『いーはとーう゛・おのまとぺ症候群』やっちょります。(^ ^;
       四つのつめたい谷川が、                                             カラコン山の氷河から出て、                                         ごうごう白い泡をはいて、                                             プハラの国にはいるのでした。                                                                     by『毒もみのすきな署長さん』                         四つの川はプハラの町で集って                                     一つの大きなしずかな川になりました。

 
           プハラの町の署長さんが、あやしいずら、『毒もみのすきな署長さん』


   『イーハトーヴオノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語) .
      その川はふだんは水もすきとおり、                                  淵には雲や樹の影もうつるのでしたが、                             一ぺん洪水になると、                                                幅十町もある楊(やなぎ)の生えた広い河原が、                 恐ろしく咆(ほ)える水で、                                           いっぱいになってしまったのです。                  けれども水が退(ひ)きますと、もとのきれいな、                   白い河原があらわれました。
宮沢賢治童話の私設ファンコーナー10です。

                ★宮沢賢治童話を是非ぜひゼヒ読んでネ★
んで、10回目の今回は、


      ********** 風の又三郎 **********
角川文庫 380円 274p 表紙:飯野和好 注釈・解説:堀尾青史 参考文献・年譜:中村稔 影絵:藤城清治
                               その河原のところどころには、                                        蘆(あし)やがまなどの岸に生えた、                                 ほそ長い沼のようなものがありました。
                風の又三郎
─────────── 59p
                とっこべとら子
─────────── 8p
                紫紺染
(しこんぞめ)について────── 9p
                祭の晩
───────────── 8p
                なめとこ山の熊
──────────14p
                土神と狐
──────────── 18p
                虔十
(けんじゅう)公園林─────── 12p
                化物丁場
(ばけものちょうば)───────10p
                耕耘部
(こううんぶ)の時計 ─────── 8p →ここまではページです。
                毒もみのすきな署長さん ─────── 7p
                税務署長の冒険 ──────────32p
                ガドルフの百合
 ────────── 10p
                マグノリアの木
 ────────── 7p
                 インドラの網 ──────────── 9p →ここから11ページです。
                 学者アラムハラドの見た着物 ───── 11p
                 ビジテリアン大祭 ────────── 53p の16短編です。

               注:
は『注文の多い料理店3』ご覧ください。

                 は『新編 風の又三郎2』ご覧ください。

                 は『新編 風の又三郎3』ご覧ください。

                   


 
 



『風の又三郎』の第十話です。
   なまずのつぎに多いのはやっぱり鯉と鮒でした。      それからはやも居りました。      ある年などは、そこに恐ろしい大きなちょうざめが、         海から遁げて入って来たという、                                     評判などもありました。      けれども大人や賢い子供らは、                                    みんな本当にしないで、笑っていました。      第一それを云いだしたのは、                                        剃刀(かみそり)を二梃(ちょう)しかもっていない、
      下手な床屋のリチキで、                                             すこしもあてにならないのでした。      けれどもあんまり小さい子供らは、                                  毎日ちょうざめを見ようとして、                                       そこへ出かけて行きました。      いくらまじめに眺めていても、                                         そんな巨(おお)きなちょうざめは、                                   泳ぎも浮びもしませんでしたから、   しまいには、リチキは大へん軽べつされました。   
********** 『毒もみのすきな署長さん』 7p **********
 

 プハラの町の署長さんが、あやしいずら、『毒もみのすきな署長さん』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその50』だよん。(^ ^;

 さてこの国の第一条の、

  「火薬を使って鳥をとってはなりません、
  毒もみをして魚をとってはなりません。」

 というその毒もみというのは、何かと云いますと床屋のリチキはこういう風に教えます。
 山椒
(さんしょう)の皮を春の午(うま)の日の暗夜(やみよ)に剥(む)いて土用を二回かけて乾かしうす
でよくつく、その目方一貫匁
(かんめ)を天気のいい日にもみじの木を焼いてこしらえた木灰七百匁と
まぜる、それを袋に入れて水の中へ手でもみ出すことです。
 そうすると、魚はみんな毒をのんで、口をあぶあぶやりながら、白い腹を上にして浮びあがるので
す。そんなふうにして、水の中で死ぬことは、この国の語
(ことば)ではエップカップと云いました。これ
はずいぶんいい語
(ことば)です。
 とにかくこの毒もみをするものを押えることは警察のいちばん大事な仕事でした。
 ある夏、この町の警察へ、新らしい署長さんが来ました。
 この人は、どこか河獺
(かわうそ)に似ていました。赤ひげがぴんとはねて、歯はみんな銀の入歯でし
た。署長さんは立派な金モ−ルのついた、長い赤いマントを着て、毎日ていねいに町をみまわりまし
た。
  
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその50』でした。


 毒もみのすきな署長さん 漫画紹介はできましぇん。

    申し訳ねぇす。

 

 漫画版『毒もみのすきな署長さん』は、おそらく多分ありましぇん。
 漫画版『税務署長の冒険』も、『ガドルフの百合』も、『マグノリアの木』も、おそらく多分ありま
しぇん。


 っつーことで漫画の紹介は、ずうっとしばらくシバラク暫く、お待ちくなさい。(^ ^;


