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Underground of the Living Dead

Paul W.S. Anderson

2002 UK/D/F/USA 100 Min. 劇映画

出演者

Мила Йовович/Milla Jovovich
(Alice - 元アンブレラ・コーポレーション(以下《傘組織》と略す)の入り口をガードする傭兵)

Michelle Rodriguez
(Rain Ocampo - 傘組織の傭兵)

Eric Mabius
(Matt Addison - 警察官に化けた環境保護運動家)

Heike Makatsch
(Lisa Addison - 傘組織の研究員、マットの妹)

James Purefoy
(Spence Parks - 傘組織の傭兵、アリスの夫)

Martin Crewes
(Chad Kaplan - 傘組織の傭兵)

Colin Salmon
(One - 傘組織の傭兵の主任)

Pasquale Aleardi
(J.D. Salinas - 傘組織の傭兵)

Michaela Dicker (Red Queen - ウィルス開発者の娘を形取ったコンピューターの声)

見た時期:2007年2月

断片的にネタがばれます。見る予定の人は退散して下さい。目次へ。映画のリストへ。

英語、ドイツ語圏では全然違うタイトルがついています。《棲みついた悪》といったような意味で、映画の内容を表わしています。しかし日本語のタイトルバイオハザードもそのものずばり、当を得たタイトルと言えます。放射性の物質が格納されていたりすると入り口に黄色いマークがついていますが、生物学上危険な細菌などにも似たようなシンボル・マークがあります。バイオハザードの中にも時々出て来る黄色い標識です。バイオハザードはそう言った細菌などが自然環境に出てしまい、災厄をもたらすことをさしています。

日本の官庁はそういう災厄をレベル1からレベル4までに区分していて、低い方のレベル1では《特に大きな問題が起きない》となっていますが、レベル2ですと《関係者にそれほど大きな危険は無く、治療可能》、レベル3ですと《感染した個人は病気になり、他への伝染性は少ない》、レベル4になると《感染した個人は重大な危険に見舞われ、他への伝染性が高い》となっています。

レベル2では危険度は少ないものの、研究などをする場合部外者以外は立ち入り禁止になります。レベル3になると、すでに2重ドアで関係者の出入りする所は細かく殺菌、消毒が必要とされます。排水だけでなく、空調も含まれます。

カサンドラ・クロスアウトブレイク28日後・・・などが典型的なバイオハザード系の映画ですが、最近はバイオハザードの後の生き残りなどと間接的な触れ方をする作品も数が増えているようです。

バイオハザード不思議の国のアリス鏡の国のアリスをベースにしたSFなので、アリスは自分の家の下の穴に飛び込み、地下研究所の悪夢の世界に迷い込みます。いくつもの難関に出くわし、仲間(かも知れない人々)を失って行きます。時々キャロルの物語を示唆する言葉や物がチラリと登場します。どことなくサイレントヒルと似たような面もあります。あまり演技の得意でないミラ・ヨボビッチの方が、演技も一応行けるラダ・ミッチェルより女主人公を上手に演じています。コンピューター・ゲーム系の映画にヨボビッチは進むべき道を発見したのかも知れません。

冒頭地下世界、ラクーンシティにある近代的な地下要塞のような生物学研究所のラボの様子が紹介されます。蜂の巣のような構造で、ハイブと呼ばれています。日本の基準で見ると、これは明らかにレベル4。非常に危険な物を扱う施設に見えます。そこで映画が始まってすぐ事件が起きます。姿がはっきり見えませんが、ラボに出入りできる誰かが、研究中のガラスの容器を盗み出し、出て行く時にブルーの容器を1つ放り投げたため落下して破損。そこから何やら危なそうな物が流出します。

まず犬が変化に気付き、次に研究所の監視カメラが察知。

大コンツェルンの研究所だけあって、安全対策は万全。すぐ火事だということで非常警戒システムが作動します。実は火事などではなく、(本当はもっと危ない)バイオハザードなのですが、警報システムは火事処理風にあらゆる対策を取り始めます。

警報が鳴った時点では500人ほどの研究員は火災訓練だと思っています。普段から時々訓練をやっているらしいです。皆まだ慣れ切ったような顔をしています。やがてスプリンクラーが作動し始め、研究員はびしょぬれ。で、これは訓練ではなく警報の誤りだということになります。世の中には物事を悪い方から考えて行く人もいますが、バイオハザードを見ていると良い方から考えて行く集団というのもあるのかと思います。

ドアが閉まって水が出て来るので、研究員はカメラに向かって「火は出てない」と叫びますが、警戒システムは反応しません。その後もずっと「研究室は密封」という方向で動いて行きます。警備課にはほとんど人がおらず、自動的に対策が進んで行きます。火災の際は酸素の量を減らすためにガスを出すらしいのですが、ハロンというガスが出て来て、見ているうちにこれは全員死ぬなという雰囲気になって来ます。そして誰もいなくなった・・・。

