『イーハトーヴ・オノマトペ症候群』やってます。(^ ^;
      キッコの村の学校には                                                たまりがありませんでしたから                                         雨がふるとみんなは教室であそびました。                                                                by 『みじかい木ぺん』                       ですから教室はあの水車小屋みたいな                            古臭い寒天のような教室でした。

 
                  キッコは鉛筆が大好きなのら、『みじかい木ぺん』


  イーハトーヴオノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語) .
        みんなは                                                              胆(きも)取りと巡査にわかれてあばれています。               「遁げだ、遁げだ、押えろ押えろ。」   
宮沢賢治童話の私設ファンコーナー13です。

               ★宮沢賢治童話を是非ぜひゼヒ読んでネ★
んで、13回目の今回は、


     *** イーハトーボ農学校の春 ***
    角川文庫 430円 165p 表紙:飯野和好 注釈:大塚常樹 解説:板谷栄城 年譜:中村稔   .
                              「わぁい、指噛じるこなしだでぁ。」                                     がやがやがたがた。
               或る農学生の日誌
───────── 26p
               台川
(だいかわ) ─────────── 16p
               イーハトーボ農学校の春
─────── 9p
               イギリス海岸────────────
21p ここまでは12ページです。
               耕耘部
(こううんぶ)の時計 ────── 10p
               みじかい木ぺん ────────── 18p
               種山ヶ原
───────────── 10p
               十月の末 ──────────── 12p
               谷
 ─────────────── 10p
               二人の役人 ──────────── 11p
               鳥をとるやなぎ ────────── 10p
               さいかち淵 ──────────── 11p の12短編です。

              注:
は『風の又三郎』ご覧ください。

                は『新編 風の又三郎2』ご覧ください。

                は『新編 風の又三郎3』ご覧ください。

                   


 
 


『イーハトーボ農学校の春』の第六話です。
      ところがキッコは席も一番前のはじで                               胆(きも)取りにしてはあんまり小さく                                巡査にも弱かったものですから                                      その中にはいりませんでした。      机に座って下を向いて唇を噛んで                                  にかにか笑いながら                                                   しきりに何か書いているようでした。   キッコの手は霜やけで赤くふくれて居ました。      五月になってもまだなおらなかったのです。         右手の方のせなかには                                               あんまり泣いて潰(つぶ)れてしまった馬の目玉のような           赤い円(まる)いかたがついていました。      キッコは一寸ばかりの鉛筆を一生けん命にぎって                 ひとりでにかにかわらいながら                                        8の字を横にたくさん書いていたのです。
****** 『みじかい木ぺん』 18p ******
 

 キッコは鉛筆が大好きなのら、『みじかい木ぺん』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその61』だよん。(^ ^;

 キッコは一寸ばかりの鉛筆を一生けん命にぎってひとりでにかにかわらいながら8の字を横
にたくさん書いていたのです。(めがね、めがね、めがねの横めがね、めがねパン、∞∞∞
くさりのめがね、∞∞∞ ) ところがみんなはずいぶんひどくはねあるきました。キッコの机はた
びたび誰かにぶっつかられて暗礁に乗りあげた船のようにがたっとゆれました。そのたびにキ
ッコの8の字は変な洋傘の柄のように変ったりしました。それでもやっぱりキッコはにかにか笑
って書いていました。
 
               (丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその61』でした。

ps.(めがね、めがね、めがねの横めがね、めがねパン、∞∞∞ くさりのめがね、∞∞∞ )
    ∞∞∞ っつーの、おもろいやんけ。
(^ ^;


 みじかい木ぺん漫画紹介はできましぇん。

    さびしかぁぁぁぁ。

 

 漫画版『みじかい木ぺん』は、おそらく多分ありましぇん。
 漫画版『種山ヶ原』も、『二人の役人』も、『さいかち淵』
も、おそらく多分ありましぇん。

 っつーことで漫画の紹介は、ずうっとしばらくシバラク暫く、お待ちくなさい。(^ ^;


     みじかい木ぺん お気に入りオノマトペ
 季節: 五月         「いってごらん。なぜ泣いたの。」                                       おじいさんはやさしく云いました。     「木ペン失ぐした。」        キッコは両手を目にあててまたしくしく泣きました。           「木ペン、なくした。そうか。そいつはかあいそうだ。                   まあ泣くな、見ろ手がまっ赤じゃないか。」        おじいさんはごそごその着物のたもとを裏返しにして               ぼろぼろの手帳を出して                                             それにはさんだみじかい鉛筆を出して                               キッコの手に持たせました。        キッコはまだ涙をぼろぼろこぼしながら見ましたら                   その鉛筆は灰色でごそごそしておまけに                            心の色も黒でなくていかにも変な鉛筆でした。

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=☆☆ 5つが最高。)
26にがにがにがにが:【キッコはもうにがにがにがにがわらって戻って来ました。】
28
にがにが:【キッコはもう大悦(よろこ)びでそれをにがにがならべて見ていましたがふと算術
      帳と理科帳と取りちがえて書いたのに気がつきました。】

ボクの好きなオノマトペ(再読)=5つが最高。)
Dひらっ:【キッコは泣いて追いかけましたけれども慶助はもうひらっと廊下へ出てそれから
      どこかへかくれてしまいました。】
N
ぼろん:【それから飛んで行ったらしくぼろんという羽の音も聞え樺の木からは雫(しずく)
      きらきら光って降りました。】
 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 にがにがにがにが:【キッコはもうにがにがにがにがわらって戻って来ました。】
 
にがにがにがにが、って、にかにかにかにか、とどう違うのかにゃぁ? (^ ^;


     キッコは思いながらそっと帳面をみんな出しました。            そして算術帳国語帳理科帳と                                     みんな書きつけました。         すると鉛筆はまだキッコが手もうごかさないうちに                   じつに早くじつに立派にそれを書いてしまうのでした。         キッコはもう大悦(よろこ)びで                                        それをにがにがならべて見ていましたが                              ふと算術帳と理科帳と取りちがえて書いたのに                    気がつきました。         この木ペンにはゴムもついていたと思いながら                       尻の方のゴムで消そうとしましたらもう今度は                      鉛筆がまるで踊るように二三べん動いて間もなく                  表紙はあとも残さずきれいになってしまいました。         さあ、キッコのよろこんだこと                                          こんないい鉛筆をもっていたらもう勉強も何もいらない。  

