五線譜1

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No.33 「マーチンギターの保管」マニュアル
No.34 ツリーオブライフの試奏
No.35 D28GEとD28HW
No.36 弾きこまれたギターと古いギター
No.37 Q値について
No.38 「弾いた音」と「聞いた音」
No.39 打田十紀夫さんにお会いしたこと
No.40 つかないピックアップ
No.41 大屋建さんの工房を訪ねて
No.42 風通しのいい二階に置けたら・・・
No.43 職場の厚生日
No.44 鳴らないD45
No.45 Hobo’sさんでの始めての試奏

No.33 「マーチンギターの保管」マニュアル
マーチンギターの正規輸入品には保証書とともに「マーチンギターの保管」マニュアルなるものがついてきます。
内容は湿度管理の重要性を詳しく説明していることが主ですが、以下、太文字のタイトル的な部分を紹介します。
・温湿度管理の不手際による故障は3年間保証の期間内であっても有料となりますのでご注意ください。
・ギターの温湿度管理
・マーチン社の正しい基準を愛用のギターに応用しよう。
・ギターの湿度管理はプレイヤー自身が行うべきこと。
・相対湿度とはなにか?
・ギターの環境には常に注意を払う必要があります。加湿器、除湿器等を利用して相対湿度50%になるようにしてください。
・相対湿度が木材に与える影響は? ・適度な湿度とは?
・乾燥した木材への処理方法とマーチン工場で保たれている湿度と温度とは?
・ギタープレーヤーがすべきことは何か? ・室内で湿度を測るには?
・湿度変化がギターに与える典型的な影響
・保管と運搬について ・化学薬品や薬剤からの保護 ・弦の交換について ・弦の交換手順
・ギターのコンディションについて ・メンテナンスとリペアについて ・そして ・演奏の後には

このマニュアルからわかることは、
1.ギターは湿度に弱く、その管理はプレーヤーの責任であり、メーカーは保証しないこと
2.湿度は50%でなければならず、40%や60%では異常が起こる可能性がある。
3.保管時には必ず弦をゆるめ、純正のハードケースに入れる。
4.弦は24時間演奏したら交換する。
5.念の為、演奏後は1〜2音弦のテンションを下げておく。
6.純正クロスとポリッシュでよく拭いておく。etc・・・

しかし、50%の湿度を保たないと保証がきかない、ということは、うちのHWは保証対象外となります。(製造過程での問題があれば別のようですが。)張りっぱなし派の方も保証対象外・・・ですね。正式保証書がありますから、リペアは頼めばして頂けるようです。そういえば、正規輸入品って高温多湿に強くできてるって話し、ありましたっけ。ほんとかな。
でも、このマニュアル、とても参考にはなります。



No.34 ツリーオブライフの試奏
大宮市にある新OOROOOIOが新装開店した時からギター保管庫にD45ツリーオブライフが置かれています。始めはさすがに「試奏させて」とは言いにくかったのですが、以前、オヴェーションを買ったり、PA用エフェクター類を買ったりということもあり、甘えて試奏をお願いしたところ、快くOKしてくれました。ただ、保管庫から取り出してくれた店員さんも、とてもおそるおそる丁寧に渡してくれて恐縮しました。
試奏する側としても、高額の新品の売り物に万が一でも傷をつけまいと、背広を後ろ前にして「前掛け状態」で弾きました。見ていた人には笑われそうなかっこでした。
aya−yuが試奏するときは、いつもプラスティックのフィンガーピックでの音の確認と、指での感触を確かめます。指でのストロークをすることはたまにありますが、ピックでのストロークは絶対にしないようにしています。指でのストロークなら万が一の場合でも「パフがけ」すれば基本的にもとにもどりますが、ピックウエアーをつけてしまうと申し訳ないと思うからです。
音色はD28HWに似ているな、とその時は感じましたが、もう少し低音重視だったようにも思います。ハカランダもD4らしく綺麗な木目でした。さすがマーチン、という感じがしました。リーチさんとHW売って、ちょっと頑張って買っちゃおうか・・・などという思いも頭をもたげました。いわゆる「ギターおやじ」のギターショップでの「かも」状態の自分を感じています。「購入希望がありますか?」と言われれば「いい音のギターは全て買いたい」と答えてしまいそうなaya−yuです。でも、まだギターで借金はしてないぞ。
試奏が終わってお店の方にお礼を言うと、「こちらこそ、試奏にこんなに気を使って頂いて有難うございます。」とおっしゃってくださいました。とても気持ちのいい対応で有り難かったです。でも、「また、弾かせてください」とは言えないな。後ろ髪を引かれる思いで楽器店を出ました。


