レジスター【れじすたー】
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23世紀初頭、人類を分類する階級の一つ。
適性を認められた人間が「本人の希望」で
レジスターとなることを承諾し、
感情(衝動)や過去の記憶を抑制することにより
脳の副処理能力(コ・プロセス)を増強した人間。
政府の要請で一定数が「登録(レジスト)」されるので
登録者(レジスター)と呼ばれる。
また登録中はコールネームとして処理するため
ファミリーネームは削除される。

レジスターは他のスキルテスト合格人間と同様、
その存在だけでも特別であり、同じく超エリートである
イモータルと並んで、一般市民(ヒューマン)には
距離をおかれつつも羨望と敬遠、双方の目で見られることが多い。

また、その処理能力や思考速度を増すためにレジスターは、
過去の記憶や感情を抑制する処置を受けており
能力保持のため、多量のカルシウムを含む
専用濃縮ミルク(レジスターミルク)を常用している。
また処理速度を維持するため8時間の睡眠を義務付けられている。

レジスターの選考基準はいわゆる職能としての
適性である“スキルテスト”とは違い、
脳・神経伝達系とメンタルな適性によるため
スキルテストよりも早く、多くがスキルテスト開始前の9歳か
それ以前に、政府がDNAから選抜した候補から再調査、
本人の意思確認後に認定され、15歳までの間に
レジスターとしての教育と肉体的な改造が施される(主に脳、神経系)。

その能力をフルに発揮するため、レジスターとしての任期は
15〜25歳までの10年間と限定されている。
それ以降は(レジスターとしてあり続けることにより)
身体能力の低下が起きるため
レジスター登録とその能力特性は抹消される。
その代わり任期を終えたレジスターには生涯特Aクラスの
市民生活が保障される。
つまりレジスターとは10年間、人格を抑制されること
(また大抵は非常に多忙な職務・職場につく)と引き換えに、
その後は一生遊んで暮らせるという、この時代の価値観によれば
この上なく魅力のある職業ともいえる。
しかしまた、それ故にその選考は厳格極まりないもので、
最下級のFクラスでさえ、10万人に1人程度である。

レジスターは基本的に、ライフラインにかかわる重要なセクションに配属される
ことが多いため、その大部分が宇宙での勤務となる。
本編冒頭、ベアトリーチェと出会った時
(地球生まれの)ヒロトがレジスターである彼女の存在を珍しく思ったのも
この配置事情によるものが大きい。
また、基本的に一人の人間に一人のレジスターがつくということは、
IEO政府要人や高位の軍関係者以外にはありえないので、
ヒューマンヒロトにレジスターのベアトリーチェ(しかもクラスG)
が付いたと言うのは、前代未聞の出来事だったと言える。
ヒロトをめぐる“計画”の規模の大きさと重要度が窺い知れる逸話である。

レジスターのクラスは通常、FからAまで存在する。
このうち下記任務表の通り、クラスC以上は
政府機密へのアクセス権をもつ、いわゆる上級職である。
(ただしこの機密アクセス権もクラスC〜Aまでは、政府の審査を経た後に
 限定的に開示されるもので、得られる情報はあくまで受動的なものである)

上にあげた通常のクラスの他に、クラスG(ゴールド)と呼ばれるものがある。
これは、いずれ人類が直面するニビル戦役に向け特設されたもので
全太陽系(地球圏)で最高の素養を持つ者が極少数選ばれた。
クラスGレジスターは、2209〜2210年段階で
ベアトリーチェカテリーナほか数人しか存在しておらず、
故に通常はA1、A2...のように付けられるコードナンバーの末尾も、
すべて簡潔なメジャーコードで終わっている。
ちなみにベアトリーチェはRTG2202B、カテリーナはRLG2202Cである。
(これらに対して、例えばクラスAのアンナのコードナンバーはRTA2201A1)

なおレジスターの最高位であるクラスGの存在は、
ニビル戦役までは一般にまったく知られておらず、
大抵の者には新設された最下級クラスと誤認されていた。
本編第1話ではソフィアも、ベアトリーチェの呼称からヒロト
「クラスFより下級クラスのレジスターが付いた特殊な人物(変わったヤツ)」
として興味をひかれたに違いない。

