詩歌集夢現第三集 夢幻 (平成十二年九月 編)
第四部 《夢 幻 歌》
[俳 句 ・ 短 歌/全 八 百 句 首]
《平成10年から平成12年まで》 著作 日高よし子
(ホームページ用)抜粋335句首+2
☆
p120
☆精神は 感動を 母に 表現を 父にして 生まれ (夢現より)
☆精神は 感動を 栄養に 詩歌で それを 排泄して ( 同 )
☆
平成10年(p121〜p127)
1 三線譜 唱う雀は ソラソラ ミ
2 重圧感 「大暑」の如く 亡き父は
3 雲が 横 空を飛びたる あの実感
「最初だけの」 たびの 若き日
4 時の 「め」は ただ茫々と 閉じる 迄
5 感性は 大人の中で 順番に
目覚める 子供 「好きなものが好き」
6 夏だ カラッ 打上げ花火 夕立や
(ハチャトリアンの仮面舞踏会に)
7 陽陰(要因)は 社会の 内外 仮面 着け
心の素顔 鏡に 見付け
8 肩パット 胸張り闊歩 大股で
よ脱ぎて鎧 息を畳むや
9 迎え火や 提灯あかく ほおづきて
10 猫の黒 夜が 目を持ち 歩く影
11 刻々と 巡回 時間ときの エレベーター
そこが0階 午前四時
12 秋の虫 玄関入りて 「処暑」と なリーン
13 「金環食」 0 腺 の中 感涙は (夕刊記事に)
14 「ルルルリーン」 ガラスの羽根の 拍子木で
招く 鈴虫 「寝屋川まつり」 (八月三十日)
15 秋 一リン きくや 鈴虫 「晩夏やね」
16 「未知の旅」 人間ロボット 不老不死
砂上の楼閣 地球の 嵐
17 二学期の 雑巾 一針 夏休み
入れて 目で追う 丸めて ピリオド
18 二学期や 制服 足も 靴の 中
19 明月と オリオン座の 間に 未明道
20 コーヒーは ホッと なります 秋飲(in)に
◆
21 旬感の 芸術の秋 「実」感 す
22 偉大なる芸術家の 想い出は
「夢現」の「夢弦」 「夢幻」に 無限
23 宙脳の 交差点で 対話する
エレクトーンの 右手 左手
24 東寺当時から 新幹線くぐり 菩提寺へ
25 空そら耳音ね 蝉なく 彼岸 墓参段
26 二山の 谷間積上げ 尖高と (TV/「大河カンガー」)
ガンジス源流 白亜の神山
27 囚われず 囚わらず だが こだわって 唯れ 我 身上なり
28 夏 しめて 洗濯物も 秋霖や
29 今日も 雨 「月」「日」 恋ひしや 三回忌 (亡弟9月28日)
30 「金は時」 蓄えありて 「時」があり
31 「風 車」 太陽呼んで くーるくる (小学校)運動会
32 天っ晴れや 名月の空 「リレー」なり
33 五年過ぎ 甥子は中学 運動会
黄蝶(貴重)な 観客 亡き妹と
34 応援か 黄蝶に 蜻蛉 蜂 雀
鳩も 烏も 果ては 飛行機
35 「ふりだし」は 雷雨 大雨 小雨なり
夕立 秋霖 「上がり」 晴天
36 Gyo Gyo!(ギョ 玉) 割れ たまたまの目玉品
「スマイル」一杯の 夕食に 「エッグ」
(平成十年十月十日に)
37 灯燈火(とうとうか) 遠く(とう)く 点々(てんてん)
天道虫(てんとう虫(む+し) (6+4)
38 小三の 甥子は自分を 「俺」と 言う
「少年の時」だけ 「僕」と言ってや
39 甥子の 「夢は友達」 音楽会
守れ 約束 「指切りげんまん」
40 甥子は どんぐりころころ 九才に
プレゼントとみち 「気持ちいい風」
◆ 戻る
41 バースディ ローソク 電球 螢光灯
「七十七」を 母は ともせり
42 「五十」の とう(五重の塔)
二段目の 空 秋晴れ我 (52才に)
43 流星雨 獅子座の夢は お流れに
44 俳句 菊 「日本晴れ」なり 文化の日
45 てんてんと 雲が 手毬を つき(月)みち に
46 ディスカバリー 万葉仮名から ひらがなへ
時代の頁 人類の宿題
47 大通り 寒々 十人 同窓会 (小学校)
48(太間公園「ラブ遊」淀川にて)
ウオッチング Iアイ LOVEラブ YOU ユウて 青い鳥
49 河川敷 地球の土手に 甥子 我
