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キリング・ミー・ソフトリー /
Killing me softly

陳凱歌/Chen Kaige

2002 USA 100 Min. 劇映画

出演者

Heather Graham
(Alice - 英国に住んでいるアメリカ人)

Joseph Fiennes
(Adam - 著名な登山家)

Natascha McElhone
(Deborah - アダムの姉)

Ulrich Thomsen
(Klaus - アダムの知り合いの本屋)

Ian Hart (刑事)

見た時期:2003年1月

ブギーナイツに出ていたジュリアンヌ・ムーアヘザー・グレアムマーク・ウォールバーグは努力家に見えるので注目していました。3人はあれ以来それなりに世間の注目を集め、1人は色々な賞を貰ったりノミネートされたり、あとの2人はさまざまな種類の作品に声がかかり、それなりの成功を収め、私も祝福しています。

2人の女性に共通するのはただ美しい、可愛いというだけでなく、この分野で職業的に成功してやろうという気概が見られる点。マーク・ウォールバーグにも同様の努力が見られます。チャレンジ精神も旺盛で、ブギーナイツビッグ・リボウスキのような変わった映画、ハンニバルのような大ヒットが予想される映画、シッピング・ニュースのような地味な作品に出たのがムーア。私が1番最初に彼女を知ったという気がしたのはスタローン、バンデラスと共演した暗殺者で、なかなかおもしろいと思ったのですが、この映画、ドイツではスタローンが出ていたためけちょんけちょん。しかし彼女の役はおもしろかったです。

ヘザー・グレアムの方は徐々にかつてシルビア・クリステルが開発した市場に近づいているように見えますが、ドッコイ、ちゃんと台詞が言え、大スターと共演しても見劣りはしません。ツイン・ピークスのテレビ版と映画版に出演していますが、その頃は気付きませんでした。ブギーナイツの後スクリーム 2に出演。その時も気付きませんでしたが、この後勢いがつき、オースティン・パワーズ デラックスの主演。キリング・ミー・ソフトリー とほぼ同時に The Guru に出演しています。これは一見ばかばかしい小粒のコメディーですが、ハリウッドの有名人が見逃している市場のチャンスを狙うという意味ではなかなか良い手です。ここで彼女と共演しているのはジョセフ・ファインズやジョニー・デップに比べると知名度が低いジミ・ミストリーですが、ぼくの国、パパの国で息子の1人を演じていた人です。インド、パキスタンなどは英国では見逃せない国で、インドの映画産業は本数から言うと世界一。日本ではとっくにブレークしています(ドイツは乗り遅れています)。彼女がインド、パキスタン人のファンに顔を売っておくというのは悪い判断ではありません。 彼女は他の大スターが脱ぐ、脱がないと騒いでいる間に、多少の裸は仕事の1部とばかり、うるさい事は言わず、さっとこなし、市場のチャンスをみつけたようです。しっかりプロになるつもりでこの業界に入って来たんですね。

時々気の毒になるほど痩せているなあと同情してしまいますが、プロポーションが良く、スクリーン上で見栄えのする華やかさがあり、こういう人が1人ぐらい業界にいてもいいなあと納得させる力があります。この人に演技力を期待している人はそう多くないのかも知れませんが、それほど見劣りがするようにも思えません。と言うか、この程度の演技でも結構堂々としている人が他にもいます。

ウォールバーグを誉めるのは別な機会に譲りましょう。

さて、キリング・ミー・ソフトリー はヒッチコックのコピーをしたようなスリラーで、新味はありませんでした。こういうタイトルをつけた理由がこれかなと思わせるようなシーンがあるのですが、よりによってそこが笑いの種になってしまいそうで、テストの時に観客に笑われたのはこのシーンではないかと疑っています(笑うような筋の映画ではないのですが)。同じようなシーンは大島渚もやっていましたが、大島の方は笑われずに済んでいます。

返す返すも残念と思うのは、グレアムはとてもかわいらしくて、英国の町並みのシーンも良くて、カメラがきれいで、衣装もなかなか、共演のファインズも登山家としてまあよくトレーニングしてあるなと思わせるなど、勝負できる駒は充分そろっているからです。ところがヒッチコックを見ている人はだんだん似ているなあと思い始め、その記憶からするとだいたいこの辺が怪しいだろうと思い始めるわけです。グレアムとファイズの関係がサドマゾっぽいのでその辺をこの作品の個性にできるかとも思いますが、表現があいまいでインパクトに欠けます。しかし俳優のせいだとは思いにくいです。関係がもつれる3人は脚本に書いてあればそれを表現する力はあると思います。ファインズの軌道を外れた独占欲の強さでもう少しストーカー的怖さが出せるか思うのですが、そのシーンもインパクトに欠けます。

結局監督にあまりインパクトが無かったというのが私の結論。しかしこの人はインパクトだらけの、あの力強い作品さらば、わが愛 覇王別姫を作った人。あの作品は見終わって「凄い!」の一言。どうなっているんでしょうね。あれほど長い時代の難しい関係を大きな政治の流れの中で描ける人が・・・と不思議に感じます。

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