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D60(3Dプリンター)

3Dプリンターで出力したD60

2016.4.9

コンピューターと3Dプリンターによる出力で、Nゲージ鉄道模型のD60蒸気機関車を作ったものです。
自分が作ってみたいと思う各部の形態を寄せ集めたため、特定機の再現にはなっていませんが、おおまかなイメージは運用末期の九州です。


データ作成と出力

データ

D50のデータを追加修正して作ったため、使用した3D CADプログラムも前回と同じです。無料のDesignSpark Mechanicalです。
従台車のほかデフ、キャブ、増炭枠等のデータをいじりました。

出力結果

業務用3Dプリンターが必要なので、ネットの出力サービスを利用しました。キャブとテンダー外側はDigitalWax 028、それ以外はProjet 3500HDMax(HD3500Max)での出力です。

インクジェット方式のHD3500Maxはサポート材を熱溶解して除去するので、あまり気にせずに形を作ったり注文したりできます。 しかし、サポート材で埋まる箇所(オーバーハングの下側など)のディテールはどうしても不鮮明になります。同一層に噴射される樹脂とサポート材の境界が曖昧になってしまうのだと理解しています。そういう部位のディテールもはっきり出したい部品は、方式が異なるDigitalWax028にしました。
各面をばらばらにして平らに配置し、すべてHD3500Maxで出力することも考えましたが、分割や継ぎ目の考慮、内寸がぎりぎりのテンダーの強度の考慮が面倒で、見送りました。

ボイラーとランボード

HD3500Maxによるボイラー部分です。
サポート材のロウは出力サービス会社が熱溶解と油洗浄で除去済みですが、表面にロウや油が残留しているため、クレンザー→中性洗剤→超音波洗浄機の洗浄を3セットほど繰り返しました。
表面の油っ気がすっかり取れると透明感がなくなり、表面の微細なデコボコが乱反射して白っぽくなります。

D50のときと同じ寸法ですが、今回は下廻りとのはめ込みが少しゆるく、何かカパカパいっています。大きい部品は出力やサポート材溶解時の変形が若干あるため、毎回具合が変わります。

キャブとテンダー

DigitalWax028によるキャブとテンダーは、サポート材をカットし、その痕を処理する普通の模型工作的な作業が必要です。
超音波カッターやニッパーで少しずつ取り除き、最後はヤスリを使いました。

今回、DigitalWax028の出力の具合がいまひとつで、細かいディテールが甘い部分や、べたつきの残っている部分があり、表面の平滑度も前回に比べれば若干落ちました。こちらもやはり、毎回出来上がりが少しずつ違います。
それでも側面リベットは大変きれいに出力されており、特に塗装前は市販のプラ模型の成型パーツとの違いをあまり感じないほどです。

各部の塗装

デフやハシゴはニッパーやナイフで切り離すと、予想もしなかった箇所が積層に沿ってポキッと折れることがあるので(近いところが折れるとは限らない)、力を入れないよう、超音波カッターでそっと切りました。
超音波カッターは良いです。安心感がまるで違います。

塗装が終われば、あとはパチパチはめて組み立てるだけですから、楽しいです。

各部のデータ

こんな感じにデータを作ると、こんな感じに出力されました。

従台車データ

前側の下がった2軸従台車は、C62の構造を参考にし、一体で作りました。
ディテールは、どうせ出ないだろうと思ったので(笑)、結構いいかげんです。

元のD51の従台車の代わりにパチンとはめ込むだけ、ピボット車輪もはめ込むだけですが、アクリルの柔軟性や積層方向の割れやすさがどうなるか不安がありました。

従台車出力後

車輪をはめ込むときも本体に取り付けるときも、折れたり割れたりするのではとおっかなびっくりでした。幸い問題はありませんでした。

現状

内側にあるピボット軸受けの凹みを、どういう形状にするのがよいかわかりませんでした。C62の台車を断ち切って断面を調べればよかったのかもしれませんが。左右に若干余裕があるようですし、クリアランスの取り方で従台車が少し下がりますから、外から見える軸受けより凹みの位置を下げておくべきか、など…。

よくわかりません(笑)。

従台車干渉チェック

従台車に干渉しないかチェックしながら周りの部品の位置や形を決めています。
上下への向きの変化は左右ほどは大きくないと考えて無視しています(いや、面倒だったのです…)

この3D CADプログラム自体に、部品の干渉チェック機能があるわけではないので(と思います)、単なる目安程度です。

キャブ付近データ

キャブは窓を連続化したものにしてみました。
キャブ下の機器類や配管類も、D50のままでは2軸従台車が当たるので、渦巻きチリトリを後部にずらすなどして作り直しました。