****** みじかい木ぺんオノマトペ ******
 

@がやがやがたがた:【みんなは胆(きも)取りと巡査にわかれてあばれています。「遁げだ、遁げ
      だ、押えろ押えろ。」「わぁい、指噛じるこなしだでぁ。」がやがやがたがた。】
Aにかにか:【机に座って下を向いて唇を噛んでにかにか笑いながらしきりに何か書いているよ

      うでした。】
Bがたっ:【キッコの机はたびたび誰かにぶっつかられて暗礁に乗りあげた船のようにがたっと

      ゆれました。】
Cやっぱり:【それでもやっぱりキッコはにかにか笑って書いていました。】
Dひらっ:【キッコは泣いて追いかけましたけれども慶助はもうひらっと廊下へ出てそれからどこ

      かへかくれてしまいました。】
Eすっかり:【キッコはすっかり気持をわるくしてだまって窓へ行って顔を出して雨だれを見てい

      ました。】
Fちらっ:【そのうち授業のかねがなって慶助は教室に帰って来遠くからキッコをちらっとみました

      が、又どこかであばれて来たと見えて鉛筆のことなどは忘れてしまったという風に顔を
      まっかにしてふうふう息をついていました。】
Gふうふう:【又どこかであばれて来たと見えて鉛筆のことなどは忘れてしまったという風に顔をま

      っかにしてふうふう息をついていました。】
Hずうっ:【新学期からずうっと使っていた鉛筆です。】
Iふっ:【(木ペン樺の木に沢山
(うんと)あるぢゃ)キッコはふっとこう思いました。】
Jぼろぼろ:【そのときキッコは向うから灰いろのひだのたくさんあるぼろぼろの着物を着た一人

      のおじいさんが大へん考え込んでこっちへ来るのを見ました。】
Kきっ:【(あのおじいさんはきっと鼠捕りだな。)キッコは考えました。】
Lピー:【すると頭の上で鳥がピ−となきました。】
Mしいん:【すると鳥はにわかにしいんとなってそれから飛んで行ったらしくぼろんという羽の音も

      聞え樺の木からは雫(しずく)がきらきら光って降りました。】
Nぼろん:【それから飛んで行ったらしくぼろんという羽の音も聞え樺の木からは雫
(しずく)がきらき
      ら光って降りました。】
Oきらきら:【樺の木からは雫
(しずく)がきらきら光って降りました。】
Pしくしく:【「木ペン失ぐした。」キッコは両手を目にあててまたしくしく泣きました。】
Qごそごそ:【おじいさんはごそごその着物のたもとを裏返しにしてぼろぼろの手帳を出してそれ

      にはさんだみじかい鉛筆を出してキッコの手に持たせました。】
Rぼろぼろ:【キッコはまだ涙をぼろぼろこぼしながら見ましたらその鉛筆は灰色でごそごそして

      おまけに心の色も黒でなくていかにも変な鉛筆でした。】
Sすっ:【おじいさんはすっと行ってしまいました。】
21チラチラ:【風が来て樺の木はチラチラ光りました。】
22ぼんやり:【キッコは自分の手首だか何だかもわからないような気がして呆れてしばらくぼんや

      り見ていました。】
23するするっ:【するとまた鉛筆がうごき出してするするっと288と二けた目までのとこへ書いてし

      まいました。】
24じっ:【さあもうキッコのよろこんだことそれからびっくりしたこと、何と云っていいかわからないで

      ただもうお湯へ入ったときのようにじっとしていましたら先生がむちを持って立って「では
      吉三郎さんと慶助さんと出て黒板へ書いて下さい。」と云いました。】
25もじもじ:【そのとき慶助は顔をまっ赤にして半分立ったまま自分の席でもじもじしていました。】
26にがにがにがにが:【キッコはもうにがにがにがにがわらって戻って来ました。】
27そっ:【キッコは思いながらそっと帳面をみんな出しました。】
28にがにが:【キッコはもう大悦
(よろこ)びでそれをにがにがならべて見ていましたがふと算術帳と
      理科帳と取りちがえて書いたのに気がつきました。】
29どんどん:【さあ、キッコのよろこんだことこんないい鉛筆をもっていたらもう勉強も何もいらない。

      ひとりでどんどんできるんだ。】
30すらすら:【その日キッコが学校から帰ってからのはしゃぎようと云ったら第一におっかさんの前

      で十けたばかりの掛算と割算をすらすらやって見せてよろこばせそれから弟をひっぱり
      出して猫の顔を写生したり荒木又右ェ門の仇討のとこを描いて見せたりそしておしまい
      もうお話を自分でどんどんこさえながらずんずんそれを絵にして書いて行きました。】
31ずんずん:【それから弟をひっぱり出して猫の顔を写生したり荒木又右ェ門の仇討のとこを描い

      て見せたりそしておしまいもうお話を自分でどんどんこさえながらずんずんそれを絵にし
      て書いて行きました。】
32ちょっ:【みんなちょっと運算してそれからだんだんさっと手をあげました。】
33さっ:【それからだんだんさっと手をあげました。】

 『みじかい木ぺん』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。まんず、えがっだなす。 スネオ 拝
(^ ^;
                                                     2006.4.16.

 
 


『イーハトーボ農学校の春』の第七話です。
      宿題もみんな済ましたし、                                           蟹を捕ることも木炭を焼く遊びも、                                  もうみんな厭きていました。   達二は、家の前の檜によりかかって、考えました。         ああ。此の夏休み中で、一番面白かったのは、                  おじいさんと一諸に上の原へ仔馬を連れに行ったのと、          もう一つはどうしても剣舞だ。      鶏の黒い尾を飾った頭巾をかぶり、                                あの昔からの赤い陣羽織を着た。      それから硬い板を入れた袴をはき、                                脚絆や草鞋(わらじ)をきりっとむすんで、                          種山剣舞連と大きく書いた沢山の堤灯に囲まれて、            みんなと町へ踊りに行ったのだ。      ダ−、ダ−、ダ−スコ、ダ−、ダ−。                                踊ったぞ、踊ったぞ。                                                 町のまっ赤な門火の中で、                                         刀をぎらぎらやらかしたんだ。      楢夫さんと一諸になった時などは、                                 刀がほんとうにカチカチぶっつかった位だ。
******* 『種山ヶ原』 12p *******
 