No.35 D28GEとD28HW
友人がD28GEを買いました。ご承知の通り、GEはアディロンダックスプルースでHWはシトカスプルースです。他にもスペック上微妙な違いはありますが、それが最も大きな違いであるわけです。HWのトップは着色してあるとのことなので、正確には言えませんが、GEは黄色っぽく、HWは赤っぽく見えます。
HWが中高音のよく響くバランスのいい繊細な音なのに対して、GEは28らしく低音が響き明るくまろやかな音だと感じました。
最も、同じGEでも、ブルージーで試奏させてもらった一号機と友人のものは印象が違いました。一号機は中高音が出ていたように思います。よし悪しではなく、個性として「個体差」は大きいのだと思います。
GEのトップのアディロンダックは話しに聞く通り、目が粗く、HWのシトカはトラ目がいっぱいの素晴らしいものです。しかし、ブルージーで聞いたお話しでは「アディロンはシトカより張力に強い」ため、目の詰まったシトカよりアディロンのほうがよいとも考えられるそうです。とにかく、音色そのものが全く違うので、「どちらが好みか」という選択はあっても「どちらがよいか」という論議は不毛といえるのだと思います。
そう言いつつも、友人とやった「ブラインドテスト」、HWとGE含め、ほとんどギターの区別がつかなかったことから考えると、私の言う「音そのものが全く違う」というのもあてにならないかもしれませんが・・・。

No.36 弾きこまれたギターと古いギター

こやまさんのHPでギターの経年変化について、以下のような投稿をさせてもらいました。

ギターの音の変化についてですが、残念ながら私も全てを自分で納得できるまで分かってはいません。ただ、幾つか文献や経験から分かっていることについて書かせて頂きます。
一つは、ギブソン社の昔の説明によると、ギターに使うラッカーの中に、作られて数年で消えてしまう成分が含まれており、そのラッカーは木の振動に影響を与えるので、ギターをねかせたり弾いたりして熟成させることで音をやわらかに豊かにできると言います。
もう一つは、弦の張力によってトップ板が引っ張られることで、年月の中でわずかですが、持ちあがってきます。もとの製材した平らな状態に比べて引っ張られたトップは張りのある音になります。太鼓の皮を緩い状態で叩くのと張り詰めた状態で叩くのでは明らかに違いがでるのと同じです。
ロイノーブルらはこれを人工的に作ることで「ドーミング」と呼ばれる技術を生み出しました。
(正確には、ドーミングはクラシックの製作方法として、以前からあったそうです。また、最も早く鉄弦に取り入れたのはソモギではないかというお話も伺っています。)
もう一つは材の「乾燥」です。ギターになって、よい状態で乾燥したものは木の細胞一つ一つが違っているはずです。本来なら充分乾燥させた材を使うべきなのですが、今、マーチン含め、自然乾燥で何年もシーズニングされることはほとんどありません。たとえ、自然乾燥されたものでも、ギターの形に馴染んでからの乾燥は影響は大きいのではないかと思っています。
ただ、これまで挙げた事が全てか、と言うとよく分からない部分は大きいです。
「丸ごとD28」でリペアマンのIさんは「修理したてのギターに弦を張ってちょっと散歩に行って帰ってくると音が変わっている」といいます。クラシックギターは特に1年目に音の変化が激しいとも言われているようです。それらがなぜ起こるのか、「魔法」のような面が感じられたりします。「弾いた人の魂がこもるから」と言われれば納得してしまいそうです。