百八十度の バード・ウォッチング
50 陽が沈む 二度と昇らぬ 今日の 日 は
51 晩秋を くゆる 紅葉 あかく かき
52 車道 折れ 一転 開く 紅葉みち
53 少女のひ 喜怒哀楽も この葉ように
54 彼方か のスペイン フラメンコダンサー 目に熱し
ギター五重奏曲 現在いま 耳 熱し
55 さくらくよう 神に拾われ 押しばなり
56 気品とは 一岩の雨 人間に
葉 捨て切った 木 日 ん(気品)なりて
57 噴き上げる 泉筋の噴水みず 彫刻は
裸木の 桜 魂の 饗宴
58 カセットの テープは 過去へ ひた走る
母の 身体も 「昨日」へ 戻れ
59 十二月 母 入院の 冬至 なり
60 病院の エレベーターで あいし 赤子
全て 見透す 仏の 眼(まなこ)
◆
61 神棚に 柏手 この手 亡き父が
62 今の年我わ 演奏会へ 夢開き
み実 わ 鳳仙花 「緑」に 朱く
平成11年 (p127〜p139)
63 「待ちぼうけ」 寅 転がり出て 卯(兎)年
64 うさぎ年 お餅を食べて 希望を 「おもち」
65 望月の 白兎の 朝の 元日に
南天の 実て 満天の 朱(あか)
66 大阪で 生まれ 我と 甥子 養分の
大阪弁は メディアに喰われ
67 駆け葉(よう)よ 雀と一緒 チュン タッ 地
68 落ち葉(よう)とも 「かごめ かごめ」と たわむれし
69 「星が丘」 上り 下りの 「天の川」
70 ピカッ ピカチュウ いい加減 ドラエモン
夢チュウ 熱チュウ 人間の あい(愛)だ
71 丸四年 「ハートの火と矢」 未来指す (阪神大震災)
我等の 眼差し ローソクの「土」
72 甥っ子に して上げたい 少女時に
して貰った事 して貰えぬ事
73 はいくぎり 心象風景 ワンカット
74 かくことは 水になりぬる 「通行証」
75 天上絵 うつす地上絵 わ が 魂
76 地球人 素 宇宙人(塵) このみちは
宇宙の藻屑 人間「一」から
77 節分や 「鬼」と一緒に 「雪」女
78 「一輪の美」に 出会う為 生まれきし
79 大宇宙 永しき 地球 今日明けて
短歌 詠む我 一生星 魂片
80 貝殻の 触れる音 なり スイートピー
◆ 戻る
81 ポッ ポッ と 桃の灯が点く 節句道
82 日めくりて 落ち葉養 分に 桃の花
83 「五百羅漢」 てるてる坊主の 面構え
84 はなばかり クシャミ クシャミの 粉花口
85 心彩(震災)の 「レインボーハウス」 糧にして
その土でこそ 咲く花もあれ
86 我わの一輪 「レインボーハウス」に 花と咲け
床や 柱の 愛を信じて
87 我 投稿 「約束された人生」も
入賞だけは 約束されず
88 水玉り 水面跳ねけり ピアニシモ (A・ルビンシュタインに)
89 雨 降りて 我は 昇りて 彼岸 段
90 五重の塔 寡黙に 座して 千年や
91 ほどほどの ほどよき 人生 平 平凡
92 目指しても 海を 鰯は 日に目刺し
93 スターなり 今 上月へ 晃(のぼる)人 (上月晃さん死去に)
94 一月は「往きて」 二月は「逃げる」とや
三月「去り」て (日々)ひびきて「四月」
95 「先生」は 名手の音楽 聴き身いる
感動開墾 エレクトーン我
96 我 投稿 ルルルリーンは 哀しい音色ね
「花灯」は消えて 「つながり」ならず
97 干し物は 風と ブランコ 「春の歌」
98 この通り みち来る さくら ゆく通り
99 群れて飛ぶ 位置より 鳥 我 一羽とり
100 「或る人」の 一弦 一道 天に松
◆
101 桜雨 みんな 墜ちたり 地の てんに
102 新学年 「学校便り」に 異動さる (上の甥子の小学校の先生)
「さくら」「柳」も 「河」面 流れり
103 雨降った ことを忘れる 快晴声さ
「選挙に来れた」と 母は杖つき
104 あけし 春 競うも 花なら 散る時も
105 天女あまが撒く 木が受け 桜 地が留めて
106 感動の 「星」の貯蔵庫 おく テープ