 達二の夏休みもあと一日で終わりだにゃぁ、『種山ヶ原(たねやまがはら)』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその62』だよん。(^ ^;
<イントロ>
 種山ヶ原
(たねやまがはら)というのは北上山地のまん中の高原で、青黒いつるつるの蛇紋岩や、
硬い橄欖岩
(かんらんがん)からできています。
 高原のへりから、四方に出たいくつかの谷の底には、ほんの五六軒ずつの部落があります。
 春になると、北上の河谷
(かこく)のあちこちから、沢山の馬が連れて来られて、此の部落の人
たちに預けられます。そして、上の野原に放されます。それも八月の末には、みんなめいめい
の持主に戻ってしまうのです。なぜなら、九月には、もう原の草が枯れはじめ水霜
(みずしも)が下
りるのです。
 放牧される四月の間も、半分ぐらいまでは原は霧や雲に鎖
(とざ)されます。実にこの高原の続
きこそは、東の海の側からと、西の方からとの風や湿気のお定まりのぶっつかり場所でしたか
ら、雲や雨や雷や霧は、いつでももうすぐ起って来るのでした。それですから、北上川の岸から
この高原の方へ行く旅人は、高原に近づくに従って、だんだんあちこちに雷神の碑を見るよう
になります。その旅人と云っても、馬を扱う人の外は、薬屋か林務官、化石を探す学生、測量
師など、ほんの僅かなものでした。
 今年も、もう空に、透き徹った秋の粉が一面散り渡るようになりました。
 雲がちぎれ、風が吹き、夏の休みももう明日だけです。
 達二は、明後日から、また自分で作った小さな草鞋
(わらじ)をはいて、二つの谷を越えて、学校
へ行くのです。
 宿題もみんな済ましたし、蟹を捕ることも木炭を焼く遊びも、もうみんな厭きていました。
        
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその62』でした。

ps.種山ヶ原で達二が牛に逃げられて迷子になってしまうシーンは、
嘉助が馬に逃げられて迷
   子になってしまう『風の又三郎』のシーンとおんなじなのら。


 種山ヶ原 お気に入りオノマトペ
           可愛らしい女の子が達二を呼びました。          「おいでなさい。いいものをあげましょう。                             そら。干した苹果(りんご)ですよ。」    「ありがど、あなたはどなた。」          「わたしは誰でもないわ。                                              一諸に向うへ行って遊びましょう。                                  あなた驢馬(ろば)を有(も)っていて。」    「驢馬は持ってません。只の仔馬ならあります。」       「只の仔馬は大きくて駄目だわ。」          「そんなら、あなたは小鳥は嫌いですか。」                         「小鳥。わたし大好きよ。」
 季節:夏休みもあと一日で終わり


◆オラが好きなオノマトペ(初読)=☆☆ 5つが最高。)
Mべらり:【けれども牛は、美しい草を見る度に、頭を下げて、舌をべらりと廻して喰べま
      した。】
31のっこり:【そして、(ふん。なあに、何処かで、のっこり立ってるさ。)と思いました。】
72
ひょっくり:【黒い路が又ひょっくり草の中にあらわれました。】

ボクの好きなオノマトペ(再読)=★★5つが最高。)
Hいっぷかぷ:【青い 仮面(めん)この こけおどし、 太刀を 浴びては いっぷかぷ、】
I
ぎったりぎたり:【夜風の 底の 蜘蛛おどり、 胃袋ぅ はいて ぎったりぎたり。】
S
ぷるぷる:【二匹の馬は、達二を見て、鼻をぷるぷる鳴らしました。】
63
もくもく:【野原は何だかもくもくして、ゴムのようでした。】
 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
いっぷかぷ(アップアップの方言)、ぎったりぎたり(方言?意味不明)
 ちょいハイレベルだにゃぁ。


        山男がすっかり怖がって、                                           草の上を四つん這いになってやって来ます。                       髪が風にさらさら鳴ります。      「どうか御免御免。何じょなことでも為(さ)んす。」            「うん。そんだら許してやる。                                           蟹を百疋(ぴき)捕って来。」      「ふう。蟹を百疋。それ丈(だ)けでようがすかな。」         「それがら兎を百疋捕って来。」         「ふう。殺して来てもようがすか。」            「うんにゃ。わがんなぃ。生ぎだのだ。」                               「ふうふう。かしこまた。」  

******* 種山ヶ原オノマトペ *******
 

@つるつる:【種山ヶ原というのは北上山地のまん中の高原で、青黒いつるつるの蛇紋岩や、硬
      い橄欖岩(かんらんがん)からできています。】
Aだんだん:【それですから、北上川の岸からこの高原の方へ行く旅人は、高原に近づくに従っ

      て、だんだんあちこちに雷神の碑を見るようになります。】
Bほん:【その旅人と云っても、馬を扱う人の外は、薬屋か林務官、化石を探す学生、測量師な

      ど、ほんの僅かなものでした。】
Cきりっ:【それから硬い板を入れた袴をはき、脚絆
(きゃはん)や草鞋(わらじ)をきりっとむすんで、
      種山剣舞連(けんばいれん)と大きく書いた沢山の堤灯に囲まれて、みんなと町へ踊りに
      行ったのだ。】
Dダ−、ダ−、ダ−スコ、ダ−、ダ−:【ダ−、ダ−、ダ−スコ、ダ−、ダ−。踊ったぞ、踊った

      ぞ。】
Eぎらぎら:【町のまっ赤な門火の中で、刀をぎらぎらやらかしたんだ。】
Fカチカチ:【楢夫さんと一諸になった時などは、刀がほんとうにカチカチぶっつかった位だ。】
Gダ−、ダ−、ダ−スコ、ダ−ダ:【やったぞ。やったぞ。ダ−、ダ−、ダ−スコ、ダ−ダ、】
Hいっぷかぷ:【青い 仮面
(めん)この こけおどし、 太刀を 浴びては いっぷかぷ、】
Iぎったりぎたり:【夜風の 底の 蜘蛛おどり、 胃袋ぅ はいて ぎったりぎたり。】
Jくるくる:【達二は、垣根のそばから、楊
(やなぎ)の枝を一本折り、青い皮をくるくる剥(は)いで鞭
      を拵(こしら)え、静に牛を追いながら、上の原への路をだんだんのぼって行きました。】
Kダ−ダ−、スコ、ダ−ダ−:【「ダ−ダ−、スコ、ダ−ダ−。夜の頭巾は、鶏の黒尾、月のあか