 毒もみのすきな署長さん お気に入りオノマトペ
 季節: 夏と春
       ところがそのころどうも                                                 規則の第一条を用いないものができてきました。       あの河原のあちこちの大きな水たまりから                          いっこう魚が釣れなくなって                                          時々は死んで腐ったものも浮いていました。       また春の午(うま)の日の夜の間に                                  町の中にたくさんある山椒(さんしょう)の木が                      たびたびつるりと皮を剥(む)かれて居りました。       けれども署長さんも巡査も                                          そんなことがあるかなあというふうでした。       ところがある朝手習の先生のうちの前の草原で                   二人の子供がみんなに囲まれて                                    交る交る話していました。      「署長さんにうんと叱られたぞ」                                      「署長さんに叱られたかい。」                                          少し大きなこどもがききました。      「叱られたよ。                                                          署長さんの居るのを知らないで石をなげたんだよ。                するとあの沼の岸に署長さんが                                     誰か三四人とかくれて                                               毒もみをするものを押えようとしていたんだ。」    「何と云って叱られた。」         「誰だ。石を投げるものは。                                           おれたちは第一条の犯人を押えようと思って                      一日ここに居るんだぞ。早く黙って帰れ。って云った。」    「じゃきっと間もなくつかまるねえ。」   

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=5つが最高。)
Dエップカップ:【そんなふうにして、水の中で死ぬことは、この国の語(ことば)ではエップカップ
      と云いました。これはずいぶんいい語(ことば)です。】

ボクの好きなオノマトペ(再読)=★★5つが最高。)
Cあぶあぶ:【そうすると、魚はみんな毒をのんで、口をあぶあぶやりながら、白い腹を上にし
      て浮びあがるのです。】
 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
エップカップ(造語)=あぶあぶ、なんて、宮沢賢治クン、なかなか遊んでましゅねぇ。(^ ^;


   あんまりこんな話がさかんになって、      とうとう小さな子供らまでが、      巡査を見ると、わざと遠くへ遁げて行って、      「毒もみ巡査、なまずはよこせ。」         なんて、力いっぱい                                                   からだまで曲げて叫んだりするもんですから、
      これではとてもいかんというので、                                    プハラの町長さんも仕方なく、      家来を六人連れて警察に行って、                                 署長さんに会いました。   二人が一諸に応接室の椅子にこしかけたとき、      署長さんの黄金(きん)いろの眼は、      どこかずうっと遠くの方を見ていました。   
********** 毒もみのすきな署長さん』          .
               のオノマトペ **********.
 

@ごうごう:【四つのつめたい谷川が、カラコン山の氷河から出て、ごうごう白い泡をはいて、プ
      ハラの国にはいるのでした。】
Aすっかり:【それは昔の川の流れたあとで、洪水のたびにいくらか形も変るのでしたが、すっ

      かり無くなるということもありませんでした。】
Bやっぱり:【なまずのつぎに多いのはやっぱり鯉と鮒でした。】
Cあぶあぶ:【そうすると、魚はみんな毒をのんで、口をあぶあぶやりながら、白い腹を上にして

      浮びあがるのです。】
Dエップカップ:【そんなふうにして、水の中で死ぬことは、この国の語
(ことば)ではエップカップと
      云いました。これはずいぶんいい語(ことば)です。】
Eぴん:【赤ひげがぴんとはねて、歯はみんな銀の入歯でした。】
Fつるり:【また春の午
(うま)の日の夜の間に町の中にたくさんある山椒(さんしょう)の木がたびた
      びつるりと皮を剥(む)かれて居りました。】
Gとうとう:【あんまりこんな話がさかんになって、とうとう小さな子供らまでは、巡査を見ると、わ

      ざと遠くへ遁げて行って、「毒もみ巡査、なまずはよこせ。」なんて、力いっぱいからだ
      まで曲げて叫んだりするもんですから、これではとてもいかんというので、プハラの町
      長さんも仕方なく、家来を六人連れて警察に行って、署長さんに会いました。】
Hずうっ:【二人が一諸に応接室の椅子にこしかけたとき、署長さんの黄金
(きん)いろの眼は、ど
      こかずうっと遠くの方を見ていました。】
Iカ−ン:【署長さんは落ち着いて、卓子
(テーブル)の上の鐘を一つカ−ンと叩いて、赤ひげのも
      じゃもじゃ生えた、第一等の探偵を呼びました。】
Jもじゃもじゃ:【赤ひげのもじゃもじゃ生えた、第一等の探偵を呼びました。】

 『毒もみのすきな署長さん』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                       2006.3.25.

 
 


『風の又三郎』の第十一話です。

           イギリスの大学の試験では牛(オックス)でさえ                     酒を呑ませると目方が増すと云います。                           又これは実に人間エネルギ−の根元です。          .            酒は圧縮せる液体のパン                                            と云うのは実に名言です。  

  『税務署長の冒険』 32p  .
 

