映画のページ
2007年3月31日-4月1日
後半です。1つずつグレードがアップして行くプログラム構成で終了しました。サンシャイン 2057はテンションの高い作品でしたが、これだけで帰宅ですと何か悲しい余韻が残ります。そのためフィナーレには痛快カンフー映画が入っており、スカッとした気分で終わりました。仲間と「8月に会おう」と約束して家に帰って来ました。
夏のファンタに変更が出ました。
例年は8日間開催。初日はオープニング作品を含めて2本、最終日は普通の枠より1本少なくなります。それで平日5本、週末はプラス1、2本体制でした。再上映は原則として無し。去年は1枠増え、平日も週末も全部6本で通し、いくらか再上映がありました。
今年は入場料が少し値上がりしましたが、インフレや消費税が19%になったためだろうと思っていました。
その予想は外れ、これまでの全体33枠が40枠、80本(短編を集めて2時間でまとめたものは複数本ですがここでは1枠と計算)になるそうです。去年はスケジュール的には40枠でしたが、再上映が14本あったので、実質は66本で、33枠です。
今年は80本見せ、映画館を2つ増やすそうです。1ヶ所では2ホール、その他に余所に建っている別な映画館2箇所で翌日上映をやるため、かなりの数の作品がそこで再上映されるのだそうです。14本増えたための値上げで、インフレのためではなかったようです。
ファンタの主催者は「そのうち・・・をやろうかなと思っているんだけれど・・・」と言うと1年後、2年後にそれが実行に移されてしまうので驚きます。話半分でもましな方という世の中では珍しいことです。
さて、春のファンタ前半の3本にコメントをつけておきました。初日は4本あり、私は最後の1本をパス。プログラム変更で急に入ったアメリカ映画、予定通りの香港映画、予定通りのデンマーク・ドイツのアニメを見ました。
プログラムに変更が出ました。
当初の予想では7本の候補のうち6本上映だろうと思っていたのですが、追加が出て8本中上映7本。そしてベルリンからは予定の The Hills Have Eyes II が外され、代わりに The dead girl が加わりました。The Hills Have Eyes II は一般公開予定とぶつかるので、一般公開の方が早いのかも知れません。同じ事はミュンヘンなど一部を除いた他の都市でも起きていますが、私に取っては運のいい変更です。香港映画が外されるかとやきもきしていましたが、両方残り、日本の映画も除外されませんでした。
去年のファンタの作品をまた紹介しようと思っていたら、今年のファンタの予定が発表されました。7本挙がっていますが、ベルリンではどれが欠けるのか気になります。
今年はベルリン映画祭に待望のНочной Дозор(Nochnoy dozor)の続編 Дневной Дозор (Dnevnoy dozor) が来ていましたが、商談はそう早くはまとまらなかったようで、春のファンタには来ません。夏に期待。
このところちょっと香港映画を見る機会があり、改めて「いいなあ」と思っているところなのですが、私の願いがかなったのでしょうか、ご覧下さい↓。
日本からも、時たまファンタに迷い込むあまりおもしろくない作品と違い、期待を持たせてくれる作品が入っています。これでアジアからは3本。6本見られるはずなので50%に近い。うれしいなあ。
残りはアメリカと欧州。アジアが全部通ってくれればうれしいのですが。
女性監督。最初の予定に入っていなかった作品です。ざっと見ただけですがかなりの数の有名人が出演しています。注目はパイパー・ローリー。
殺人事件。
後記: 失望しました。俳優に気合が入っている、演出方法に統一が取れている、画面が一貫した撮り方で予定と実行した結果にズレが無いという意味で佳作です。ただ、ファンタにしてはちょっと方向が違うのではという違和感を抱きました。ベルリンにはインテリ専門の様相を呈した映画館があり、そこでは地味な作品を定期的に扱っているのですが、そういう場所向きで、ファンタ向きではないように思いました。