 書きこみながら、一つ重大な点に意識的に触れていない所がありました。それは「弦振動が経年変化に与える影響はなんだろうか」、という点です。
トムウィーラーの「ザ・ギターブック」の中で、デヴィッド・ラッセル・ヤングは「もし、プレーされずに、ただ置かれてある場合には、ある音の音色がそこなわれる」と言っています。また、日本で有名なリペアマンのIさんは、保管の状態として「弾かれていなければ、ギターにとっていい保管状態とは言えない」とおっしゃっています。
実際、私の持つマークシリーズの中にはデッドストック品が混ざっていますが、それは他のものより、ややまろやかさに欠けるようにも感じます。けれど、それがたまたまの「個性」なのか、ギブソンの言う「塗装」を含めて、「弾かれなかった」影響なのかはわからないです。
そしてデッドストックのギターの中にも、素晴らしい音色のギターがあるのも事実だと思います。
以前も書きましたが、本当に「弾かれたギターは音がよくなる」のでしょうか。「よくなる」と言われる方のほとんどが、経験上のお話しで、それはそれで大切な物ですが、「こうした変化が起こるから、よくなるんだ」といった説得力のある具体的な説明はないものか、と思うこの頃です。ギブソンが「塗装」の影響を挙げるなら、それがどの程度の影響を与える物なのか、データで知りたい所です。無理なのかもしれませんが・・・。

01.8.27.注:こやまさんのhpのよろず相談において、材の経年変化の中で「セルロースの結晶化」という視点で投稿された方がいらっしゃいました。木材が乾燥するにしたがって、セルロースと言う物質が結晶化を起こし、より硬くなってくる。その結晶化の状況が「弾き込まれたギター」と「弾かれないギター」では変わってくるのではないか、という趣旨です。とても興味深く、お話の内容に感心させられました。
ただ、だとするならば、材料のまま数十年シーズニングされた木材は「弾かれてはいない」状態で数十年「結晶化」することになるわけで、「古い材を使うと鳴らない」ことになってしまいます。しかし、古い材を使ったギターにもとてもよく鳴るものかが多くあります。
やはり、他にも、何か重要な経年変化の要素はあるのかもしれません。


No.37 Q値について

この頃、アコースティックギター関連の雑誌の中に、「Q値」というものを何度か目にしました。「quality」の「Q」だそうです。一言で言うと「その材が残響をどれだけ長い時間残せるか」ということで、「密度の違い」・それに関連した「固有振動数の違い」が影響するようです。そして「ハカランダ」が、やはり一番「Q値が高い」事になってます。「メイプル」は「Q値が低く」、振動がすぐに消えてしまうとのことで、弦振動が熱に変換してしまう率も高いそうです。
だから「鳴らないギターがメイプルには多い」という説明にもなってしまいそうですが、ストロークではかえって歯切れのよいほうがリズムがとりやすく好まれるとのことです。
ところで、最近、リヴァーヴ音としての「残響」を多く持つことが、必ずしもプレイする上でよいことばかりではない、と思うようになりました。
アコギブック11で打田十紀夫さんが、「開放弦ってやっぱり振幅が大きくてやたらと鳴るので、ちょっとコントロールしにくい」とおっしゃったり、「ドレッドノートは・・・ベース音の鳴り方が・・・高域をくうような感じがして」とおっしゃられているように「バランスを欠いた残響」は扱いにくいことがあるのは間違い無いと思います。さらに、弾かれる曲によっても、そのバランスは崩れるのでしょう。ゆっくりとした曲では私の手持ちのギターの中ではD28HWやリーチがとても気持ちいい響きなのですが、特に「トレモロの3連符や32分音符等の細かなリズムのライン」では特にD28HWは「風呂場のカラオケ」もしくは「ペダルを踏みっぱなしのピアノ」のようになってしまうことがあります。
さらに言えばリヴァーヴが長いこととサスティーンが長いこととは区別して考えたほうがよいのではないか、と感じている今日この頃です。
ちなみにマホやコアは、材によって密度にも幅があり「Q値」もいろいろだそうですね。「Q値」と名前をつけた人は「Q値」=「qualityの値」という意味でつけたのでしょうか。