      りは……、しっ、歩け、しっ。」】
Lカンカン:【日がカンカン照っていました。】
Mべらり:【けれども牛は、美しい草を見る度に、頭を下げて、舌をべらりと廻して喰べました。】
Nずっ:【谷の部落がずっと下に見え、達二の家の木小屋の屋根が白く光っています。】
Oごぼごぼ:【まっ白の石灰岩から、ごぼごぼ冷たい水を噴き出すあの泉です。達二は汗を拭い

      て、しゃがんで何べんも水を掬(すく)ってのみました。】
Pピチャピチャ:【牛は泉を飲まないで、却って苔の中のたまり水を、ピチャピチャ嘗
(な)めまし
      た。】
Qぐうっ:【達二が牛と、又あるきはじめたとき、泉が何かを知らせる様に、ぐうっと鳴り、牛も低く

      うなりました。】
Rきらきら:【河が、春日大明神の帯のように、きらきら銀色に輝いて流れました。】
Sぷるぷる:【二匹の馬は、達二を見て、鼻をぷるぷる鳴らしました。】
21ずうっ:【ずうっと向うの窪みで、達二の兄さんの声がしました。】
22ぱっ:【陽がぱっと明るくなり、兄さんがそっちの草の中から笑って出て来ました。】
23きっ:【「今日ぁ午
(ひる)まがらきっと曇る。」】
24すっかり:【空にはうすい雲がすっかりかかり、太陽は白い鏡のようになって、雲と反対に馳
(は)
      せました。】
25どんどん:【せいの高い草を分けて、どんどん牛が走りました。】
26ぐるぐる:【それからまわりがまっ蒼になって、ぐるぐる廻り、とうとう達二は、深い草の中に倒

      れてしまいました。】
27とうとう:【とうとう達二は、深い草の中に倒れてしまいました。】
28ちらっ:【牛の白い斑
(ぶち)が終りにちらっと見えました。】
29カンカン:【空がまっ白に光って、ぐるぐる廻り、そのこちらを薄い鼠色の雲が、速く速く走って

      います。そしてカンカン鳴っています。】
30せかせか:【達二はやっと起き上って、せかせか息しながら、牛の行った方に歩き出しました。】
31のっこり:【そして、(ふん。なあに、何処かで、のっこり立ってるさ。)と思いました。】
32ずんずん:【(なあに、向うの方の草の中で、牛はこっち向いて、だまって立ってるさ。)と思いな

      がら、ずんずん進んで行きました。】
33ぼうっ:【空はたいへん暗く重くなり、まわりがぼうっと霞んで来ました。】
34ぐんぐん:【冷たい風が、草を渡りはじめ、もう雲や霧が、切れ切れになって眼の前をぐんぐん

      通り過ぎて行きました。】
35どきどき:【(ああ、悪くなった、悪くなった。)達二は胸をどきどきさせました。】
36パチパチ:【草がからだを曲げて、パチパチ云ったり、さらさら鳴ったりしました。】
37さらさら:【草がからだを曲げて、パチパチ云ったり、さらさら鳴ったりしました。】
38シイン:【黒板から降る白墨の粉のような、暗い冷たい霧の粒が、そこら一面踊りまわり、あた

      りが俄にシインとして、陰気に陰気になりました。】
39ポタリポタリ:【草からは、もう雫の音がポタリポタリと聞えて来ます。】
40ざわざわざわっ:【すすきが、ざわざわざわっと鳴り、向うの方は底知れずの谷のように、霧の

      中に消えているではありませんか。】
41ぐるっ:【けれども、たよりのないことは、みちのはばが五寸ぐらいになったり、又三尺ぐらいに

      変ったり、おまけに何だかぐるっと廻っているように思われました。】
42ぼんやり:【そして、とうとう、大きなてっぺんの焼けた栗の木の前まで来た時、ぼんやり幾つに

      も岐(わか)れてしまいました。】
43がっかり:【達二はがっかりして、黒い道を又戻りはじめました。】
44キインキイン:【空が光ってキインキインと鳴っています。】
45こわごわ:【達二はしばらく自分の眼を疑って立ちどまっていましたが、やはりどうしても家らしか

      ったので、こわごわもっと近寄って見ますと、それは冷たい大きな黒い岩でした。】
46もっ:【やはりどうしても家らしかったので、こわごわもっと近寄って見ますと、それは冷たい大き

      な黒い岩でした。】
47くるくるくるっ:【空がくるくるくるっと白く揺らぎ、草がバラッと一度に雫
(しずく)を払いました。】
48バラッ:【草がバラッと一度に雫
(しずく)を払いました。】
49しいん:【あたりがほんのしばらくしいんとなりました。】
50ぱたぱた:【空が旗のようにぱたぱた光って翻
(ひるが)えり、火花がパチパチパチッと燃えまし
      た。】
51パチパチパチッ:【火花がパチパチパチッと燃えました。】
52どんどん:【達二はすっかり太い白いたすきを掛けてしまって、地面をどんどん踏みました。】
53ダ−、ダ−、ダ−、ダ−、ダ−スコダ−ダ−:【楢夫さんが空に向って叫んだのでした。「ダ−、

      ダ−、ダ−、ダ−、ダ−スコダ−ダ−。」それから、大人が太鼓を撃ちました。】
54ダ−、ダ−、ダ−、ダ−。ダ−、スコ、ダ−ダ−:【達二は刀を抜いてはね上がりました。「ダ−、

      ダ−、ダ−、ダ−。ダ−、スコ、ダ−ダ−。」】
55ドド−ン ドド−ン:【「ホウ、そら、遣
(や)れ。ダ−、ダ−、ダ−、ダ−。ダ−、スコ、ダ−ダ−。」
      「ドド−ン ドド−ン。」】
56ホッ、ホ、ホッ、ホウ:【「夜風さかまき ひのきはみだれ、月は射そそぐ 銀の矢なみ、打ぅつも

      果てるも 一つのいのち、太刀の軋(きし)りの 消えぬひま。ホッ、ホ、ホッ、ホウ。」】
57ぎらぎら:【刀が青くぎらぎら光りました。】
58ダ−、ダ−、スコ、ダ−ダ−、ド、ド−ン、ド、ド−ン:【「ダ−、ダ−、スコ、ダ−ダ−、ド、ド−ン、