 密造酒のアジトを探せ!税務署長危機一髪!ハラハラドキドキ、『税務署長の冒険』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその51』だよん。(^ ^;

 「濁蜜
(=にごり酒の密造)をやるにしてもさ、あんまり下手なことはやってもらいたくないな。なぁんだ、
味噌桶の中に、醪
(にごりざけ)を仕込んで上に板をのせて味噌を塗って置く、ステッキでつっついて
見るとすぐ板が出るじゃないか。廏
(うまや)の枯草の中にかくして置く、いい馬だなあ、乳もしぼれる
かいと云うと顔いろを変えている。
 新らしい肥樽
(こえだる)の中に仕込んで林の萱(かや)の中に置く。誰かにこっそり持って行かれて
も大声で怒られない。煤だらけの天井裏にこさえて置いて取って帰って来るときは眼をまっ赤にして
いる。
 できあがった酒だって見られたざまじゃない。どうせにごり酒だから濁っているのはいいとして酸っ
ぱいのもある。甘いのもある、アイヌや生蕃
(せいばん)にやってもまあご免蒙(こうむ)りましょうというよ
うなのだ。そんなものはこの電燈時代の進歩した人類が呑むべきもんじゃない。どうせやるならなぜ
もう少し大仕掛けに設備を整えて共同ででもやらないか。すべからく米も電気で研
(と)ぐべし、しぼる
ときには水圧機を使うべし、乳酸菌を利用し、ピペット、ビ−カ−、ビュウレット立派な化学の試験器
械を使って清潔に上等の酒をつくらないか。もっともその時は税金は出して貰いたい。そう云うにや
るならばわれわれは実に歓迎する。技師やなんかの世話までして上げてもいい。こそこそ半分こう
じのままの酒を三升つくって罰金を百円とられるよりは大びらでいい酒を七斗呑めよ。」
 まだまだずいぶんひどく悪
(にく)まれ口もきき耳の痛い筈なようなことも云いましたが誰も気持ち悪
くする人はなく話が進めば進むほど、いよいよみんな愉快そうに顔を熱
(ほて)らして笑ったり手を叩
いたりしました。
 どうもおかしいどうもおかしい、どうもおかしいとみんなの顔つきをきょろきょろ見ながらその割合
ざっくばらんの少しずるい税務署長が思いました。税務署長の考えではうんと悪口を云ってどれ位
赤くなって怒る人があるかを見て大体その村の濁密の数を勘定しようと云うのでした。それがいけ
ないようでしたから今度はだんだんおどしにかかって青くなる人を見てやろうと思いました。
 ところがやっぱり面白そうに笑います。
 税務署長は気が気でなく卒倒しそうになって頭に手をあげました。
                                        
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその51』でした。


 税務署長の冒険 お気に入りオノマトペ
 季節: 春
                   堀部安兵衛が高田の馬場で                                      三十人の仇討ちさえ出来たのも実に                              酒の為にエネルギ−が沢山あったからです。              みなさん、国家のため世界のため                                  大(おおい)に酒を呑んで下さい。

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=5つが最高。)
Oぐたぐた:【それでももうぐたぐたになって何もかもわからないというふりをしていました。】
27
しおしお:【デンドウイ属はしおしお出て行きました。】

ボクの好きなオノマトペ(再読)=5つが最高。)
34てん:【「仰ったとおり云ってだまって向うの顔いろを見ていたのですけれどもまるで反応があ
      りませんな、さあ、まあそんなことも仰っしゃっておいででしたがどうもお役人方の仰
      っしゃることは無理もあればむずかしいことも多くてなんててんでとり合わないので
      す。」】
37
じゃきじゃき:【まず第一にひげをはさみでじゃきじゃき刈りとって次に揮発油へ木タ−ルを
      少しまぜて茶いろな液体をつくって顔から首すじいっぱいに手にも塗った。】
55
ぽろっ:【するとまるで注文通り小屋の中からさっきの若い男がぽろっと出て来た。】
73
どやどや:【ところがもういけなかったのだ、入口の方がどやどやして実に六人ばかりの黒い
      影が走り込んで来た。】

 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
ぐたぐた、しおしお、っつーの、お疲れモードっぽくて、おもろいやんけ。


       (小学校長が青くなっている。                                         役場から云われて仕方なく学校を借したのだが                   何が何でもこれではあんまりだと思って                             すっかり青くなったな) と税務署長は思いました。             .        けれどもそれは大ちがいで                                           小学校長の青く見えたのはあんまりほめられて                    一そう酒が呑みたくなったのでした。                                 なぜならこの校長さんは樽こ先生というあだ名で                  一ぺんに一升ぐらいは何でもなかったのです。  

   * 税務署長の冒険オノマトペ *   .
 

@すっかり:【(小学校長が青くなっている。役場から云われて仕方なく学校を借したのだが何が
      何でもこれではあんまりだと思ってすっかり青くなったな)と税務署長は思いました。】
Aどんどん:【税務署長がまた見掛けの太ったざっくばらんらしい男でいかにも正直らしくみんなが

      怒るかも知れないなんということは気にもとめずどんどん云いたいことを云いました。】
Bこそこそ:【「こそこそ半分こうじのままの酒を三升つくって罰金を百円とられるよりは大びらで

      いい酒を七斗呑めよ。」】
Cきょろきょろ:【どうもおかしいどうもおかしい、どうもおかしいとみんなの顔つきをきょろきょろ

      見ながらその割合ざっくばらんの少しずるい税務署長が思いました。】
Dうん:【税務署長の考えではうんと悪口を云ってどれ位赤くなって怒る人があるかを見て大体そ

      の村の濁密の数を勘定しようと云うのでした。】
Eだんだん:【それがいけないようでしたから今度はだんだんおどしにかかって青くなる人を見て

      やろうと思いました。】
Fやっぱり:【ところがやっぱり面白そうに笑います。】
Gこっそり:【「正直を云うとみんながどんなにこっそり濁密をやった所でおれの方ではちゃんとわ

      かっている。」】
Hちゃん:【「おれの方ではちゃんとわかっている。」】
Iしいん:【みんなはしいんとなりました。】
Jザアッ:【それからザアッと鳴りました。】
Kどっ:【するとどうです、いまあれほど気が立ったみんなが一斉に面白そうにどっと吹き出した

