『いーはとーう゛・おのまとぺ症候群』やっでるだなす。(^ ^;
      おとら狐(ぎつね)のはなしは、                                      どなたもよくご存じでしょう。

 
               狐にだまされた、っつー話は愉快だにゃぁ、『とっこべとら子』


   『イーハトーヴオノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語) .
        おとら狐にも、いろいろあったのでしょうか、                         私の知っているのは「とっこべ、とら子」というのです。
宮沢賢治童話の私設ファンコーナーです。

               ★宮沢賢治童話を是非ぜひゼヒ読んでネ★
んで、回目の今回は、


       ********* 風の又三郎 *********
角川文庫 380円 274p 表紙:飯野和好 注釈・解説:堀尾青史 参考文献・年譜:中村稔 影絵:藤城清治
                               「とっこべ」というのは名字でしょうか。                               「とら」というのは名前ですかね。
                風の又三郎
─────────── 59p
                とっこべとら子 ─────────── 8p
                紫紺染
(しこんぞめ)について────── 9p
                祭の晩 ───────────── 8p
                なめとこ山の熊
──────────14p
                土神と狐
──────────── 18p
                虔十
(けんじゅう)公園林─────── 12p
                化物丁場(ばけものちょうば)───────10p
                耕耘部
(こううんぶ)の時計 ─────── 8p
                毒もみのすきな署長さん ─────── 7p →ここから10ページです。
                税務署長の冒険 ──────────32p
                ガドルフの百合
 ────────── 10p
                マグノリアの木
 ────────── 7p
                 インドラの網
 ──────────── 9p →ここから11ページです。
                 学者アラムハラドの見た着物 ───── 11p
                 ビジテリアン大祭 ────────── 53p の16短編です。

               注:
は『注文の多い料理店3』ご覧ください。

                 は『新編 風の又三郎2』ご覧ください。

                 は『新編 風の又三郎3』ご覧ください。

                   


 
 


『風の又三郎』の第二話です。
      むかし、とっこべとら子は                                             大きな川の岸に住んでいて、夜、                                  網打ちに行った人から魚を盗(と)ったり               買い物をして町から遅く帰る人から                                 油揚げを取りかえしたり、                                            実に始末におえないものだったそうです。
  ** 『とっこべとら子』 8p **  .
 

 狐にだまされた、っつー話は愉快だにゃぁ、『とっこべとら子』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその46』だよん。(^ ^;
<イントロ>
 おとら狐
(ぎつね)のはなしは、どなたもよくご存じでしょう。おとら狐にも、いろいろあったのでしょ
うか、私の知っているのは「とっこべ、とら子」というのです。
 「とっこべ」というのは名字でしょうか。「とら」というのは名前ですかね。そうすると、名字がさま
ざまで、名前がみんな「とら」という狐が、あちこちに住んでいたのでしょうか。
 さて、むかし、とっこべとら子は大きな川の岸に住んでいて、夜、網打ちに行った人から魚を盗
(と)ったり買い物をして町から遅く帰る人から油揚げを取りかえしたり、実に始末におえないもの
だったそうです。
 欲ふかのじいさんが、ある晩ひどく酔っぱらって、町から帰って来る途中、その川岸を通ります
と、ピカピカした金らんの上下
(かみしも)の立派なさむらいに会いました。じいさんは、ていねいに
おじぎをして行き過ぎようとしましたら、さむらいがピタリととまって、ちょっとそらを見上げて、それ
からあごを引いて、六平を呼び留めました。秋の十五夜でした。
                                      
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその46』でした。


 とっこべとら子漫画紹介はできましぇん。

    さびしかぁぁぁぁ。

 

 漫画版『とっこべとら子』は、おそらく多分ありましぇん。
 漫画版『紫紺染
(しこんぞめ)について』も、『化物丁場(ばけものちょうば)』も、『耕耘部(こううんぶ)の時計』
も、おそらく多分ありましぇん。

 っつーことで漫画の紹介は、ずうっとしばらくシバラク暫く、お待ちくなさい。(^ ^;


 とっこべとら子 お気に入りオノマトペ
 季節:
秋の十五夜と春            ハイ、ヤッとさむらいは                                                千両函(ばこ)を又一つ持って参りました。            蓋(ふた)を開くと中に小判が一ぱいつまり、                       月にぎらぎらかがやきました。

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=☆☆☆ 5つが最高。)
Bごわり:【さむらいはふところから白いたすきを取り出して、たちまち十字にたすきをかけ、ご
      わりと袴(はかま)のもも立ちを取り、とんとんとんと土手の方へ走りましたが、ちょっと
      かがんで土手のかげから、千両ばこを一つ持って参りました。】
R
ばやばや:【(第一おら、下座だちゅうはずぁあんまい、ふん、お椀のふぢぁ欠げでる、油煙は
      ばやばや、さがなの眼玉は白くてぎろぎろ、誰(だ)っても盃(さかずき)よごさないえい糞
      面白ぐもなぃ)とうとう小吉がぷっと座を立ちました。】
27
だらり:【お客さまの中の一人がだらりと振り向いて返事しました。】