No.38 「弾いた音」と「聞いた音」
クラインギターは不思議なギターです。弾いていると「これは本当にギターなんだろうか」と思うほど「特色」があります。三味線やバンジョーなど、皮を張った弦楽器に近いような気もして「民族楽器です」と言われれば納得する人もいるかもしれません。
でも、以前、友人たちと弾き比べをした時に、他の人の演奏しているのを聞くと、全く印象が変わることに気がつきました。「とてもギターらしい音」に聞こえるのです。それも、トーンコントロールのされたバランスのよいCDから聞こえる音です。頭の中にクラプトンの「アンプラグト」が浮かんできました。自然に聞くととてもいい感じです。これも人によっては「わざとらしさ」に感じる部分でもあるかと思いますが、レコーディングやPAの音を聞けば、オールドのよいものと区別のつく人は少ないでしょう。
確か、ギターの弾き手の聞いているのは主に「トップの横波の振動」で遠くで聞こえるのは「トップの縦波」なのだという話しがありました。だからフラメンコギターは横波が多くなるブレーシングで、クラシックは縦波が多くなるブレーシングになっているのだという話しもあったと思います。とすると、クラインは「横波」が「民族楽器」で「縦波」が「CDのギター音」ということでしょうか。どうも、サウンドホールから見える「羽」のような反響板を見るにつけ、そうした一般のセオリーでは片付けられない不思議さを感じます。
ただ、一つ言えることは、あの不思議な音は「クラインが作った音」であって、同じ設計で他のルシアーが真似をしても、別の音になるだろう、ということです。同じカーシャ理論を取り入れたマークシリーズは、音色的には全く違ったものであるからです。「デヴィット=ラッセル=ヤング」の言った「同じブレーシングをまねても、やはり、そのルシアーの音がする」という言は、クラインにも当てはまるのだろうと思っています。


No.39 打田十紀夫さんにお会いしたこと
夏のある日曜日、あるギターの試奏にからんで、TABギタースクールに行きました。
わざわざプロギタリストの打田さんとメールのやりとりして日時を約束して行ったにも関わらず、初めてお会いして、帰るまでご本人だと気がつかなかったとんちんかんしました。
打田さんはご都合ができたのかな・・と思いながら、「弦を張りっぱなすようになったのは、昔のマーチンが弦は緩める必要はないと説明していたからだ」、とか、「ギターが増えると、壁にかけてすぐに弾けるようになっているといったことでもなければ、弾かないギターがどうしても出てくる」、等、いろいろお話頂きながら、延々と1時間以上もプロの前で、稚拙なギター、弾きつづけてしまいました。(試奏に行ったのだから、弾くのはあたりまえかもしれませんが・・。)お話の中で「打田さんと同じギターを幾つも持っている人だなぁ。」とも思ってたりしました。
私の中の雑誌の写真等でご本人となぜか違ったイメージを持っていたようです。
帰りに打田さんに向かって「打田さんにも宜しくお伝え下さい」とまで言ってしまいましたが、そのまま受け止めてくださいました。一緒に行った友人が「打田さん本人だよ。」と言うまで考えもしなかった・・・。
「また、いらしてください」と、お礼メールのRe.でおっしゃって下さって心の広い方だと改めて感じた次第です。ははは・・・。
目の前で弾いた稚拙な演奏も誉めてくれました。
アルハンブラの練習始めたばかりで超スローのトレモロ・・・アルハンブラにはとても聞こえなかったはずですが・・。
また、是非、お会いしたいですね。帰りに「思いでの鱒釣り」買って帰りました。


