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ピアノ&指揮 :久石譲
チェロ:(第一セクション)近藤浩志、三宅進、近藤貴志、(第二セクション)大沢真人、松葉春樹、
( 第三セクション)前田善彦、谷口賢記、(第四セクション)池村佳子、石田聖子、町田正行
会場:ザ・シンフォニーホール(座席数:1704 残響:2秒(満席時))
日時:2003年3月29日 17:00開場 18:00開演

コンサート後半〜コンサート終了
 ETUDEより

コンサートはいよいよ後半に入った。大きな拍手とともに、チェロの10人、久石さんの順に席につかれ、演奏がはじまる。

づぎはPROGRAMによるとSilenceのはずだが、ん?この曲はどこかで聞いたことがあるような・。 「Moonlight Serenade」である。この曲はジャズナンバーで非常に有名で、CMなどにも時々使われるので知っているという方が多いと思う。久石さんの曲以外が演奏され、っちょっとびっくりでした(笑)そして曲は終わりへと近づいていき、なんだか直感で、そのままSilenceにいくのでは・・・と思いきや、案の定、途切れる間もなく「Silence」へ!調がピッタリ合っていて、違和感のない曲の繋ぎ目に、編曲の巧妙さを改めて実感・・。そして意表をつかれた演奏でもあった。すごい・・(笑)Silenceはあの、顔とも言える初めの和音のフレーズが特徴だ。4度の和音やマイナースケールのコードなどが組合わさった非常に複雑な和音のフレーズは複雑ながらも、ある意味、耳に残りやすく、初めの出だしで何の曲かわかるという久石さんの曲に見られる特徴を今回も満足しているのである。そのフレーズは澄んだ水面に水滴がポツンと落ちるイメージを醸し出すようなフレーズとなっている。この曲は内政和音とオクターブのエチュードというタイトルが付いており、その名の通り複雑な和音と迫力のあるオクターブユニゾンのフレーズが目立つ一曲である。チェロが効果的に入り、旋律をよりいっそう重厚で、荘厳なものに仕上げている。

そして続いて は「月に憑かれた男」である。タイトルが非常に面白いナンバーでもある(笑)月に心を奪われた狼男をテーマにした一曲である。この曲はスタッカートのエチュードという副題がついており、タタタ、タタタというスタッカートのフレーズからはじまる。リズムを含んだ、ベースを構成しているスタッカートのアルペジオのフレーズはチェロ、メロディは主にピアノといったアレンジがされいていた。

続いて「impossible Dream」の演奏が始まる。この曲は6度のエチュードという副題がついており、その名の通り、主旋律が6度の和音を伴って奏でられる曲である。そのフレーズは非常に久石さんらしい特徴をしていて、どこか懐かしい哀愁漂わせる雰囲気となっている。
ETUDEからの3曲が終わり、ここで久石さんのMCが入る。

新作 ETUDE から聞いて頂きました。去年4月、ダンロップのCMで「silence」を作曲しましたが、はじめはCMサイズの30秒ほどのものしか出来てなくて、フルバージョンについては、秋口のレコーディングでようやく完成しました。ようやく今回のアルバムに収録しました。

レコーディングは「東京オペラシティ」で、2000人ほど入れるホールにお客さんは誰もいないという、大変贅沢なレコーディングをやったんですが、見事、1回目こけました。(笑)一体どうしたことか。一回のレコーディングで200万くらい使うんです。それを、もう2回やったんです。・・・大阪の観客の方ですか? (爆)
と、静かに聞き入るお客さんに久石さんはちょっと驚いた様子だった(笑)

1回目はいいけど、2回続けての失敗は駄目ですね。1回失敗すれば200万円くらい、2回で400万円、ドブに捨てるようなものですから。オーケストラで録る方が、よっぽど安くつきます。だから、CDを聴いて「なんだ。ピアノしか入ってないじゃないか!」と、こういう言い方はしないでください。コストパフォーマンスが高く、大変な赤字を抱えてますから(爆)

エチュードというのは練習曲という意味です。ショパンのも然りです。だから僕もエチュードというコンセプトを大事にする訳ですが、だからといって、ピアニスト向けに作るのは少し違うのではないか。僕のファンの中には、ピアノを弾けない方もいらっしゃるし、結果的に、最大公約数みたいなところで作る事になるのではないか、という事です。「a wish to the moon」というのは、月に向かってお願いするという意味です。太陽に向かってのように「俺はやるぞ!」と叫ぶ、堂々とした決意ではなく、月に向かう場合は、密かな願いです。自分が生きる仕事につきたいとか、実現しそうにないと思っている夢を、こっそり呟くんです。努力をすれば、いつか叶うと信じるんです。そう思うから、人は生きてゆけるんです。
こんな想いで作りました。イージーリスニングとか、癒し系といったものものには属さず、結構ハードな曲も入ってますし・・・。
なんか、シーンとされると辛いですね。(笑) 

