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三井埠頭5号機(新)の組み立て(3)

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動力部(1)

いよいよです。今回一番楽しみにしていた部分です。
今度こそボロボロな解体・再組み立てをせずに成功させようと気合を入れています。

※ボロボロな解体とは
旧キットでもそうですが、分解して軸穴やギヤを再調整するには、左右の車輪をすべて駆動軸から引き抜く必要があります。 この際に軟質プラの駆動軸(3本)がダメージを受けて再利用困難になりがちです。キットには駆動軸のスペアが1本しか付いていないため、2本は新たに購入する必要があります。
可逆的な分解は難しいという意味で、ワールド工芸の同種の動力部は「分解できない」と称されています。慎重に組み立てる必要がありますが、私は実力不足からいつも何か問題を残してしまいます。

ベースプレート

旧製品のベースプレートはベーク板でしたが、今回は洋白板の2枚重ねです。
折り返して貼り合わせ、2箇所のモーター取り付け穴に1.4mmタップを立てます。

あとで大ギヤが顔を出す四角い穴のところには、モーターの高さ調整板がついているので、手前に折り返しておきます。ここは調整の際にもぎ取ることがあるので、ハンダ付けしません。
※説明書の図には「ハンダ穴」が記されていますが、使いません。

台枠の貼り合わせ

台枠(車輪座)は洋白板を折り返して貼り重ねます。真鍮製だった旧製品に比べてかなり丈夫です。
2箇所のハンダ穴にハンダを流して張り合わせたあと、断面の一部にも流しています。ただし、軸穴にはハンダを流していません。

公式側台枠

公式側の台枠H2-1を折り曲げたところです。前方の90度に曲げるところは、あとでシリンダーブロックをネジ留めするので、折り目の内側をハンダで補強しておきます。
各部のネジ穴にタップを立てますが、側面の1箇所だけ1.0mmタップ、あとは1.4mmタップです。

非公式側台枠

非公式側の台枠H2-2を貼り合せて折り曲げ、同様にネジを切ります。

スライドバー

スライドバー兼シリンダーの取り付け座(H3-1)を折り曲げて組み立てます。スライドバーの根本は取れないようにハンダで補強します。

今回のキットで最も有意義な改良です。旧キットではスライドバーの座が台枠と一体になっており、車輪を圧入してから一発曲げしていました。 あとで車輪を抜く必要に迫られたとき、曲げ戻しができないので(ちぎれる)大変困ったものでした。

シリンダーブロックの取り付け

シリンダーブロックを固定しますが、固定の前にシリンダーブロックの内部空間に余計なバリが出ていないか確かめます。内側ぎりぎりをピストン棒が往復するためです。

塗装

これで必要な部分が全部揃ったので、クレンザーと中性洗剤で順に洗い、乾燥してから塗装しました。
まずメタル用シールプライマーで下塗りし、ガイアカラーのフラットブラックにMrカラーのフラットベースを追加して塗りました。
下地のシールプライマーを十二分に乾燥させてから塗らないと、ガイアカラーの黒はひび割れを起こしやすい傾向があるように思います。

塗装した部品

台枠の上面とスライドバーはマスキングしてから塗りました。ベースプレートは塗装しません。

ナンバープレートは黒塗装後、フチを耐水ペーパーで磨き出します。
なぜか、このキットには三井埠頭5号機のナンバーではなく、南薩鉄道5号機のナンバーとメーカーズプレートが入っていました。どちらも同じ「5」ですが、書体が違うのです。旧キットではちゃんと専用のものが入っていました。

動力部(2)

軸穴を整える

軸穴を整えます。スムーズに走らせるための最重要部分ではないかと今は思っています。

2.5mmの丸ヤスリで軸穴を丁寧にさらい、塗料を落としてつるつるにします。しかし、あまりゴリゴリとヤスりすぎて軸穴が広がると、逆に不安定になります。

本当は動かしながら調整していきたいのですが、一度車輪をはめてしまうと簡単にはやり直しできないので、慎重にやります。

ギヤの取り付け

片側の台枠に小ギヤ2個、中ギヤ1個、大ギヤ1個を取り付けます。すべてM1.4×3.0mmネジ(一番長いネジ)で取り付けます。

小ギヤにはギヤワッシャを2枚重ねにして挟みますが、ワッシャは切り口をきれいにヤスり、両面を丁寧に磨いておきます。ギヤ軸の両面もバリがないか確認し、あればきれいにヤスっておきます。