カーソルで色が反転しているのではありません。フィルム・ノワールではないかと思ったので黒くまとめてみました。井上さんから何か一言ありそうなラインアップです。カンボジアも絡むアクション・スリラーだそうです。
冷血ヒットマンが香港で血気盛んな若い刑事、そして孤独な女性と関わってしまうため、人生が狂い始め・・・というストーリー。
後記: 俳優のテンションはかなり高いです。香港映画ファンなら1度見て損は無いと思います。フィルム・ノワールという表現より、ハードボイルドと言った方が良いかも知れません。良い配役で、センチメンタルな面とハードボイルド的な面に合いそうな人を揃えています。香港映画でおなじみの人の顔が多いので、単に香港映画が好きだというだけで見ても、ジャンルを狙って見てもそれなりの楽しさがあります。
タイトルは《狗咬狗》というのですが、代わりに《狂犬》とつけても構わないと思います。
アニメ。アクション・ドラマだそうです。最近欧州でもアニメや漫画が広がり始めて市民権を得ています。日本と比べるとまだ数は少ないですが、見る側、作る側共真面目に取り組む人が増えています。
あらすじを読むと大人向きの話。かつてポルノ・スターだった妹(姉?)が死亡。死因は長年の麻薬常習。兄(弟?)は牧師。そして残ったのは5歳の姪。妹(姉?)を思う兄(弟?)は一大決心をして・・・。
純然たるドイツ映画は来ていませんが、共同制作や監督がドイツ人などという形で今年はドイツが関わる作品が入っています。
後記: これにはちょっと賛同しかねました。映画を作った主旨は良く理解できるのですが、このオトシマエでいいんだろうか、また、せっかくの思想的な面をこういう形で表現すると、観客の共感を集めるという目的が挫折しないだろうかという気がしました。
ポルノ界で王女様的存在だった若い女性がドラッグで死亡。その娘を引き取った弟が娘に何があったかを知るに至り、ポルノ業界相手に戦いを挑むのです。娘が受けたおよそ子5歳の子供向きとは言えない扱いに対し、牧師の弟が怒りを覚え、何とかしなければ行けないと考えるのは当然です。しかしその後が短絡で観客がついて行けなくなります。ここで観客がついて来られるような筋運びにしないとせっかくの人に良かれと思って始めた仕事が無駄になってしまいます。
あるデンマークの著名な監督に対する揶揄なのかと思ったのは私1人ではなく、ファンタの会場からもそういう声がちらほら聞こえました。ファンタというのは元々ドグマとかイデオロギーとか人助けとは縁が浅く、エンターテイメント、ポリティカリー・インコレクトな冗談、超バイオレンスなど、モラルがちょっと忘れられる世界です。私自身(DVDでなく、友達と一緒に見る)映画館の中でこういう風にパーっと発散できると、普段の生活で乱暴な事はしなくなるのではと思っています。そこへこのような社会のモラルを正面から問う作品が現われたので、ちょっと違和感を感じました。一般のインテリ向けの映画館の方が合うように思います。
江戸川乱歩風らしいです。キャストはこのジャンルとしてはいい人が揃っています。監督はファンタでは評価の高い人。日本ではもう名声を築いた人ではないかと思います。
殺人事件2つに共通点。女刑事が捜査中に夢判断ができる人が必要になり、 《悪夢探偵》の登場。しかし彼は事情があってやる気がない・・・。
後記: ホラー映画。主演の女刑事の演技がだめで損をしていました。松田龍平にはチラッと愉快な面が見え隠れしますが、それをはっきり出す演出でないのがもったいないです。脇役は安定していました。しかしプロットが甘く、ストーリーとして説得力がありません。もし松田のユーモラスな面を引き出せたら時効警察の主人公の何倍もおもしろいキャラクターが作れたと思え、それだけでプロットの甘さをカバーできると思いました。松田が仕事を引き受けるのを嫌がって文句たらたら言うシーンはそれ以外のシーンと対照的で際立ち良かったです。テレビ・ドラマにはいい作品が多い日本なのに、映画になるとプロットを詰めていない作品がよく来るので残念です。まだ前評判もできていないぐらい新しい作品。しかし主演にあの気合を入れると怖ーいマーフィーがいるので、きっと怖い作品でしょう。SFスリラーということです。
