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ザ・コア /
The Core /
The Core - Der innere Kern

Jon Amiel

2003 USA/UK 135 Min. 劇映画

出演者

Aaron Eckhart
(Josh Keyes - 大学の地球物理学の先生、博士)

Hilary Swank
(Rebecca Childs - NASAの少佐、シャトルのパイロット)

Stanley Tucci
(Conrad Zimsky - 有名な学者、博士)

Delroy Lindo
(Ed Brazzelton - ジムスキーのライバルの学者、地底ロケットの開発者、博士)

Tchéky Karyo
(Serge Leveque - 核兵器専門の学者、博士)

Bruce Greenwood
(Richard Iverson - NASAの司令官、チャイルズの上官)

Alfre Woodard
(Talma Stickley - NASAの保安担当官)

DJ Qualls
(Taz Finch - ハッカー)

Richard Jenkins
(Thomas Purcell - NASAの将軍)

見た時期:2003年4月

断わり無しにネタがばれます!

近頃まれな与太話です。こんなおもしろい与太話はここ数年見たことがありませんでした。タダ券が当たったというところがまた素晴らしい。こんな与太話にお金を払ったら腹立つだろうなあと思いますが、タダとなると、スポンサーに感謝。

ストーリーは最初から最後までご都合主義の与太話。何も信じては行けません。子供にこんな与太話聞かせては行けません。しかしこれはどうやら子供向けに作られているようです。

さて、どこを誉めるかというと、その与太話に付き合ってくれるオスカー(助演)級の俳優たち。名前を聞いて驚くなよ・・・。

・ デルロイ・リンドー
・ チェイキー・カイリョ
・ スタンリー・トゥッツィー
・ そして本当にオスカー2つも貰っちゃったヒラリー・スウォンク

主要なメンバーは地底ロケットの中の6人と地上の3人。

地底ロケットの方が重要なのでそちらから御紹介します。

アーロン・エッカート。名前は覚えていなかったのですが、エリン・ブロコビッチでジョージの役をやっています。うろ覚えだけれど、ジョージってもしかしたら、ブロコビッチの前亭でしょうか。それですと、あまりいい役ではありませんでしたが、ザ・コアでは主演で、最後までがんばります。

同じく主演で最後までがんばるのが、ヒラリー・スウォンク。紅二点の片方。仕事完璧の少佐で、上官から「君は何でもパーフェクトにやることができる。しかし良い指導者というのは、失敗したりひどい状態の中から生まれるのだ」という意味深な言葉を受け取ります。与太話の中の唯一のマジな部分でした。私がスウォンクにお目にかかったのは、最近ではインソムニア。ちょっと前には The Gift で暴力を振るう亭主キアヌ・リーヴスに顔が痣で青くなるまで殴られる南部の女性を演じていました。

助演ですが次に重要な役でスタンリー・トゥツッィー。時代の先端を行き、名声を得るためには汚い事も辞さないという学者の役なのですが、どうもあの優しそうな顔では汚さに迫力がありません。このあたりはマジで行くとすればジェームズ・クロムウェルあたりを連れて来た方が良かったです。トゥツッィーの口から科学の専門用語が飛び出してもあまり信じてくれる人がいません。しかしこの人はひいきにしている上に縁があり、メイド・イン・マンハッタンロード・トゥ・パーディション真夏の夜の夢シェフとギャルソン、リストランテの夜で見ています。多才な人でシェフとギャルソン、リストランテの夜では脚本と監督もやっています。彼の兄の役名が一郎で、トゥツッィーの役が次郎(セクンド)というのもおもしろかったです。

次がデルロイ・リンドー。トゥツッィーと腐れ縁で、昔自分の研究を横取りされ、田舎に引っ込み、1人で地底ロケットの開発をやっている学者の役です。「大金がかかるからあと10年ぐらいで完成」などと言っているところへ、ロケットが必要になった NASA から即金で全額払うと言われて目を白黒。最初太っていたのでリンドーだと分からなかったのがおかしいです。ちょっと前に見た時はがっしりした作りではありましたが、骨っぽかったように思います。偶然ですが、彼の出る映画によく出くわしたため、リストにしなければなりません。

サミュエル・L・ジャクソンは大スターになってしまい、デルロイ・リンドーは中程度のところで止まっているようではありますが、リンドーの方が1つのタイプに固まらず、色々な役を貰えているようです。特に気に入っているのが普通じゃない。ホリー・ハンターと組んで警察の87分署みたいな事務所に顔を出す 妙な天使を演じていました。あれを監督したのはダニー・ボイル。普通の映画になるはずはありませんが、はまり役だという気がしました。

生き残る順番で書いているので、下になってしまいますが、もう1人のお気に入りが、チェイキー・カリョ。この人はイスタンブールで生まれたということでつい親近感を持ってしまいます。名前のエの所にアクセント記号がついていたりして、苗字はと見ると全然トルコ風の名前でないので、いったい何人なのだろうと謎を追っているところです。活躍しているのはもっぱらフランスの芸能界で、悪役も多いです。今回は珍しく悪い事をしない学者。主人公とモルグで知り合う同業者です。モルグには心臓のペースメーカーをつけていた人がぞろぞろ運ばれて来ています。ペースメーカーのペースが狂ってしまったのです。謎ですねえ・・・。だいたいからこの作品、普段博士などと呼ばれたことの無いような人がぞろぞろ博士の役で出て来ているというだけで笑いを誘います。