      のです。】
Lぐるぐる:【そしてもうすっかりぐるぐるして壇を下りてしまいました。】
Mぞろっ:【村会議員の家は立派なもので五十畳の広間にはあかりがぞろっとともり正面には銀

      屏風が立ってそこに二人は座らされました。】
Nきちん:【すぐ村の有志たちが三十人ばかりきちんと座りました。】
Oぐたぐた:【それでももうぐたぐたになって何もかもわからないというふりをしていました。】
Pちらっ:【村会議員はちらっと署長を見あげました。】
Qぱっぱっ:【村長やみんなが立って留めようとしたときそこはもう商売で署長と白鳥属とはまる

      で忍術のように座敷から姿を消し台所にあった靴をつまんだと思うともう二人の自転
      車は暗い田圃みちをときどき懐中電燈をぱっぱっとさせて一目散にハ−ナムキヤの
      町の方へ走っていたのです。】
Rチリンチリン:【次の日税務署長は役所へ出て自分の室に入り出勤簿を検査しますとチリンチ

      リンと卓上ベルを鳴らして給仕を呼び「デンドウイを呼べ」とあごで云いつけました。】
Sわくわく:【デンドウイ属はもう胸がわくわくしました。】
21ふう:【さて八日目の朝署長が役所へ出て出勤簿を検査してそれから机の上へ両手を重ねて

      ふうと一つ息をしたとき扉がかたっと開いてデンドウイ属があの八日前の白服のまま
      でまた入って来ました。】
22かたっ:【扉がかたっと開いてデンドウイ属があの八日前の白服のままでまた入って来ました。】
23かたっ:【署長は思わず椅子をかたっと云わせました。】
24にこにこ:【心配そうにそれにまたにこにこしながら訊いたのです。】
25じっ:【「私は二階からじっと隣りの人たちの云うことを一晩寝ないで聞いて居りました。」】
26すう:【「もう一語でもききもらすまいと思っていましたら、そのうち一人がすうと口をまげて歯へ

      風を入れたような音がしました。」】
27しおしお:【デンドウイ属はしおしお出て行きました。】
28じっ:【「あのね、この前の村会議員のとこへ行ってね、僕からと云う口上でね、先ころはごちそ

      うをいただいて実にありがとう、と、ね、その節席上で戯談半分酒造会社設立のことを
      おはなししたところ何だか大分本気らしいご挨拶があったとね、で一つこの際こちらか
      ら技術員も出すから模範的なその造酒工場をその村ではじめてはどうだろう、原料も
      丁度そちらのは醸造に適していると思うと斯(こ)う吹っかけて見てじっと顔いろを見て
      呉れ給え。」】
29しゃん:【シラトリキキチ氏はしゃんと礼をして出て行きました。】
30そわそわ:【ひるすぎはそわそわ窓に立ってシラトリ属の帰るのをいまかいまと待っていました。】
31ぐるっ:【署長はもうみんなも帰る時分だしと思って自分も一ぺん家へ帰るふりをして町をぐるっ

      とまわりみんなが戻ったころまた役所へ来て小使に自分の室へ電燈をつけさせて待っ
      ていました。】
32がたっ:【すると八時過ぎて玄関でがたっと自転車を置いた音がしてそれからシラトリ属がまるで

      息を切らして帰って来たのです。】
33がっかり:【「いけなかったか。」署長はがっかりしました。】
34てん:【「仰ったとおり云ってだまって向うの顔いろを見ていたのですけれどもまるで反応がありま

      せんな、さあ、まあそんなことも仰っしゃっておいででしたがどうもお役人方の仰っしゃる
      ことは無理もあればむずかしいことも多くてなんててんでとり合わないのです。」】
35どしどし:【「そんなに町からどしどし買って行くくらいの現金があの村にある筈はない。」】
36そろそろ:【税務署長は唇に指をあて、眼を変に光らせて考え込みながらそろそろ帰り支度をしま

      した。】
37じゃきじゃき:【まず第一にひげをはさみでじゃきじゃき刈りとって次に揮発油へ木タ−ルを少しま

      ぜて茶いろな液体をつくって顔から首すじいっぱいに手にも塗った。】
38にかにかにかにか:【古い新聞紙を鏡の前の畳へ敷いて又長靴をはいてちゃんと立って鏡をの

      ぞいてさあもうにかにかにかにかし出した。】
39くしゃくしゃ:【それから俄かにまじめになってしばらく顔をくしゃくしゃにしていたがいよいよ勇気に

      充ちて来たらしく一ぺんに畳をはね越えておもてに飛び出し大股に通りをまがった。】
40てかてか:【ところが事務所にはたった一人髪をてかてか分けて白いしごきをだらりとした若者が

      椅子に座って何か書いていた。】
41だらり:【白いしごきをだらりとした若者が椅子に座って何か書いていた。】
42もじもじ:【若者は率直に立って「ああそうすか。」と云って名刺を受けとったがあとは何も云わない

      でもじもじしていた。】
43どきっ:【さあ署長はどきっとしました。】
44ぴたっ:【若者はぴたっと口をつぐんでしまいました。】
45どぎどぎ:【ふん、その会社は木材の会社でもなけぁ醋酸の会社でもない、途方もないことをして

      やがる、行ってつかまえてしまうと署長はもうどぎどぎして眼がくらむようにさえ思った。】
46はっきり:【みちは谷に沿った細いきれいな台地を進んで行ったがまだ荷馬車のわだちははっき

