挽聯
任化民
可惜風華正茂
靑春之花凋謝他鄕興安嶺
只恨壯志未酬
冤死之魂飄蕩異鄕鄂倫春
******
挽聯
惜しむ可
(べ)
し 風華 正に茂り
靑春の花 他鄕 興安嶺に 凋謝す
只だ恨む 壯志 未だ酬いざるを
冤死の魂 異鄕 鄂倫春に 飄蕩す
**********
◎ 私感註釈:
※挽聯:(自己を)弔う詩。(自己の精神を)悼む対聯。挽歌。この作品は、『那個年代中的我們』
下巻の「當代野人--血與涙的回憶」王世嵐-任化民によって書かれたものより採録。
※任化民:前記「當代野人--血與涙的回憶」に拠ると、任化民は吉林大学の学生であったが、文革で“現行反革命”として、また、“企圖叛國投修”(“修”:修正主義)として大学内で(プロレタリア)独裁の対象とされた。任化民は暴圧からの「逃亡者」となって、大興安嶺山脈を彷徨い、やがてオロチョン旗に流れ着いた。その折り、白樺の樹皮を剥いてそこに書き付けて、残したものという。
なお、プロレタリア独裁(“無産階級専政”)の対象とされたということは、日本語のそれより一層具体的で、敵対する階級の者を逮捕、断罪、投獄、場合によっては処刑すること等を実行して“反革命の犯罪者”を管理をすることを意味する。余談になるが、オウム裁判の進捗状態の遅々たる様に接した、ある中国人は、「どうして“無産階級専制”を実行しないのでしょうかねえ」と言っていたが、この場合の「“無産階級専政”(プロレタリア独裁)の実行」とは、即決裁判で、死刑に処すことを意味しよう。
※可惜:残念である。
※風華正茂:花盛りである。成長盛りである。麗しい青春時代を指す。 ・風華:風采と才華。 ・正:ちょうど。 ・茂:盛んである。茂る。
毛澤東の詞句、沁園春「長沙」
に「携來百侶曾游。憶往昔、崢嶸歳月稠。恰同學少年,
風華正茂
;書生意氣,揮斥方遒。」から取っている。
※靑春之花:青春の華やぎ。
※凋謝:しぼんで落ちる。
※他鄕:他郷・故郷を遠く離れたところ。後出の「異郷」に同じ。流寓先の興安嶺の鄂倫春旗を指す。
※興安嶺:大興安嶺山脈。滿洲西部の大山脈。
※只恨:ただ、うらめしいことは。
※壯志未酬:大志をまだ実現させていない。成語のようなもの。
※冤死之魂:無実の罪で、怨みをのんで死んだ魂。
※飄蕩:流浪する。さまよう。
※異鄕:異郷。故郷を遠く離れたところ。前出の「他郷」に同じ。流寓先の興安嶺の鄂倫春旗を指す。
※鄂倫春:オロチョン。少数民族の呼称。ここではオロチョン(現・自治)旗を指す。
◎ 構成について:
対聯。押韻はない。平仄には顧慮していない。この作品の平仄は次の通り。
●●○○●●,
○○○○●●○○○○●。
●●●●●●,
○●○○○●○○●○○。
2002.9.28完
9.30補
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