ボクの好きなオノマトペ(再読)=5つが最高。)
Iウントコショ、ウントコショ、ウウントコショ:【「へいへい。ウントコショ、ウントコショ、ウウントコ
      ショ。ウウントコショ。」】
L
どっかり:【そして荷物をどっかり庭におろして、おかしな声で外から怒鳴りました。】
29
ヘタヘタ:【もう大へんなさわぎです。みんな泥足でヘタヘタ座敷へ逃げ込みました。】
30
かさかさ:【みんなもこれに力を得てかさかさしたときの声をあげて景気をつけ、ぞろぞろ随(つ)
      いて行きました。】
35
ぎっくり:【今度はみんなは却(かえ)ってぎっくりしてしまいました。】
38
かさかさ:【夜中になってから「とっこべ、とら子」とその沢山の可愛らしい部下とが又出て来て、
      庭に抛(ほう)り出されたあのおみやげの藁の苞(つと)を、かさかさ引いた、たしかにその
      音がしたとみんながさっきも話していました。】

 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 ごわり、ばやばや、だらり、mmm、こういうの、好きだなや。(^ ^;


   「開けろ開けろ。お帰りだ。大尽さまのお帰りだ。」                  「あれまあ、父さん。そったに砂利しょて何しただす」  
  ** とっこべとら子オノマトペ **  .
 

@ピカピカ:【欲ふかのじいさんが、ある晩ひどく酔っぱらって、町から帰って来る途中、その川岸
      を通りますと、ピカピカした金らんの上下(かみしも)の立派なさむらいに会いました。】
Aピタリ:【じいさんは、ていねいにおじぎをして行き過ぎようとしましたら、さむらいがピタリととま

      って、ちょっとそらを見上げて、それからあごを引いて、六平を呼び留めました。】
Bごわり:【さむらいはふところから白いたすきを取り出して、たちまち十字にたすきをかけ、ご

      わりと袴(はかま)のもも立ちを取り、とんとんとんと土手の方へ走りましたが、ちょっと
      かがんで土手のかげから、千両ばこを一つ持って参りました。】
Cとんとんとん:【とんとんとんと土手の方へ走りましたが、ちょっとかがんで土手のかげから、千

      両ばこを一つ持って参りました。】
Dごろり:【ははあ、こいつはきっと泥棒だ、そうでなければにせ金使い、しかし何でもかまわな

      い、万一途中相果てたなれば、金はごろりとこっちのものと、六平はひとりで考えて、
      それからほくほくするのを無理にかくして申しました。】
Eほくほく:【六平はひとりで考えて、それからほくほくするのを無理にかくして申しました。】
Fぎらぎら:【蓋
(ふた)を開くと中に小判が一ぱいつまり、月にぎらぎらかがやきました。】
Gハイ、ヤッ:【ハイ、ヤッとさむらいは千両函
(ばこ)を又一つ持って参りました。】
Hハイ、ヤッ、ハイヤッ、ハイヤッ:【ハイ、ヤッ、ハイヤッ、ハイヤッ。千両ばこはみなで十ほど

      そこに積まれました。】
Iウントコショ、ウントコショ、ウウントコショ:【「へいへい。ウントコショ、ウントコショ、ウウントコ

      ショ。ウウントコショ。」】
Jパッ:【さむらいは銀扇をパッと開いて感服しましたが、六平は余りの重さに返事も何も出来

      ませんでした。】
Kよろよろ:【六平は十の千両ばこをよろよろしょって、もうお月さまが照ってるやら、路
(みち)
      どう曲ってどう上ってるやら、まるで夢中で自分んの家までやってまいりました。】
Lどっかり:【そして荷物をどっかり庭におろして、おかしな声で外から怒鳴りました。】
Mガタッ:【六平の娘が戸をガタッと開けて、「あれまあ、父さん。そったに砂利しょって何しただ

      す」と叫びました。】
Nクウ、クウ、クウ:【六平はクウ、クウ、クウと鳴って、白い泡をはいて気絶しました。】
Oちゃん:【どうしてって、私はその偽
(うそ)の方の話をも一つちゃんと知ってるんです。】
Pワッハハ、アッハハ:【もうみんな大よろこび、ワッハハ、アッハハ、よう、おらおととい町さ行っ

      たら魚屋の店で章魚(たこ)といかとが立ちあがって喧嘩した、ワッハハ、アッハハ、そ
      れはほんとか、それがらどうした、うん、かつおぶしが仲裁に入った、ワッハハ、アッ
      ハハ、それからどうした、ウン、するとかつおぶしがウウゥイ、ころは元禄十四年んん、
      おいおい、それは何だい、うん、なにさ、かつおぶしだもふしばかり、ワッハハアッハ
      ハ、まあのめ、さあ一杯、なんて大さわぎでした。】
Qウウゥイ:【それからどうした、ウン、するとかつおぶしがウウゥイ、ころは元禄十四年んん、お

      いおい、それは何だい、うん、なにさ、かつおぶしだもふしばかり、ワッハハアッハハ、
      まあのめ、さあ一杯、なんて大さわぎでした。】
Rばやばや:【(第一おら、下座だちゅうはずぁあんまい、ふん、お椀のふぢぁ欠げでる、油煙は

      ばやばや、さがなの眼玉は白くてぎろぎろ、誰(だ)っても盃(さかずき)よごさないえい糞
      面白ぐもなぃ)とうとう小吉がぷっと座を立ちました。】
Sぎろぎろ:【さがなの眼玉は白くてぎろぎろ、誰
(だ)っても盃(さかずき)よごさないえい糞面白ぐも
      なぃ)とうとう小吉がぷっと座を立ちました。】
21ぷっ:【とうとう小吉がぷっと座を立ちました。】
22ぷいっ:【平右衛門が、「待て、待て、小吉。もう一杯やれ、待てったら」と言っていましたが、小

