故國河山在, 孝陵秋草深。 寒雲自來去, 遙望更傷心。 |
孝陵 の淪陷 を痛む
故國河山 在 り,
孝陵 秋草 深し。
寒雲 自 づから來去 し,
遙かに望めば 更に心を傷 ましむ。
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◎ 私感訳註:
※鄭成功:明末の遺臣。幼名は福松。字は明儼。諱は森。諡は忠節。国姓爺(こくせんや)と呼ばれる。日本の平戸で鄭芝龍と田川七左衛門の娘・松との間に生まれた。日明(日本人と漢人と)の混血。漢民族の明朝の復興のため、中国南部で、また台湾に拠って(オランダ人を追い出して、)大陸反攻を繰り返し、満州民族の清朝と戦った。1624年(明・天啓四年/清・天命九年)〜1662年(清・康煕元年(明は前年(1661年)まであった))。なお、近松門左衛門の『国姓爺合戦』の主人公のモデルでもある。
※痛孝陵淪陷:明・初代皇帝・朱元璋の陵墓(のある南京市)が(清軍のために)陥落したことをいたんで。 ・痛:いたむ。くるしみなやむ。 ・孝陵:明・初代皇帝・朱元璋の陵墓。江蘇省南京市の紫金山南側の中腹にある。 ・淪陷:〔りんくゎん;lun2xian4○●〕敵に占領される。陥落。
※故国河山在:故郷(中華の地)の山河は、そのままあるが。 ・故国:ふるさと。もと仕えた国。母国。故郷。また、古い国。長く続いている国。ここでは、明国が統治した中原を始めとした中華の地。 ・河山在:川や山はある。盛唐・杜甫の『春望』に「國破山河在,城春草木深。感時花濺涙,恨別鳥驚心。」とある。
※孝陵秋草深:明・朱元璋の陵墓は、(世話をする人がいなくなり)秋の草が生い茂っている(ことだろう)。
※寒雲自來去:寒々とした雲は、(ここと敵地の間を)自由に行き来している(のを)。 ・寒雲:冬の寒々とした雲。 ・自來去:自由に行き来する意。
※遥望更傷心:遥かに眺めれば、一層心がいたむ。 ・傷心:心をいためる。非常に悲しむ。悲しみに傷ついた心。盛唐・李白の『菩薩蠻』に「平林漠漠煙如織,寒山一帶傷心碧。暝色入高樓,有人樓上愁。 玉階空佇立,宿鳥歸飛急,何處是歸程,長亭更短亭。」とあり、晩唐/前蜀・韋莊の『浣溪沙』に「夜夜相思更漏殘。傷心明月凭欄干。想君思我錦衾寒。咫尺畫堂深似海,憶來唯把舊書看。幾時攜手入長安。」とあり、南唐・馮延巳の『三臺令』「南浦!南浦!翠鬢離人何處?當時攜手高樓,依舊樓前水流。流水!流水!中有傷心雙涙。」とあり、両宋・李C照の『聲聲慢』に「尋尋覓覓,冷冷CC,凄凄慘慘戚戚。乍暖還寒時候,最難將息。三杯兩盞淡酒,怎敵他、曉來風急。雁過也,正傷心,却是舊時相識。 滿地黄花堆積,憔悴損,如今有誰堪摘。守着窗兒,獨自怎生得K。梧桐更兼細雨,到黄昏、點點滴滴。這次第,怎一個、愁字了得。」とあり、後世、清末・秋瑾の『日人石井君索和即用原韻』「漫云女子不英雄,萬里乘風獨向東。詩思一帆海空闊,夢魂三島月玲瓏。銅駝已陷悲囘首,汗馬終慚未有功。如許傷心家國恨,那堪客裏度春風!」とある。
◎ 構成について
2013.9.19 9.22 |
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