No.40 つかないピックアップ
ウッドマンさんが実質的には「aya−yuのために入れてくれた」マーク53サンバースト、今回、思い入れが強くてなかなかふんぎりがつかず、何度か御茶ノ水通いをした上でのHOLDとなりました。
第一印象はそれほどでもなかったのですが、サドルにプラのシムを入れてもらったら、とても感じよくなりました。
ただ、問題は、今回の購入で、フィッシュマンやハイランダー等のサドル下の埋め込みタイプのピックアップも取りつかないことが明らかになったことです。以下、問い合わせの返信です。

お世話になります。
OO商会のリペアーから、ピックアップに付いて連絡がありました。
過去、クラインギターやMKにフィッシュマンのサドルタイプを取り付けた場合、サドルの幅とブリッジ形状の影響から、低音側の音のピックアップがあまり良くなく、かなりバランスが悪くなるそうです。
取り付け自体は、技術的に問題ありませんが、音色についてはあまり期待出来ないとの事です。
一度取り付けたら、エンドピン跡やサドル下の加工が残ってしまいますので、それでも良いかどうか、お客様に確認を取ってほしいとのことでした。
また、両面テープで貼るタイプの取り付けも可能ですが、こちらも音と出力については、あまり良くありません。
現在、保留にさせていただいています。
すみません。ご検討の上、再度、ご連絡いただきますようにお願いいたします。
ありがとうございました。

いつも、丁寧に質問に答えていただいて有り難いです。この結果、石Oロックサイドへ「ハイランダーのインターナルマイク」を求めて、雨の中、受け取ったばかりのMK53SBを持ちこんだaya−yuでした。