かけて みちたる 軌跡の 月 日
107 エレクトーン 押さえるでなく 心乗せ
弾く 音楽 なりと 解感 5年
108 聴かせたき 人 なくも 弾く 「セレナーデ」 (シューベルト)
109 花の 春 増す毎 富に 美わしき
110 満願の 日々 快方に 百羽鶴
おり折りた 甥子へ 祖母は 着地治 す
111 さきゆくも 花に くるまれ 還る春
112 夜をさ裂く 白きつつじ わ 心さく
113 日本晴れ 憲法記念日 「傘」の中
114 天才の 閃き 一途の 不摂生
115 キラリ キラ 星がこぼれる 若葉の 日
116 告別式 天の道まで 五月晴れ (母方・叔父)
117 五月蝿いは葉 おしゃべりばかり 若葉 風
118 白墨の 炭とかしたり 白骨や
119 ひっそりと いきし人の 告別式
千人よりも 真涙親類 まする
120 母代わり 「母の日」 甥子 二人して
洗濯 干して 食器 洗って
◆ 戻る
121 立夏 こえ 若葉 膨らむ もりもり盛々と
122 研ぎ汁を 遣る 以外に 手もかけず
苺 今年も 五月を み た り
123 中学校 参観科目の 音楽に (浜辺の歌)
「昔の事ぞ 偲ばるる」
124 苔寺の 時の 流れは 水音 のみ (TV/西方寺に)
125 苔寺は 俗界遮断 安ら木て
126 風浪に 枯山水の 岩の顔
127 苔寺は 地球と 火星が 同居して
128 新緑も 日々 ふる古 びたり 深緑に
129 つゆ光り 雨に 若葉と 黒髪や
130 「蚊の舞」や きりきりまいった か い っ ぴ き
131 たんぽぽは 気流の ままに 綿帽子
来る そのように 飛んで 立ち たり
132 (平成十一年六月十二日・前橋汀子&フィンランド交響楽団演奏会に)
急行に 乗りて 心も 「シンフォニーホール」
133 彼かの女ひとを 去年 唖然と 今年いま 呆然と
134 魂身渾身 を 弓が 打ちたり 「芸術家」
135 感動の 大浪 拍手で 打ち 返す
136 「スラブ舞曲」 思わず 流れ 涙 ふく
彼か の女ひとの 弦で 聴きたかった
137 演奏後 熱気の 拍手 渦の中 微動だにせず 起立規律団員
138 会館も 同じ 六月 同じ道
足音 重なり 響く 感動
139 ヴィオロンの ひと ひ 引火 沸騰夜
アク浮き出でて 爽快なる 朝
140 感動芽 心の土を 耕しぬ
わくわく種子 わ 花 さきさきて
◆
141 蝶を もう みる事は ない 切り花や
142 パソコン世 表情 なくし 字の「顔」も
143 流れつき 時代の責任 メダカ 危機
144 漆黒夜 「光の教会」 十字窓 (TV/光の教会に)
全 日 下より 眩し 明 光
145 何よりも 花 持ち似合う 甥子こ なりや
146 天の川 過去と 未来を 渡し船
147 「七・八」 魂のバースディ 満二才
「スラブ舞曲」 かけて あの日へ
148 一音も 聴きもらすまい にちにち(日々)は
まつり縫い なり 夢の 弦いと目よ
「TV神々の詩に」
149 源流の 木の先端で「ナマケモノ」
木の眼の様に ただ 宙空のみを
150 地をみずに ただ空ばかり 「ナマケモノ」
悲しみ 喜び 一切 拒否して
151 夏の雨 昼に 降っても 夕立や
152 お碗型 新聞に盛られ かき氷
顔中 苺色の 遠 き 日
153 忘れ たね「種」 あかし 去年を 鳳仙花
154 ただ 「月に 一度」の 生命断ち 作家 「江藤淳さん死去の報」
155 「大暑」の日 雀も鳴かぬ 夏の天「そら」
156 爽やかさ 汗で流して 地 光る
盆踊り前の 公園清掃
157 生きものを ジグソウパズル に 並ぶれば
一つの 形 地球に なりき
158 一心に 北海道向け 甥子は
宿題 終えて 明日は 立つなり
159 盆踊り 初めて わ かく 人となる
160 切れ目なく 満月描いて 盆踊り
◆ 戻る
161 幾重やら 高齢なるも 盆踊り
亡き妹 在らば あの歳迄も
