかったため、9mmゲージとしては初の市販品となりました。
これでやっと思い出の列車が再現できると喜ばれもしましたが、どうしても模型の独特な形が視覚を直撃しますので、これを店頭で見て言葉を失った方もいらっしゃるかもしれません(ファンの方ごめんなさい)。
動力の制約から来る腰高があちこちに影響しており、まともに修正しようとすれば相当大変だろうと思います。

この製品の強みは、何と言っても抜群によく走ることでした。概ね2008年頃まで、日本型の蒸気機関車の中でトップクラスだったように思います。私も最初はこの形に絶句した口なのですが、何年経とうがじーっと落ち着いて走るさまには半ばあきれ、しまいには結構好きになってきました(形には断じて慣れませんが)。よく走るというのはやっぱり大切なことですからね。でも模型である以上、それ以外に何か欲しいところですね。小さいのに実物そっくり、など…。

付属のヘッドマークは取り外しも可能です。取り外した穴は付属のフックを取り付けてふさぐこともできます。取り付けはだんだん甘くなってくるので、特にヘッドマークを取り付けた姿がお好きの方は、透明ゴム系接着剤などで固定してしまったほうが安心ではないかと思います。
戦前型の「あさかぜ」のヘッドマークは、中央のふくらんだ九州型のようなもので、戦後型の「あき」のヘッドマークは平面です。マイクロエースはこういうところを妙に細かく作り分けたりもします。でも、たまにはそういう精神も必要かもしれません。

細かいことで申し訳ありませんが、左右のサイドロッドが逆に取り付けられています(第二動輪ピンのすぐ後ろにくるはずの関節が、逆に前側になっています)。これは最後のお召しでようやく修正されますが、それまでは一貫して逆なので、恐らく工場の組立手順書か何かが間違っていたのだと思います。

さて、3ヶ月後にはC60が2つ発売されます。

A9603 C60 100番代 1998年 C60 100番代 A9603
C60 100番代

1998年 (拡大写真)
A9604 C60東北型 1998年 C60東北型 A9604
C60東北型

1998年 (拡大写真)

基本的には従台車を2軸のものに変更しただけです。この従台車は、先に出ていたD61のものがそのまま使われていますが、C60の場合はそれで問題はありません。ただ、その後発売されたC62にも勢いで流用されてしまっています。
C60東北型には、今ではおなじみとなってしまった首付きの副灯が付き、煙突には煙突デフが付きました。
C60 100番代(A9603)には、中央のふくらんだ「あかつき」のヘッドマークがついていますが、C60東北型(A9604)の「はくつる」のヘッドマークは平面のものです。

さらに2ヶ月後、C59として形態の変わった2種が追加されます。ラインナップ展開としては、結構きちんとしたマーケティングがなされているように思えました。

A9605 C59 124(門鉄デフ) 1998年 C59 124 A9605
C59 124(門鉄デフ)

1998年 (拡大写真)
A9606 C59 127(重油専燃機) 1998年 C59 127 A9606
C59 127(重油専燃機)

1998年 (拡大写真)

ここまででお気づきかもしれませんが、いずれもランボードとロッドに色入れなし・色入れあり、の2種がペアとなって発売されています。そして色入れなしが7,800円、色入れありが8,600円となっていて、800円の差をつけています。こうして次第に蒸気機関車シリーズの値段は8,600円を基本に統一されていきます。

門鉄デフのC59はこれひとつしかなかったそうですが、なかなか精悍なスタイルだったことでしょう。これをベースに車高を下げる改造などを行えば楽しめるかもしれません。
C59シリーズはどれもヘッドマーク付きですが、パッケージの裏にはそのヘッドマークの実車編成の一例が載せられています。

また2ヶ月おいて、残りのラインナップが続きます。

A9607 C59 67(ブラウン) 1998年 C59 67(ブラウン) A9607
C59 67(ブラウン)

1998年 (拡大写真)
A9608 C59 79(グリーン) 1998年 C59 79(グリーン) A9608
C59 79(グリーン)

1998年 (拡大写真)
A9609 C59 66(戦前型) 1998年 C59 66(戦前型) A9609
C59 66(戦前型)

1998年 (拡大写真)
A9610 C59 161(戦後型) 1998年 C59 161(戦後型) A9610
C59 161(戦後型)

1998年 (拡大写真)

C59 67(ブラウン)と、C59 79(グリーン)はいずれも試験塗装機で、模型的には楽しい塗り分けです。
C59 66(戦前型)と、C59 161(戦後型)は、最初に発売された戦前型(A9601)・戦後型(A9602)の再生産的な性格もあるかもしれません。色入れとナンバー、ヘッドマークの違いを除いては同じものです。

翌年になり、お召指定機が発売されて初期の単品ラインナップは一応完成します。

A9611 C59 108 お召指定機 1999年 C59 108 お召指定機 A9611
C59 108 お召指定機

1999年 (拡大写真)
ようやくサイドロッドの向きが直りました。

1956年10月に、お召し列車牽引の本務機に指定されたときの姿、とされています。量産品でよくここまであちこちに色入れを施したものだと感心したものでした。この頃、C62などが発売されており、すでにキャブにはガラスが入り、ボックス動輪の穴が抜けている仕様になっていたため、この最後のC59も同様の仕様になっています。

マイクロエース総合カタログ(Vol1〜Vol3)をお持ちの方は、カタログでこの製品の写真を見つけてみてください。何か妙なことに気付かれませんか。
…第二動輪だけ、丸穴が抜けていませんよね。いったい何が?

