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弦楽(Strings):アンジェル・デュボー&ラ・ピエタ、ピアノ:久石譲、パーカッション:安江佐和子、二ツ木千由紀

会場:びわ湖ホール・大ホール(座席数:1848))
日時:2004年11月13日(土) 17:30開場 18:00開演
 
コンサート後半
 コンサート後半

人生のメリーゴーランド
宮崎駿監督の最新作「ハウルの動く城」のメインテーマ「人生のメリーゴーランド」が演奏された、ワルツのリズムが全体を通して基調となっていて、どこかバレエの演出曲の様な、レトロでいかにも久石メロディーという雰囲気の漂う一曲である。アレンジはコンサートのために書き下ろされたもので、同じ旋律を多用しながらも、編曲によって、その印象を大きく変える演奏であった。キーも違えばテンポも様々に変化する・・・まさに人生の様な曲だ。人生はメリーゴーランドの様に楽しい事ばかりではない。メリ ーゴーランドは遊園地の象徴。止まらない、周り続ける・・・。永遠に受け継がれる生命の鼓動を表しているのかもしれない。

Ikaros
東ハト「キャラメルコーン」のCM曲として作曲された曲が演奏された。Ikarosを名づけられていた。ギリシャ神話の神の名前だっただろうか。そのイメージとは違い、とても明るい曲に仕上がっていた。コミカルなゲームのおまけコーナに出てきそうな楽しいメロディー。分数も長めで、CMの軽いポップなイメージが、さらにしっかりし、内容の濃いものになったという印象の演奏だった。きっと楽しい神様なのだろう、Ikarosは・・・。

Spring
ご存知「進研ゼミ」のCM曲として作られたこの曲は、Summerを意識して作られたと本人が公言しているという話題も出ているが、本当にその通りで、出だしのフレーズはSummerの旋律を音符を上下に移動(間隔・リズムは全く同じ)すると出来てしまう曲になっている。久石さんの曲でこのような兄弟曲として作られた曲は多いが、Summerのような明るい曲にも進出か?!という感じだ。春はいつも、甘酸っぱい花の香りがする・・・。

Fragile Dream
この曲は、CM等のタイアップは無く、アルバムのために書き下ろされた新曲だと思われる。今までの明るい曲想とは、ちょっと形相を変え、切ないメロディーが主体の楽曲になっていた。久石さんの持ち味であるストレートに伝わってくるメッセージ性のあるメロディーがふんだんに使われ、とても期待できる一曲だ。

Oriental Wind
サントリー「伊右衛門」のCM曲としてもうすっかりお馴染みになったこの曲。コンサートアレンジでは、CMバージョンとは趣を変え、タタッタタ、タタッタタ、タタタタという世界美術館紀行のテーマにも似たリズムを基調にアレンジされ、スピード感あふれるものとなっていた。いつもCMなので同じところで切れてしまう、30秒のその先は!というもどかしさが、開放された瞬間だった。(笑)フルコーラスを聴いて、さらにこの曲が好きになった。流石は久石さん、やるじゃん!(いや実際は「やるやん!」)

ここで2回目の久石さんのMCとなった。
「後半一曲目に聴いていただいたのは、宮崎駿監督の最新作「ハウルの動く城」のテーマ曲です。この曲名は宮崎さんが付けたものです。人生のメリーゴーランド・・・実はあまり気に入っていません(爆)人生のって、なんだか人生の酒場とか、ほら演歌にあるじゃないですか・・あ、いや別に演歌が悪いって言っているんじゃないですよ!(笑)宮崎さんから沢山ファックスやメモ用紙が届きまして、その中に「人生メリーゴ ーランド」「人生メリーゴーランド」と「」「」で何回も書き直しがしてあったりして、相当悩まれていたんだなということが伺えました。そのメモ用紙には最終的に「」が書かれていて、そうだ、監督はいつも重要なものには、「」をつけるんだ。「風谷のナウシカ」「天空城ラピュタ」とか「となりトトロ」だぞとか(笑)、「もののけ姫」なんか2つもついちゃっていますし(爆)」
会場は爆笑の渦だった。
「人生メリーゴーランドはそれだけ重要で大切なものだと監督は考えてくれているのかと思いました。
後日、監督にお会いする時がありまして、監督に「人生メリーゴ ーランド」良いですね。って言ったら「え?人生・・じゃなかった?」・・・僕の考えすぎでした(爆)」
宮崎監督の最新作「ハウルの動く城」から人生のメリーゴーランドを聞いていただきましたが、この時期、組曲という形でコンサートではお届けできるのが本来の形なんですが、今回のハウルの動く城、30曲、曲を書いたんですが、そのうち17曲がこの人生のメリーゴーランドの旋律のバリエーションになっているんです。これは宮崎さんの要望でそうなったんですが、作曲家としてはかなりの力量を求められる手法なんですね。いろいろなシチュエーションに耐えられるものを、一つのメロディーで書き上げなければならない・・。なので、組曲という形ではなく、メインテーマの演奏という形でお届けしました。もう一曲、ちがう旋律の「Cave of Mind」という曲があるんですが、トランペットとオーケストラのために書いた曲で、今日は、それをチェロのためにということで、演奏したいと思います。

