Huanying xinshang Ding Fengzhang de wangye

                            


  酬李穆見寄 
                                                  

     唐・劉長卿

孤舟相訪至天涯,
萬轉雲山路更賒。
欲掃柴門迎遠客,
青苔黄葉滿貧家。




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李穆( り ぼく)の寄せらるるに(むく)

孤舟( こ しう) ()()ひて  天涯(てんがい)に至る,
萬轉(ばんてん)雲山(うんざん)  (みち) 更に(とほ)し。
柴門(さいもん)(はら)ひて  遠客(ゑんかく)を迎へんと(ほっ)すれば,
青苔(せいたい) 黄葉(くゎうえふ)  貧家(ひん か )に滿つ。

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◎ 私感註釈

※劉長卿:盛唐の詩人。709年?(景龍年間)〜780年?(建中年間)。字は文房。河間(現・河北省)の人。進士に合格して官吏となるも下獄、左遷された。ために、詩には失意の情感や離乱を詠うものが多い。五言詩に優れていることから「五言(の)長城」と称された。

※酬李穆見寄:(娘婿(むすめむこ)の)李穆(りぼく)から(詩を)送られたことに答えて(の詩)。 *この詩は、李穆の『寄妻父劉長卿』「處處雲山無盡時,桐廬南望轉參差。舟人莫道新安近,欲上潺湲行自遲。」に答えたもの。 ・酬:返事をする。こたえる。 ・李穆:劉長卿の娘婿(むすめむこ)。 ・見寄:(郵送などで)送られてきた。寄せらる。「見-」:は受動表現であって、敬語的用法でもある。…らる。≒「被-」。

※孤舟相訪至天涯:(あなた=李穆は、)ぽつんと浮かぶ舟(に乗って)、地の涯(のここ)まで尋ねてきて。 ・孤舟:ただひとつの舟。一つだけぽつんと浮かぶ舟。孤独な旅路を行く人の表現。 ・相訪:尋ねてくる。「相-」は、動作が対象に及んでくる時に使う。「…てくる」「…ていく」の意。「相互に」の意味はここではない。中唐・白居易の『勸酒』「昨與美人對尊酒,朱顏如花腰似柳。今與美人傾一杯,秋風颯颯頭上來。年光似水向東去,兩鬢不禁白日催。東鄰起樓高百尺,題照日光。」盛唐・李白に『把酒問月』「天有月來幾時,我今停杯一問之。人攀明月不可得,月行卻與人。皎如飛鏡臨丹闕,拷喧ナ盡C輝發。但見宵從海上來,寧知曉向雲陝刀B白兔搗藥秋復春,娥孤棲與誰鄰。今人不見古時月,今月曾經照古人。古人今人若流水,共看明月皆如此。唯願當歌對酒時,月光長照金樽裏。」や、東晋・陶潜の『飮酒二十首』其一「衰榮無定在,彼此更共之。邵生瓜田中,寧似東陵時。寒暑有代謝,人道毎如茲。達人解其會,逝將不復疑。忽與一觴酒,日夕歡。」、陶淵明の『雜詩十二首』其七の「日月不肯遲,四時催迫。寒風拂枯條,落葉掩長陌。弱質與運頽,玄鬢早已白。素標插人頭,前途漸就窄。家爲逆旅舍,我如當去客。去去欲何之,南山有舊宅。」や張説の『蜀道後期』「客心爭日月,來往預期程。秋風不,先至洛陽城。」杜甫の『州歌十絶句』其五に「西一萬家,江北江南春冬花。背飛鶴子遺瓊蕊,趁鳧雛入蒋牙。」とある。南唐後主・李U『柳枝詞』「風情漸老見春羞,到處消魂感舊遊。多謝長條似,強垂煙穗拂人頭。」、唐〜・韋莊の『江上別李秀才』に「前年送灞陵春,今日天涯各避秦。莫向尊前惜沈醉,與君倶是異ク人。」とあり、范仲淹の『蘇幕遮』「碧雲天,黄葉地,秋色連波,波上寒煙翠。山映斜陽天接水,芳草無情,更在斜陽外。   黯ク魂,追旅思,夜夜除非,好夢留人睡。明月樓高休獨倚,酒入愁腸,化作思涙。」とあり、唐末・韋莊の『浣溪沙』「夜夜思更漏殘 など、下図のように一方の動作がもう一方の対象に及んでいく時に使われている。
B