      ド、ド−ン。太刀はいなずま すすきのさやぎ、燃えて……」】
59カチカチ:【組は二つに分れ、剣がカチカチ云います。】
60しっかり:【みなさんはあしたから、又しっかり勉強をするのです。】
61すっかり:【「すっかりしてしまわなかった人は手をあげて。」】
62うとうと:【そして達二は又うとうとしました。】
63もくもく:【野原は何だかもくもくして、ゴムのようでした。】
64そっ:【急いで籠を開けて、小鳥を、そっとつかみました。】
65やっぱり:【やっぱり夢でした。】
66ふら、ふら、ふら、ふら、ふら:【「伊佐戸の町の電気工夫のむすこぁ、ふら、ふら、ふら、ふら、

      ふら、」とどこかで云っています。】
67ミインミイン:【それからしばらく空がミインミインと鳴りました。】
68さらさら:【髪が風にさらさら鳴ります。】
69ズブリ:【達二は、素早く刀を取り返して、山男の横腹をズブリと刺しました。】
70ばたばた:【山男はばたばた跳ね廻って、白い泡を沢山吐いて、死んでしまいました。】
71のっそり:【そして、牛が、すぐ眼の前に、のっそりと立っていたのです。】
72ひょっくり:【黒い路が又ひょっくり草の中にあらわれました。】
73ほっ:【草を焼く匂
(におい)がして、霧の中を煙がほっと流れています。】
74チョロチョロ:【半分に焼けた大きな栗の木の根もとに、草で作った小さな囲いがあって、チョロ

      チョロ赤い火が燃えていました。】
75ひひん:【馬もひひんと鳴いています。】
76ガサガサガサガサ:【天井がガサガサガサガサ云います。】
77ふっ:【霧がふっと切れました。】
78さっ:【陽の光がさっと流れて入りました。】
79きらきら:【草からは雫がきらきら落ち、総ての葉も茎も花も、今年の終りの陽の光りを吸って

      います。】

 『種山ヶ原』のオノマトペ、まんず、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                 2006.4.16.

 
 



『イーハトーボ農学校の春』の第十話です。
      その頃の風穂(かざほ)の野はらは、                                ほんとうに立派でした。      青い萱(かや)や光る茨や                                           けむりのような穂を出す草で一ぱい、                               それにあちこちには                                                    栗の木やはんの木の小さな林もありました。      野原は今は練兵場や粟の畑や                                    苗圃(なえばたけ)などになって                                      それでも騎兵の馬が光ったり、                                      白いシャツの人が働いたり、                                         汽車で通ってもなかなか奇麗ですけれども、                      前はまだまだ立派でした。     九月になると私どもは毎日野原に出掛けました。                殊(こと)に私は藤原慶次郎といっしょに出て行きました。      町の方の子供らが出て来るのは                                    日曜日に限っていましたから私どもはどんな日でも                初蕈(はつたけ)や栗をたくさんとりました。      ずいぶん遠くまでも行ったのでしたが                                日曜には一層遠くまで出掛けました。
      ところが、九月の末のある日曜でしたが、                          朝早く私が慶次郎をさそっていつものように                        野原の入口にかかりましたら、                                      一本の白い立札が                                                  みちばたの栗の木の前に出ていました。      私どもはもう尋常五年生でしたから                                すらすら読みました。      「本日は東北長官一行の出遊(しゅつゆう)につき                  これより中には入るべからず。東北庁」      私はがっかりしてしまいました。                                      慶次郎も顔を赤くして何べんも読み直していました。
********** 『二人の役人』 7p **********
 

 えばってて怖い、けど上役にはへこへこするんだにゃぁ、『二人の役人』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその63』だよん。(^ ^;

 けれども虫がしんしん鳴き時々鳥が百疋
(ぴき)も一かたまりになってざあと通るばかり、一向
人も来ないようでしたからだんだん私たちは恐くなくなってはんのきの下の萱(かや)をがさがさわ
けて初茸(はつたけ)をさがしはじめました。いつものようにたくさん見附かりましたから私はいつか
長官のことも忘れてしきりにとって居りました。
 すると俄かに慶次郎が私のところにやって来てしがみつきました。まるで私の耳のそばでそっ

と云ったのです。
 「来たよ、来たよ。とうとう来たよ。そらね。」
 私は萱の間からすかすようにして私どもの来た方を見ました。向うから二人の役人が大急ぎ

で路(みち)をやって来るのです。それも何だかみちから外(そ)れて私どもの林へやって来るらしい
のです。さあ、私どもはもう息もつまるように思いました。ずんずん近づいて来たのです。
 「この林だろう。たしかにこれだな。」
 一人の顔の赤い体格のいい紺の詰えりを着た方の役人が云いました。
 「うん、そうだ。間違いないよ。」も一人の黒い服の役人が答えました。さあ、もう私たちはきっ

と殺されるにちがいないと思いました。まさかこんな林には気も付かずに通り過ぎるだろうと思
っていたら二人の役人がどこかで番をして見ていたのです、万一殺されないにしてももう縄られ
ると私どもは覚悟しました。慶次郎の顔を見ましたらやっぱりまっ青で唇まで乾いて白くなって
いました。私は役人に縄られたときとった蕈(きのこ)を持たせられて町を歩きたくないと考えまし
た。そこでそっと慶次郎に云いました。
 「縄られるよ。きっと縄られる。きのこをすてよう。きのこをさ。」
 慶次郎はなんにも云わないでだまってきのこをはきごのまま棄てました。私も篭のひもからそ

っと手をはなしました。ところが二人の役人はべつに私どもをつかまえに来たのでもないようで
した。
   (丸写しオシマイ)
 
賢治童話丸写しシリーズその63』でした


 二人の役人 お気に入りオノマトペ
                      遁(に)げるならいまのうちだと                                        私たちは二人一諸に思ったのです。       その証拠には私たちは一寸眼を見合せましたら                   もう立ちあがっていました。       それからそおっと萱(かや)をわけて                                  林のうしろの方へ出ようとしました。       すると早くも役人の一人が叫んだのです。                        「誰か居るぞ。入るなって云ったのに。」                            「誰だ。」 も一人が叫びました。      私たちはすっかり失策(しくじ)ってしまったのです。
 季節: 九月
             ほんとうにばかなことをしたと私どもは思いました。           役人はもうがさがさと向うの萱の中から出て来ました。           そのとき林の中は                                                     黄金(きん)いろの日光で点々になっていました。       「おい、誰だ、お前たちはどこから入って来た。」                     紺服の方の人が私どもに云いました。       私どもははじめまるで死んだようになっていましたが                だんだん近くなって見ますとその役人の顔は                       まっ赤でまるで湯気が出るばかり                                   殊(こと)に鼻からはぷつぷつ油汗が出ていましたので             何だか急にこわくなくなりました。