No.41 大屋建さんの工房を訪ねて
Nozomiさんに紹介して頂いて、ギター製作家の大屋建さんの工房に伺いました。
ギターの試奏をさせて頂いて工房もちょっと見学させてもらって、もし、少しくらいお話して頂けたら有意義だなあ、と思っていました。車で国道16号をひたすら西に進んで、入間市内のスカイラークで昼食をとってから時間を調整していくと、いただいた地図が正確で、すんなり着きました。
車を止めたら、奥様に声をかけてもらい、すぐにご自宅に通して頂きました。お茶やクッキーまで出して頂いて申し訳なかったです。
はじめにお話したのはマークシリーズのことで、いろいろな資料を見せて頂きました。本当は喉もとまで、「コピーとらしてください」と言いたかったのですが、これ以上厚かましくするのは気が引けて、さりとて、辞書や翻訳ソフトがないと全く読めないで、さりげなく本の題名だけお聞きしておきました。
次に、大屋さんがアメリカで過ごされた思い出の写真や、これまで製作してこられたギター達の製作中の写真など見せて頂きました。
印象に残ったのは「私の知っているギター製作家で気難しい人はいませんね。」というお話です。「アーヴィン=ソモギはどんな方なのですか?」という質問に、「ジョークの好きな楽しい方ですよ。しかも、その冗談には必ず起承転結がついているんです。例えばギター製作者が集まるGuild of American Luthiersのコンベンション中に開催されたベネフィット・オークションの席に、”ギター自動演奏機”なるものを作ってきたことがあるんですよ。モーターを使ってギターの弦を弾くだけのものなんですが、それを説明する講釈が、また、おもしろくて・・・。うけを狙いながら、オークションの収益で協会の売上が上がることを目的としてもいました。」と答えてくださいました。日本では「伝説のルシアー」と紹介されていたので、かなり意外でした。「それだけでなく、多くの製作家の方達から”アーヴィン、アーヴィン”と慕われていましたよ。」という話を聞くにつけ、「哲学者・カリスマ・伝説の人」のイメージから人間味の溢れる素晴らしい賢人という印象に変わりました。「ある製作家達の集まったときにはボーズ(ボーズ・エルカヤム=カーシャ理論のギター製作の継承者的存在)に”おれのギターを是非弾いてくれ”って、いつの間にか拉致されてました。」とのこと。
「カーシャ理論をソモギはどう考えているのでしょう?」という質問には、「理解はするけれど、カーシャの音は好みじゃないと言ってましたね。製作家同士はみんなとてもよく交流していて、自分の技術を隠すのではなく、”俺はこういうやり方をやっているんだ。”と見せ合って、いいと思うものはお互いに取り入れあっている。技術的なディスカッションをすることが多いですね。やり方が違っていても互いを認め合っていますね。」そこで、「でも、ロイ・ノーブルは偏屈だと聞いてますが・・。」と聞くと「そんなことないですよ。変な親父かもしれませんが(失礼・・)、とてもいい人ですよ。製作家で気難しい人は私は会った事がないです。」とのことで、ランス・マッカラムやジェフ・トラゴット他、いろいろな製作家の日本での印象との違いを伺いました。
ソモギの工房に作りつけられたロフトで寝起きされていたそうですが、「ほこりっぽかったけれど、あそこはロバートベンと違ってテレビがあったからよかったですよ。」といったお話しの一つ一つから、ソモギの工房で暮らした日々を大切に思っていらっしゃるのを感じました。
これまで製作されたギターの製作中の写真も興味深かったです。ドーミングされていて、それに合わせてブリッジプレートの形状も丸まっていたり、Xとファンの組み合わせのものもあったり、ご自分の音を作られるのに、色々な試みを繰り返しておられるようすが素晴らしかったです。
ギターはBBSにも書きましたが、繊細で豊かな倍音、それでいてわざとらしさがなく、バランスも音の分離・粒立ちも音の艶も最高です。とても高いサドル設定で仕込み角がしっかりとつけられていて指板も弾き易くできています。抱え易さも抜群です。と言いつつ、aya−yuはドットインレイのないギターはめったに弾かない為、6〜7フレットあたりの位置を迷って弾き間違えを繰り返してましたが・・・。必要最小限にインレイを抑えてあるのは、その為に価格設定が上がらないようにするためだそうです。
例の「ブリッジは10gで音が変わる」のことについてもお話ししました。インタヴューで間違われることは現状ではとても多いそうです。ある雑誌には「ダブル・フォクシー・グラファイト・バー」という言葉が訳されずに載っていたそうですが、これなど、本当は「ダブル・エポキシ・グラファイト・バー」を聞き違えた誤訳で、ロッド等に使うグラファイト・バーをアメリカではエポキシ・グラファイト・バーと言うことが多いことを知っていれば、絶対に有り得ないことなのに・・とのことでした。要するにaya−yuが翻訳ソフトで海外hpを覗いてるのとあまり変わらない状況なのだと思います。それらに対して「正しい情報を出していく必要を感じている」ともおっしゃっていました。
以前、こやまさんのページで「赤いスプルースは優れているか」という質問がありましたが、「木の個性であって決して優れていると決め付けることではないです。それと、バック・サイドの材だけが音を作るように思っている方もいますが、これは難しい議論の部分で、音を作るのに最も源流に近く重要と思われるのはトップ面で、サイド・バックがフィルターのような役割を果たしていると考えています。トップの材や作られ方はとても重要だと思います。」実際、大屋さんのギターの仕様はトップにおけるヴァリエーションが豊かです。シトカ・イングルマン・ヨーロピアン(アルペン)を使い分けていらっしゃいます。
その他、大屋さんに教わったことは
・サイドはがっしりと固定されているほうがいいこと。今のアメリカのルシアー達の考えとして、サイドががっしりしていないとエネルギーのロスが多い。その為、ラミネートという考え方が出ている。手間と予算が倍以上かかるがそれだけの意味がある。ちょうど太鼓の皮と胴の関係に似ている。
・作り方のアプローチが違っていても、同じ傾向の音を作ることはできる。例えばトップの厚みがちがっても、ブレーシング等の組み合わせで似た音はできる。etc.etc.
結局、一時間程度・・と思っていたのに2時間半もおじゃましてしまいました。
帰りの車の中で、友人と「オーダーしないのはもったいない・・」と互いに相手に先にオーダーさせようとあれこれ「勧めあい」をしておりました。
大屋さんのお名前を以前からどこかで知っていた理由が、私の好きなアコギマガジンのサウンドホールのソモギの文の訳者であることに気づいたのは、例によって後日でした。

