Huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye



七律                 

           答友人
一九六一年



九嶷山上白雲飛,
帝子乘風下翠微。
斑竹一枝千滴淚,
紅霞萬朶百重衣。
洞庭波湧連天雪,
長島人歌動地詩。
我欲因之夢寥廓,
芙蓉國裏盡朝暉。







                    ******

          友人に答ふ

九嶷(きう ぎ )山上  白雲(はくうん) 飛び,
帝子(てい し ) 風に乘りて  翠微(すゐ び )(くだ)る。
斑竹(はんちく) 一枝(いっ し )  千滴の涙,
紅霞(こう か ) 萬朶(ばん だ )  百重(ひゃくちょう)(ころも)
洞庭(どうてい) 波は ()きて  天に(つら)なる雪,
長島(ちゃうたう) 人は 歌ふ  地を(どよ)もす(うた)
(われ) (これ)()りて  寥廓(れうくゎく)を夢みんと欲すれば,
芙蓉國(ふようこく)裏  (ことごと)く 朝暉(てう き )


                *****************




◎ 私感註釈

※七律 答友人:(湖南の)友人(からの詩と贈り物)に答える。 *湖南省の同郷の友人に対して、贈られた詩と斑竹を詠み込んだ詩で答えた。神仙世界を髣髴とさせる伝統的な美意識に基づいて詩語の選択がされた、数少ない婉約詩詞の一。(婉約詞のもう一つの代表は『蝶戀花・答李淑一』(一九五八年七月一日)「我失驕楊君失柳,楊柳輕颺直上重霄九。問訊呉剛何所有,呉剛捧出桂花酒。寂寞嫦娥舒廣袖,萬里長空且爲忠魂舞。忽報人間曾伏虎,涙飛頓作傾盆雨。」が挙げられる。) ・友人:ここでは、毛沢東が若い頃、湖南省の長沙で勉強していた時代の同級生・周世釗、李達、楽天宇の三人を指す。楽天宇の郷里は、湖南の九嶷山下にあり、そのため毛沢東は、楽天宇のことを「九嶷山人」と呼んだ。後に、楽天宇は李達、周世釗とともに、毛沢東に九嶷山の名産品の斑竹の筆などを詩とともに贈った。

※一九六一年:毛沢東の提倡した大躍進政策が失敗し、三年続きの自然災害とソ連との対立も重なった結果、数千万人の餓死者を出した。毛沢東は自己批判を行って国家主席を辞任し、経済は調整局面に入った。毛沢東としては、自分の政策が否定され、鬱屈した心境で過ごしていた時期。

※九嶷山上白雲飛:(湖南省の)九嶷山の上には、白雲が飛び。 ・九嶷山:〔
きうぎさん(きゅうぎ);Jiu3yi2shan1〕湖南省南部の永州市寧遠県の南六十里のところにある山。蒼梧山ともいう。南嶺山脈の萌渚嶺に属し、南は羅浮山、北は衡岳に連なっている。舜帝が葬られたところ。『史記・五帝本紀第一』(四四頁 中華書局版16ページ)に「踐帝位三十九年,南巡狩,崩於蒼梧之野。葬於江南九疑(=九嶷山),是爲零陵。」とある。 ・白雲:白い雲。「移ろう人間の世」に対して、「不変の自然」という意味合いとともに、人間世界を離れた、超俗的な雰囲気を持つ語で、仏教、道教では、「仙」「天」の趣を漂わせる。ただの白い雲ではない。漢・武帝(劉徹)の樂府『秋風辭』に「秋風起兮白雲,草木黄落兮雁南歸。蘭有秀兮菊有芳,懷佳人兮不能忘。汎樓船兮濟汾河,橫中流兮揚素波。簫鼓鳴兮發櫂歌,歡樂極兮哀情多。少壯幾時兮奈老何。」とあり、 初唐・張若虚の『春江花月夜』に「春江潮水連海平,海上明月共潮生。灩灩隨波千萬里,何處春江無月明。江流宛轉遶芳甸,月照花林皆似霰。空裏流霜不覺飛,汀上白沙看不見。江天一色無纖塵,皎皎空中孤月輪。江畔何人初見月,江月何年初照人。人生代代無窮已,江月年年祗相似。不知江月待何人,但見長江送流水。白雲一片去悠悠,青楓浦上不勝愁。誰家今夜扁舟子,何處相思明月樓。可憐樓上月裴回,應照離人妝鏡臺。玉戸簾中卷不去,擣衣砧上拂還來。此時相望不相聞,願逐月華流照君。雁長飛光不度,魚龍潛躍水成文。昨夜閒潭夢落花,可憐春半不還家。江水流春去欲盡,江潭落月復西斜。斜月沈沈藏海霧,碣石瀟湘無限路。不知乘月幾人歸,落月搖情滿江樹。」とあり、盛唐・王維の『送別』に「下馬飮君酒,問君何所之。君言不得意,歸臥南山陲。但去莫復問,白雲無盡時。」とあり、蘇の『汾上驚秋』に「北風吹白雲, 萬里渡河汾。心緒逢搖落,秋聲不可聞。」とあり、盛唐・王之煥の『涼州詞』に「黄河遠上白雲,一片孤城萬仞山。羌笛何須怨楊柳,春風不度玉門關。」とあり、晩唐・杜牧の『山行』に「遠上寒山石徑斜,白雲生處有人家。停車坐愛楓林晩,霜葉紅於二月花。」とあるなど、多く俗塵を超越したものとして詠まれる。

