huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye


            
LiQingzhao liqingzhao李清照
   鷓鴣天

寒日蕭蕭上瑣窗,
梧桐應恨夜來霜。
酒闌更喜團茶苦,
夢斷偏宜瑞腦香。


秋已盡,
日猶長,
仲宣懷遠更淒涼。
不如隨分尊前醉,
莫負東籬菊蕊黄。


    **********************


      鷓鴣天

寒日 蕭蕭として  瑣窗に 上
(のぼ)り,
梧桐 應
(まさ)に恨む  夜來の 霜。
酒 闌けて 更に 喜ぶ  團茶の 苦きを,
夢 斷たれて 偏
(ひと)へに 宜し  瑞腦の 香。


秋  已
(すで)に 盡き,
日  猶
(な)ほ 長し,
仲宣の 懷遠より  更に 淒涼たり。
分に隨ひて  尊前に 醉ふに  如
(しか)ず,
負ふ 莫れ 東籬の  菊蕊の 黄きに。


             ******************

◎私感訳註:

※鷓鴣天:詞牌の一。詞の形式名。詳しくは「構成について」を参照。

※寒日蕭蕭上瑣窗:寒々とした太陽が、もの寂しげに模様に刻んだ窓にのぼった。窓に光が当たったことをいう。 ・寒日:寒々とした秋の終わりの太陽。寒々としているのは、季節の所為だけではなく、作者の心情も反映している。この語に対になるのは、陰雲、暮雲、塞雲、南雲と、「雲」が多く、また、秋原、秋城、秋風と、「風」も多い。とりわけ、陰雲、暮雲の用法が多い。それらからも分かるように、「寒日」の「日」は、「太陽」の意であって、「寒くなった日々」、という意味ではない。 ・蕭蕭:もの寂しいさま。風の吹く音をいう。風がもの寂しく吹く様子。荊軻の「易水歌」に「風蕭蕭兮易水寒」とあるが、その場合とやや異なる。ここは、前者の意。 ・上:(太陽が)のぼる。 ・瑣窗:枠を連環模様に作った窓。窓枠を連環模様に刻んだ窓(右下写真参照)瑣窗瑣窗。「鎖窗」ともする。その場合は、鍵をかけて、閉ざされた窓。「鎖」は動詞と見る。

※梧桐應恨夜來霜:梧桐昨夜からの霜をおそらく恨んでいることだろう。 ・梧桐:アオギリやキリ。凋落を暗示する物でもある。 ・應恨:おそらく恨んでいることだろう。 まさに 恨むべし。作者の心の動きである。 ・應:まさに…べし。当然…べきである。 ・夜來:昨夜からの。夜になってからの。

※酒闌更喜團茶苦:酒が醒めかけてきた時、一層よろこばしく思うのは、団茶がにがいことである。酒でトロンとした気持ちには、団茶の苦さはなかなか嬉しい物である。 ・酒闌:酒が醒めかけてきて、酒がたけて。また、酒がたけなわで。ここは、後の「夢斷…」の句と対になっており、「酒闌」「夢斷」と並べれば、前者「酒が醒めかけてきて」になる。 ・更喜:もっと、うれしい(と感じるのは)。應恨と同様に、作者の心の動きを表す語である。 ・團茶:茶の葉を蒸して固めたお茶。お湯をかける前のインスタントラーメンに、似た雰囲気がある。宋代には、龍團、鳳團などがあったという。

※夢斷偏宜瑞腦香:夢路が断たれて目覚めても、(寝ぼけた頭には)龍脳の香がひとえによい。「酒闌更喜團茶苦」とともに、作者の精神を覚醒させるものとして詠われている。 ・夢斷:夢路が断たれて。 ・偏宜:特によい。ひとえによい。 ・瑞腦香:龍脳のお香。

※秋已盡:秋はとっくに終わっており。

※日猶長:それでも秋の日はまだ長く感じられる。本来、旧暦の秋は夜長であって、日は短くなっている。しかし、その短い秋の日でも、長く感じられるほど、焦りや嘆きが甚だしく、焦慮の身には時間がゆっくりと経っていくように思われるということ。