場面は変わって主人公のアリスは最初ガスの副作用で記憶を失って登場します。彼女はラボにはおらず、豪華な邸宅の浴室でシャワーを浴びている最中に倒れた様子。これを演じているのがミラ・ヨボビッチ。撮影された場所はベルリンか、ブランデンブルクではないかという雰囲気です。彼女は監督に気に入られ、主演か主演に近い役をオファーされることがあり、リュック・ベソン、ポール・アンダーソンとはルンルンの仲に。確かにそういう監督が撮ったヨボビッチは美しいです。しかし一旦仲が壊れると仕返しもあるようで、からかうつもりか、ヨボビッチのそっくりさんを登場させる監督もいます

イントロとしては十分人の関心を引く展開です。短くまとめると何かの手違いで500人近くの死者が出たラボと、そのラボにつながる入り口の豪邸に住んでいた夫婦の登場。そしてラボの所有者が雇っている傭兵が事件後原因追求と警戒装置のスイッチを切るために派遣されて来ます。夫婦もその集団に加わり、いざ地下へ。

火事だと解釈されたにしろ、別な理由にしろラボを閉鎖し、外界との接触を遮断するのが大正解だったことがまもなく分かります。冒頭で壊れたガラスの容器の中に入っていた細菌がラボの500人に感染していて、収拾がつかない状態になるので、機械が作動してラボ全体を封印してしまったのです。ですから警戒装置を切りに行く人たちのリスクの大きさがまもなく見えて来ます。それに加えて記憶を失っている豪邸夫婦の役割、会社が何を隠していたのかなどいくつかの謎が後半に向かって解けて行きます。ですからプロットは一応複雑です。謎をさらにミステリアスにするために、豪邸でうろついていた、「自分は警官だ」と名乗る男マットも私的な傭兵に「逮捕」されてしまいます。

全体はアリスの視点で描かれているため、記憶が定かでない間アリスと観客は不安な状態に置かれます。マットとアリスの関係、豪邸の夫であるはずの結婚指輪をした男との関係、時々チラッと思い出すドイツのスター、ハイケ・マカチとの関係・・・。あと一工夫で非常に奥の深いミステリーになったと思いますが、監督はそこまでは目指していなかった様子です。ヨボビッチ他のキャストもそういう奥の深さは考えておらず、《B級として良さそうに見える》あたりを狙った様子です。

ざっと見るとストーリーは非常に弱く、色々な所から拝借して来た継ぎ接ぎに見えてしまいます。ちょっと考えただけでも28日後・・・いくつもゾンビ映画2001年宇宙の旅、最初の方のエイリアンキューブ 1 などの見覚えのあるシーンやシチュエーションが使われています。

冒頭のラボのセットやロケをした地下鉄の駅が効果的に使われていて、そこへ寒々とした雰囲気のミラ・ヨボビッチが半裸で出て来るので、SFファン、ミステリー・ファンに加えおじさま族にも期待を持たせてくれます。それがゾンビが出て来るあたりからずっこけ、評価ががた落ちになります。

謎は後半もちゃんと謎らしさをキープしているので何かをもう少し工夫するとかなりできのいい、スケールの大きなSFミステリーになったと思います。ゾンビ登場と、パクリの連続がその評価を落としているのだと思います。しかし話はそれだけでは終わらないのです。見終わって考え始めるとかなりの内容を持っているのです。(後述)

大喜びするのはミラ・ヨボビッチのファンです。彼女は運のいい俳優で、監督が彼女を生かすために作った作品が続きました。その後何かが上手く行かなかったらしくレベルダウン。あまり演技で売る人ではなく、外見の美しさで売っていましたが、そうなると困るのは年齢。やや年を取って来たので、魔法の力は効かなくなり最近は別な分野、アクション、アクロバットの方に向いているところです。ちょうどその両方を生かしているのがバイオハザード。まだ衰えていない美しさと、これから乗り出す分野、アクションが組み合わさっています。

それに対しミシェル・ロドリゲスのファンはがっかりします。ガールファイトでは自然な力強さを発揮し、私は大いに感銘を受けたのですが、バイオハザードのロドリゲスは人が変わったような下手な演技、そして不自然な顔、目つき。唇の感じもなんだか前と違い、これが同じ人かと驚いてしまいました。彼女の良さはガールファイトで出切ってしまったのでしょうか。ガールファイトが最高、バイオハザードが最低とするとその中間ぐらいの作品を見たことがありますが、出るにつれてダメになって行く人なのでしょうか。残念です。

色々な映画の脚本を継ぎ接ぎした作品でも作った意義はあります。継ぎ接ぎした全体が言っているメッセージが行き過ぎた科学研究への警告になっているからです。大きなコンツェルンが「自分たちは法律をも越えていい」と考えていること、立派な科学者が500人も集まって法に触れる研究をやっていても何とも思っていないこと、立派な設備が時として自分を殺す巨大な機械になってしまうことなどが内部告発の失敗と絡めて描かれています。そのメッセージはこういう映画にありがちな尻すぼみや焦点ボケにならず、きちんと貫かれています。そこはリスペクトと言いましょう。良い事を意図して作り始めても終わりに来る頃には焦点がかすんでしまう作品が多い中、珍しいと言えるかも知れません。