 My Favorit Song〜アンコール


Cave of Mind
ハウルの動く城のもう一つのテーマといえるこの曲、もともとトランペットのために書かれたものだった。今回はトランペットがチェロに代わる。イントロはとても奥ゆかしい世界観を感じさせ、久石さん独特のコード感を伴った、胸騒ぎのする、まさにかっこいい演奏となっている。弦の動きが素晴らしいと感じた。チェロがメインの旋律を受け持つが、トランペットのときとはまたちがう雰囲気を醸し出していた。聴けば聴くほど名曲・・・これこそ久石さんの真髄だろう。

Summer
この曲はコンサートではすっかり定番のお馴染みSummer。アルバム「空想美術館」からのアレンジを基本に軽やかで透明感のある演奏が披露された。「空想美術館」といっても、今回のツアー用にしっかり見せ所などが新しく編曲され、演奏者のレベルの高さもあいまって、一新されたという印象の演奏だった。夏の想い出は次の夏までひっそりと・・。

Asian Dream Song
この曲
もコンサートでは定番曲。オケ様に編曲された壮大なコンサートアレンジの演奏がホール内に鳴り響く。今回は弦楽合奏団なので、普段木管などが担当しているパートを代わりに受け持ったり、細かいところでアレンジの変更があった。アジアの香りはいつも聴く者の心を捉え、夢へと誘ってくれる。

ここでプログラム上はすべての曲が終了した。
拍手が鳴り止まない・・そしてその拍手はアンコールへの道しるべへと、よりいっそう大きな音となりステージにぶつかった。

鳥の人
このイントロは!ナウシカからの選曲に驚かされた。オケとはまたちがう、音がよりいっそう近くなってリアルに臨場感溢れる「鳥の人」の演奏だった。20年も前の曲だが、いまだに新鮮さを一つも失わない、素晴らしい楽曲。

もののけ姫
アンコール2曲目も宮崎作品からの選曲で、もののけ姫が演奏された。アンジェルさんのバイオリンと久石さんのピアノのデュオという贅沢な演奏。バイオリンのソロはオケのコンサートや、その他でもよく耳にする機会が多いが、この時のバイオリンの音は明らかに普通のバイオリンとは違う音が出ていた。バイオリンとすら思えないようなふくよかな音色だった。最後は、二人とも意気投合・以心伝心の素晴らしさで、思わずため息の出る演奏だった。
この曲が終ると、客席から声が飛び、前の列の皆さん半分くらいがスタンディングオベーションとなり、その波は後ろへ広がっていった。すでに半分くらいの人たちがスタンディングオベーションをする盛り上がりとなった。びわ湖のある滋賀といえども、気質はやはり関西だな〜と実感(笑)。

Kids Return
この曲は最近アンコールの最後の曲に定番になりつつあるような・・(笑)タタタタ・タタタタというスピード感溢れるリズムが特徴のパワフルな一曲だ。弦の皆さんは、もうこのあたりまで来ると、一人一人の動きが様々で、心からのびのびと自由に音楽を楽しんで演奏している様子だった。体が動けば動くほど、演奏精度はぴったり9人が息をそろえてという感じなり、これもまた凄いなと思った。

演奏後は、一斉に待ち構えたかのようにスタンディングオベーション!5分は拍手が鳴り止まなかった。
終ってみると手がとても痛くなっていた。

 
▲コンサート終了直後のホワイエ ▲ホワイエにて久石譲グッズの販売


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Written by HeeFoo at 2004.12.30 最終改訂2004.12.30
背景:比叡山と琵琶湖(大津港)
 
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