Nゲージ蒸気機関車>蒸機の紹介>C59・C60
2001年より、約2年ごとに発売されています。途中でC60も加わっています。
まだ動力ユニットがメーカー組み立て済みだった頃の製品です。
C59(一次型) 2001年 | C59(一次型) 2001年 (拡大写真) |
予告自体はかなり前からあったのですが、実際に発売されたのはマイクロエースのラインナップが完了し、だいぶ時間がたった2001年からでした。
長編成の牽引を意識してか、大型のテンダーの上端ぎりぎりまでウエイトがびっしり詰まっています。上から見える部分がすべてウエイトで、肌が少々荒れているのですが、注水口の出っ張りがあるため整形はなかなか面倒でした。ただし重みとしては十分で、平坦線で普通に走らせるぶんには牽引力も十分で、余裕すら感じられました。
しかし、基本的には手作りに頼ることになるので、走りの安定性とスムーズさではマイクロエースにかないません。
少し間があき、2年後の2003年にはC59 164として舟底テンダーの後期型が発売されました。
C59 164 2003年 | C59 164 2003年 (拡大写真) |
動力ユニットが、ユーザーによる組み立て式に変わりました(一足先に発売されたC58 33から組み立て式)。モーターは小型のものに変わり、ウエイトの形も改良されました。
目玉は同社キットで初めて採用された牽引力増強装置で、機関車内部に設置された可動式のサブフレームに補助ウエイトを載せ、その重みがテンダーのドローバーにかかって粘着を増すというものです。 確かに効果がありますが、テンダーが押さえつけられるためやや重い走行音になるような気がします。船底テンダーはあまり強固な作りではないので、補助ウエイトに押されてテンダー前方が下がってしまうことがありました。
半年後にはC60もラインナップに加わりました。
C60 100番代 2003年 | C60 100番代 2003年 (拡大写真) |
ドアが開放されているため、牽引力増強装置のサブフレームが見えないよう、形が少々変更されています。それ以外は164号機に準じます。
付属の空気作用管は少し簡略化され、配管サポート部は折り重ねではなくなり、エッチング表現のみになりました。
C59 大窓キャブ・舟テンダー 2005年 | C59 大窓キャブ・舟テンダー 2005年 (拡大写真) |
さらに2年後に追加されたものです。ヘッドライトがロストになり、ドームの形も通常とは違ったものがついています。キャブは大窓になり、前方にひとつ窓が追加されたものになっています。
前デッキのエプロンも付属していますから、162号機などを目指して工作することができます。
ナンバープレートは色々付属していますが、もう少し横に長いほうが見た目にもっと似るような気がします。この例では手近にあった銀河モデルのものを取り付けていますが、大きさや取り付け位置で印象が大幅に変わります。
C59 前期型大窓キャブ試作車 2006年 | C59 前期型大窓キャブ試作車 2006年 (拡大写真) |
前期型の大窓キャブ試作車(67・79・95号機)がモデルです。写真の作例は素組みしたものですが、他に前面のシンダー除けや、67号機用のキャブ内張りや、テールライト埋め込み型の端梁も付属しています。
牽引力増強装置付きですが、テンダーのベースが一次型のため、動力ユニットも一次型に使われていたのとほぼ同じ旧型です。ただし、最初の一次型の動力ユニットはメーカー組立済みでしたが、今回のものは自分で組み立てなくてはなりません。
前回から7年開いて、2013年にリニューアル製品が発売されました。
同社のテンダードライブシリーズで新動力化されていないのは、C59とC58ぐらいになっていましたので、自然な成り行きかもしれません。
C59 124 2013年 | C59 124 |
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C59 127 重油専燃機 2014年 | C59 127 重油専燃機 |
マイクロエースのA9605〜A9606のペアと同じラインナップです。
動力ユニットが小型化されたためにテンダーのサイズも小さくなり、それに合わせてエンジン側も少し低くなっています。強度的に不安のあった船底テンダーの構造も改良されました。 牽引力増強装置は引き継がれていますが、初代に比べるとずいぶんサブウエイトが小さくなっています。
上廻りの構成は旧製品とあまり変わりませんが、折り曲げが正確にできるよう、部分的に表側にも軽く折り線が用意されるようになりました。124号機ではテンダー側板の曲げ加工が省略され、ユーザー自身での曲げが必要になってしまいましたが、127号機で再びメーカー曲げ済みに戻っています。