もっとも、李白の『古風』「龍虎
相啖食,兵戈逮狂秦」、『遠別離』の「九疑聯綿相似,重瞳孤墳竟何是。」や『長相思』「相思,在長安」や王維の「入鳥不相亂,見獸相親。」などは、下図のような相互の働きがある。
B
勿論、これらとは別に言葉のリズムを整える働きのために使っていることも詩では重要な要素に挙げられる。 ・天涯:地の涯。ここでは、作者(=劉長卿)の許のことになる。作者の許に、遠くから李穆が訪れてきたので、作者は李穆の客の立場から「至天涯」(地の涯に至る)という表現を採用した。

※万転雲山路更賒:雲のかかった高い山道を何度も何度も向きを変える(ので)、道のりは一層遠い。 ・万転:何度も向きを変える意。 ・雲山:雲のかかった高い山。蔡文姫の『胡笳十八拍』に「我生之初尚無爲,我生之後漢祚衰。天不仁兮降亂離,地不仁兮使我逢此時。干戈日尋兮道路危,民卒流亡兮共哀悲。煙塵蔽野兮胡虜盛,志意乖兮節義虧。對殊俗兮非我宜,遭忍辱兮當告誰。笳一會兮琴一拍,心憤怨兮無人知。戎羯逼我兮爲室家,將我行兮向天涯。
雲山萬重兮歸路遐,疾風千里兮揚塵沙。 とあり、晩唐・杜牧の『自宣城赴官上京』に「瀟灑江湖十過秋,酒杯無日不淹留。謝公城畔溪驚夢,蘇小門前柳拂頭。千里雲山何處好,幾人襟韻一生休。塵冠挂卻知闔磨C終擬蹉跎訪舊遊。」とある。 ・路賒:道のりが遠い。 ・賒:〔しゃ;she1○〕遠い。また、おぎのる。ここは、前者の意。=賖。

※欲掃柴門迎遠客:遠来の客(=李穆)を迎えるために、草庵(=作者の家)(の庭)を掃こうとしよう。 ・柴門:柴(しば)を編んでつくった粗末な門。草庵の門。質素で閑静な住居。盛唐・劉長卿の『逢雪宿芙蓉山主人』に「日暮蒼山遠,天寒白屋貧。
柴門聞犬吠,風雪夜歸人。」とあり、盛唐・杜甫の『絶句漫興』に「懶慢無堪不出村,呼兒日在掩柴門。蒼苔濁酒林中靜,碧水春風野外昏。」とあり、晩唐・貫休の『春晩書山家屋壁』に「柴門寂寂黍馨,山家煙火春雨晴。庭花濛濛水泠泠,小兒啼索樹上鶯。」とある。 ・遠客:遠くから来た客。ここでは李穆を指す。

※青苔黄葉満貧家:青い苔に黄色い葉が、貧しい家(=作者の家)(の庭)に満ちている(ので)。 ・黄葉:もみじ葉。秋になって葉が黄色く変わる葉。 ・貧家:貧しい家。寒家。ここでは、作者の家を指す。

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◎ 構成について

韻式は、「AAA」。韻脚は「涯賒家」で、平水韻上平九佳(涯)・下平六麻(賒家)。この作品の平仄は、次の通り。

○○○●●○○,(韻)
●●○○●●○。(韻)
●●○○○●●,
○○○●●○○。(韻)
2015.5.12
     5.14




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