キス・オブ・ザ・ドラゴンウィング・コマンダードーベルマンTo Have and to HoldNikita などで見ましたが、ドーベルマンキス・オブ・ザ・ドラゴンの嫌な刑事などがはまり役のようで、今回のように善良な人間を演じると、最後まで「裏に何かあるのでは・・・」と思ってしまいます。こういう人に限って家ではいい父親だったりするので油断なりません。

乗組員6人のうちで1番最初に死んでしまうのがブルース・グリーンウッド。この人だけは見ていないぞと思いきやファーザーズ・デイを見ていました。

「見たぞ」と意識していなかったのにたくさん見てしまったのがリチャード・ジェンキンス。リンドー、カリョと同年輩でベテランですが、なんと以下のような数になっています。

地上組で「この顔見覚えがある」と思ったのがアルフレ・ウッドアード。不思議な名前の持ち主ですが、ロスト・ソウルズ光の旅人 K-Paxファースト・コンタクト(スタートレック)、真実の行方でお目にかかりました。1番印象に残っているのが光の旅人 K-Paxですが、覚えられやすい顔です。

もう1人地上組で個性的な容姿だったのが DJ クウォルズ。Road Trip に出演しています。ハッカーという役はぴったりです。

というわけでストーリは与太話ですが、出演者はなかなかのメンバーがそろっており、年配の役者は「おなじみ」という安心感を与えてくれます。そして交わされる会話が笑いを誘います。かなりのベテランも出ているので、脚本が弱いというのは撮影を始めてすぐ察したと思われます。それをいかに引き立てるかで勝負が決まりますが、この6人とハッカー少年は救いようの無い与太話をベストのレベルまで引き上げようという、劇中の至上命令と同じぐらい無茶な事をやる気になったようです。1番の主役にオスカーを取ってしまったスウォンクを据えた場合、残りをどういう風に配置するかが難しいところですが、彼女は6分の1を演じる決心をしてかかっているようで、賞を取っていないけれど上手な先輩の出る幕を奪わないようにでき上がっています。バランスの取り方はインソムニアより上手です。スウォンクは残念そうな顔、がっかりした表情が上手いです。そしてインソムニアではジョディー・フォスターが羊たちの沈黙で出せた初々しさが出切っていなかったと思ったのですが、The Core では成功しています。

さて、どんな与太話が展開されるかと言いますと・・・。

つい最近細菌にやられて1度28日後・・・に無人の都市と化したロンドンですが、The Core ではヒッチコックばりに鳥の大群に襲われます。これはヒッチコックの真似ですが、悪意はありません。何の説明も無く鳥を狂わせたヒッチコック(D.モリア)に比べ説明をしてくれるだけ親切というものです。地球の自転が狂い、中心の部分の回転が止まったため、自然界の異変に加え天候異変も起き、数ヶ月のうちに地球は電気も止まり、天災に襲われ、1年もすると焼け焦げてしまうという与太予想。そこに至る経過については2人の学者が専門用語と桃とスプレーを駆使してペンタゴンで説明してくれ、3Dのアニメなども見せてくれるので、こちらも納得したふりをしていればいいのです。

まだ見ていないアルマゲドンという別な与太話がありましたが、The Core では名前の通り、宇宙に飛び立つのではなく、地底に潜ります。地殻、マントルと掘り進み、コアと呼ばれる核に到達するという話になっていますが、地底は海の水のように透明ではないし、宇宙のような空間ではないので撮影などできるはずはないというところから与太が始まり、9000度近くあるというのに乗組員が地底ロケットの外に出るなどという暴挙もあり、信じる必要はまったくありません。 ものの話によると、マントルだけでも摂氏1000度。核に向かって掘り進むと5000度の場所があるそうです。耐熱服が4500度まで耐えられると映画では言っていますが、本当かなあ。疑っちゃうなあ。 外核は液体で、内部は固体だという話はあるので、途中1度固体の部分にぶつかるという話は大きく譲って信じてあげても良いかと思いますが、頭から信じるのはジュール・ベルヌの海底二万マイルあたりでやめておきます。

必要のない問題を作った人がいて、その人がつけた火を本来関係のない人たちが命がけで消しに向かうというところは、よく考えてみると政治批判になっていますが、深刻に突き詰めず適当にボカしてあります。もっとホラーだったのは、NASA が強引にハッカーを誘拐し、脅かして世界中のインターネットから特定の情報を暫くの間消させ(それだけでも怖い)、その後はいとも簡単にプッシュ・テクノロジーを使って全世界に NASA が秘密にしておきたかった話を流してしまいます。目的が地球を救うためとはいえ、こうも簡単に情報を止めたり流したりできてしまうというのはどうもねえ。

ちょっと気の毒だったのはのっけにスペースシャトルのナビゲーションが狂い始め胴体着陸するシーン。テーマの導入に使われるシーンで、鳥ばかりでなく、ロケットのレーダー装置なども狂うという風にして観客を納得させる試みですが、この映画を作った人たちはまさか2003年にスペースシャトルが墜落するとは思っていなかったでしょう。どこかの都市で建物が崩壊すると、50年も前に書かれた世界的に有名な物語を元にニュージーランド人が作ったスペクタクル映画のタイトルを「変更しろ」などと言って来る時代ですから、スペースシャトルのシーンもカットされるかと思いましたが、ドイツでは胴体着陸のスペクタクル・シーンは生き残りました。

与太とはいえ感心したのは、最悪の場合でも人間はまだ紙と鉛筆さえあれば問題が解決できる、手を使って物を動かすことができる、ということでローテクが時々危機を救っているところです。もしかしてこれが監督の言いたい事だったのかなあとも思います。では皆さん、できるだけ試写会に招待されるように努力しましょう。

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