ランボード下部のボイラーが旧製品より大きくカットされているため、真横から見ると主台枠との隙間が広いようです。気になるようなら何かでふさいでやるといいかもしれません。
ランボードの白線を簡単に表現できるよう、ランボードの形に抜かれた薄い金属板が付属しています。
C60 東北型川崎Aタイプ 2015年 | C60 東北型川崎Aタイプ |
続いてC60もリニューアルされました。リニューアル内容はC59と同等です。
C60への改造が多かった川崎製がプロトタイプとなり、東北型ということで煙突デフが付きました。テンダーは鋼板組立式のAタイプと鋳鋼製のBタイプが発売されました。作例はAタイプです。
2000年代後半に毎年のように発売されていた、天賞堂のNゲージシリーズです。
21015 C59 164号機 呉線時代 2007年 | 21015 C59 164 呉線タイプ |
得意のブラス完成品です。価格は¥120,000〜¥146,000(+税)で、当時のプラ製蒸機の10倍以上といったところでした。
車高を抑えてシルエットを整えています。すらりと全長の長い様子が表現されており、なかなか格好がよいデザインです。今回はチップ型LEDがライトの中に収納されたため、同社のC62やC57でライトの後ろから飛び出していた導光材が、ついになくなりました(正面から見ると四角いLEDが確認できます)。
走りは今までのC57などの天賞堂製品と同様です。長編成を仕立てて、KATOやトミックスの標準的な勾配を上らせるのは難しいですが、平坦線であれば大丈夫です。
こちらでも少しご紹介しました。→Nゲージ C59 164(天賞堂)
トミックスのC57の下廻りを使用するコンバージョンキットとして、2012年に発売されました。
YC59-1 C59 2012年 | YC59-1 |
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YC59-2 C60 2012年 | YC59-2 YC59-3 ※写真なし |
真鍮エッチング&プレスによりテーパーの表現されたボイラーに、リン青銅製のランボードをはめ込んで形作る構成のキットで、約50種類のロストパーツが付属しています。
配管類のエッチングパーツはハンドレールなど最小限のもので、あとは作り手が付属の真鍮線などをもとに自分で作るようになっています。
C59やC60のの伸び伸びしたスタイルは、付属パーツのみの素組みでもすっきりまとまります。前面も実物に似ており、完成すれば満足度の高い模型かと思います。
指定のC57動力では、自力でテンダーからの集電工作を追加しないと、よく走らないことがあります。KATOのC62の動力を使うとエンジンだけの集電で十分いけますが、ボイラーに収まるように切削加工が必要です。作例のC60のほうはKATOの動力で組み立てました。
その後2014年にC59戦前型が追加されました。この年にKATOからC57 4次形が発売されたため、その動力が使えるように変更されたものです。
YC59-4 C59 戦前型 2014年 | YC59-4 YC59-1A ※写真なし |
トミックスのC57の動力も引き続き利用できるよう、火室下部の後付パーツも付属しています。
ランボード後部もボイラーにツメで位置決めできるようになり、ランボードの水平はずっと出しやすくなりました。
初回発表から37年後にして発売されました。
2026-1 C59 戦後形(呉線) | 2026-1 |
KATO Nゲージ50周年の2015年に発売されました。特に50周年記念製品というわけではありませんが、通常なら今になって急ぎ発売が必要な機関車ではないので(他に新形式としてC12も発売されていました)、50周年を機会に長年待ってもらったファンへのサービスを行ったのかな、と想像しました。
前年に発売されたC57 4次形でほぼ完成させたパシフィック機の構造を踏襲し、細部をアレンジしているようです。大変スムーズな走りをみせ、C59らしいプロポーションを持った完成度の高い製品です。
“さて、C59を出していないKATOからも、1978年頃に品番208として一度予告されましたが、10年以上かかって消滅したため今でも恨みの声が聞かれます。
さらに2004年にも再予告されたものの、5年で再び消滅状態という前代未聞の状況です。何があったのかご存知の方は教えてください(笑)。”
…というのがKATO製品が発売される前の文です。もうこんな突っ込みはおしまいですね。残る予告倒れのD52・D62ははたしていかに…。
(おわり)