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=☆☆ 5つが最高。)
Fしんしん:【けれども虫がしんしん鳴き時々鳥が百疋(ぴき)も一かたまりになってざあと通
      るばかり、一向人も来ないようでしたからだんだん私たちは恐くなくなってはんの
      きの下の萱(かや)をがさがさわけて初茸(はつたけ)をさがしはじめました。】

ボクの好きなオノマトペ(再読)=★★★5つが最高。)
22ぽいっ:【慶次郎がぽいっとおじぎをしましたから私もしました。】
 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
しんしん:【けれども虫がしんしん鳴き】
 
ぽいっ:【慶次郎がぽいっとおじぎをしましたから私もしました。】

 
虫がしんしん鳴き、ぽいっとおじぎをしました。mmmどっちもビミョーに変だにゃぁ。(^ ^;



 

      「おい、お前たちの篭(かご)のきのこをみんなよこせ。              あとでごほうびはやるからな。」                                       紺服は笑って云いました。

 

   私たちはだまって篭(かご)を出したのです。   

 

      二人はしゃがんで篭を倒(さかさ)にして                            数を数えてから小さいのはみんな又篭に戻しました。

 

      「丁度いいよ、七十ある。                                             こいつをここらへ立ててこう。」

 

      紺服の人はきのこを草の間に立てようとしましたが                すぐ傾いてしまいました。

 
 

      「ああ、萱(かや)で串にしておけばいいよ。                         そら、こんな工合に。」                                                黒服は云いながら萱の穂を一寸ばかりにちぎって                 地面に刺してその上に                                               きのこの脚をまっすぐに刺して立てました。

 

      「うまい、うまい、丁度いい、おい、おまえたち、                      萱の穂をこれ位の長さにちぎって呉れ。」

 

     私たちはとうとう笑いました。役人も笑っていました。

 

      間もなく役人たちは私たちのやった萱(かや)の穂を               すっかりその辺に植えて                                              上にみんな蕈(きのこ)をつき刺しました。

 

      実に見事にはなりましたが又おかしかったのです。                 第一萱(かや)が倒れていましたし                                  きのこのちぎれた脚も見えていました。

 

********** 二人の役人オノマトペ **********
 

@まだまだ:【野原は今は練兵場や粟の畑や苗圃(なえばたけ)などになってそれでも騎兵の馬が
      光ったり、白いシャツの人が働いたり、汽車で通ってもなかなか奇麗ですけれども、
      前はまだまだ立派でした。】
Aすらすら:【私
(わたくし)どもはもう尋常(じんじょう)五年生でしたからすらすら読みました。】
Bがっかり:【私
(わたくし)はがっかりしてしまいました。】
Cずうっ:【「構うもんか、入ろう、入ろう。ここは天子さんのとこでそんな警部や何かのとこじゃな

      いんだい。ずうっと奥へ行こうよ。」】
Dぐるっ:【はんのきの林がぐるっと輪になっていて中にはみじかいやわらかな草がいちめん生

      えてまるで一つの公園地のようでした。】
Eとうとう:【あんまり苦しくて息がつけなくなるととまって空を向いてあるき又うしろを見てはかけ

      出し、走って走ってとうとう寺林についたのです。】
Fしんしん:【けれども虫がしんしん鳴き時々鳥が百疋
(ぴき)も一かたまりになってざあと通るば
      かり、一向人も来ないようでしたからだんだん私たちは恐くなくなってはんのきの下の
      (かや)をがさがさわけて初茸(はつたけ)をさがしはじめました。】
Gざあ:【時々鳥が百疋
(ぴき)も一かたまりになってざあと通るばかり、一向人も来ないようでした
      からだんだん私たちは恐くなくなってはんのきの下の萱(かや)をがさがさわけて初茸(は
      つたけ)をさがしはじめました。】
Hだんだん:【一向人も来ないようでしたからだんだん私たちは恐くなくなってはんのきの下の萱

      (かや)をがさがさわけて初茸(はつたけ)をさがしはじめました。】
Iがさがさ:【はんのきの下の萱
(かや)をがさがさわけて初茸(はつたけ)をさがしはじめました。】
Jそっ:【まるで私の耳のそばでそっと云ったのです。】
Kずんずん:【ずんずん近づいて来たのです。】
Lきっ:【さあ、もう私たちはきっと殺されるにちがいないと思いました。】
Mやっぱり:【慶次郎の顔を見ましたらやっぱりまっ青で唇まで乾いて白くなっていました。】
Nうろうろ:【うろうろ木の高いところを見ていましたしそれに林の前でぴたっと立ちどまったらしい

      のでした。】
Oぴたっ:【それに林の前でぴたっと立ちどまったらしいのでした。】
Pバラッバラッ:【「うん、いいだろう。」も一人が答えたと思うとバラッバラッと音がしました。】
Qばらっばらっ:【それからばらっばらっと栗の実が栗の木の幹にぶっつかったりはね落ちたりす

      る音がしばらくしました。】
Rそおっ:【それからそおっと萱
(かや)をわけて林のうしろの方へ出ようとしました。】
Sすっかり:【私たちはすっかり失策
(しくじ)ってしまったのです。】
21ぷつぷつ:【私どもははじめまるで死んだようになっていましたがだんだん近くなって見ますとそ

      の役人の顔はまっ赤でまるで湯気が出るばかり殊(こと)に鼻からはぷつぷつ油汗が出
      ていましたので何だか急にこわくなくなりました。】
22ぽいっ:【慶次郎がぽいっとおじぎをしましたから私もしました。】
23ぎくっ:【またかと私はぎくっとしました。】
24ちょっ:【林を出るときちょっとふりかえって見ましたら二人がまっすぐに立ってしきりにそのこし

      らえた蕈(きのこ)の公園をながめているようでしたが間もなく、「だめだよ、きのこの方は
      やっぱりだめだ。もし知れたら大へんだ。」】
25はっきり:【「その辺へかくして置いてあとで我われがとったということにしてお嬢さんにでも上げ

      ればいいじゃないか。その方が安全だよ。」というのがはっきり聞えました。】
26ちゃん:【私たちはちゃんとおぼえていたのです。】

 『二人の役人』のオノマトペ、まんず、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                   2006.4.23.

