インターシティに揺られること3時間。フィレンツェ出発時は混み混みだった車内も、終点のベネチアに近づく頃にはすっかり ガラガラ。列車は潟の上を走り抜けていよいよ最終目的地・水の都に突入した。
駅そばのホテル・ウニベルソ(やはり三ツ星。4階なのにエレベーターがなかったが、部屋には冷蔵庫もあった)に荷物をおいて から、夕食がてらサン・マルコ広場へ向かうことにする。ベネチアの街は通りが細くて車は走れないため、移動手段は徒歩か ヴァポレットと呼ばれる水上バスがメイン。ヴァポレットには「快速」と「各停」があるが、 ここはひとつ大運河からの眺めをじっくり楽しもうと各停に乗る。明日も使うつもりで24時間券を購入する。「Z」字型に蛇行する大運河をのんびりと流れていくのは風情がある。…が、寒い。ローマやフィレンツェに比べるとベネチアは アルプスの麓と言っても過言ではないところだし、もう夕方だし。一行はそれでも寒さを我慢しながら両岸の由緒ありげな建物を 眺めるのだった。
由緒ありげな大運河沿いの邸宅。 | 壁画が美しい。 |
リアルト橋、アカデミア橋の下をくぐり抜け、右手にサンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会、さらに遠方にサン・ジョルジョ・ マッジョーレ教会が見えるあたりを過ぎると、いよいよサン・マルコ広場。一行が乗船した駅前乗り場からは各停で約30分程度。 |
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ヴァポレット乗り場からサン・マルコ広場への途中(サン・マルコ小広場と言うらしい)にある2本の円柱の上には、 ベネチアのシンボル・有翼獅子とかつての守護聖人・聖テオドーロの像があった。テオドーロくん(写真右側)はちょっとショボイ。 (^^; |
サン・マルコ広場近くの適当なリストランテで夕食。ところがここでまたもやボラレる。
教訓 その1:必ず値段の出ているメニューを見せてもらって注文しましょう。
カタコト日本語を操る店員に「ワイン、シロ?」などと言われてうっかりうなずいたりするのは大ケガの元です。
教訓 その2:常にぼんやりしていてはいけません。
こちらはミネラルウォーターを1本注文したつもりでも、向こうは人数分だと受け取ることもあります。
(ミネラルウォーターは結構高い…)
とにかくこの日は旅も中日で疲れもピークに達していた模様。しかもここではカード払いにしたのだが、チップの欄を消したり トータル欄の金額の頭に通貨単位を書いたり、ということをし忘れたため、カードの主の女王様3号は増額請求されるのでは?と しばらく不安な日々を過ごすことになってしまった。店を出たのは10時過ぎ。ホテルまで行きと逆のヴァポレットで帰ろうとしたが、この時間になるとなかなか便がない。
そこで歩いて戻ることにした。そしてものの見事に道に迷う。(^^;; 街角のあちこちに「リアルト橋→」「ローマ広場→」と いった表示があるので途中までは確かに正しい方向に進んでいたのだが、暗いせいもあってその「→」が道なりなのか右折なのか わからない、といった箇所が多くなり…。
ベネチアの街は小さな広場や細い細い路地が入り組んでいて、ガイドブックに載っている地図程度では全く役に立たない、ということを この期に及んで実感する。ベネチア隊長・女王様3号もお手上げだ。
しかも夜のベネチアはひとけがない。本土側から毎日「通勤」してきている人の方が多いようで、夜は灯りのついていない建物も多く、 なんとなく廃墟っぽい雰囲気になっている。こんな時間に出歩いているのは観光客ばかり。いや、「ばかり」というほど人が歩いては いないのだ。
歩き回ること30分、予定ではホテルに帰り着いていて良い時間なのに、まだリアルト橋の近くにいることがわかり愕然とする。
しかも、リアルト橋の近くであることはわかるが、リアルト橋まで戻る道筋はわからない。女王様たち大ピンチ。
もうこうなったら地図に頼ることはあきらめ、「明るい方をめざす」「ひとけのある方に行く」という出たとこ勝負な方針に切り替える。 立ち止まっていると怪しい人が近づいて来そうな気がして(?)不安のあまり倍速モードで歩くことさらに30分。もちろん、 自分たちがどこにいるのか完全にわからなくなっている。
と、細い運河のほとりに出た。かかっている橋を渡るべきかどうか一行が思案していると、運河の前方を動いていく船を発見。 ヴァポレット?!ということはこの先に大運河が!
大運河の岸までたどり着いてみると、なんとそこはもう駅の近くだった。前半の30分に比べると、後半の30分はほとんど距離を ロスせずにここまで来たことになる。後半の方がより道に迷っていたのだが…。女王様たち的には「神様がワープさせてくれたのねっ」 ということにしておく。
教訓 その3:確かにベネチアの治安はいい。
でも着いた日の夜中に歩き回るのはやめた方が無難。
迷いたい、というなら止めはしませんが。
確かに終わりよければ全てよし、で異次元の世界をさまよい歩いていたような貴重な体験ではありましたが、もう1回やれと 言われてもちょっとね…。