      吉はぷいっと下駄をはいて表に出てしまいました。】
23にやり:【小吉も怒ってすぐそれを引っこ抜いて田の中に投げてしまおうとしましたが俄
(にわか)
      に何を考えたのかにやりと笑ってそれを路(みち)のまん中に立て直しました。】
24ぷんぷんぷんぷん:【そして又ひとりでぷんぷんぷんぷん言いながら二つの低い丘を越えて自

      分の家に帰り、おみやげを待っていた子供を叱りつけてだまって床にもぐり込んでしま
      いました。】
25ぶらりぶらり:【ちょうどその頃平右衛門の家ではもう酒盛りが済みましたので、お客様はみん

      なでご馳走の残りを藁のつとに入れて、ぶらりぶらりと提げながら、三人ずつぶっつか
      ったり、四人ずつぶっつかり合ったりして、門の処(ところ)まで出て参りました。】
26アッハッハッハ:【「それではお気をつけて。おみやげをとっこべとらこに取られないようにアッ

      ハッハッハ」】
27だらり:【お客さまの中の一人がだらりと振り向いて返事しました。】
28ハッハッハ:【「ハッハッハ。とっこべとらこだらおれの方で取って食ってやるべ」】
29ヘタヘタ:【もう大へんなさわぎです。みんな泥足でヘタヘタ座敷へ逃げ込みました。】
30かさかさ:【みんなもこれに力を得てかさかさしたときの声をあげて景気をつけ、ぞろぞろ随
(つ)
      いて行きました。】
31ぞろぞろ:【ぞろぞろ随
(つ)いて行きました。】
32ありあり:【さて平右衛門もあまりといえばありありとしたその白狐の姿を見ては怖さが咽喉
(の
      ど)までこみあげましたが、みんなの手前もありますので、やっと一声切り込んで行きま
      した。】
33やっ:【みんなの手前もありますので、やっと一声切り込んで行きました。】
34ブルブル:【たしかに手ごたえがあって、白いものは薙刀
(なぎなた)の下で、ブルブル動いていま
      す。】
35ぎっくり:【今度はみんなは却
(かえ)ってぎっくりしてしまいました。】
36やっぱり:【「やっぱり古い狐だな。まるで眼玉は火のようだったぞ」】
37キリキリ:【「源の大将」はお顔を半分切られて月光にキリキリ歯を喰いしばっているように見え

      ました。】
38かさかさ:【夜中になってから「とっこべ、とら子」とその沢山の可愛らしい部下とが又出て来て、

      庭に抛(ほう)り出されたあのおみやげの藁の苞(つと)を、かさかさ引いた、たしかにその
      音がしたとみんながさっきも話していました。】

 『とっこべとら子』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。まんず、えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                     2006.3.18.

 
 


『風の又三郎』の第三話です。
      そこで工芸学校の先生は、                                         山男へ宛てて上手な手紙を書きました。          山男がその手紙さえ見れば、                                       きっともう出掛けて来るようにうまく書いたのです。          そして桃いろの封筒へ入れて、                                     岩手郡西根山、山男殿と上書きをして、                         三銭の切手をはって、                                               スポンと郵便凾(ばこ)へ投げ込みました。
し こん ぞめ            .
 *** 『紫紺染について』 9p ***
 

 まじめな顔して、ほら話だなや、『紫紺染(しこんぞめ)について』

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその47』だよん。(^ ^;

 ところが仲々、お役人方の苦心は、新聞に出ている位のものではありませんでした。その研究中の
一つのはなしです。
 工芸学校の先生は、まず昔の古い記録に眼をつけたのでした。そして図書館の二階で、毎日黄いろ
に古びた写本をしらべているうちに、遂にこういういいことを見附けました。 
 「一、山男紫紺を売りて酒を買い候
(そうろう)事、
山男、西根山にて紫紺の根を堀り取り、夕景に至りて、ひそかに御城下(盛岡)へ立ち出で候
(そうろう)
上、材木町生薬商人近江屋源八に一俵二十五文にて売り候。それより山男、酒屋半之助方へ参り、
五合入程の瓢箪を差出し、この中に清酒一斗お入れなされたくと申し候。半之助方小僧、身ぶるえし
つつ、酒一斗はとても入り兼ね候と返答致し候処、山男、まずは入れなさるべく候と押して申し候。半
之助も顔色青ざめ委細承知と早口に申し候。扨
(さて)、小僧ますをとりて酒を入れ候に、酒は事もなく
入り、遂に正味一斗と相成り候。山男大
(おおい)に笑いて二十五文を置き、瓢箪をさげて立ち去り候
趣、材木町総代より御届け有之
(これあり)候。」
 これを読んだとき、工芸学校の先生は、机を叩いて斯
(こ)うひとりごとを言いました。
 「なるほど、紫紺の職人はみな死んでしまった。生薬屋のおやじも死んだと。そうして見るとさしあた
り、紫紺についての先輩は、今では山男だけというわけだ。よしよし、一つ山男を呼び出して、聞いて
みよう。」
 そこで工芸学校の先生は、町の紫紺染研究会の人達と相談して、九月六日の午后六時から、内丸
(うちまる)西洋軒で山男の招待会をすることにきめました。
                                  