※帝子乗風下翠微:帝子(=堯帝の娘で舜の妻の神となった湘神)が風に乗って(九嶷)山の中腹に降り立った。 ・帝子:堯帝の子の娥皇と女英を指す。二人は堯帝の娘であり、且つ舜の妻となる。「堯帝の子」なので「帝子」。舜が南巡の際に九嶷山で死んだ時、彼女らは湘江の畔にまで追いすがり、悲しみのあまり涕(なみだ)の滴(しずく)を竹に灑いだところ、竹は斑点のある斑竹になってしまい、ついには湘江に身を投げて神になったと云う。楚辭『九歌・湘夫人』の最初の「
帝子兮北渚,目眇眇兮愁予。嫋嫋兮秋風,洞庭波兮木葉下。」という部分がそれに該る。 ・翠微:山の緑色のもや。山の八合目あたり。伝説では、九嶷山に娥皇峰と女英峰とがあると云う。

※斑竹一枝千滴涙:斑竹の一枝には(帝子の悲しみの)千滴の涙(が灑がれたので斑(まだ)らになっており)。 ・斑竹:表面に斑紋のある竹の総称。雲紋竹等。帝子(娥皇と女英)が悲しみのあまりの涙を竹に灑いだところ、竹は斑点ができて、生まれたという。中唐・劉禹錫の『瀟湘神』に「
斑竹枝,斑竹枝涙痕點點寄相思。楚客欲聽瑤瑟怨,瀟湘深夜月明時。」とある。 ・千滴涙:帝子(娥皇と女英)の涙を謂う。

※紅霞萬朶百重衣:(帝子は、そして楊開慧の霊魂は)赤い夕焼け雲を幾重(いくえ)にも幾重(いくえ)にも着ていた。 ・紅霞:赤い夕焼け。=赤霞。毛沢東の青年時代の妻である楊開慧を暗示するともいわれる。楊開慧の幼名は霞姑。なお幼名(=小名)とはいっても、成人後でも、目上の人や同輩から呼ばれる場合があり、毛沢東もこの幼名で彼女を呼んでいた可能性がある。 ・萬朶:多くの花の枝。多くの花。 ・朶:〔だ;duo3●〕垂れさがった枝。花の枝。垂れさがった花のひとかたまり。 ・重:〔ちょう;chong2○〕重ねる。重なる。蛇足になるが、「重」は多音字(≒両韻)で、「おもい」の意は〔ぢゅう;zhong4●〕。

※洞庭波湧連天雪:洞庭湖には波がわきたっており、(わきたつ白い波は)天に繋がる雪(であるかのようだ)。 ・洞庭:洞庭湖〔どうていこ;Dong4ting2hu2●○○〕のこと。湖南省北東部にある中国最大の淡水湖。湘水(湘江)、沅水(沅江)などが流れ込んで長江に注ぐ。湖畔や湖中には岳陽楼や君山などがあり、瀟湘八景などの名勝に富む。盛唐・張説の『送梁六自洞庭山作』に「巴陵一望
洞庭,日見孤峰水上浮。聞道神仙不可接,心隨湖水共悠悠。」とあり、盛唐・孟浩然の『洞庭湖贈張丞相』に「八月湖水平,涵虚混太淸。氣蒸雲夢澤,波撼岳陽城。欲濟無舟楫,端居恥聖明。坐觀垂釣者,徒有羨魚情。」とあり、盛唐・杜甫の『登岳陽樓』に「昔聞洞庭,今上岳陽樓。呉楚東南坼,乾坤日夜浮。親朋無一字,老病有孤舟。戎馬關山北,憑軒涕泗流。」とあり、北宋・張孝祥の『念奴嬌・洞庭』に「洞庭青草,近中秋、更無一點風色。玉鑑瓊田三萬頃,著我扁舟一葉。素月分輝,明河共影,表裏倶澄澈。悠然心會,妙處難與君説。   應念嶺海經年,孤光自照,肝肺皆冰雪。短髮蕭騷襟袖冷,穩泛滄浪空闊。盡吸西江,細斟北斗,萬象爲賓客。扣舷獨笑,不知今夕何夕。」とある。 ・連天雪:空にまで達する雪(のような波)。