このあとはセット品として、C59 19を塗り替えたセット「A-4240 C59 19・10系客車 九州観光号」が発売されています。

A-4240 C59 19 九州観光号 1999年 C59 19 九州観光号 A-4240
C59 19 九州観光号

1999年 (拡大写真)
セメント袋をひっくり返したのではありません。灰色に塗られています。

手入れが行き届いて灰色に見えるほど磨かれていたという話が知られているため、それなら最初から灰色にということでそのように塗ってしまった製品です。
真面目な試みなのかジョーク製品なのかはっきりしませんが、楽しいプラ模型が得意なアリイの製品であることから、私は後者であると信じます。

さらに、これを金色に塗り直した「A-4260 C59 19・10系客車 2000年記念特別セット」という特別アイテムもありました。さすがに通常の鉄道模型とは違うジャンルの製品だと思いますので(記念品?)、私は金銀スケルトン系には手を出していません。

●最終ラインナップ(2009年〜)

初回の発売から10年以上たち(この間にKATOのC59が再予告されて再消滅し)、代表的なものが再生産されました。

A9614 C59 108 お召指定機・改良品 2009年 C59 108 お召指定機・改良品 A9614
C59 108 お召指定機・改良品

2009年 (拡大写真)
上記のお召指定機の改良品で、装飾の印刷は異なりますが、見た目の印象の違いはそれほどありません。
2012年にも再生産されています。
A9615 C59 164 糸崎機関区・改良品 2009年 C59 164 糸崎機関区・改良品 A9615
C59 164 糸崎機関区・改良品

2009年 (拡大写真)
最初のA9602 C59(戦後型)の改良品に相当します。動輪の穴が抜け、前方の先輪がプレート輪心になりました。ロッドの赤線はなくなりました。
A9616 C60 7 東北型・改良品 2011年 C60 7 東北型・改良品 A9616
C60 7 東北型・改良品

2011年 (拡大写真)
少し遅れて発売されました。こちらはA9604 C60東北型の改良品です。同様に動輪の穴が抜け、色入れの変更がありました。

いずれも動力ユニットが最近のダイキャスト一体のものに変更されています。上廻りの成型は10〜11年前の初期ラインナップと同一で、初回品の独特なライトも受け継がれています(首付きライトよりも前のタイプです。このパーツの型、まだあったんですね!)。一見、初回品とそれほど違った印象は受けません。

下廻りは黒色車輪の最近の仕様になり、164号機にも動輪の穴が開きました。C59 108とC59 164では、動輪の位相が右先行に修正されましたが、C60 7ではまた左先行に戻っています。2012年に再生産されたC59 108では、どうなったのか不明です。

2009年の製品で顕著な変化があるのは塗装です。各部の金色は若干オレンジ方向に偏移しています。またナンバープレートがかつてない色です。言葉ではうまく表現できませんが、今までの金色に近い色から銅色に近いものになっており、さらにテラテラした独特のテカリがあります。他社を含めても今まで見たことがなく、珍しい仕上げです。

お召しを除く一般の蒸機はやや艶のある黒塗装で推移していましたが、164号機では最初期と同じ完全つや消しに戻っています。
その後マイクロエースから発売された蒸機も1、2年にわたって塗装の品質が一定せず、ようやく2011年頃になって安定しました。C60 7号機では2009年より前の塗装に匹敵する状態に戻っています。


◆余談です◆

先ほどのカタログの話ですが、マイクロエース総合カタログVol1〜Vol4が発売されるより前にも、販促物としてのカタログは制作されていました。

カタログ表紙

以前配布されていた、「MICRO ACE Nゲージ鉄道模型カタログ」です。
表紙にはC62のイラストがあり(注:この頃C62は未発売です)、中身はC59・C60、D51・D61、そして外国型車両、レイアウトボックス、Cタイプ機関車シリーズです。

※「MICRO ACE Nゲージ鉄道模型カタログ」表紙より画像引用

さて、表紙をよく見ますと、背後にうっすらとC60の組み立て図らしきものが見えます。

カタログ表紙の地紋

もしこれが模型の製造に使われたものなら、まさしく設計段階からああいう形だったわけですね。この図では動輪が本当に小さく見え、全長も寸詰まりで、C60かどうか判断するのにちょっと迷います。

※「MICRO ACE Nゲージ鉄道模型カタログ」表紙より画像引用


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