臨刑偈

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　僧肇

四大元無主， 五陰本來空。 將頭臨白刃， 猶似斬春風。

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　　　　　　　 臨刑の偈

四大　　元（も）と　主　無く，
五陰　　本來　空。
頭を　將（も）って　　白刃に 臨（のぞ）めば，
猶（な）ほ　春風を 斬るに　似たり。

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◎　私感訳註：

※僧肇：東晋時代（５世紀）の仏教学者。京兆（現・陝西省西安市）の人。
※臨刑偈：これは僧肇法師が（後）秦主よりの死を賜り、刑に臨んだときの偈と伝えられる。『景�ｺ傳燈録』卷二十七にあり、後世、無学祖元の「乾坤無地卓孤，喜得人空法亦空。珍重大元三尺劍，電光影裡斬春風。」や日野資朝の「五蘊假成形，四大今歸空。將首當白刃，切斷一陣風。」と活用されている。東晋のものにしては、平仄が後世風に整っている。なお、わたしは、仏教のことは分からないので、文字を追っているだけであることに、請う御注意。
※四大元無主：あらゆる物体には、元もと中心となるものがなく。　・四大：あらゆる物体。地、水、火、風の四元素。あらゆる存在はこの四つから成り立つ。　・元：物事の根本、はじめ。もと。　・主：中心。
※五陰本來空：あらゆる現象は、本来すべて因縁より起こるものであって、その実体も自性もない空である。　・五陰：〔ごおん；wu3yin1●◎〕あらゆる現象。色、受、想、行、識の五つ。人間の心身、またその環境のすべてを形成する物質的、精神的なあらゆる要素をいう。色（物質）、受（印象・感覚）、想（知覚・表象）、行（意志などの心作用）、識（心）の五つ。五蘊のこと。　・本來：はじめから。もともと。　・空：天地間の一切の事物はすべて因縁より起こるものであって、その実体も自性もないとする考え。
※將頭臨白刃：頭を白刃のもとにもってゆけば。　・將：…を以て。　・頭：こうべ。　・臨：臨む。…に際して。　・白刃：刀剣の刃。
※猶似斬春風：まるで春風を斬るかのように、自然であっけないことなのだろう。　・猶似：ちょうど…のようである。まるで…のようである。　・斬春風：他愛ないものを斬る。切手も切らなくてもいいようなものを斬る。容易に斬る。

◎　構成について

２００５．１０．１５

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