登場人物の中には真田氏の顔も。
男女8人の乗り組む宇宙船。太陽が滅びるため他に活路を見つけようという使命を帯びた乗組員。ところが何かが起こるらしく、頭が変になりそうに・・・。
後記: ・・・と書いた前予想は外れ。あれこれ変更があった作品です。全米でほぼ同時公開の予定だったのが急遽中止になり、秋まで延期。なぜなんでしょう。ドイツは予定通りですが、全米に先駆けて公開ということで、配給会社が黒装束のお兄さんたちを送り込んで来ました。持ち物チェックです。主催者は、数日前のVIPのみの公開でも同じ検査をやったのだから(許せ)と言っていました。
さらに会場も変更。予定されていたファンタでは小さい方のホールを止めて、大ホールへ移動。券が売り切れて入り切れないからという理由でしたが(予定の倍は売れた様子)、この作品は大きなスクリーン、サウンド効果があるとより良く見えるので、私には荷物チェックの埋め合わせのプレゼントに思えました。ノーカット、大スクリーンで見られたのは幸運です。
個人的にちょっときつい作品でしたが、見ごたえという意味では凄くて、ある意味では2001年宇宙の旅をバージョン・アップし、有名どころのSFのおさらいをした感があります。私の個人的なSF映画のナンバー1 はサ・コア、ナンバー2 は2001年宇宙の旅だったのですが、サンシャイン 2057 は、ナンバー・1.5 に割り込んで来ました。詳しくはいずれ別な機会に。
こちらにも人材が揃っています。アクション・ドラマだそうです。両方見られればいいのですが。
何やらかなり派手で、カンフーが出て来そうです。スタッフには日本人も関わっています。ブルース・リーの再来を思わせるようなストーリーです。
後記: サンシャイン 2057 だけで終わってしまうとちょっときつかったですが、その後にかちこみ! ドラゴン・タイガー・ゲートが入ったので、ハチャメチャ、楽しく帰宅できました。これはもう筋だのプロットだの言わず、大喧嘩を楽しむ作品です。
後ろで Wes Craven と Jonathan Craven が関わっている作品。私はリメイクの1をパスしているので、おさらいをするか両方外そうか迷っているところです。
去年のファンタ前菜に出た1(ベルリンは一般公開が始まっていたので外れ。今年も同じ運命。)の方は旅行中のカーター一家の経験する災厄。怪しげな核実験研究所が絡みます。元ネタは1977年のサランドラ。監督はフランス人。リメイクの続編の監督はドイツ人。
今回もミュータントが出て来そうです。ミュータントと言えば私はタートルズが好きなのですが、彼らも確か放射性物質が原因でただの蛙と鼠がスーパー蛙と超インテリ鼠になってしまったはず。放射性物質は怖いんですけれどね。
後記: ベルリンからは外されました。
後記: 見ませんでした。
冒険ドラマ、ホラー、ミステリー、スリラーと欲張ったジャンルの作品。出演者はこの倍ぐらいいるのですが、有名な人はいません。前評判は低いです。
若い数人のツーリストがブラジルのジャングルを旅行中の怖い冒険物語だそうですが、最近よく聞くテーマ。それで前評判が良くないのかも知れません。
ざっとこんな具合ですが、ラインアップを見ると、去年よりは良く、一昨年とは匹敵するかという印象です。一昨年は参加できなかったのですが、Ночной Дозор とカンフーハッスルが出た年です。日本からの参加はスチームボーイでした。
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