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2007 F 115 Min. 劇映画
出演者
Mélanie Laurent
(Lucie Hennebelle)
Eric Caravaca
(Moreno / Pierre Norman)
Gilles Lellouche (Sylvain)
Jonathan Zaccaï (Vigo)
Céline Sallette (Annabelle)
Laurence Côte (Alex)
Jean-François Stévenin (Léon)
Stéphane Jobert (Raviez)
Nathalie Richard (Valet)
見た時期:2008年8月
ファンタ終了。終わったとたんに疲れが出て、暫く休憩していました。これから主要な作品を徐々にご紹介して行きます。
2007年のファンタの紹介も終わっていないのに2008年のファンタも終了しました。何から書き始めようかと思いましたが、まずは井上さんも見たという La Chambre des morts から行きます。
Franck Thiliez の原作があります。オリジナルのタイトルは井上さんが書いているように《死者の部屋》。ドイツ語は《死んだ子供の部屋》。《メロディーの微笑み》という英語のタイトルは別な所から取っていますが、的を外れているわけではありません。
あらすじは井上さんが紹介してくれていますが、大体そんな感じです。
★ あらすじのあらすじ
リストラされた2人の IT 男が深夜のダンケルクで思いがけず轢き逃げ横領をしてしまいます。2人の立場も性格も違うので、こういう結論に達するだけでも意見の違いがあり、フランス人だったらその程度のネタでも映画を1本ぐらい作るかも知れません。
横領した大金は実は黒い金ではなく、身代金でした。事件捜査の一環としてその金を届けに行ったはずの警察関係者が轢き逃げされて死体も隠されてしまいます。なので、事はややこしくなります。身代金が拉致犯人に届いていないので、拉致された少女は死んでしまいます。その子の名前がメロディー。犯人が死体に手を加え、微笑んだような表情に作り変えたので、英語のタイトルがついています。
それでは済まず少女がターゲットで事件は複数発生。悲しみの帰宅となったメロディーは盲目でした。今度消えた少女は糖尿病を抱えています。一定の時間内に注射をしないと命が危ないので、単なる誘拐事件では済まず、警察も真剣です。IT 男たちに金を横取りされてしまった誘拐犯がどぎゃんかせにゃあかんと動き出すので、事はさらにややこしくなります。犯人の1人が捜査本部に掃除人として潜り込んで情報を集め、金がどこへ消えてしまったのかを探ります。
手がかりとなるのは動物の毛。動物を盗まれてしまう動物園、サド・マゾ・クラブとたどって行くうちに剥製を作る専門家に行き着き、そこから足がつきます。被害者のタイプから想像される犯人とは違うタイプの人たちが犯人です。
★ まとまり
井上さんも書いているようにテーマを詰め込み過ぎて現実味が無くなります。過ぎたるは・・・と言いますが、及ばないこともなく、一応何とかオトシマエにたどり着きます。ブロックバスター式の作り方をして大スターを並べると、こういう筋書きは却ってみすぼらしくなったと思いますが、ファンタのコメントにも書いたように La Chambre des morts は小規模な予算で地味な作り方をしているので、ぼろが出る寸前で止まっています。ドイツのテレビの連続刑事物をちょっと長くしたような雰囲気で、まあまあこの程度の無茶なら文句は言うまいといった範囲です。
★ 今年もフランス映画が多かった
最近ファンタでよくフランス映画を見ます。今年も La Chambre des morts の他にも結構見ました。特に今年は「英語圏の映画より他の国の映画をたくさん見た」という印象で、終わった時頭の中は英語スパゲッティーにならなかったのですが、字幕を読むので結構疲れました。フランス語ぐらいはそのうち生活に余裕ができたら習わなければ行けないかも知れません。ドイツ人は高校まで行くとたいてい基礎フランス語を習います。なので映画を見ていて楽勝というわけではないまでも、ちょっとした挨拶程度なら字幕を読む必要はないのです。私は英語かドイツ語で生活するわけで、普段はファンタですっかり英語に慣れてしまい、終わってから1週間ほどドイツ語で話しているつもりが英語だったりして混乱状態が続きます。どちらも母国語でないので、今自分がどちらを話しているのかは疲労困憊状態になると分からなくなってしまいます。
フランス映画と言うと以前は長々と監督か脚本家が言いたい話を俳優に言わせ、見ている方はうんざり。とにかくフランス人はお喋りが好きで・・・。しかし最近フランスは事件を扱う映画にも力を入れていて、そちらは結構おもしろいです。おしゃべりな俳優が少ないどころか寡黙な主人公が出て来たりもします。かなり優秀作を見たこともあり、La Chambre des morts は出来の良さでは真ん中程度。悪いという意味ではありません。そこそこよくまとめたという感じです。フランスの犯罪映画にはたいてい何か見るべき物があって、La Chambre des morts の場合は捜査にあたる男女刑事の人柄の描き方。筋運びにいくらか無理があっても好感の持てる人物が出て来ると、それで終わりまで持ってしまいます。
さて、ショーダウンで犯人は女性2人組みとばれ、事件は解明されるのですが、犯人の女性は女刑事と因縁があります。もしかしたら双子かも知れません。女刑事はシングル・マザーで、子供はシングルではなくツイン。双子の母親です。女刑事の母親となっている女性はもしかしたら養女をとったのかも知れません。女刑事と犯人の女性両方に因縁のある母親らしき女性は2人がまだ少女だった頃に風呂桶で死んでいます。その時まで子供たちはどこかに閉じ込められていた様子。1人は逃げることができ、もう1人は残ってしまいます。それが2人の運命を大きく分けます。
この部分と似た話が今年ファンタに出た他のフランス映画とも繋がるのが不思議でした。
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