 
 



『イーハトーボ農学校の春』の第十二話です。

        「さあ、流れて来るぞ。みんなとれ。」                                 としゅっこが云った。       まもなく、小指ぐらいの茶いろなかじかが、                         横向きになって流れて来たので、取ろうとしたら、                  うしろのほうで三郎が、                                               まるで瓜をすするときのような声を出した。     .         六寸ぐらいある鮒をとって、                                          顔をまっ赤にしてよろこんでいたのだった。  .

** 『さいかち淵』 10p **

 水遊びは楽しいにゃぁ、『さいかち淵』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその64』だよん。(^ ^;
<イントロ>
      八月十三日
 さいかち淵なら、ほんとうにおもしろい。
 しゅっこだって毎日行く。しゅっこは、舜一なんだけれども、みんなはいつでもしゅっこという。
そういわれても、しゅっこは少しも怒らない。だからみんなは、いつでもしゅっこしゅっこという。
ぼくは、しゅっことは、いちばん仲がいい。きょうもいっしょに、出かけて行った。
 ぼくらが、さいかち淵で泳いでいると、発破
(はっぱ)をかけに、大人も来るからおもしろい。今
日のひるまもやって来た。
 石神の庄助がさきに立って、そのあとから、練瓦場の人たちが三人ばかり、肌ぬぎになっ
たり、網を持ったりして、河原のねむの木のとこを、こっちへ来るから、ぼくは、きっと
発破
(はっぱ)だとおもった。しゅっこも、大きな白い石をもって、淵の上のさいかちの木にのぼっ
ていたが、それを見ると、すぐに、石を淵に落して叫んだ。
 「おお、発破
(はっぱ)だぞ。知らないふりしてろ。石とりやめて、早くみんな、下流へさがれ。」
 そこでみんなは、なるべくそっちを見ないようにしながら、いっしょに下流の方へ泳いだ。
しゅっこは、木の上で手を額にあてて、もう一度よく見きわめてから、どぶんと逆
(さかさ)
に淵へ飛びこんだ。それから水を潜って、一ぺんにみんなへ追いついた。
 ぼくらは、淵の下流の、瀬になったところに立った。
 「知らないふりして遊んでろ。みんな。」しゅっこが云った。ぼくらは、砥石をひろった 
り、せきれいを追ったりして、発破
(はっぱ)のことなぞ、すこしも気がつかないふりをしていた。
                
(丸写しオシマイ)
 『賢治童話丸写しシリーズその64』でした。


ps.水遊びのシーンは、『風の又三郎』とほぼ同じなんだにゃぁ。

 
 



    さいかち淵 お気に入りオノマトペ

                           そのころ誰かが、                                                     「あ、生洲(いけす)、打壊(ぶっこわ)すとこだぞ。」                  と叫んだ。            見ると、一人の変に鼻の尖(とが)った、                            洋服を着てわらじをはいた人が、                                    鉄砲でもない槍でもない、おかしな光る長いものを、             せなかにしょって、手にはステッキみたいな                          鉄槌(かなづち)をもって、ぼくらの魚を、                            ぐちゃぐちゃ掻きまわしているのだ。    .       みんな怒って、何か云おうとしているうちに、                       その人は、びちゃびちゃ岸をあるいて行って、                       それから淵のすぐ上流の浅瀬をこっちへわたろうとした。  

 季節: 八月十三日と十四日

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=5つが最高。)
Dぼぉ:【するとまもなく、ぼぉというようなひどい音がして、水はむくっと盛りあがり、それか
      
らしばらく、そこらあたりがきぃんと鳴った。】

ボクの好きなオノマトペ(再読)=5つが最高。)
41があがあ:【ところが、そのときはもう、そらがいっぱいの黒い雲で、楊も変に白っぽくなり、
      
蝉ががあがあ鳴いていて、そこらは何とも云われない、恐ろしい景色にかわって
      
いた。】


 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
があがあ:【蝉ががあがあ鳴いていて、そこらは何とも云われない、恐ろしい景色にかわって
      いた。】

 
蝉ががあがあ鳴いていて、っつーの、なんだか恐ろしいにゃぁ。


      その人は、びっくりしてこっちを見たけれども、                       何を云ったのか、よくわからないというようすだった。                そこでぼくらはまた云った。                                           「あんまり川を濁(にご)すなよ、                                       いつでも先生、云うでなぃか。」      .       鼻の尖(とが)った人は、すぱすぱと、                               煙草を吸うときのような口つきで云った。                          「この水呑むのか、ここらでは。」                                     「あんまり川をにごすなよ、いつでも先生云うでなぃか。」   .       鼻の尖(とが)った人は、                                             少し困ったようにして、また云った。                                 「川をあるいてわるいのか。」                                         「あんまり川をにごすなよ、いつでも先生云うでなぃか。」

 ** さいかち淵オノマトペ **.
 

@きっ:【石神の庄助がさきに立って、そのあとから、練瓦場の人たちが三人ばかり、肌ぬぎに
      なったり、網を持ったりして、河原のねむの木のとこを、こっちへ来るから、ぼくは、き
      っと発破(はっぱ)だとおもった。】
Aどぶん:【しゅっこは、木の上で手を額にあてて、もう一度よく見きわめてから、どぶんと逆
(さか
      さ)まに淵へ飛びこんだ。】
Bゆっくり:【それからゆっくり、腰からたばこ入れをとって、きせるをくわいて、ぱくぱく煙をふき

      だした。】
Cぱくぱく:【きせるをくわいて、ぱくぱく煙をふきだした。】
Dぼぉ:【するとまもなく、ぼぉというようなひどい音がして、水はむくっと盛りあがり、それからし

      ばらく、そこらあたりがきぃんと鳴った。】
Eむくっ:【水はむくっと盛りあがり、それからしばらく、そこらあたりがきぃんと鳴った。】
Fきぃん:【それからしばらく、そこらあたりがきぃんと鳴った。】
Gさっぱり:【庄助は、しばらく腕を組んで、みんなのとるのを見ていたが、「さっぱり居なぃな。」