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその47』でした。


 紫紺染について お気に入りオノマトペ
 季節: 9月6日午後6時〜夜
           「いやこんにちは。                                                       お招きにあずかりまして大へん恐縮です。」                        と云いました。                                                         みんなは山男があんまり紳士風で立派なので                    すっかり愕(おどろ)いてしまいました。           ただひとりその中に                                                    町はずれの本屋の主人が居ましたが                              山男の無暗(むやみ)にしか爪(つめ)らしいのを見て             思わずにやりとしました。           それは昨日の夕方                                                   顔のまっかな蓑(みの)を着た大きな男が来て                    「知って置くべき日常の作法。」という本を                           買って行ったのでしたが                                              山男がその男にそっくりだったのです。

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=☆☆☆ 5つが最高。)
Jのっしり:【せなかに大きな桔梗(ききょう)の紋のついた夜具をのっしりと着込んで鼠色の袋の
      ような袴(はかま)をどふっとはいて居りました。】
K
どふっ:【鼠色の袋のような袴(はかま)をどふっとはいて居りました。】
23
かぶり:【山男はお酒をかぶりと呑んで云いました。】
24
かぶりかぶり:【しきりにかぶりかぶりとお酒をのみました。 】
27
へろれって、へろれって、けろれって、へろれって:【そして眼をまっかにして「へろれって、
      へろれって、けろれって、へろれって」なんて途方もない声で咆(ほ)えはじめました。】

ボクの好きなオノマトペ(再読)=★★5つが最高。)
Cスポン:【そして桃いろの封筒へ入れて、岩手郡西根山、山男殿と上書きをして、三銭の切手
      をはって、スポンと郵便凾(ばこ)へ投げ込みました。】
H
ほうほう:【俥屋(くるまや)はまるでまっかになって汗をたらしゆげをほうほうあげながら膝か
      けを取りました。】
Q
がりがりっ:【山男が腰かけた時椅子はがりがりっと鳴りました。】
29
へろへろ:【けれども会長さんももうへろへろ酔っていたのです。】
30
ぱくぱく:【みんなはびっくりしてぱくぱく会長さんの袖を引っぱって無理に座らせました。】

 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
のっしり、どふっ、かぶりかぶり、へろれって、っつーのめっぽう山男ムードだべ? (^ ^;

     「あなたはふだんどんなものをおあがりになりますか。」             「さよう。栗の実やわらびや野菜です。」          「野菜はあなたがおつくりになるのですか。」                        「お日さまがおつくりになるのです。」          「どんなものですか。」                                                「さよう。みず、ほうな、しどけ、うど、                                 そのほか、しめじ、きんたけなどです。」
 *** 紫紺染についてオノマトペ ***
 

@どんどん:【南部の紫紺染(しこんぞめ)は、昔は大へん名高いものだったそうですが、明治になっ
      てからは、西洋からやすいアニリン色素がどんどんはいって来ましたので、一向はやら
      なくなってしまいました。】
Aとうとう:【そしてとうとう、すっかり昔のようないいものが出来るようになって、東京大博覧会へも

      出ましたし、二等賞も取りました。】
Bすっかり:【そしてとうとう、すっかり昔のようないいものが出来るようになって、東京大博覧会へ

      も出ましたし、二等賞も取りました。】
Cスポン:【そして桃いろの封筒へ入れて、岩手郡西根山、山男殿と上書きをして、三銭の切手を

      はって、スポンと郵便凾(ばこ)へ投げ込みました。】
Dあっはっは:【あっはっは。みなさん。とうとう九月六日になりました。夕方、紫紺染に熱心な人た

      ちが、みんなで二十四人、内丸(うちまる)西洋軒に集まりました。】
Eぶうぶう:【もう食堂のしたくはすっかり出来て、扇風機はぶうぶうまわり、白いテ−ブル掛けは波

      をたてます。】
Fぷんぷん:【台所の方からは、いい匂
(におい)がぷんぷんします。】
Gすうっ:【丁度、六時十五分前に一台の人力車がすうっと西洋軒の玄関にとまりました。】
Hほうほう:【俥屋
(くるまや)はまるでまっかになって汗をたらしゆげをほうほうあげながら膝かけを
      取りました。】
Iゆっくり:【するとゆっくりと俥
(くるま)から降りて来たのは黄金(きん)色目玉あかつらの西根山の
      山男でした。】
Jのっしり:【せなかに大きな桔梗
(ききょう)の紋のついた夜具をのっしりと着込んで鼠色の袋のよう
      な袴(はかま)をどふっとはいて居りました。】
Kどふっ:【鼠色の袋のような袴
(はかま)をどふっとはいて居りました。】
Lよろよろ:【俥屋はもう疲れてよろよろ倒れそうになっていましたがやっとのことで斯う云いました。】
Mみしみし:【「旦那さん。百八十両やって下さい。俥はもうみしみし云っていますし私はこれから病院

      へはいります。」】
Nすたすた:【すると山男は、「うんもっともだ。さあこれだけやろう。つりは酒代だ。」と云いながらいく

      らだかわからない大きな札を一枚出してすたすた玄関にのぼりました。】
Oはあっ:【みんなははあっとおじぎをしました。】
Pにやり:【ただひとりその中に町はずれの本屋の主人が居ましたが山男の無暗にしか爪らしいのを

      見て思わずにやりとしました。】
Qがりがりっ:【山男が腰かけた時椅子はがりがりっと鳴りました。】
Rじっ:【山男は腰かけるとこんどは黄金色の目玉を据えてじっとパンや塩やバタ−を見つめ [ 以下

