Huanying xinshang Ding Fengzhang de wangye

                            


春夜喜雨

杜甫
好雨知時節,
當春乃發生。
隨風潛入夜,
潤物細無聲。
野徑雲倶黑,
江船火獨明。
曉看紅濕處,
花重錦官城。




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春夜 雨を喜ぶ       

好雨かう う  時節を知り,
春に當たりて すなはち發生す。
風にしたがひて ひそかに り,
物をうるほして こまやかにして 聲なし。
野徑 や けい 雲 ともに黑く,
江船かうせん 火 ひとり明らかなり。
あかつきに くれなゐの濕れる處を 看れば,
花は 錦官城きんくゎんじゃうおもからん。


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◎ 私感註釈

※杜甫:盛唐の詩人。712年(先天元年)~770年(大暦五年)。字は子美。居処によって、少陵と号する。工部員外郎という官職から、工部と呼ぶ。晩唐の杜牧に対して、老杜と呼ぶ。さらに後世、詩聖と称える。鞏県(現・河南省)の人。官に志すが容れられず、安禄山の乱やその後の諸乱に遭って、流浪の一生を送った。そのため、詩風は時期によって複雑な感情を込めた悲痛な社会描写のものになる。

※春夜喜雨:春の夜に、ほどよい時期に降る雨を喜ぶ。 ・喜雨:〔きう;xi3yu3●●〕ほどよいときに降る雨。

※好雨知時節:好(よ)い雨とは、その降るべき時節を心得ていて。 ・好雨:好(よ)い雨。 ・知:雨を擬人法で表現して「(好雨)知時節」「(隨風)潛入夜」「(潤物)細無聲」と構成しており、「(雨は)潛入夜」は「(雨は)知時節」「(雨は)細無聲」となっている。 ・時節:季節の寒暖などの状態やそれに応じたきまり。移り変わってゆく天候や風景などによって感じられるその折々の季節。時候。時期。また、時に応じて節度があること。また我が国では「時世」の意にも使う。なお、時節を「時」と「節」に分ければ「四時」(しいじ)と「(二十四)節気」だが、ここでは、作者は単に前者・第一の意の「時候、時期」の意で使う。これと同様の前者の意での用例は、杜甫の『江南逢李龜年』「岐王宅裡尋常見,崔九堂前幾度聞。正是江南好風景,落花時節又逢君。」、晩唐・杜牧の『淸明』「淸明
時節雨紛紛,路上行人欲斷魂。借問酒家何處有,牧童遙指杏花村。」や、両宋・李清照の『好事近』に「風定落花深,簾外擁紅堆雪。長記海棠開後,正是傷春時節。   酒闌歌罷玉尊空,靑缸暗明滅。魂夢不堪幽怨,更一聲啼鴃。」とある。なお、晩唐・唐彦謙の『金陵懷古』「碧樹涼生宿雨收,荷花荷葉滿汀洲。登高有酒渾忘醉,慨古無言獨倚樓。宮殿六朝遺古跡,衣冠千古漫荒丘太平時節殊風景,山自靑靑水自流。」とあるのは、「時世」の意。また、南宋・文天祥の『正氣歌』「天地有正氣, 雜然賦流形。下則爲河嶽,上則爲日星。於人曰浩然,沛乎塞蒼冥。皇路當淸夷,含和吐明庭。乃見,一一垂丹靑。」とあるが、これは第二の「時に応じて節度がある」の意の例になる。

※當春乃發生:(雨は)春になって、万物が生じる時に降り注いでくるのだ。 ・當春:春になる。春の時期にちょうどあたる。別段、こういう単語はない。 ・當:〔たう;dang1○〕あたる。 ・乃:〔だい;nai3●〕そこで。そこではじめて。かくて。それで。すなわち。 ・發生:春に万物が生じること。転じて、春。漢・張衡の『東京賦』に「既春游以發生,啓諸蟄於潛戸。度秋豫以收成。觀豐年之多餘。」とある。

