評論家の金美齢さんは15日、靖国神社境内で開催された第23回戦没者追悼中央国民集会のなかで挨拶し、「台湾は中国に飲み込まれました。日本も全く同じ状況にあります、皆さんが日本を守ること、これが英霊に報いる唯一の道です」など、要旨、次のように語った。
一、ここ数日、私のホームページに「親日だと思ってきた台湾人が靖国神社で狼藉を働いた。これは一体どういうことですか?」という問い合わせがありました。私はそれを見てませんので判りませんが、過去、高金素梅という台湾の原住民出身の立法議員が毎年、毎年、大がかりな抗議行動、パフォーマンスをやっているのです。
一、事前に分かると外で止めるのですが、多分今年は油断して判らなかったのでしょう。私が言いたいのは、民主主義ですから誰が何を考えようがそれは自由です。靖国に反対する日本人もいれば中国人もいる。それはそれで誰もノーとは言わない。ただこの聖域にそういう人を入れることは許されるべきではない、ということです(拍手)。
一、ましてやこんなことで「親日的だと思っていた台湾人がこんな事をするというのはどういうこと?」という短絡的な反応をする日本人も判っていない。世の中にどれだけの価値観があるのか、日本人自身、反日的な日本人がどれだけあるのか?。この靖国に参拝するある意味で一握りの日本人以外に、靖国という存在すら意識した事もない日本人が一杯いるということに、まず日本人自身が反省すべきです。
一、私が日本の政治家なら、日本の政府なら、毎年、日本の聖域である靖国で狼藉を働く外国の政治家は入国禁止にします(拍手)。そしてそういうようなことやった結果を見たら、即刻退去を命じます。どうしてそれが出来ないのですか、政治的な理由でやっているのです。ですから日本人の責任が問われるというのはそういうことなんです。
サイレントマジョリティが声を上げよ!
一、自分の主権は、国の尊厳は国民の一人一人が守らなければならないのです。もちろん、政治家が率先して守るべきなのですが、それを支えるのが一人一人の国民である有権者の筈です。しかし、いまの体たらくを見てますと日本は残念ながらますます衰退すると言わざるを得ません。悲しいことです、残念なことです。
一、あの偏向したメディアの横暴を許しているいまの状態。ジャパンデビューの話が出ました。あれだけ偏向した番組を一部の人だけが抗議をしているけれども、多分、多くの日本人はそれを信じている。しかしああいう偏向した番組をどんどん流されて刷り込まれていけば、日本は衰退していくばかりなんです。何故ならば全員が自虐史観を刷り込まれるからなんです。
一、あの番組のコンセプトは何か。「未来を開く鍵は過去の歴史にある」という。そしてその過去の歴史を扱ったあの番組は、ひたすら日本の過去は加害者であると、そういう見地から番組が作られているのです。ということになると、日本は悪い、台湾で悪いことばっかりしてきたということを刷り込まれた若い人が、日本に誇りを持てるでしょうか。日本人として自信を持って国際社会に出て行くことが出来るでしょうか。否です!。
一、だから今の日本の体たらくがあります。メディアの責任は非常に大きい。だけれども、それを見逃している日本人は全員に責任があると私は思います(拍手)。この間の都議会議員選挙、涙が出ます。昨日今日、立候補した人も民主党ならいい、若ければいい、自転車に乗っていればいい、女性ならもっといい、それで一票入れるという東京都民のレベル。
一、細田幹事長の言った「日本人のレベルが疑われる」というのは正に真実なんです(拍手)。ただし、気の毒なことに政治家はいえない、だから皆さんが言わなければいけないのですよ。サイレントマジョリティって言われる人がもっと声を上げなければいけないのです。それをしないということは、皆さん、一人一人に責任があるということなんです。
台湾も「生活第一」でメディアに騙された
一、私はいま、台湾の問題で皆さんにお伝えしなければならない事があります。台湾はいま、中国のブラックホールに飲み込まれようとしています。一昨年末の国会議員選挙での大敗、昨年の総統選挙での大敗。それによって政権はまた国民党の手に戻りました。国民党というのは中国人の中国国民党なんです。あれだけ国民党の圧政に苦しめられた台湾人は、もうそれをすっかり忘れて、一番単純なキャッチフレーズ「生活第一」、中国と仲良くして経済を良くしますという馬英九の言葉にころっと騙されてしまいました。
一、そして陳水扁政権は何もしなかったじゃないか、お灸を据えようというメディアの洗脳に全部乗ってしまってこの体たらくです。私は馬政権になったら中国に飲み込まれると予言したのですが、こんなに早く事態が動くとは予想だに出来ませんでした。実はいま、日本で同じようなことが起ころうしているんですよ。「生活第一」、その通りです。一人一人にとって生活はとっても大事なことです。私にとっても大事です。
一、しかし、国の安定なくして、国の安全なくして、国が豊かでなくて、一人一人の生活が良くなると思いますか?。そこがすっぽり抜け落ちてしまった有権者の価値観。正に一昨年、昨年と台湾が大失敗したのとパラレルしています。多くの台湾人が悔やんでいます。「こんな事と知ったら馬英九に一票入れるんじゃなかった」と。しかし、遅すぎます、もう間に合いません。もう台湾には救いがありません。
一、いま、しっかりしなければならないのは日本です。日本こそはこの地域の最前線になったのです。皆さん、その覚悟で今日のこの靖国参拝を噛みしめて下さい。亡くなった方々への敬意とは何ぞや、それはあの人達が守ったこの大切な日本という国を、今度は皆さんが守ると言うことです。これでしかあの方々の犠牲に報いる道はありません。ありがとうございました(拍手)。