錦衣玉帶雪中眠, 醉後詩魂欲上天。 十二萬年無此樂, 大呼前輩李蓮。 |
醉後口占
錦衣 玉帶 雪中 に眠り,
醉後 の詩魂 は 天に上 らんと欲 す。
十二萬年此 の樂 無し,
大呼 す前輩 の李蓮 を。
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◎ 私感訳註:
※張問陶:清代中期の官吏、詩人。乾隆二十九年(1764年)生〜嘉慶十九年(1814年)。四川・遂寧の人。字は仲冶、柳門。故郷の山に因み、船山と号した。乾隆五十五年(1790年)の進士。翰林院検討等を歴任し、山東・莱州知府となる。官を辞した後は呉県(現・蘇州)虎邱に寓居し、旅先で病死した。繊細な感情を詠い込んだ詩を遺している。
※酔後口占:酔っぱらって口ずさんで作った即興詩。 ・酔後:酔っぱらった後。 ・口占:即興で口ずさんで詩を作ること。即興で詩を作り朗誦すること。
※錦衣玉帯雪中眠:立派な装束で(酔っぱらって)、雪の中で眠ろう(とすれば)。 ・錦衣:美しい着物。 ・玉帯:玉で飾った帯。 ・錦衣玉帯:身には美しい着物をまとい、腰には玉で飾った帯をしめる。身分の高い者の華やかな装束を謂う。『舊五代史・劉知俊傳』に「晉王深信之,即厚給田宅,仍賜錦衣玉帶,軍中目爲『劉二哥』。」(『舊五代史』中華書局版56ページ 一八一頁上段二行目)とある。
※酔後詩魂欲上天:酔っぱらった詩の魂は、天に昇ろうとする。 ・詩魂:詩の魂。また、詩を作る心。詩に対する情感。詩で表現しようとする心。ここは、前者の意。 ・欲:…ようとする。…たい。 ・上天:天に昇る。また、天。天帝。ここは、「欲上天」と「欲」がかかっていく動詞句なので、前者の意。
※十二万年無此楽:(天地開闢以来の)十二万年で、この(酔後の)楽しみほどのはまたとない。 ・十二万年:天地開闢以来の年数。長大な年数。世界の変化が一循環する十二万九千六百年(邵雍の主張)のことで、一元。
※大呼前輩李青蓮:大声で、(酒仙としての)先輩の李青蓮(=:李白)を呼ぼう。 ・大呼:大声で呼ぶ。 ・前輩:先輩。先達。 ・李青蓮:李白のこと。青蓮(居士)は李白の号。なお、李白については、字は太白。また、謫仙人、李翰林、詩仙と称せられる。酒を愛した詩が多い。盛唐・杜甫の『飮中八仙歌』に「知章騎馬似乘船,眼花落井水底眠。汝陽三斗始朝天,道逢麴車口流涎,恨不移封向酒泉。左相日興費萬錢,飮如長鯨吸百川,銜杯樂聖稱避賢。宗之瀟灑美少年,舉觴白眼望青天,皎如玉樹臨風前。蘇晉長齋繡佛前,醉中往往愛逃禪。李白一斗詩百篇,長安市上酒家眠。天子呼來不上船,自稱臣是酒中仙。張旭三杯草聖傳,脱帽露頂王公前,揮毫落紙如雲煙。焦遂五斗方卓然,高談雄辨驚四筵。」とある。
◎ 構成について
2015.5.13 |
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