大屋さんの作品はNozomiさんのhpの中の「第6回アコースティックファンフェア報告」でご覧になれます。 
 http://www.ne.jp/asahi/wes/django/


No.42 風通しのいい二階に置けたら・・・
 いろいろな雑誌や書籍に「ギターの保管の仕方」を載せた欄があり、それぞれに専門家の意見など載っていたりします。個人的に、リペアマンのIさんの考え方は気に入っているのですが、ギターグラフィック3のコレクターのGさんがおっしゃっていることも説得力があります。エレキについて書かれたことも多いのですが、かいつまんで、幾つかアコギに関わるポイントをあげると、
第一に保管場所は、原則として二階以上の直射日光の入らない風の通る部屋にギターを置くこと。押入れの場合は天袋以外絶対に使わない。ベッドの下やタンスの隙間など湿気のたまるところも避けるべきで、なるべく床から高い位置に置くべきだとのことです。
ギターケースに保管する場合は、やはり、年に一、二度の虫干しは是非とも必要で、それができなければ、ドライヤーで乾かすくらいのことをすべきなのだそうです。また、ケース保管の場合は、湿度調整剤を必ず入れておくのですが、くれぐれも楽器専門のものにするように、とのことで、海苔缶などの乾燥剤はかえって入れないほうがいいそうです。
それと、冷暖房のある部屋、特に暖房、その中でもガスや灯油の火を使うストーブのある部屋もだめだそうです。その訳は、暖房を止めて夜、部屋が冷えてきたときに湿気が低いところにたまるのだそうです。我が家も、言われてみれば思い当たることは多いですね。
その他、
・ギターはなるべくケースで保管し、立てておくほうが無理がかからない。
(できれば、正面を向けて立てるとネック等に負担がない。)
・ネックは乾拭きしてからしまうこと
・シリコン入りの艶だし剤は、オールドには使わないこと
(適度にカルナバワックスをボディに、レモンオイルを指板に)
・ボルトオンネックのねじは締めすぎない
・弦は定期的に交換する
・ネックの調整は信頼できるプロのリペアマンに(あまり神経質に調整するよりも必要最低限に)
・ギターを弾くことは、木の湿気をとばすのではないか
(弾かれたときのギターの振動により、材の中の水分がとばされるという一つの考え方がある)
といったあたりのことが書かれています。
基本的には、弾くこととギターの置く場所を配慮することこそ最も重要な保管のポイントであると読み取れました。ちなみにうちのギターのほとんどが一階のロッカータンスの中です。二本は一階でスタンドに立っていて、多分、湿気をいっぱい吸っていることでしょう。水とりぞうさんも、湿度調整剤に変える必要があるようです。
でも、置き場所を変えるなんて・・・夢のまた夢・・・。日本の住宅事情・・・ギターにとっても、「うさぎ小屋」状態なのでしょう。少しでも高いところに吊るしておければ、だいぶ違うのでしょうが・・・。せめて、精一杯弾いてあげたい物です。


No.43 職場の厚生日
 年に二〜三度、小学校でも職場の厚生活動としてレクリエーションをしています。それが、今回は、「趣味の紹介」ということで、私も自分のギターの稚拙な演奏をさせて頂きました。S&Gやビートルズ、ポップス等、とりあえず憶えているものを「バックミュージック」として流させてもらいました。「アルハンブラ」もさりげなく混ぜてありましたが、緊張するとまだ、こけるので、その他大勢の中の一曲扱いしました。給食調理員さんのリクエストで「禁じられた遊び」や「バラがさいた」も気持ちよく弾かせてもらいました。
ただ、ギターに対する質問で「そのギター、いくらだったのですか?」というのには、ちょっと焦りました。ピックアップをつける関係で、持っていったのはD28HWとリーチだったので、私の悪行は職場中に知れ渡ることとなりました。
 私のほかに、海外の登山を趣味にしている人もいて、VTRを交えて紹介して頂いたのですが、あちらの方が遥かに健康的な趣味だと感じました。
 なんにしても、「うまく弾かなくちゃ」という気負いも持たずに楽しめたのが有り難かったです。