※隨風潛入夜:(雨は、)風まかせに秘やかに夜の中にまぎれ込み。 ・隨風:風まかせ。 ・隨:(先方に任せて)その通りについてまわる。したがう。李白の『把酒問月』に「靑天有月來幾時,我今停杯一問之。人攀明月不可得,月行卻與人相
。皎如飛鏡臨丹闕,綠煙滅盡淸輝發。但見宵從海上來,寧知曉向雲閒沒。白兔搗藥秋復春,姮娥孤棲與誰鄰。今人不見古時月,今月曾經照古人。古人今人若流水,共看明月皆如此。唯願當歌對酒時,月光長照金樽裏。」とある。杜甫の『乾元中寓居同谷縣作歌七首』之一に「有客有客字子美,白頭亂髮垂過耳。歳拾橡栗狙公,天寒日暮山谷裏。中原無書歸不得,手脚凍皴皮肉死。嗚呼一歌兮歌已哀,悲風爲我從天來。」とある。  ・潛:ひそかに。そっと。人しれず。 ・入夜:夜になる。夜のとばりがおりる。但し、(前述通り)ここでは擬人法で「(好雨)知時節」「(隨風)潛入夜」「(潤物)細無聲」と構成しており、「(雨は)潛入夜」は「(雨は)知時節」「(雨は)細無聲」となっている。そこでの「潛入夜」は「雨がひそかに夜に降る」。ただ、ここは対句で「隨風潛入夜」は「潤物細無聲」と対になる。そうであるので「潤物+細・無聲」に従って「隨風+潛・入夜」としたい。また「入夜」(夜になる、夜のとばりがおりる)という単語があるので、一層「隨風+潛・入夜」とみたいところだ。ただ、伝統的にここは「隨風+潛入・夜」として、「『夜という事態の中に雨が潜入すること』であって『昼からの雨が夜に入ってなお降り続く』意ではない」(『杜甫ノート』120ページ 吉川幸次郎(新潮文庫))とするが、何如。(杜甫の対句はフレキシブルで融通性に富むので、そうなのだろう)。

※潤物細無聲:(雨は)物を潤して、しとしとと音もなく降り注ぐ。 ・細:こまやかに。 ・無聲:音がしない。

※野徑雲倶黑:野原の小道は、雲と同じように黒々として。 ・野徑:〔やけい;ye3jing4●●〕野原の小道。 ・倶:〔ぐ;ju4(1)◎〕ともに。いずれも。

※江船火獨明:長江を上下する船の灯火だけが明るい。 ・江船:長江を上下する船。ここでの江とは長江上流の岷江のことになろうか。『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期65-66ページ「唐 剣南道北部」「成都附近」(中国地図出版社)では流江のようだ。 ・火:漁(いさ)り火(び)。灯火。 ・獨:ひとり。

※曉看紅濕處:明け方に、花が(昨夜来の雨で)湿っているところを見ると。 *孟浩然の『春曉』「春眠不覺曉,處處聞啼鳥。夜來風雨聲,花落知多少?」に似た味わいがあり、後世、韓の詩『懶起』の「昨夜三更雨,臨明一陣寒。海棠花在否?倒臥巻簾看。」や、両宋・李清照の『如夢令』「昨夜雨疏風驟,濃睡不消殘酒。試問卷簾人,却道海棠依舊。知否?知否?應是綠肥紅痩。」に影響を与えたか。 ・曉:〔げう;xiao3●〕夜明け。明け方。 ・看:〔かん;kan4◎〕(手をかざして自分から)見る。物を臨(のぞ)み見る。見つめる。蛇足になるが、「見」:〔けん;jian4●〕みえる。 ・紅:(赤い)花。 ・濕:(夜来の雨で)しめる。 ・處:(具体的な)ところ。場所。

※花重錦官城:錦官城(=成都)の花は、(雨でしっとりと湿って)重たげである。 ・重:〔じゅう;zhong4●〕重(おも)い。蛇足になるが、「かさなる」意は、「重」:〔ちょう;chong2○〕重(かさ)なる。 ・錦官城:成都(現・四川省成都)の別名。その地の産物である錦を製造・管理する役所があったのでいう。錦城。錦里城。唐・杜甫の『蜀相』に「丞相祠堂何處尋,
錦官城外柏森森。映堦碧草自春色,隔葉黄鸝空好音。三顧頻煩天下計,兩朝開濟老臣心。出師未捷身先死,長使英雄涙滿襟。」 とある。

               ***********




◎ 構成について

 韻式は、「AAAA」で、韻脚は「生聲明城」で、平水韻下平八庚。この作品の平仄は、次の通り。

●●○○●,
○○●●○。(韻)
○○○●●,
●●●○○。(韻)
●●○◎●,
○○●●○。(韻)
●◎○●●,
○●●○○。(韻)

2008.9.29



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