      り切り込んでいた。】
47ゆっくり:【向うに枯草の三角な丘が見えてそこを雲の影がゆっくりはせた。】
48ずっ:【そしてずっと下ってまがり角を三つ四つまがってから、非常に警戒しながらふり向いて見る

      ともう向うは一本の松の木が崖の上につき出ているばかりすっかりあの男も家も見えなく
      なっていた。】
49めちゃくちゃ:【それからめちゃくちゃにその丘をのぼった。】
50ずうっ:【丘の頂上には小さな三角標があってそこから頂がずうっと向うのあの三角な丘までつづ

      いていた。】
51きらきら:【税務署長は汗を拭くひまもなく息をやすめるひまもなくそのきらきらする枯草をこいで

      そっちの方へ進んだ。】
52ぶうぶう:【どこかで蜂か何かがぶうぶう鳴り風はかれ草や松やにのいい匂を運んで来た。】
53ぼとぼと:【実にあのペイントを塗った顔から黒い汗がぼとぼとに落ちてシャツを黄いろに染めた

      のだ。】
54きっぱり:【そして殊にあやしいことは小屋がきっぱりうしろの崖にくっついて建ててあっておまけ

      にその崖が柔らかな岩をわざと切り崩したものらしかった。】
55ぽろっ:【するとまるで注文通り小屋の中からさっきの若い男がぽろっと出て来た。】
56てかてか:【馬が黒くてかてか光っていたし谷はごうと流れてしずかなもんだった、署長はもう興奮

      して頭をやけに振った。】
57ごう:【谷はごうと流れてしずかなもんだった、署長はもう興奮して頭をやけに振った。】
58ぎっしり:【こんどは月十二石だ、それからこんどは十四石十六石十八石、二十石とそこまで署長

      が夢のように計算したときは荷馬車の上はもう樽でぎっしりだった。】
59うろうろ:【税務署長は狐のようにうろうろ小屋のまわりをめぐった。】
60カラッ:【署長はそこへ爪を入れて押し上げて見たらカラッと硝子は上にのぼった。】
61がらん:【もう有頂天になって中へ飛び込んで見るとくらくて急には何も見えなかったががらんとし

      た何もない室(へや)だった。】
62ずらっ:【奥の方には二十石入の酒樽が十五本ばかりずらっとならび横には麹室らしい別の室

      (へや)さえあったのだ。】
63さっ:【その時だ、何か黄いろなようなものがさっとうしろの方で光った。】
64ふっ:【税務署長はちょっと鹿踊りのような足つきをしたがとっさにふっとアセチレンの火を消し

      た。】
65そろそろ:【そしてそろそろとあの十五本の暗い酒だるのかげの方へ走った。】
66がんがん:【足音と語
(ことば)ががんがん反響してやって来た。】
67ズドン:【ズドンと一発やりたいなと署長は思った。】
68そろそろ:【二人は這うようにそろそろとやって来た。】
69くるくる:【署長はくるくると樽の間をすりまわった。】
70とうとう:【そしたらとうとう桶と桶の間のあんまりせまい処
(ところ)へはさまってのくも引くもできなく
      なってしまった。】
71ガアン:【ガアンと頭が鳴った。】
72くるくる:【署長はくるくるしばられてしまった。】
73どやどや:【ところがもういけなかったのだ、入口の方がどやどやして実に六人ばかりの黒い影が

      走り込んで来た。】
74ぐるっ:【ぐるっとみんなが署長を囲んだ。】
75りん:【りんとした声が云った。】
76ぎくり:【署長は聞きおぼえのある声だと思って顔をあげたらじっさいぎくりとしてしまった。】
77しん:【しばらくしんとした。】
78ぽかぽか:【おもてへ出て見ると日光は実に暖かくぽかぽか飴色に照っていた。】
79ぽっ:【署長はぽっと夢のように考えた。】
80にゅう:【それからみんなはにゅうと遁げるようなかたちになった。】
81すっく:【署長はもうすっかり決心してすっくと立ちあがった。】
82がぁん:【といきなりうしろから一つがぁんとやられた。】
83ばたばた:【署長が吊られて苦しがってばたばたしながら云った。】
84がやがや:【おもてではがやがやみんなが談
(はな)していた。】
85かっきり:【「私どもの会社ももうかっきり今日ぎり解散いたしまして酒は全部私の名儀でつくった

      として税金も納めます。」】
86ばっ:【署長はばっと立ちあがった。】
87ぞろぞろ:【そしてもうぞろぞろみんなはイ−ハトヴ密造会社の工場を出たのだ。】
88ふっ:【「今日は何日だ。」署長はふっとうしろを向いてシラトリ属にきいた。】
89ぼおっ:【春らしいしめった白い雲が丘の山からぼおっと出てくろもじのにおいが風にふうっと漂っ

      て来た。】
90ふうっ:【くろもじのにおいが風にふうっと漂って来た。】

 『税務署長の冒険』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                 2006.3.26.

