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C51 その4-中村精密・キングスホビー・ワールド工芸

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中村精密

C51 デフなし 1980年 デフなし

C51 デフなし 1980年
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Nゲージ初のC51です。

中村精密が発売した金属製の模型の第1弾です。完成品と動力部組み立て済みキット、バラキットの3種がありました。
当時は9mmゲージの国鉄型蒸機が珍しかったためか、結構出回っており、今でも中古品でもたまに見かけます。ケースに入っている黄色のスポンジがベタベタになってくることがあるので、古い長期間放置している方は一度確認されることをおすすめします。

テンダードライブで、ホワイトメタル製の重い車体をテンダーが押して走ります。2軸駆動のものと4軸駆動のものがあります。写真の製品は4軸駆動で、見かけによらずパワフルな走りをし、勾配で長編成を引いても平気です。

ほかにデフ付きやボックス動輪などというものも発売されていますが、基本的にはご覧のとおりのスタイルで、特にキャブを何とかしたくなります。ボイラーと一体のハシゴも彫り込みが浅いので、何かを巻きつけてあるようであまり印象がよくありません。
なお同シリーズのキャブはすべてエッチングですが、当初の模型誌提供用のサンプル品ではキャブもホワイトメタルだったようです。

キットの内容については、こちらでご紹介しています。→C51(中村精密)の組み立て

キングスホビー

C51 1998年 標準型

C51 1998年
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1998年2月に発売されました。ボイラーは丈夫なプレス曲げです。

C51 お召し 1998年 お召し

C51 お召し 1998年
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同じ年の12月に発売されました。ボイラーは真鍮製なので、ボイラーバンドなどを磨き出して感じを出すことができます。

当時発売されたばかりの、KATOのC55を使用するキットです。実物の感じが大変よく出ており、走りが確実なので常用にも適しており歓迎されました。
もとのC55は動力だけを利用するのではなく、安全弁も使用しますし、テンダーも丸ごと使用するので、動力部のASSYだけを買っても作れません。また他にD51のテンダー台車も必要で、これが入手難で苦労させられました。 動力部にC57を使用すれば、ボックス動輪のタイプに似せて組み立てることもできるでしょう。

組み立てには、ワールド工芸とはまた違った難しさがあり、ランボードにフチをハンダ付けするとか、シリンダーの排気管の太い真鍮線を焼きなまして曲げ、止弁と給水温め器に半田付けするというような面倒な作業もありました。 2000年のバリエーション追加の際、それらは一体のロストパーツに改良されて、ライトも点灯式になっています。
下廻りにも加工が必要ですが、前端の数箇所を切り取る程度なので、説明書どおりに進めればそれほど難しくありません。

このキットには、よく「各自用意」として片付けられてしまうような、プラ板の小片までもが含まれており、説明書も大変詳しく書かれています。プラモデルのように作る手順がきちんと書かれているので、初めての方でも要領がつかみやすいと思います。
種車のC55はもともとC51より長く、また縮尺が1/140のため、昨今の1/150金属製品に慣れていると大きさ的に受け入れられるかわかりませんが、その条件の中で巧みにデザインされており好ましい形態だと思います。

なおお召しと同時期に、同じくキングスホビー製のお召し1号編成も発売されました。当然ながら何両も組み立てる必要があり、ウィンドウシル・ヘッダーを歪みなくハンダ付けしていく作業は、機関車の組み立てよりも大変に感じました。

2000年には前述の改良が加えられ、「燕」仕様と水槽車が発売されました。続いて標準型改良品と「門デフ」も発売されています。同年にはマイクロエースのC51も発売されているので、2社の製品が市場に存在していました。

ワールド工芸

●初回仕様シリーズ(2005〜2009)

C51 給水温器付・12-17テンダー仕様 2005年 C51

C51 給水温器付・12-17テンダー仕様
2005年 (拡大写真)

2005年末に発売されたテンダードライブ機で、サイドビューがとても整っています。大人気ですぐに売り切れてしまいました。
商品名は12-17テンダーですが、これは17立方米後期ではないかと思います。
C51の組み立て

C51 お召し仕様 2006年 C51 お召し仕様

C51 お召し仕様
2006年 (拡大写真)

特定ナンバー(236号機)で告知されましたが、発売時には一般的な「お召し仕様」となりました。
このころまで、私はテンダーの動力部を塗装していませんでした。テンダーの台車上部が金色に見えるのはそのためです。その後は黒塗装して組み立てています。

C51 東鉄形キャブ 2009年 C51 東鉄形キャブ

C51 東鉄形キャブ
2009年 (拡大写真)