      原稿一枚?なし] 】
Sやっぱり:【どうしてかと云うともし山男が洋行したとするとやっぱり船に乗らなければならない、山

      男が船に乗って上海に寄ったりするのはあんまりおかしいと会長さんは考えたのでした。】
21だんだん:【さてだんだん食事が進んではなしもはずみました。】
22しいん:【みんなはしいんとなりました。】
23かぶり:【山男はお酒をかぶりと呑んで云いました。】
24かぶりかぶり:【しきりにかぶりかぶりとお酒をのみました。 】
25けろり:【お魚が出ると丸ごとけろりとたべました。】
26べろり:【野菜が出ると手をふところに入れたまま舌だけ出してべろりとなめてしまいます。】
27へろれって、へろれって、けろれって、へろれって:【そして眼をまっかにして「へろれって、へろれっ

      て、けろれって、へろれって」なんて途方もない声で咆(ほ)えはじめました。】
28ぶるぶる:【おまけに給仕がテ−ブルのはじの方で新らしいお酒の瓶を抜いたときなどは山男は手

      を長くながくのばして横から取ってしまってラッパ呑みをはじめましたのでぶるぶるふるえ出
      した人もありました。】
29へろへろ:【けれども会長さんももうへろへろ酔っていたのです。】
30ぱくぱく:【みんなはびっくりしてぱくぱく会長さんの袖を引っぱって無理に座らせました。】
31ぼんやり:【「それからあれを染めるには何でも黒いしめった土をつかうというはなしもぼんやりおぼ

      えています。」】
32ざわざわ:【みんなはざわざわしました。】
33ぱくり:【そして実をすっかりたべてからこんどはかまどをぱくりとたべました。】
(かまど=部分)
34ちらっ:【工芸学校の先生はちらっとそれを見ましたが知らないふりをして居りました。】
35ワッハッハ。:【さてだんだん夜も更けましたので会長さんが立って、「やあこれで解散だ。諸君めで

      たしめでたし。ワッハッハ。」とやって会は終わりました。】

 『紫紺染
(しこんぞめ)について』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                       2006.3.19.

 
 


『風の又三郎』の第八話です。
      五六日続いた雨の、やっとあがった朝でした。            黄金(きん)の日光が、                                              青い木や稲を、照してはいましたが、                               空には、方角の決まらない雲がふらふら飛び、                    山脈も非常に近く見えて、なんだかまだ                            ほんとうに霽(は)れたというような気がしませんでした。      私は、西の仙人鉱山に、                                           小さな用事がありましたので、                                      黒沢尻で、軽便鉄道に乗りかえました。      車室の中は、割合空いて居りました。            それでもやっぱり二十人ぐらいはあったでしょう。            がやがや話して居りました。            私のあとから入って来た人もありました。            話はここでも、本線の方と同じように、                             昨日までの雨と洪水の噂でした。

ばけ もの ちょう ば    .
******** 『化物丁場』 10p ********
 

 何度も壊れる工事現場、じわーっと怖いだなす、『化物丁場(ばけものちょうば)』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその48』だよん。(^ ^;

 話はここでも、本線の方と同じように、昨日までの雨と洪水の噂でした。大低南の方のことでした。狐
禅寺
(こぜんじ)では、北上川が一丈六尺増したと誰かが云いました。宮城の品井沼の岸では、稲がもう
四日も泥水を被っている、どうしても今年はあの辺は半作だろうと又誰か言っていました。
 ところが私のうしろの席で、突然太い強い声がしました。
 「雫石、橋場間、まるで滅茶苦茶だ。レ−ルが四間も突き出されている。枕木も何もでこぼこだ。十日
や十五日でぁ、ちょっと六
(むつ)か敷(し)ぃな。」
 ははあ、あの化物丁場だな、私は思いながら、急いでそっちを振り向きました。その人は線路工夫の
絆纏
(はんてん)を着て、鍔(つば)の広い麦藁帽を、上の棚に載せながら、誰に云うとなく大きな声でそう言
っていたのです。
 「ああ、あの化物丁場ですか、壊れたのは。」私は頭を半分そっちへ向けて、笑いながら尋ねました。
鉄道工夫の人はちらっと私を見てすぐ笑いました。
 「そうです。どうして知っていますか。」少し改った兵隊口調で尋ねました。
 「はあ、なあに、あの頃一寸あすこらを歩いたもんですから。今度は大分ひどくやられましたか。」
 「やられました。」その人はやっと席へ腰をおろしながら答えました。
 「やっぱり今でも化物だって云いますか。」
 「うんは。」その人は大へん曖昧な調子で答えました。これが、私を、どうしても、もっと詳しく化物丁場
の噂を聴きたくしたのです。
               
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその48』でした。


 化物丁場 お気に入りオノマトペ
 季節: 秋
と冬       なあに、そうやって、やっと積み上ったんです。                      進行検査にも間に合ったてんで、                                   監督たちもほっとしていたようでした。       私どももそのひどい仕事で、                                         いくらか割増も貰う筈でしたし、                                     明日からの仕事も割合楽になるという訳でしたから、             その晩は実は、春木場で一杯やったんです。       それから小舎(こや)に帰って寝ましたがね、                       いい晩なんです、すっかり晴れて                                    庚申さんなども実にはっきり見えてるんです。       あしたは霜がひどいぞ、                                              砂利も悪くすると凍るぞって云いながら、寝たんです。       すると夜中になって、そう、二時過ぎですな、                       ゴ−ッと云うような音が、夢の中で遠くに聞えたんです。       眼をさましたのが私たちの小屋に三四人ありました。             ぼんやりした黄いろのランプの下へ頭をあげたまま                 誰も何とも云わないんです。       だまってその音のした方へ半分からだを起して                     ほかのものの顔ばかり見ていたんです。       すると俄(にわ)かに監督が戸をガタッとあけて                     走って入って来ました。