162 ジャンボ機の 飛び立ち後を 蜻蛉 追う
163 夕立は 地面も 樹木も 行水や
164 昨日から 「大」の字の侭 スヌーピー
165 車道こえ 蝉の迫りて 遠去かり
166 ただひとつの 月なればこそ 輝きぬ
167 うれうれし トマトまとめて二百円
熟々 もりもり食べ もう あか ん
168 迎え木の 燃え尽き 骨の 砕れたり
169 迎え火の 燃えて 蛍火 やみとなる
170 魂の 呼吸 みえたり 風灯絵
171 未来には 地球の「衛星」 土星の「環」
172 ちょっと買い ちょっと作って ちょっとゴミ
四分の二 甥子居ぬ 二週間
173 送りたる 高速道を 迎え行く
甥子の 飛行機 我も 「伊丹」へ
174 高速料 トラック以外 七百円に
大きさ 重さ 半分の「軽」も
175 私にも 夏休みだった 十五日間
176 心の ネジを 外して 深呼「吸」 〔ゆとり川柳・投稿〕
177 思い遣り 慰わりあいて 譲る道 々
178 ■ 急ぐ道 十分 早く出 花に風 々(入選)
179 旬(瞬)の芽(目)に いつかあるはず 花の時 々
180 「亡き妹」 七回忌 甥子は 九才 十四才に
◆ 戻る
181 募金して 「愛は地球を救う」なり
鈴虫貰ひ 「寝屋川まつり」
182 冥界の 共鳴音 なり むしの稟
183 ピカ一の 音の宝石 鈴虫は
184 遍路人 何処まで連なる 鈴虫すずの稟
185 秋の「リーン」 夏の終わりや 冬の前
186 遥かなり 「自然界」へ 還る道
郷愁の すむ 鈴虫すずの音色おといろ
187 秋のうみ すみずみすみて 鈴虫音
188 啼き刻む 秋を キリギリス 蟲の聲
189 鈴虫の 触角借りたき 岐路のとき
190 ひたすらに 羽根を震わせ 鈴虫は
啼き 透して 秋の果て迄
191 さりげなく 咲流して 秋桜は
192 秋雨の 弦を爪弾く 三味線しゃみの音
193 鈴虫や 一りん いちりん 秋いける
194 にほんばし 食べる箸と 渡る橋
195 サボテンは 真面目に咲いても サボッテンか
196 天(そら)に着く 階段がある ステーション
197 素晴らしいとわ あの時も「現在」いまも 素晴らしい人
198 苦(九)難月 台風 地震 天に地に
199 皆んな 頑張った 誰かが一位で 誰かビリ
200 晩夏から 仲秋なりて 鈴虫すずの音は
フォルテから ピアニシモふる
◆
201 ドラマとは云えど 同じ氏(日高)の人
銀河鉄道 「もえ」旅立たむ (TV/すずらん)
202 うすめきて 鈴虫の音 幽か なを澄んで
203 いづれのち いのちのみくう 落柿や
204 踏切りの 地下道海底 ひとくぐり
人しな定めさる 壁絵の 魚等に
205 運動会 きょう(競)PTAリレー
ドリブル走 年齢トップ 順位わビリ
206 鳳仙花 バッタに すかれて は葉 げっそり
207 美(微)妙なる 心の表情 「ロンド」して (ショパン・ロンドに)
208 ワープロで 同窓会の 案内状
我も 器械の 一部となりて
209 木の「緑」 わかく背景 いま全景
210 去年から 入退院もあり この一年
母の バースディ 喜び ひとしお
211 静寂さ なくことのなし 鈴虫は
212 星の精 「レクイエム」 なりやまず
213 三人で 土に埋葬 鈴虫 リン(稟)
214 又 ひとつ 秋を重ねて 五十三
215 文化の日 のまる 歴史に 「天長節」
216 満つる みよ 欠ける月あり 「福祉の日」
217 汗 捨てる 麦茶も残り 「立冬」や
218 「影」の 時 不動の年を 「語らい山」 (夕刊に)
219 甥子の 参観日は 小学校
懇談会に 中学校へ
220 精霊に 「肉」を 食べられ かるからん
◆ 戻る
221 みちとなる 「善」は行くもの 「美」は還るもの
222 信号停 迷い子 落葉 見届けず
223 電池切れ 部屋 部屋 時間は まちまちに
地球の国の 時差の如くに