キャブの窓周り等の形が少々違っている以外は、最初の製品とほぼ同じスタイルです。車輪は黒色になりました。

実物のプロポーションの再現に重点が置かれた製品で、スタイル的には今のところC51の決定版です。 動輪などの下廻りと上廻りのバランスが抜群です。9mmゲージで客車から頭が飛び出さない初めてのC51でもあります。 キットの構造は今までの製品とほとんど同じなので、今までワールド工芸のキットを組んできた方なら、特に悩むことなく組み立てられるでしょう。
最初の製品では、なぜか前部ダミーカプラーが付属しておらず、取扱店の非常に少ないZゲージ用のカプラーを使うように指示されていました(それ以降はダミーカプラーが付属します)。

キットのほかメーカー完成品もありますが、走行用に常用しようと考えれば、キットを完成させた経験のある方でないと取り扱いが難しいと思います。完成品は必ずしもすべてのレイアウトに適合するものではありません。場合によっては自分のレイアウトでスムーズに走るよう、下廻りを自力で調整する必要もあります。コレクションして飾って楽しむという場合はこの限りではありません。

●2次仕様シリーズ(2010〜)

C51 274号機 2010年 C51 274

C51 274号機
2010年 (拡大写真)

ここから加減リンク可動式になり、高精度ギヤと称した動力に変わりました。パイプ煙突と後藤式G-7デフが特徴です。テンダーは12-17形です。

C51 271号機 2010年 C51 271

C51 271号機
2010年 (拡大写真)

274号機と同時に発売されました。同様にパイプ煙突で、本線で客車を牽引した最後のC51です。

C51 80号機 2011年・2019年 C51 80

C51 80号機
2011年・2019年 (拡大写真)

最後まで比較的原形に近い姿で残った80号機です。
2019年にリニューアルされ、動輪輪心がダイカスト製になりました(作例は2011年製品)。

C51 247/249号機「燕」仕様 2012年・2020年 C51 247/249号機「燕」仕様

C51 247/249号機「燕」仕様
2012年・2020年・2023年 (拡大写真)

デフなし・給水温め器なしの姿で、走行中の乗務員交代を考慮した特殊テンダーを装備しています。水槽車も発売されました。
2020年にはダイカスト輪心に、2023年にはコアレスモーターに変更されました(作例は2012年製品)。
C51 247/249号機「燕」仕様(ワールド工芸)
C51(ワールド工芸)新動力

C51 給水温め器付 2014年 C51 給水温め器付

C51 給水温め器付
2014年 (拡大写真)

久々の非特定機です。2005年の初回品のリニューアルという立場です。
これ以降のC51シリーズの煙室扉は、それまでの真鍮挽物から真鍮ロストワックスに変更されました。

C51 248/171号機「燕」仕様 2015年・2020年 C51 248/171号機「燕」仕様

C51 248/171号機「燕」仕様
2015年・2020年 (拡大写真)

給水温め器付きの燕仕様機です。別売の水槽車もリニューアルされました。
2020年の再生産分よりダイカスト輪心になりました(作例は2020年製品)。
C51 248/171号機「燕」仕様(ワールド工芸)

C51 大鉄デフタイプ 2018年 C51 給水温め器付

C51 大鉄デフタイプ
2018年 (拡大写真)

初の大鉄デフです。このスタイルのほうが普通だったという方もいらっしゃると思います。
これ以降、C53・C54・C55に続き、C51も動輪がダイカスト輪心に変更され、ロッドピンもネジ式に変わりました。

C51の組み立て(ワールド工芸・大鉄デフタイプ)

C51 208号機「燕」仕様 2019年

C51 208号機「燕」仕様
2019年

燕仕様のバリエーションで、単式コンプレッサーを備え、給水ポンプが後方にずれているのが特徴です(写真はありません)。

鉄道院18900形(国鉄C51) 2020年 鉄道院18900形

鉄道院18900形(国鉄C51)
2020年 (拡大写真)

初の空制化前仕様です。18900形としての発売はNゲージの製品としても初です。
C51・18900形の組み立て(ワールド工芸)

C51はワールド工芸の看板商品的な存在となり、2015年始めまで10年にもわたって、商品画像が同社サイトのトップを飾っていました。

C51をはじめ、9mmゲージの蒸気機関車の金属製品には、いまや形態的に魅力ある製品がたくさんありますが、組み立てなどにおいて敷居が高いのがネックです。
もし昔の16.5mmゲージのように、ドライバー1本で組み立てられるような塗装済みキットがあったなら、もっと広くお勧めしたいところです。
しかし、そんな手の込んだキットは、完成品よりもはるかに高いものになってしまうのかもしれませんね。


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