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=5つが最高。)
25ポシャポシャ:【「ところが、十二月の十日でしたが、まるで春降るようなポシャポシャ雨が、半日
      ばかり降ったんです。」】

ボクの好きなオノマトペ(再読)=5つが最高。)
Gそっくり:【前に崩れた分もそっくり使って。】
Q
ずんずん:【それもずんずんうしろの方へ遠くなってしまい、向うには栗駒山が青く光って、カラッ
      としたそらに立っていました。】

 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
そっくり、って「まるごと」っつー意味だなや。「そっくりさん」とは違うだなや。(^ ^;

     『起きろ、みんな起きろ、今日のとこ崩れたぞ。                    早く起きろ、みんな行ってくれ。』って云うんです。       誰も不精無精起きました。                                         まだ眼をさまさないものは監督が起して歩いたんです。       なんだ、崩れた、                                                      崩れた処(ところ)へ夜中に行ったって何ぢょするんだ、            なんて睡くて腹立ちまぎれに云うものもありましたが、             大低はみな顔色を変えて、                                         うす暗いランプのあかりで仕度をしたのです。       間もなく、私たちは、                                                 アセチレンを十ばかりつけて出かけました。       水をかけられたように寒かったんです。                              天の川がすっかりまわってしまっていました。       野原や木はまっくろで、                                              山ばかりぼんやり白かったんです。       場処へ着いて見ますと、                                             もうすっかり崩れているらしいんです。       そのアセチレンの青の光の中を                                      みんなの見ている前で                                               まだ石がコロコロ崩れてころがって行くんです。                     気味の悪いったら。
******** 化物丁場オノマトペ ********
 

@ふらふら:【黄金(きん)の日光が、青い木や稲を、照してはいましたが、空には、方角の決まらない
      雲がふらふら飛び、山脈も非常に近く見えて、なんだかまだほんとうに霽(は)れたというよ
      うな気がしませんでした。】
Aがやがや:【がやがや話して居りました。】
Bちらっ:【鉄道工夫の人はちらっと私を見てすぐ笑いました。】
Cやっぱり:【「やっぱり今でも化物だって云いますか。」】
Dすっかり:【雲が下の方と上の方と、すっかり反対に矢のように馳
(は)せちがっていたのです。】
Eきらっ:【電信柱の瀬戸の碍子
(がいし)が、きらっと光ったり、青く葉をゆすりながら楊(やなぎ)がだん
      だんめぐったり、汽車は丁度黒沢尻の町をはなれて、まっすぐに西の方へ走りました。】
Fだんだん:【青く葉をゆすりながら楊
(やなぎ)がだんだんめぐったり、汽車は丁度黒沢尻の町をはな
      れて、まっすぐに西の方へ走りました。】
Gそっくり:【前に崩れた分もそっくり使って。】
Hずうっ:【「だからずうっと脚がひろがっていかにも丈夫そうになったんです。」】
Iカラッ:【「ええ、とても。鉄道院から進行検査があるので請負の方の技師のあせり様ったらありませ

      んや、従って監督は厳しく急ぎますしね、毎日天気でカラッとして却って風は冷たいし、朝な
      どは霜が雪のようでした。】
Jほっ:【「進行検査にも間に合ったてんで、監督たちもほっとしていたようでした。」】
Kはっきり:【「それから小舎
(こや)に帰って寝ましたがね、いい晩なんです、すっかり晴れて庚申さん
      なども実にはっきり見えてるんです。」】
Lゴ−ッ:【「すると夜中になって、そう、二時過ぎですな、ゴ−ッと云うような音が、夢の中で遠くに聞

      えたんです。」】
Mぼんやり:【「ぼんやりした黄いろのランプの下へ頭をあげたまま誰も何とも云わないんです。」】
Nガタッ:【「すると俄かに監督が戸をガタッとあけて走って入って来ました。」】
Oコロコロ:【「そのアセチレンの青の光の中をみんなの見ている前でまだ石がコロコロ崩れてころが

      って行くんです。」 】
Pじっ:【その工夫の人は立ちあがって窓から顔を出し手をかざして行手の線路をじっと見ていました

      が、俄かに下の方へ「よう」と叫んで、挙手の礼をしました。】
Qずんずん:【それもずんずんうしろの方へ遠くなってしまい、向うには栗駒山が青く光って、カラッとし

      たそらに立っていました。】
Rカラッ:【向うには栗駒山が青く光って、カラッとしたそらに立っていました。】
Sしいん:【「それでも夜中になって月も沈み話がとぎれるとしいんとなるんですね、遠くで川がざあと

      流れる音ばかり、俄に気味が悪くなることもありました。」】
21ざあ:【「遠くで川がざあと流れる音ばかり、俄に気味が悪くなることもありました。」】
22とうとう:【「それでもとうとう朝までなんにも起らなかったんです。」】
23だんだん:【「そこで工事はだんだん延びて行って、尤もそこをやっているうちに向うの別の丁場で

      は別の組がどんどんやっていましたからね、レ−ルだけは敷かなくてもまあ敷地だけは橋
      場に届いたんです。」】
24どんどん:【「尤もそこをやっているうちに向うの別の丁場では別の組がどんどんやっていましたか

      らね、レ−ルだけは敷かなくてもまあ敷地だけは橋場に届いたんです。」】
25ポシャポシャ:【「ところが、十二月の十日でしたが、まるで春降るようなポシャポシャ雨が、半日ば

      かり降ったんです。」】
26ざあっ:【「それでいて、その夕方に又あの丁場がざあっと来たもんです。」】
27ぎらぎら:【「天気がよくて雪がぎらぎらしてました。」】

 『化物丁場(ばけものちょうば)』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                      2006.3.19.