      と云った。】
Hぴょんぴょん:【「発破
(はっぱ)かけだら、雑魚(ざこ)(ま)かせ。」三郎が、河原の砂っぱの上
      で、ぴょんぴょんはねながら、高く叫んだ。】
Iぐったり:【ほんとうに暑くなって、ねむの木もぐったり見えたし、空もまるで、底なしの淵のよう

      になった。】
Jぐちゃぐちゃ:【見ると、一人の変に鼻の尖
(とが)った、洋服を着てわらじをはいた人が、鉄砲
      でもない槍でもない、おかしな光る長いものを、せなかにしょって、手にはステッキみた
      いな鉄槌(かなづち)をもって、ぼくらの魚を、ぐちゃぐちゃ掻きまわしているのだ。】
Kびちゃびちゃ:【みんな怒って、何か云おうとしているうちに、その人は、びちゃびちゃ岸をある

      いて行って、それから淵のすぐ上流の浅瀬をこっちへわたろうとした。】
Lとうとう:【そこで、とうとう、しゅっこが云った。】
Mびっくり:【その人は、びっくりしてこっちを見たけれども、何を云ったのか、よくわからないという

      ようすだった。】
Nすぱすぱ:【鼻の尖
(とが)った人は、すぱすぱと、煙草を吸うときのような口つきで云った。「こ
      の水呑むのか、ここらでは。」】
Oぴかぴか:【その人は、あわてたのをごまかすように、わざとゆっくり、川をわたって、それから、

      アルプスの探検みたいな姿勢をとりながら、青い粘土と赤砂利の崖をななめにのぼっ
      て、せなかにしょった長いものをぴかぴかさせながら、上の豆畠へはいってしまった。】
Pがらん:【ぼくらも何だか気の毒なような、おかしながらんとした気持ちになった。】
Qむっ:【ぼくらは、蝉が雨のように鳴いているいつもの松林を通って、それから、祭のときの瓦

      (ガス)のような匂(におい)のむっとする、ねむの河原を急いで抜けて、いつものさいか
      ち淵に行った。】
Rむくむく:【今日なら、もうほんとうに立派な雲の峰が、東でむくむく盛りあがり、みみずくの頭の

      形をした鳥ヶ森も、ぎらぎら青く光って見えた。】
Sぎらぎら:【みみずくの頭の形をした鳥ヶ森も、ぎらぎら青く光って見えた。】
21ぞろっ:【小さなこどもらは、よろこんで顔を赤くして、押しあったりしながら、ぞろっと淵を囲ん

      だ。】
22しぃん:【それから、みんなしぃんとして、水をみつめて立っていた。】
23きちん:【しゅっこは大へんまじめな顔で、きちんと立って水を見ていた。】
24やっぱり:【けれどもやっぱり、魚は一ぴきも浮いて来なかった。】
25びくっ:【しゅっこはびくっとしたけれども、また一しんに水を見ていた。】
26がやがや:【するともう子どもらは、がやがや云い出して、みんな水に飛び込んでしまった。】
27ぬるぬる:【しゅっこは、はじめに、昨日あの変な鼻の尖った人の上って行った崖の下の、青

      いぬるぬるした粘土のところを根っこにきめた。】
28うん:【ところが、悦治はひとりはさみを出したので、みんなにうんとはやされたほかに鬼になっ

      た。】
29わあわあ:【みんなは、わあわあ叫んで、吉郎をはねこえたり、水に入ったりして、上流の青い

      粘土の根に上ってしまった。】
30ざぶん:【するとしゅっこは、さっきからよっぽど怒っていたと見えて、「ようし、見てろ。」と云い

      ながら、本気になって、ざぶんと水に飛び込んで、一生けん命、そっちの方へ泳いで
      行った。】
31すっかり:【子どもらは、すっかり恐
(こわ)がってしまった。】
32つるつる:【第一、その粘土のところはせまくて、みんながはいれなかったし、それに大へんつ

      るつるすべる傾斜になっていたものだから、下の方の四五人などは上の人につかま
      るようにして、やっと川へすべり落ちるのをふせいでいた。】
33やっ:【下の方の四五人などは上の人につかまるようにして、やっと川へすべり落ちるのをふ

      せいでいた。】
34ぼちゃぼちゃ:【しゅっこは、ぼちゃぼちゃ、もう近くまで行っていた。】
35ひそひそ:【みんなは、ひそひそはなしている。】
36ばたばた:【みんながばたばた防いでいたら、だんだん粘土がすべって来て、なんだかすこうし

      下へずれたようになった。】
37だんだん:【だんだん粘土がすべって来て、なんだかすこうし下へずれたようになった。】
38ぼちゃんぼちゃん:【するとみんなは、ぼちゃんぼちゃんと一度に水にすべって落ちた。】
39ぐるぐる:【三郎ひとり、上をまわって泳いで遁げたら、しゅっこはすぐに追い付いて、押えたほ

      かに、腕をつかんで、四五へんぐるぐる引っぱりまわした。】
40ごほごほ:【三郎は、水を呑んだと見えて、霧をふいて、ごほごほむせて、泣くようにしながら、

      「おいらもうやめた。こんな鬼っこもうしない。」と云った。】
41があがあ:【ところが、そのときはもう、そらがいっぱいの黒い雲で、楊も変に白っぽくなり、蝉

      ががあがあ鳴いていて、そこらは何とも云われない、恐ろしい景色にかわっていた。】
42ひゅうひゅう:【風までひゅうひゅう吹きだした。】
43ぶちぶち:【淵の水には、大きなぶちぶちがたくさんできて、水だか石だかわからなくなってしま

      った。】
44ざあざあ ざっこざっこ:【「雨はざあざあ ざっこざっこ、風はしゅうしゅう しゅっこしゅっこ。」

      というように叫んだものがあった。】
45しゅうしゅう しゅっこしゅっこ:【「風はしゅうしゅう しゅっこしゅっこ。」というように叫んだものが

      あった。】
46がたがた:【ようやく、みんなのいるねむのはやしについたとき、しゅっこはがたがたふるえな

      がら、「いま叫んだのはおまえらだか。」ときいた。】

 『さいかち淵』のオノマトペ、まんず、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                  2006.4.23.

 
 











 
 

      (めがね、めがね、めがねの横めがね、                               めがねパン、∞∞∞ くさりのめがね、∞∞∞ )










 
       
 


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次回配本は『いちょうの実』です。

      さあ、キッコのよろこんだこと                                          こんないい鉛筆をもっていたらもう勉強も何もいらない。                                               by 『みじかい木ぺん』