 
 



『風の又三郎』の第十二話です。

        (楊(やなぎ)がまっ青に光ったり、                                    ブリキの葉に変ったり、どこまで人をばかにするのだ。)      (殊にその青いときは、まるで砒素をつかった下等の                顔料(えのぐ)のおもちゃじゃないか。)     .        ガドルフはこんなことを考えながら、                                 ぶりぶり憤(おこ)って歩きました。  

 ** 『ガドルフの百合』 10p ** .
 

 みじめな旅のガドルフは、はげしい雷雨でびしょぬれだにゃぁ、『ガドルフの百合』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその52』だよん。(^ ^;
<イントロ>
 ハックニー馬のしっぽのような、巫山戯
(ふざけ)た楊(やなぎ)の並木と陶製の白い空との下を、
みじめな旅のガドルフは、力いっぱい、朝からつづけて歩いて居りました。
 それにただ十六哩
(マイル)だという次の町が、まだ一向見えても来なければ、けはいもしませ
んでした。
 (楊
(やなぎ)がまっ青に光ったり、ブリキの葉に変ったり、どこまで人をばかにするのだ。殊に
その青いときは、まるで砒素をつかった下等の顔料
(えのぐ)のおもちゃじゃないか。)
 ガドルフはこんなことを考えながら、ぶりぶり憤
(おこ)って歩きました。
 それに俄かに雲が重くなったのです。
 (卑しいニッケルの粉だ。淫らな光だ。)
 その雲のどこからか、雷の一切れらしいものが、がたっと引きちぎったような音をたてました。
 (街道のはずれが変に白くなる。あそこを人がやって来る。いややって来ない。あすこを犬が
よこぎった。いやよこぎらない。畜生。)
 ガドルフは、力いっぱい足を延ばしながら思いました。
 そして間もなく、雨と黄昏
(たそがれ)とがいっしょに襲いかかったのです。
 実にはげしい雷雨になりました。いなびかりは、まるでこんな憐れな旅のものなどを漂白して
しまいそう、並木の青い葉がむしゃくしゃにむしられて、雨のつぶと一諸に堅いみちを叩き、枝
までがガリガリ引き裂かれて降りかかりました。
 (もうすっかり法則がこわれた。何もかもめちゃくちゃだ。これで、も一度きちんと空がみがか
れて、星座がめぐることなどはまあ夢だ。夢でなけぁ霧だ。みずけむりさ。)
                                            
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその52』でした。


  ガドルフの百合 お気に入りオノマトペ
 季節: 夏  
         (街道のはずれが変に白くなる。)          (あそこを人がやって来る。いややって来ない。)          (あすこを犬がよこぎった。いやよこぎらない。畜生。)   

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=5つが最高。)
25サッサッ:【間もなく次の電光は、明るくサッサッと閃(ひら)めいて、庭は幻燈のように青く浮
      び、雨の粒は美しい楕円形の粒になって宙に停まり、そしてガドルフのいとしい花
      は、まっ白にかっと瞋(いか)って立ちました。】

ボクの好きなオノマトペ(再読)=★★5つが最高。)
@ぶりぶり:【ガドルフはこんなことを考えながら、ぶりぶり憤(おこ)って歩きました。】
34
とろとろ:【いろいろなことをしているうちに、いつかとろとろ睡ろうとしました。】

 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
【間もなく次の電光は、明るくサッサッと閃(ひら)めいて、】っつーの、初対面、いんでねけ?


     「どなたですか。今晩は。どなたですか。今晩は。」         「ははは、百合の花だ。                                                なるほど。ご返事のないのも尤(もっと)もだ。」           .        (おれの恋は、いまあの百合の花なのだ。                          いまあの百合の花なのだ。砕けるなよ。)  

       ** ガドルフの百合オノマトペ **      .
 

@ぶりぶり:【ガドルフはこんなことを考えながら、ぶりぶり憤(おこ)って歩きました。】
Aがたっ:【その雲のどこからか、雷の一切れらしいものが、がたっと引きちぎったような音をたて

      ました。】
Bむしゃくしゃ:【いなびかりは、まるでこんな憐れな旅のものなどを漂白してしまいそう、並木の青

      い葉がむしゃくしゃにむしられて、雨のつぶと一諸に堅いみちを叩き、枝までがガリガリ
      引き裂かれて降りかかりました。】
Cガリガリ:【雨のつぶと一諸に堅いみちを叩き、枝までがガリガリ引き裂かれて降りかかりまし

      た。】
Dすっかり:【(もうすっかり法則がこわれた。何もかもめちゃくちゃだ。)】
Eめちゃくちゃ:【(何もかもめちゃくちゃだ。これで、も一度きちんと空がみがかれて、星座がめぐ

      ることなどはまあ夢だ。)】
Fきちん:【(これで、も一度きちんと空がみがかれて、星座がめぐることなどはまあ夢だ。夢でな

      けぁ霧だ。みずけむりさ。)】
Gずうっ:【ガドルフはあらんかぎりすねを延ばしてあるきながら、並木のずうっと向うの方のぼん

      やり白い水明りを見ました。】
Hぼんやり:【ぼんやり白い水明りを見ました。】
Iしん:【家の中はまっ暗で、しんとして返事をするものもなく、そこらには厚い敷物や着物などが、

      くしゃくしゃ散らばっているようでした。】
Jくしゃくしゃ:【そこらには厚い敷物や着物などが、くしゃくしゃ散らばっているようでした。】
Kガンガン:【そのガドルフの頭と来たら、旧教会の朝の鐘のようにガンガン鳴って居りました。】
Lりん:【(しかしまたこんな桔梗いろの背景に、楊の舎利がりんと立つのは悪くない。)】
Mさっぱり:【ガドルフはそれからぬれた頭や、顔をさっぱりと拭って、はじめてほっと息をつきまし