発電機の排気管は、別パートのキャブ屋根にかかるので、途中で分断しています。ボイラー側の排気管は試みに少し浮かせましたが、強度が不安だったため十分に太くしました。

キャブ付近出力後

特に問題なく、狙ったとおりに出力されていました。
テンダーの中身は未加工としたため、増炭枠より後ろは平らな天井にしました。

発電機周辺データ

ATS発電機、清缶剤挿入装置、小型オイルポンプ箱などを新たに作り、はしごは砂箱の後部に付けました。

発電機周辺出力後

はしごはこれだけ太く作っても取り扱いに不安があるので(おもにランナーからの切り離し時や洗浄時)、トミックスの9600のように、ボイラーに一体化したほうがよかったかな〜とも思います。ただ、細くしたければ金属で作って交換もできるので、今は重要視していません。

前面データ

デフは斜めにカットされたものにしました。

デフステーは強度を考えると直線のほうが安心ですが、色々試す必要(というか興味)もあるので、折れ曲がったものを作ってみました。
強度的に相当不利な形になるので、十分に太くするため、左図のようなデザインに作り変えました。

前面データ出力後

さすがにここまでごついものにすると、取り扱い上もそれほど不安はなかったです。重そうですね(笑)。それでもステーの付け根は要注意なので、塗装したらすぐボイラーに固定しました。リンゲルマン濃度計も思い切り厚くし、下部はデフのステーと融合させました。

D60のナンバープレートの持ち合わせがなく、金色の紙に黒を印刷して作りました。本当に33号機ならパイプ煙突のほうがいいでしょうが、他にも色々違います。

D60 完成

従台車が思ったより面倒で、データ作成に1週間ぐらいかかっています。トータルのデータ製作期間は約2週間(約30時間程)でした。
作ったデータを部分的に切り離したり、くっつけたりするのは比較的簡単なので(思うようにいかないこともありますけれど)、あとで派生車種を作る可能性がある場合も、前もってそれを考慮した構成にしておく必要は特にないように感じました。どうせデータをいじるので、そのつどやっても十分です。

D60完成
(前回のD50)
にせD50

(前回のD50)

D60完成
D60完成

出力後の表面処理や二次加工はしていませんので、拡大写真から表面の積層模様などの生々しさは感じていただけるかと思います。
これらの光硬化樹脂が何年くらい持つのかわかりませんが、仮に壊れたとしても、再出力して塗るだけなら気楽に再生できます。そのためなるべく構造を一体化して、組み立てが簡単にすむようにしました。
でも、たぶん壊れるころまでには、D50やD60の新たな製品がちゃんと発売されていると信じます。

下廻りはD50と同様、KATOの新D51にC12の動輪を組み込んだものです。モーションプレートも相変わらずD51のままです。
なお新D51であっても、2012年のD51標準形より前の製品では、軸受けの構造が異なっているためにC12の動輪はそのまま使えないかもしれません。

D51の動輪構造

D51は輪心の構造上、にせC55と同じ要領で簡単に輪心パーツを作ることができません。
車輪金属部の裏側に出っ張っている外筒に、輪心の一部である樹脂内筒が圧入されていて、そこに金属シャフトが差し込まれています。この樹脂内筒が非常に薄いうえ、その出来が走りに直結します。というわけでC12の動輪使用に逃げたのでした。

逆に、元の輪心の一部である樹脂内筒を残すことができれば、それ以外の部分を3Dプリンターで作って置き換えることも可能かと思います。いずれにしても、それぞれの手間が必要になります。

その他

せっかくデータを作っても、出力前にSTL形式に変換するとエラーになることがありますが、今回本当によくわからなかった例です。
STL形式というのは細かい三角形の集まりで、これによって丸みを帯びた部分も細かい平面の集合体に変わります。三角形の敷き詰めは自動的に行われますが、入り組んだ部分はきれいに敷き詰められないことがあるようで、隙間が開いたりしてエラーになってしまいます。

キャブ下パーツ

これはキャブ下の配管パーツです。これをSTL変換して、エラーがないかNetfabb basicでチェックしてみます。

チェック画面

心臓に悪いびっくりマークが出ず、特にエラーはありません。

90度回転させる

ディテール面を上にしてランナーにくっつけるため、90度回転させます。

90度回転後

回転しました。部品形状自体は変わっておらず、向きを変えただけです。
再びSTL変換して、エラーがないかチェックしてみます。

チェック画面

なんで〜?どうして〜?

油断していたときにびっくりマークが出ると、本当にドキッとするんですよ…。薄目でそっと見たりしていました。

同じ格好の部品でも、向きによって三角形の敷き詰められ方が変わるのでしょうね。
こうなると、どうすればいいのか困ってしまうんですよね…。Netfabb BasicではSTLデータのエラーの自動修正もできるので、この場で修正して出力サービスに出すことも考えましたが、できれば最初からエラーが出ないのが望ましいので、エラーが出なくなるまで元データを根拠なくいじり続けました。
(おわり)

●関連リンク
にせC55 2号
転車台の操作室
にせD50(3Dプリンター)
8620(3Dプリンター)


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