No.44 鳴らないD45
 生音楽器紹介にupした通り、はれてD45オーナーになりました。
この45、始めは本当に鳴りませんでした。私なりの計測法ではありますが、とにかく、6弦の残響時間5秒というのは、これまで、数年前に某ショップで弾いたJ200の6弦を下回る、海外有名ブランドアコギの新記録でした。
ただ、音色の妙なこもり具合が、このギターの「本来の鳴り」とは違うことを感じさせてくれました。暫くショップで弾かせてもらっているうちにも音が少し変わってきたので、おもしろくなって買ってしまった、というのが本当のところです。(購入に当たって某友人の強力なバックアップがあったのは、楽器紹介に記述した通りです。)
音の変化を観察して、とてもおもしろかったのが、鳴らない頃に、低音弦のハイフレットを弾くと、ブリッジの低音側が振動せずに、高音側のある決まったスポットが震えたのです。ちょうど、ブレーシングで細かく仕切られた所です。弦の振動もすぐにおさまりました。
それが、だんだん鳴るようになると、ブリッジ周り全体が響くようになり、それに合わせて弦にできる振動の波も、弾いた瞬間よりちょっと経ってからの方が大きくなりました。中高音弦は、何度も、その波ができたり消えたりを繰り返すようになりました。
同じ弦でも、押さえるフレットによって、響き易いフレットと響きにくいフレットがありましたが、次第にその差がなくなっていったと思います。多分、今、響きにくく残っているのがデッドポイントだと思います。
結果的に、この2ヶ月で6弦は10秒以上の残響に伸び、他の弦も含めて音色もまろやかになってきました。6弦以外はD28HWと同じ位の長さの残響時間です。敢えて言えば、まだ、ややアタック感が強く、弾いた後に減衰してしまう倍音は、やや多いのだと思います。でも、新品のD45に比べれば、それでも落ち着いてバランスのとれたギターになったような気がします。
 実は、MK72SBを、暫く里子に出していたのですが、使ってくれた友人が丁寧に(?)弾き続けてくれた結果、これも、まろやかで軽やかに鳴るようになりました。その友人曰く「マークシリーズで一番いい音してるかもしれないよ。」
 弾くことでギターの音がよくなるかどうか、そのメカニズムは想像の域でしかないですが、間違いなく「よくなる」が答えのようです。ただし、「弾かないと悪くなるか」についてはわかりません。弾かなくてもそのギターに適した環境に常に置かれた場合、経年変化でどのような音になるかは私にとって未知数です。
ショップで「鳴らない」と感じたギターでも、もしかすると「鳴る可能性のある」ギターもけっこう多いのかもしれません。


No.45 Hobo’sさんでの始めての試奏
 あいかわらずのおっちょこちょいで、お店を見つけるのも何度か行きすぎて迷い続け、やっと伺うと、たまたま、いつも先客が大勢いて、指をくわえて見ていた時が続いていましたが、やっと、先日、試奏させて頂きました。しかも、OOO42ECBと’80sD45の二本です。OOO42ECBは作りが本当に丁寧で、材料もいいものが使ってあり、うらやましくなるような一本でした。
’80sD45は、自分の45との比較の意味も混めて弾かせてもらいましたが、これまでの状態がかなりよかったのでしょう。音が軽くまろやかで、吸いこまれそうでした。これに比べると私の45はまだまだ若いギターだと感じました。アジャスタブル・スキャロップのもので、仕様は同じだと思います。正直、後先考えず一瞬、迷いました。
その時、ずっと気になっていたのですが、途中でお店に入ってきて、カウンターの奥に座り、D45のチューニングをしてくれた人が「カオルギター」のかおるさんでした。
今年も5thに行かれるそうですね。とてもラッキーでした。


五線譜1