※仲宣懷遠更淒涼:王仲宣が、遠く(故国)に思いを馳せているのよりも、(わたしの思いの方が)もっと痛ましい限りである。 ・仲宣:魏書に出てくる建安七子の一である王粲の字。その『登樓賦』では、「登茲樓以四望兮,聊暇日以銷憂」と、故国を懐かしんでいるが、この心情は、李C照の心情でもある。ここでは、王粲を言いながら自分を述べている。 ・懷遠:高いところに登り、遠くを眺め、思いを致すこと。この用法では、陳亮の念奴嬌「登高懷遠」がある。また、豪放詞でよく使われる別の意味では、遠くの異民族を帰服させること、僻遠の地を懐撫することになる。ここは、前者の意。後者の意味では「春秋左氏傳・僖公七年」の条に「臣聞之,招攜以禮,懷遠以コ」とある。蛇足だが、日清戦争の時、清の軍艦に「定遠」「鎮遠」「經遠」「靖遠」「致遠」「來遠」と「…遠」というのがあったが、これとほぼ同義になる。張孝祥も後者の用法で、『六州歌頭』に「干瀦懷遠」がある。 ・更:さらに。一層。その上。 ・淒涼:寂しい。味気ない。惨めである。いたましい。 ・淒=凄。

※不如隨分尊前醉:(悲傷の限りだが、それでも)思いのままに酒席で酔うのには、及ばない。悲しみは、酒席で思いのままに酔うのには、及ばない。酒を飲んでくつろぐ方がいい、ということ。これは、彼女が自分自身に言い聞かせている言葉でもある。 ・不如:…に及ばない。…にしかず。 ・隨分:(詞語)天命を聞き、随うこと。自由にする。随意にすること。ここでは、随意の意味で使われている。 ・尊前醉:宴席で酔う。酒席で酔う。酒器を前にして酔う。尊=樽で、酒器。

※莫負東籬菊蕊黄:菊の花のズイの黄色く美しいさまに負けることなく、背くことなく、(わたしも晩秋の霜に負けないで、花を咲かそう)。これも作者の自ら励ます言葉である。 ・莫負:背くな。まけるな。裏切るな。 ・東籬:東のまがき。陶淵明がそこで菊を採った。陶淵明の『「飮酒 其五』の「結廬在人境,而無車馬喧。問君何能爾,心遠地自偏。
菊東籬,悠然見南山。山氣日夕佳,飛鳥相與還。此中有眞意,欲辨已忘言。」からきており、「東籬」といえば「菊」、「菊」といえば「東籬」という具合に、広く詩詞に使われている。李清照は、陶淵明を愛し、『酔花陰』でも「薄霧濃雲愁永晝,瑞腦消金獣。佳節又重陽,玉枕紗廚,半夜涼初透。東籬把酒黄昏後,有暗香盈袖。莫道不消魂,簾捲西風,人比黄花。」と使う。中唐・白居易の『詠菊』に「一夜新霜著瓦輕,芭蕉新折敗荷傾。耐寒唯有東籬,金粟初開曉更清。」とある。 ・菊蕊黄:菊の花のズイの黄色さに。通常の表現では「菊蕊黄」の部分は「菊花黄」とするのが自然。ここを「菊花」としないで、「菊蕊」としたのは、この句は「●●○○●●」とすべきところで、「菊花」とすれば●○○○)となり平仄が合わない。そのため、「菊蕊」(●●)とした。






◎ 構成について

  双調。五十五字。平韻一韻到底。韻式は「AAA AAA」。韻脚は「窗霜香 長涼黄」で、第二部平声三江、七陽。


●○○●○,(平韻)
●●○○。(平韻)
○●,
●○○●○。(平韻)


○●●,
●○○。(平韻)
●●○○。(平韻)
●○○●,
●○○●○。(平韻)

 

2002. 2.10
      2.11
      2.12
      2.13
      2.14完
      2.15補
      2.18
      3.31
2016.10. 7

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