224 十一回目 運転免許 更新日
熟達 したる 晩秋の 彩
225 木造の 校舎 机も 木造りの (小学校時代)
寒い冬には 石炭ストーブ
226 霜月の 今日が 最後の 紅葉や
227 落葉の 死体重なり 風もなく
228 順番に 秩序 正しく 秋 落葉
229 幾枚葉 身を寄せ合いて 吹き溜まり
230 雲行きは 変わる 流れも 私動 して
231 山間を 天から見れば 谷 が 山
232 柿の木の 五百年 私の 五百年後は? (新聞・写真に)
233 みを 捨てて 動めきそう 柿 の 枝
もちあわすことなし 女の情念
234 離陸する 一大決心 遂に 無し
235 「歓びの歌」 1999年 から
2000年へ ファンファーレ
2000年(平成12年)p139〜145
236 ミレニアム 二千年 たつ 龍の年
昇るも 降るも 天意の侭に
237 元旦の 地球の 世紀は 二千年
日本の 皇紀 二六六〇年
238 慣れっこに 母と二人の お正月
寒気 穏やか 二千年なり
239 二人分 甥子 居ぬ間の テーブルは
四人分の ものと知りたり
240 「憂国」の いまを 予言し 三十年 (三島由紀夫)
公開遺書に 「大和魂」
241 戦災の 姿の 震災 丸五年
防げるものと 防げないもの
[川柳応募]
242 涙───初恋の 涙 レモン 丸かじり
243 旅立ちは 友達たちと 涙たち
244 哀しみは 海に 捨てたり おおなみ(大浪)だ
245 出発───茶柱も 立ちて 大安 出発や
246 「神」と言う 「言葉」を 造りし 人間は
神より 生まれ たるを しるなり
247 陽に引かれ 幼女おさな は はしる 枝葉ごと
248 幼子は 美しき いまを 知らず
年きて いま我わ 美しきをみる
249 「真の愛」 溢る泉に 精霊の
汲みて たまいし しずけき 湖
250 視線投げ キャッチボール 受けとめて
唱う 参観 甥子は 直球
251 マリアの 膝に眠むる キリストの 夢を見たり
「語る真の愛を」 愛 知りてこそ 愛を 語れり
252 「母が教え給いし歌」 唱う 少女
春の膝に 抱かれ 開く 辛夷(こぶし)花
( C・チャーチに)
253 「雛まつり」 桃色の 夢 目を覚まし
254 山河あり 東洋の日本 雨が降る
言葉の梯子 降りて 昇りて
255 くよくよと しても道は 真直ぐ ならず
気持ち 真直ぐ 折れる くよくよ
256 冬 仕舞 「春分の日」きて 春 支度
257 数珠つなぎ 途切れる事なし 墓参道(みち)
258 新幹線 後あとにも 前さきにも 五重の塔
速まる 速度 「時」の 重しに
259 真っ白に 年度変わりの 辛夷花
260 噴熱の 薄氷の 上にすむ 地球人
◆ 戻る
261 公園へ 子供会の パトロール
二分 五分 満開 日に日に さくら
262 春おりぬ けさの 薄絹 枝に おき
天女 桜や 明日は いかなん
(平成十二年五月十三日 前橋汀子コンサートの)
263 真っ先の 桜葉 チケット この手に
264 三度目の コンサートは 五月みち
若葉となりて 今日一日わ
265 うみ ヒトデ 縄文土器の 皮膚生身いきみ
266 「通りゃんせ」「通りゃんせ」の 若葉みち
267 輝きぬ 若葉の め の 子供達 (子供会の遠足)
三十年前の エキスポランドで
268 ふき上がる 若葉 鯉 風 ブラスの響き
269 芸術品 若葉と つつじ 「爆発」や
270 おいで こい 春を こいで 鯉のぼり
271 魂の 歓喜の 姿態 大雪原 (テレビの丹頂鶴)
丹頂鶴の しなやかな 舞
272 「母の日」に 花屋も感謝 今日一日
273 母となる 日のついに なく 「カーネーション」
274 「鈍」牛の 命となれず 過労死す (小淵首相死去に)
275 思い出も 「高山」甥子よ 修学旅行
276 荒ぶ風 日本の竹の 空洞を
277 「個」の国は ゴミの 恥迄 輸出したる
278 日本の 「時の記念日」 梅雨の入り