      た。】
Nほっ:【はじめてほっと息をつきました。】
Oくっきり:【電光がすばやく射し込んで、床におろされて蟹のかたちになっている自分の背嚢
(はい
      のう)をくっきり照らしまっ黒な影さえ落して行きました。】
Pそっ:【それから少ししずかな心待ちになって、足音をたてないように、そっと次の室
(へや)にはい
      って見ました。】
Qぐるぐる:【ガドルフはしきいをまたいで、もとの階段室に帰り、それから一ぺん自分の背嚢につ

      まずいてから、二階に行こうと段に一つ足をかけた時、紫いろの電光が、ぐるぐるする程
      明るくさし込んで来ましたので、ガドルフはぎくっと立ちどまり、階段に落ちたまっ黒な自分
      の影とそれから窓の方を一諸に見ました。】
Rぎくっ:【ガドルフはぎくっと立ちどまり、階段に落ちたまっ黒な自分の影とそれから窓の方を一諸

      に見ました。】
Sやっぱり:【(それともやっぱりこの家の人たちが帰って来たのだろうか。)】
21ガタピシ:【ガドルフはそっちへ進んで行ってガタピシの壊れかかった窓を開きました。】
22ぱっ:【たちまち冷たい雨と風とが、ぱっとガドルフの顔をうちました。】
23ぼんやり:【向うのぼんやり白いものは、かすかにうごいて返事もしませんでした。】
24じっ:【けれども窓の外では、いっぱいに咲いた白百合が、十本ばかり息もつけない嵐の中に、そ

      の稲妻の八分一秒を、まるでかがやいてじっと立っていたのです。】
25サッサッ:【間もなく次の電光は、明るくサッサッと閃
(ひら)めいて、庭は幻燈のように青く浮び、雨
      の粒は美しい楕円形の粒になって宙に停まり、そしてガドルフのいとしい花は、まっ白に
      かっと瞋(いか)って立ちました。】
26かっ:【そしてガドルフのいとしい花は、まっ白にかっと瞋
(いか)って立ちました。】
27はっきり:【そしてガドルフは自分の熱
(ほて)って痛む頭の奥の、青黝(あおぐろ)い斜面の上に、す
      こしも動かずかがやいて立つ、もう一むれの貝細工の百合を、もっとはっきり見て居りま
      した。】
28とうとう:【けれどもガドルフは、その風の微光の中で、一本の百合が、多分とうとう華奢
(きゃしゃ)
      なその幹を折られて、花が鋭く地面に曲ってとどいてしまったことを察しました。】
29きらきら:【そして全くその通り稲光りがまた新らしく落ちて来たときその気の毒ないちばん丈の高

      い花が、あまりの白い興奮に、とうとう自分を傷つけて、きらきら顫(ふる)うしのぶぐさの上
      に、だまって横たわるのを見たのです。】
30がたがた:【ガドルフはまなこを庭から室の闇にそむけ、丁寧にがたがたの窓をしめて、背嚢のと

      ころに戻って来ました。】
31ぶるぶる:【そして背嚢から小さな敷布をとり出してからだにまとい、寒さにぶるぶるしながら階段

      にこしかけ、手を膝に組み眼をつむりました。】
32がたがた:【けれども電光があんまりせわしくガドルフのまぶたをかすめて過ぎ、飢えとつかれと

      が一しょにがたがた湧きあがり、さっきからの熱(ほて)った頭はまるで舞踏のようでした。】
33だんだん:【それから遠い幾山河の人たちを、燈籠
(とうろう)のように思い浮べたり、又雷の声をい
      つかそのなつかしい人たちの語(ことば)に聞いたり、又昼の楊(やなぎ)がだんだん延びて白
      い空までとどいたり、いろいろなことをしているうちに、いつかとろとろ睡ろうとしました。】
34とろとろ:【いろいろなことをしているうちに、いつかとろとろ睡ろうとしました。】
35どんどんどん:【ガドルフは、俄かにどんどんどんという音をききました。 】
36ばたんばたん:【ばたんばたんという足踏みの音、怒号や嘲罵
(ちょうば)が烈しく起りました。】
37ずんずん:【ただその音は、たちまち格闘らしくなり、やがてずんずんガドルフの頭の上にやって

      来て、二人の大きな男が、組み合ったりほぐれたり、けり合ったり撲り合ったり、烈しく烈
      しく叫んで現われました。】
38だぶだぶ:【一人は闇の中に、ありありうかぶ豹の毛皮のだぶだぶの着物をつけ、一人は烏の

      王のように、まっ黒くなめらかによそおっていました。】
39ぐるぐる:【二人はも一度組みついて、やがてぐるぐる廻って上になったり下になったり、どっちが

      どっちかわからず暴れてわめいて戦ううちに、とうとうすてきに大きな音を立てて、引っ組
      んだまま坂をころげて落ちて来ました。】
40がたがた:【がたがた寒さにふるえながら立ちあがりました。】


 『ガドルフの百合』のオノマトペ、まんず、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                     2006.3.26.