 
 


『風の又三郎』の第九話です。
      農場の耕耘部(こううんぶ)の農夫室は、                          雪からの反射で白びかりがいっぱいでした。   まん中の大きな釜からは湯気が盛んにたち、         農夫たちはもう食事もすんで、                                      脚絆(きゃはん)を巻いたり藁沓(わらぐつ)をはいたり、   はたらきに出る支度をしていました。         俄かに戸があいて、                                                  赤い毛布でこさえたシャツを着た                                    若い血色のいい男がはいって来ました。   みんなは一ぺんにそっちを見ました。         その男は、黄いろなゴムの長靴をはいて、                         脚をきちんとそろえて、まっすぐに立って云いました。   「農夫長の宮野目さんはどなたですか。」      「おれだ。」   
こう うん ぶ           .
********* 『耕耘部の時計』 8p *********
 

 舶来の柱時計が気になるにゃぁ、『耕耘部(こううんぶ)の時計』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその49』だよん。(^ ^;

 赤シャツはみんなの仕度する間、入口にまっすぐに立って、室
(へや)の中を見まわしていましたが、
ふと室の正面にかけてある円い柱時計を見あげました。
 その盤面
(ダイアル)は青じろくて、ツルツル光って、いかにも舶来の上等らしく、どこでも見たことの
ないようなものでした。
 赤シャツは右腕をあげて自分の腕時計を見て何気なく低くつぶやきました。
 「あいつは十五分進んでいるな。」それから腕時計の竜頭
(りゅうず)を引っぱって針を直そうとしました。
そしたらさっきから仕度ができてめずらしそうにこの新らしい農夫の近くに立ってそのようすを見ていた
子供の百姓が俄かにくすりと笑いました。
 するとどう云うわけかみんなもどっと笑ったのです。一斉にその青じろい美しい時計の盤面
(ダイアル)
を見あげながら。
 赤シャツはすっかりどぎまぎしてしまいました。そしてきまりの悪いのを軽く足ぶみなどをしてごまかし
ながらみんなの仕度のできるのを待っていました。
                              
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその49』でした。


 耕耘部の時計 お気に入りオノマトペ
 季節: 冬
    「これで午(ひる)だ。」天井でも叫んでいます。       る、る、る、る、る、る、る、る、る、る。         器械はやっぱり凍ったはたけや牧草地の雪を                     ふるわせてまわっています。    脱殻小屋の庇(ひさし)の下に、                                    貯蔵庫から玉蜀黍(とうもろこし)のそりを牽(ひ)いて来た       二疋(ひき)の馬が、首を垂れてだまって立って居ました。       赤シャツの農夫は馬に近よって                                     頸(くび)を平手で叩こうとしました。       その時、向うの農夫室のうしろの                                   雪の高みの上に立てられた高い柱の上の小さな鐘が、          前后にゆれ出し音はカランカランカランカランと                    うつくしく雪を渡って来ました。       今までじっと立っていた馬は、                                       この時一諸に頸(くび)をあげ、                                      いかにもきれいに歩調を踏んで、                                   厩(うまや)の方へ歩き出し、空(から)のそりは            ひとりでに馬について雪を滑って行きました。       赤シャツの農夫はすこしわらって                                     それを見送っていましたが、ふと思い出したように                  右手をあげて自分の腕時計を見ました。       そして不思議そうに、                                                「今度は合っているな」 とつぶやきました。 

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=5つが最高。)
Dる、る、る、る、る、る、る、る、る、る、る:【る、る、る、る、る、る、る、る、る、る、る。脱殻器
      は小屋やそこら中の雪、それからすきとおったつめたい空気をふるわせてまわりつづけ
      ました。】

ボクの好きなオノマトペ(再読)=5つが最高。)
Cどぎまぎ:【赤シャツはすっかりどぎまぎしてしまいました。】
G
しきり:【赤シャツの農夫はすっかり塵(ちり)にまみれ、しきりに汗をふきました。】
27
こんこんこんこん:【外では雪がこんこんこんこん降り、酒を呑みに出掛けた人たちも、停車場
      まで行くのはやめたろうと思われたのです。】

 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
る、る、る、る、る、る、る、る、る、る、る、っつーしつっこさ、おもろいやんけ。(^ ^;