279 プール開き 夏も直進 向日葵や
280 講演会 雨降る道をば かえりつつ
「子育ての喜び」 問うてみる
◆
281 浮動力 一本の 樹と 滝 一簾
282 夏はすぐ しきりに 走り すぎる 蟻
283 勧誘され 「死んでも入りたくない」 生命保険
284 ヒトゲノム 境界線に 閻魔(えんま)大王
285 射るように 真っ直ぐな眼 向日葵は
潔癖なるわ そこに 若き日
286 月食の 明けて 今日は 梅雨明けや
287 日本の夏よ 扇子の 貰い風
288 この電車 妊婦検診 亡妹に 付き添いし
今日 甥子 十五(才)に
289 遺伝子の 命の為に 亡妹も
我も 在りしと 続く 線路に
290 進学校 体験入学 甥子は
産みたて玉子 「温かかったー」
291 ジリジリ陽 我 水田(すいでん)に 泳ぐなり
292 カン単に 缶は そこらに ほったら あカン
293 「草」むしり 生まれた時代が 悪かった
294 夏の せみ 青き春を なくがいい
295 我が家に 泳ぎ着きたり 金魚達
296 盆踊り 地球のえんと 月のえん
我も えん かき えんを ゆくなり
297 夏休み 木々 幽然と 小学校
(日本海浅茂海岸へ)
298 あの果て から この浜へ 果てる波
299 朝 一番 開く窓には 日本海
300 甥子の 寝息 大浪 すぐに 虫の「息」
◆ 戻る
301 テレビでは 未視覚の極 精緻さは
実物 銅鏡 「あじわいの郷(さと)」
(天の橋立へ)
302 天の橋 立てて 昇れり 天上へ
303 雲上に 乗りて わたしは 天上界
304 天の国 降り立つ 神の 松林
305 まつ代の 天の橋立 松林
うみしをかぜは 神代 吹き来る
306 松林 神がまつやら 果てしなし
307 過人(歌人)ゆく 式部 晶子も まつなみ木
私の前を 天の橋立
308 式部も 口うつしみず 我ふくむ
309 イザナミの 神の由来は 知らねども
「ザブーン・ザブーン」の 天の橋立
310 迎え火に (遍)路 鈴の 幽か なり
311 原祖の火 マッチをすりて 迎え火に
312 消えそうで 消すまい この火 囲いの手
313 「恥」と言う 心も戦死 したり 日本
五十五回目 終戦記念日
314 鈴虫も 寝屋川まつり おとなしや
収穫は ただ 藍色の空
315 写真 撮る たびに 時間は 玉手箱
316 電車箱 右へ左へ 揺れて揺れ
束の間 運命共同体
317 体熱の 包囲網列(猛烈) 「くらわんか」
318 群衆の 大浪 花火 打ち上がり
319 ビックバン 打ち上げ花火 宇宙みる
320 金髪に 浴衣姿の 撫子や
◆
321 金の糸 一簾の滝 まく 花火
322 夢花火 夜光虫も 散りぢりに
323 二学期が きたり 心も 制服を
324 轟猛と 噴煙覆う 三宅島
着のみ着のまま 避難 島民
325 気が付けば 「今はもう秋」の 歌なり
326 新学期 チャンピオンの 「夏」 倒さるる
「私の青空」(NHK朝ドラ) 雲は流れる
327 運動会 オリンピックも 終りたり
熱中の空 「衣替え」なり
328 オリンピック 「夢のあとに」 二十一世紀へ
329 甥子の 白組 優勝 「金メダル」
330 運動場 面積分の 青い空
331 「ハンガリー舞曲一番」 真夏から (前橋汀子のCDに)
「夢のあとに」 秋の青空
332 バイオリン 弦の 無限に 挑みたる
弾く曲 いつも 「金メダル」なり
333 綱引きの 拮抗 崩す 電車走 (中学校運動会)
334 綱引きに 身体 傾く 応援方
335 中学校 今年限りの 運動会
三年間を 走り抜けたり 戻る
以上。
詩歌集夢現 第三集「夢幻」
第四部 「夢幻歌」(俳句短歌) [了]
第1部 約束された人生へ 第3部 「甥子」へ
第2部 「母」天の川途上へ 第2部 「父」瓦解へ
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