 
 


『風の又三郎』の第十三話です。

   (これがお前の世界なのだよ、                                        お前に丁度あたり前の世界なのだよ。)       (それよりもっとほんとうは                                             これがお前の中の景色なのだよ。)       誰かが、或いは諒安(りょうあん)自身が、                         耳の近くで何べんも斯(こ)う叫んでいました。        (そうです。そうです。そうですとも。                                    いかにも私の景色です。私なのです。)  

 *** 『マグノリアの木』 7p *** .
 

 サンタ・マグノリア、覚者の善、不思議の宗教、シルクロードだにゃぁ、『マグノリアの木』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその53』だよん。(^ ^;
<イントロ>
 霧がじめじめ降っていた。
 諒安
(りょうあん)は、その霧の底をひとり険しい山谷の、刻みを渉(わた)って行きました。
 沓(
くつ)の底を半分踏み抜いてしまいながらそのいちばん高い処(ところ)からいちばん暗い
深いところへまたその谷の底から霧に吸いこまれた次の峯へと一生けんめい伝って行きま
した。 
 もしもほんの少しのはり合で霧を泳いで行くことができたら一つの峯から次の巌
(いわ)へず
いぶん雑作もなく行けるのだが私はやっぱりこの意地悪い大きな彫刻の表面に沿ってけわし
い処
(ところ)ではからだが燃えるようになり少しの平らなところではほっと息をつきながら地面
を這わなければならないと諒安は思いました。
                           
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその53』でした。


 マグノリアの木 お気に入りオノマトペ
 季節: 春
         これはこれ              惑う木立の              中ならず              しのびをならう   春の道場     

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=5つが最高。)
Nひらっ:【その汗という考えから一疋(ぴき)の立派な黒い馬がひらっと躍り出して霧の
      中へ消えて行きました。】

ボクの好きなオノマトペ(再読)=5つが最高。)
Oきんきん:【そして諒安はそらいっぱいにきんきん光って漂う琥珀の分子のようなもの
      を見ました。】

 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
ひらっ、っつーの、使えそうで使うことないんだよね。響きは明るいんだよね。


        「サンタ、マグノリア、                                                   枝にいっぱいひかるはなんぞ。」      向う側の子が答えました。                                          「天に飛びたつ銀の鳩。」      こちらの子が又うたいました。                                       「セント、マグノリア、                                                    枝にいっぱいひかるはなんぞ。」     .     「天からおりた天の鳩。」     

  *** マグノリアの木オノマトペ *** .
 

@じめじめ:【霧がじめじめ降っていた。】
Aやっぱり:【もしもほんの少しのはり合で霧を泳いで行くことができたら一つの峯から次の巌
(い
      わ)へずいぶん雑作もなく行けるのだが私はやっぱりこの意地悪い大きな彫刻の表面
      に沿ってけわしい処(ところ)ではからだが燃えるようになり少しの平らなところではほっ
      と息をつきながら地面を這わなければならないと諒安(りょうあん)は思いました。】
Bほっ:【少しの平らなところではほっと息をつきながら地面を這わなければならないと諒安
(りょ
      うあん)は思いました。】
Cガツガツ:【全く峯にはまっ黒のガツガツした巌
(いわ)が冷たい霧を吹いてそらうそぶき折角い
      っしんに登って行ってもまるでよるべもなくさびしいのでした。】
Dぎっしり:【それから谷の深い処には細かなうすぐろい灌木がぎっしり生えて光を通すことさえ

      も慳そうに見えました。】
Eふっ:【何べんも何べんも霧がふっと明るくなりまたうすくらくなりました。】
Fつやつや:【つやつや光る竜の髯
(ひげ)のいちめん生えた少しのなだらに来たとき諒安(りょう
      あん)はからだを投げるようにしてとろとろ睡(ねむ)ってしまいました。】
Gとろとろ:【諒安
(りょうあん)はからだを投げるようにしてとろとろ睡(ねむ)ってしまいました。】
Hうとうと:【諒安
(りょうあん)はうとうとこう返事しました。】
Iはっきり:【どこからかこんな声がはっきり聞えて来ました。】
Jぼんやり:【全く霧は白く痛く竜の髯
(ひげ)の青い傾斜はその中にぼんやりかすんで行きまし
      た。】
Kとっとっ:【諒安
(りょうあん)はとっとっとかけ下りました。】
Lさっ:【そこで霧はさっと明るくなりました。】
Mほっ:【そこは少し黄金
(きん)いろでほっとあたたかなような気がしました。】
Nひらっ:【その汗という考えから一疋
(ぴき)の立派な黒い馬がひらっと躍り出して霧の中へ消
      えて行きました。】
Oきんきん:【そして諒安はそらいっぱいにきんきん光って漂う琥珀の分子のようなものを見ま

      した。】
Pきらっ:【一きれのいいかおりがきらっと光って霧とその琥珀との浮遊の中を過ぎて行きまし

      た。】
Qぱっ:【と思うと俄かにぱっとあたりが黄金に変りました。】
Rずうっ:【「それはマグノリアの木にもあらわれ、けわしい峯のつめたい巌
(いわ)にもあらわ
      れ、谷の暗い密林もこの河がずうっと流れて行って氾濫をするあたりの度々の革
      命や饑饉(ききん)や疫病やみんな覚者の善です。」】

 『マグノリアの木』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。まんず、えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                    2006.3.26.

 
     
 








              酒は圧縮せる液体のパン                                            と云うのは実に名言です。






 
       
 


目次へジャンプ

 

  (貴重なほんのわずかな読者の方々へ)
目次の掲示板に、おたより等お寄せくなさい。 スネオ 拝 (^ ^;

       
 


風の又三郎

 
次ページは第14話『インドラの網』です。
       

    みなさん、国家のため世界のため                                  大(おおい)に酒を呑んで下さい。                                                                        by『税務署長の冒険』

  トップページは優柔不断だなす。                                   ♪酒はギャグ薬の長♪