      時計ががちっと鳴りました。                                          あの蒼白いつるつるの瀬戸でできているらしい                     立派な盤面(ダイアル)の時計です。      「さあじき一時だ、みんな仕事に行ってくれ。」                      農夫長が云いました。       赤シャツの農夫は                                                    またこっそりと自分の腕時計を見ました。       たしかに腕時計は一時五分前なのに                              その大きな時計は一時二十分前でした。       農夫長はじき一時だと云い、                                       時計もたしかにがちっと鳴り、それに針は二十分前、             今朝は進んでさっきは合い、                                        今度は十五分おくれている、                                        赤シャツはぼんやりダイヤルを見ていました。       俄かに誰かがクスクス笑いました。                                  みんなは続いてどっと笑いました。                                  すっかり今朝の通りです。       赤シャツの農夫はきまり悪そうに、                                  急いで戸をあけて脱穀小屋の方へ行きました。       あとではまだ                                                           みんなの気のよさそうな笑い声にまじって、      「あいつは仲々気取ってるな。」                                     「時計ばかり苦にしてるよ。」                                          というような声が聞えました。
********* 耕耘部の時計オノマトペ *********
 

@ツルツル:【その盤面(ダイアル)は青じろくて、ツルツル光って、いかにも舶来の上等らしく、どこで
      も見たことのないようなものでした。】
Aくすり:【そしたらさっきから仕度ができてめずらしそうにこの新らしい農夫の近くに立ってそのよう

      すを見ていた子供の百姓が俄かにくすりと笑いました。】
Bどっ:【するとどう云うわけかみんなもどっと笑ったのです。】
Cどぎまぎ:【赤シャツはすっかりどぎまぎしてしまいました。】
Dる、る、る、る、る、る、る、る、る、る、る:【る、る、る、る、る、る、る、る、る、る、る。脱殻器は小屋

      やそこら中の雪、それからすきとおったつめたい空気をふるわせてまわりつづけました。】
Eどんどん:【小屋の天井にのぼった人たちは、器械の上の方からどんどん乾いた玉蜀黍
(とうもろこし)
      をほうり込みました。】
Fすっかり:【赤シャツの農夫はすっかり塵
(ちり)にまみれ、しきりに汗をふきました。】
Gしきり:【しきりに汗をふきました。】
Hピタッ:【俄かにピタッととうもろこしの粒の落ちて来るのがとまりました。】
Iぽろぽろっ:【それからもう四粒ばかりぽろぽろっところがって来たと思うとあとは器械ばかりまるで

      今までとちがった楽なような音をたてながらまわりつづけました。】
Jやっぱり:【器械はやっぱり凍ったはたけや牧草地の雪をふるわせてまわっています。】
Kカランカランカランカラン:【その時、向うの農夫室のうしろの雪の高みの上に立てられた高い柱の

      上の小さな鐘が、前後にゆれ出し音はカランカランカランカランとうつくしく雪を渡って来まし
      た。】
Lじっ:【今までじっと立っていた馬は、この時一諸に頸
(くび)をあげ、いかにもきれいに歩調を踏ん
      で、厩(うまや)の方へ歩き出し、空(から)のそりはひとりでに馬について雪を滑って行きまし
      た。】
Mチラチラ:【炭火はチラチラ青い焔を出し、窓ガラスからはうるんだ白い雲が、額もかっと痛いような

      まっ青なそらをあてなく流れて行くのが見えました。】
Nかっ:【窓ガラスからはうるんだ白い雲が、額もかっと痛いようなまっ青なそらをあてなく流れて行くの

      が見えました。】
Oがちっ:【時計ががちっと鳴りました。】
Pつるつる:【あの蒼白いつるつるの瀬戸でできているらしい立派な盤面
(ダイアル)の時計です。】
Qこっそり:【赤シャツの農夫はまたこっそりと自分の腕時計を見ました。】
Rぼんやり:【農夫長はじき一時だと云い、時計もたしかにがちっと鳴り、それに針は二十分前、今朝

      は進んでさっきは合い、今度は十五分おくれている、赤シャツはぼんやりダイヤルを見てい
      ました。】
Sクスクス:【俄かに誰かがクスクス笑いました。】
21ちらちらちらちら:【外ではちらちらちらちら雪が降っています。】
22ガンガンガンガン:【あの蒼白い美しい柱時計がガンガンガンガン六時を打ちました。】
23ぎょっ:【藁の上の若い農夫はぎょっとしました。】
24ぴたっ:【いままで五時五十分を指していた長い針が俄かに電のように飛んで、一ぺんに六時十五

      分の所まで来てぴたっととまりました。】
25がたがた:【赤シャツの農夫は、窓ぶちにのぼって、時計の蓋
(ふた)をひらき、針をがたがた動かし
      て見てから、盤に書いてある小さな字を読みました。】
26ぴょん:【若い農夫は、も一度自分の腕時計に柱時計の針を合せて、安心したように蓋
(ふた)をし
      め、ぴょんと土間にはね降りました。】
27こんこんこんこん:【外では雪がこんこんこんこん降り、酒を呑みに出掛けた人たちも、停車場まで

      行くのはやめたろうと思われたのです。】

 『耕耘部(こううんぶ)の時計』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                     2006.3.21.

 
 









 
 

      欲ふかのじいさんが、ある晩ひどく酔っぱらって、                   町から帰って来る途中、その川岸を通りますと、                  ピカピカした金らんの上下(かみしも)の                            立派なさむらいに会いました。

 
     









 


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  (貴重なほんのわずかな読者の方々へ)
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風の又三郎

 

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セロ弾きのゴーシュ

 
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      じいさんは、                                                           ていねいにおじぎをして行き過ぎようとしましたら、                 さむらいがピタリととまって、ちょっとそらを見上げて、                それからあごを引いて、六平を呼び留めました。                   秋の十五夜でした。                                                                                 by『とっこべとら子』

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