以下、レジスタークラスと代表的な職種をあげておく。
A:IEO中央本部の統括管理
  IESA中央本部の統括管理  
  艦隊旗艦や空母クラスの情報処理、管理
  (※もちろん通常最高位とみなされているクラスAのアンナ
   一戦闘部隊に付くことも、
   ニビル戦役をめぐる政府レベルの計画がなければ
   常識からいってありえない配置である)
B:IEO本部、地方支部、重要宇宙基地などの統括管理
  人口調整管理本部(新生児を生み出す施設)の統括管理
  中央都市のエネルギー供給施設の管理
  食料、空気、水などのライフラインの統括管理
  IESA地方本部の統括管理
  戦艦クラスの情報処理、管理
C:IEO本部、地方支部、宇宙基地等の情報処理、施設管理
  食料、空気、水などのライフラインの情報処理、施設管理
  IESA地方支部の情報処理、施設管理
  巡洋艦、駆逐艦クラスの情報処理、管理

  ※クラスCより上は、政府Sクラスまでの機密へのアクセス権があるため
   重要事件の特別捜査官などを務めることもある。

D:IEO管理下の施設や準公共大型施設等の管理
  IESA管理下の各施設管理
  補給艦、巡視艇クラスの情報処理、管理
E;広域ネットワークの監視、
  IEOIESAの施設管理
  乗員1000名を越す大型宇宙船舶の搭乗、管理(必須)
F:リミテッド(限定)ネットワーク(情報の集中する施設や建物)の監視
  超一流企業の主査、公共企業の監査役、政府要人のサポート、
  乗員300名を超える宇宙船舶の搭乗、管理(必須)
  IEOIESAの末端施設の管理

G:クラス“ゴールド”
  ニビル戦役に向けて特設された最高クラス。
  クラスGは、ニビル戦役でもっとも重要な役目を担った
  艦船(カテリーナビルキスに所属)、
  人物(ベアトリーチェヒロト専属)のサポートのみに配属された。
  他のレジスターが政府機関のために動くエージェントとするならば、
  クラスGは「未曾有の危機に直面した人類のため」
  主体的に働くことを義務づけられたエグゼクターといえる。

  クラスGはレジスターとしての適正や能力が
  太陽系でも最高レベルにあることは勿論のこと、
  SSレベルを含む全階層の公的能動アクセス権という、
  クラスAにさえ許されていない、超高度な特権がある。
  (つまり「SSS/統合政府最高機密」を除く
   あらゆる情報に、自由にアクセスする権限があるということ。
   ただし、公的な目的である限り、であるが)
  この一見あまりにも広汎な情報利用特権の必要性は、本編で
  ベアトリーチェヒロトをサポートする様々な局面、
  特にニビル戦役プログラム“ニビル”プロテクトヒロトを救済した際に
  証明されることになった。
  人類vs“生物”惑星という、未曾有の疑似プログラムバトルにおいて
  ベアトリーチェはクラスGの処理能力とアクセス権限を発揮、
  ビルキスの戦術コンピューターAEON3000X
  ビルキス所属レジスターの支援を自在に使いこなして、限定的ながらも
  伝説的な勝利をおさめることができたのである。


レジスターの首輪は認識票であり、多機能コミニュケーターでもある。
なお、首輪に刻印されているコードナンバーは
たとえば
ベアトリーチェ RTG2202B
カテリーナ RLG2202C
アンナ RTA2201A1
のように
R:レジスター
T:地球(Terra)、月(Luna)、火星(Mars)
G:クラス。ほかA〜F
登録年:
コールネーム:ベアトリーチェ(B)
マイナーコード:同じ勤務エリアに同名がいなければ省略できる。

またレジスターの制服はこの世界におけるエリート的な
位置付けも踏まえて一目でその存在と階級までを
認識できるデザインとなっている。
制服の内側にはコンピューターと直接リンクするための装置と
ゲル状のバックアップメモリーが備わっている。
もちろん帯電コーティングも施されている。

クラス名 マーク 服の色

クラスG: ◆◆◆◆ [ゴールド]
クラスA: ▼▼▼ [プラチナホワイト]
クラスB: ▼▼ [ワインレッド]
クラスC: [ディープブルー]
クラスD: ●●● [バーミリオン]
クラスE: ●● [ライトブルー]
クラスF: [アシッドグリーン]

本文:金子良馬、山口恭史 
初出:I-p16 「未完兵装ルナシャフト設定資料集・用語集」
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