前半SFで盛り上がった後ゾンビが出て来たので、かなりがっかりしたのですが(急にコメディーになってしまったので - どうしてもドーン・オブ・ザ・デッドなどを思い出してしまいます)、ゾンビ映画というのは社会批判が後ろに控えていることが多く、最初クールなSFだったバイオサードはゾンビ映画に切り替わってからそのルールを守っています。それで焦点がボケなかったのでしょう。そういう風に考えると監督が最初からその線を狙ってゾンビを出したのかと勝手に納得しているところです。

映画作りのルールなどはあまりよく知らないので、私の好みで行くとクールなSFスタイルは貫いてもらいたかったです。ですからコンツェルンが細菌で起こすトラブルも何かゾンビ以外の疫病にして現実的に行ってもらいたかったです。

私はバイオサードはヨボビッチがコンピューター・ゲームになっている主人公に扮してアクションをやると聞いていたので、ほとんど関心が無く、予告をチラッと見てもそのままにしてありました。しかし友人にヨボビッチ・ファンがいたのと井上さんからのお薦めもあり、見てみました。その結果上にも書いたように、シーンは継ぎ接ぎながら、監督が言いたい事がはっきり出ていて、好感を持ちました。最近は言いたい事があるのに行間に含みを持たせるという作品が多く、もどかしいことが多いです。

驚いたことにバイオサードは私が散歩に行った場所で撮影されています。新しいベルリンの中心地になる場所に作られる予定だった地下鉄路線55号(仮計画ではブランデンブルク門から中央駅路線の途中)の国会駅です。どういう事情かは分かりませんが、かなりできたところで駅の建設が中止になり、2010年頃再開されるという噂があったりします。どうやらテーゲル空港とシューネフェルト空港を結び、その真中の国会や役所のある地域を通る計画だったらしいのですが、テーゲル空港が閉鎖になるという噂が出たりしているので、このままの計画で工事を始めて意味があるのか怪しくなったのかも知れません。テーゲル空港付近はあまり人口が集中しておらず、ここから運ぶのは空港の利用者が中心になるでしょう。シューネフェルト空港は一時日本からの直行便も来たような国際空港です。テーゲルの方はEU加盟国が中心で、半分はドイツ国内路線に使われています。それを全部シューネフェルトにまとめてはどうかという話に動き始めたので、テーゲルが消えるならそこへ向かう地下鉄路線は必要無いじゃないかという話になり、計画が頓挫している様子です。

この国会駅が1度見学のために一般に公開されたことがありました。私もその日出かけて行ったのですが、駅ができる前だったので、いずれは線路になるような場所を歩いたりもできました。地震国日本から来た私にはこんな建設法で大丈夫だろうかと一抹の不安もあったのですが、ベルリンに地震が来ることはまず無さそうで、取り敢えずは心配要らないようです。

後記: などとこの時は独断で安心していましたが、その後英国に地震が起き、びっくりしました。欧州で地震国と言うと、イタリア、バルカン、ギリシャ方面などと思われています。

かなり長時間の散歩になり、色々見て歩きました。それが映画の至る所に使われていたので驚いたわけです。実は私はこの日が初めてではなく、その前にあるパーティーに出ていました。このパーティーは奇抜な会場を選ぶことで知られていて、その日は建設中の国会駅でした。パーティーの日に比べ一般公開の日は工事が進んでいたのか、あるいはただ単にパーティーでは貸し切っていなかった場所にも行く事が許されたのか分かりませんが、ほとんど1駅分ぐらいトンネルの中を歩くこともできました。そういった場所を駆使してバイオハザードは撮影されていました。

と言うわけで私がこの映画を見たら他の人より撮影場所が現実的に思えるのは当たり前です。その私が言うのですが、長い通路、階段など多くのシーンはセットではなくロケです。先日見たSF映画も一部ベルリンで撮影していましたが、自分が身近に知っている場所を外国映画で見るというのは妙な気分です。尤もバイオハザードにはドイツもお金を出していて、ドイツで有名な俳優も使われています。

見終わって大分してから思いついたのですが、ヨボビッチが結婚指輪を放り出すシーン。あれは前に結婚していた人へのあてつけだったのでしょうか。バイオハザード内では、最初消えた記憶の断片として夫らしい男とのラブシーンが頭に浮かぶ演出なのですが、終わりの方では男は人類を裏切っていたとか、フェイクの結婚で会社のためだったといった説明になり、指輪は会社の所有物ということも言われます。そして終わり近くに彼女は指輪を外して男の死体と一緒に放り出して脱出。せいせいしたという表情。元夫婦がお互いに別れた後映画という媒体を使って文句を言い合っているのでしょうか。だとすると高いお金のかかる(元)夫婦喧嘩です(笑)。

ヨボビッチついでにこの後バイオハザード2 アポカリプスに行きます。

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