小ギヤ・中ギヤの取り付け

最初に小ギヤ2個と、中ギヤ1個を取り付けます。
小ギヤには前述のようにワッシャ2枚を挟み、中ギヤには小ギヤカラーを挟みます(中ギヤカラーというものは存在しません)。

しっかり固定して、ギヤが軽く回ることを確認してから、小ギヤ軸の中央の穴に爪楊枝の先などで瞬間接着剤を少量流し、緩み留めにします(ギヤを接着しないように注意)。

大ギヤの取り付け

接着剤が乾いたら、小ギヤ軸の表面に接着剤が盛り上がっていないか確認し、大ギヤを取り付けます。こちらにも緩み留めを施します。
大ギヤを指で回せば、すべてのギヤが連動して軽く回ることを確認します。

公式側台枠の固定

ギヤを取り付けたほうの台枠(H2-1)を、ベースプレートH2-3にネジ留めします。

取り付けの際には少々ガタがありますが、台枠を車体の内側に寄せて固定します。逆に外側に寄せてしまうと、車輪ワッシャに台枠が強く当たって動きが渋くなります。ほんのわずかな取り付け位置の違いではありますが、影響が出ます。

非公式側台枠の固定

非公式側の台枠は、プラ製の絶縁ワッシャをベースプレートとの間に挟んで絶縁します。上部には絶縁ブッシュをはめ込んで、上下の固定ネジとも絶縁します。

一部のキットには、絶縁ワッシャと絶縁ブッシュが付属していないものがあるので、早めに確認のうえメーカーに連絡して送ってもらいます。

車輪を駆動軸に差し込む

軸穴を間違いなく整えてあることをもう一度確認してから、車輪を取り付けます。

車輪にZ板のワッシャをはめ込んで、軸穴に置いた駆動軸の両側から軽く差し込みます。このときに駆動軸を曲げないように注意…。
ワッシャは切り口をきれいにして両面を滑らかにしておきます。

車輪の圧入

万力(バイス)のような平行圧入しやすい道具を使い、説明書の要領で駆動軸に車輪を圧入します。
ひとつ圧入するごとに、車輪が軽く回転するか確かめます。ここで動きが渋いようなら、車輪を引き離して調整し直すしかありません。

圧入完了

無事に圧入できたら、レールの上をスムーズに転がるか確かめます。
たとえ大ギヤを指で回して車輪を回すことができても、レールに載せて軽く傾斜させただけで転がらないようであれば、うまく走らないと思います。

モーターの取り付け

モーターにウォームギヤをエポキシ系接着剤で接着し、折り返した調整板の上に乗せ、モーター押さえをネジ留めします。
この状態でウォームの噛み合わせの深さを確認します。私の作例ではちょっと浅いような気がしました。

調整板の交換

最初の調整板(厚さ0.3mm)を切り取り、H3板に用意されている厚さ0.15mmの薄い調整板に交換しました。

噛み合わせの再確認

こちらのほうがよいかもしれません。なおモーター押さえのネジ留めの強さによっても、噛み合わせの深さが変わったりします。

説明書に従ってモーターのリード線を所定の場所にハンダ付けし、レールに載せて走行をチェックします。
このままでは軽いので、車体を仮に載せて走らせます。そこそこのスローも効いてゆっくり動き出し、音も意外に静かなはずです。
もし、噛み合わせが適切なのに走行音が異常にうるさいようなら、たぶん軸穴がよくありません。速度にムラがあったり、前進・後退で走り方に差が出る場合も軸穴の可能性が大きいです。
駆動軸が曲がっていても集電性能が悪くなり、ポイントの上で止まったりします。

以前よりはだいぶ経験も積んだので、今まで組んだ同種の動力の中では一番よく走るようになりました。少し起動電圧が高めですが(注:これは調整不足のためだとあとでわかりました)、スローもよく効きますし、ひと安心して次に進みました。


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