※長島人歌動地詩:長沙の橘子洲の人は、(社会主義建設に邁進して、)地を揺り動かす歌を唱う。 ・長島:長沙の橘子洲。或いは日本。(「長島人歌動地詩」の「動地詩」を60年の安保闘争ととらえて)。毛沢東の『沁園春・長沙』(一九二五年)に「獨立寒秋,湘江北去,
橘子洲。看 萬山紅遍,層林盡染;漫江碧透,百舸爭流。鷹撃長空,魚翔淺底,萬類霜天競自由。悵寥廓,問 蒼茫大地,誰主沈浮?   携來百侶曾游。憶往昔、崢嶸歳月稠。恰同學少年,風華正茂;書生意氣,揮斥方遒。指點江山,激揚文字,糞土當年萬戸侯。曾記否,到 中流撃水,浪遏飛舟?」とある。 ・歌:(口を開けて)大きな声でうたう。動詞。蛇足になるが、ここで「歌」を使って、「長島人動地歌」と「唱」を使うことをしないのは、平仄のため(歌:平 唱:仄 この句は 「●●○●●○(韻)」とすべきところ)。なお、「…動地詩」と「詩」として、「歌」としないのは、そこが韻脚であるため(韻脚は「飛微衣…暉」(平水韻上平五微)なので、通韻で六支の「詩」とするしかない)。

※我欲因之夢寥廓:わたしはこれが原因となって、広々とした大空の夢を見た。(それは)。 *盛唐・李白の『夢遊天姥吟留別』に「海客談瀛洲,煙濤微茫信難求。越人語天姥,雲霓明滅或可睹。 天姥連天向天橫,勢拔五嶽掩赤城。天台四萬八千丈,對此欲倒東南傾。
我欲因之夢呉越,一夜飛度鏡湖月。湖月照我影,送我至剡溪。」とある。 ・因之:このために。これが原因となって。 ・夢:夢見る。動詞。 ・寥廓:〔れうくゎく;liao2kuo4○●〕からりとして広い。広々としているさま。高遠なさま。大空。毛沢東の『沁園春・長沙』(一九二五年)に「獨立寒秋,湘江北去,橘子洲頭。看萬山紅遍,層林盡染;漫江碧透,百舸爭流。鷹撃長空,魚翔淺底,萬類霜天競自由。寥廓,問蒼茫大地,誰主沈浮?   携來百侶曾游。憶往昔、崢嶸歳月稠。恰同學少年,風華正茂;書生意氣,揮斥方遒。指點江山,激揚文字,糞土當年萬戸侯。曾記否,到中流撃水,浪遏飛舟?」とあり、毛沢東の『采桑子・重陽』(一九二九年十月)に「人生易老天難老,歳歳重陽。今又重陽,戰地黄花分外香。   一年一度秋風勁,不似春光。勝似春光,寥廓江天萬里霜。」とある。

※芙蓉国裏尽朝暉:ハスの花が咲き乱れる湖南省の中は、(真っ赤な)朝日でいっぱいである。 ・芙蓉国:湖南省を指す。五代・譚用之の『秋宿湘江遇雨』に「湘上陰雲鎖夢魂,江邊深夜舞劉琨。秋風萬里
芙蓉國,暮雨千家薜茘村。鄕思不堪悲橘柚,旅遊誰肯重王孫。漁人相見不相問,長笛一聲歸島門。」とある。 ・芙蓉:ハスの花。 ・-裏:…の中。…のうち。【〔名詞〕+裏】で、場所や範囲を表す名詞に附く。≒「中」。 ・尽:〔副詞〕すべて。…ばかり。ことごとく。また、〔動詞〕つくす。きわめる。つきる。 ・朝暉:〔てうき;zhao1hui1○○〕朝日の光。朝日。





◎ 構成について

  韻式は、「AAAAA」。韻脚は「飛微衣詩暉」で、平水韻上平五微(飛微衣暉)、四支(詩)。この作品の平仄は、次の通り。

   
●○○●●○○,(韻)
   ●●○○●●○。(韻)
   ○●●○○●●,
   ○○●●●○○。(韻)
   ●○○●○○●,
   ○●○○●●○。(韻)
   ●●○○●○●,
   ○○●●●○○。(韻)
2013.4.4
     4.5
 (4.6~7和歌山)
     4.8



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