 
 
 ETUDE後半〜

MCが終わり次の曲だ。つぎは「夢の星空」の演奏である。と、イキナリ照明の照度が落ち会場が真っ暗になると同時に、ステージに青色の星がきらきらと輝きだした!突然の演出にびっくりするのである。(笑)満点のキラキラと輝く星の中に、久石さんとグランドピアノが・・・。何か幻想を見ている様で、言葉を失うほど非常に神秘的だった。また曲想とマッチしていて、なんとも見応えのある演出だった。

つぎは「ボレロ」の演奏である。 この曲は非常に難解なイメージのする曲である。同音連弾、右手と左手のエチュードという副題にもあるように、両手をすばやく使わないと弾けない曲である。音域的には、同じような所を両手が行き来し、時に交差もするため慣れていないと非常に弾きづらい。久石さんはCDよりもさらに速いペースでイントロを奏ではじめた。一度始まると、もう止まることは許されない。そんな緊張感漂う一曲であった。


つづいてETUDEからの最後のナンバーである 「a Wish to the Moon」の演奏がはじまる。この曲はキリン一番搾りのCM曲として今年の始めから使用されており、ご存知の方も多いと思う。シャッフルをきかせた、非常に軽快なリズムで思わず踊りだしたくなるようなフレーズが特徴の一曲である。後半は何と第一セクション、第二セクションの皆さんがチェロを置き、なんと口笛と指パチで合流!これにはちょっと驚いてしまいました(笑)みなさん笑顔がこぼれ、非常に楽しそうでした。

ここで久石さんのMCが入る。
このコーナーが終わるとほっとするんです(笑)本当はやりたくない(爆)東京へ帰らねばいけませんから・・(笑)NHKで世界美術館紀行という新番組の音楽を担当することになりまして、どうしてもこの10人のチェロのためにと思って作った曲です。これがなかなか良くて、レコーディングでは近年最高のレベルできたのではないかと自負してします。(笑)ここで10人のチェリストの紹介をします。第一セクション、近藤浩志、三宅進、近藤貴志、第二セクション、大沢真人、松葉春樹、第三セクション、前田善彦、谷口賢記、第四セクション、池村佳子、石田聖子、町田正行。と各演奏者の紹介があった。


こうして久石さんの指揮でチェロ10人のために書かれた世界美術館紀行のテーマ 「Musee Imaginaire」の演奏が始まる。この曲はKIKIの出だしにも似た、軽快なチェロのリズムで曲がスタート。メインのフレーズはどこと無く哀愁がただよいまさに久石メロディーといった感じだ。リズムが変わり、ゆったりとした曲想に・・・。紀行ということで、世界のいろいろな表情が表現されているのかもしれない。様々に曲想が変化し、最後はもとの軽快なリズムのフレーズに・・・。久石さんの特徴的な表現が一曲の中にいろいろ込められているという印象で、非常に期待できる一曲であった。

続いて「la pioggia」の演奏がスタート。この曲は98年に公開された「時雨の時」という映画のテーマ曲である。またチェロの美しいメロディーが特徴の一曲である。ピアノの高いプレーズのあと、ためにためたチェロが第一声を!今回は今までで、出だしのチェロの部分が一番、ためていたように思います(笑)感動的なフレーズを各セクション総動員して非常に素晴らしいアレンジに仕上がっていた。コンサート後、la pioggiaは今年のアレンジが一番よかったという声も聞かれたくらい良いものでった。

そしてプログラム最後の曲である 「Tango X.T.C」の演奏がはじまる。この曲も久石さんの思い入れの非常に深い曲であり、コンサートでは毎回演奏されている。Works2バージョンをモチーフとしたアレンジがされていて、ロマンチックなメロディーが会場内に響き渡る。演奏が終わると会場内は一斉に大きな拍手の音に包まれた。久石さんが前方、サイド2方向、後方にそれぞれお辞儀をされた。にこやかにバイバイ!と手を振られた。拍手はなり続く・・・。鳴り止まない・・・。チェロの皆さんも足で拍手を!

 アンコール〜コンサート終了

何回か久石さんがステージ裏に帰ったり、戻ったりを繰り返し、ようやくピアノに・・。期待のアンコールが始まった!


ToToRo」の演奏が始まる。映画「カルテット」の劇中に流れるトトロに似たアレンジだった。トットロ、トット〜ロのおなじみのフレーズがチェロではじまる。その後のタタタタ・・・と続くチェロのリズムがとても心地よい。

つづいて、やはりというか・・(笑) 「Madness」 である。これはもはや説明は要らないだろう。ソロアルバム「My Lost City」に収録され、「紅の豚」にも挿入曲として使われた、コンサート最後を飾るのに相応しい、盛り上がる曲調の一曲である。


↑本日の演奏曲目

アンコール2曲が終了し、通常ならここで、コンサートがすべて終了する予定なのだが、今年の大阪も熱い!帰さない!(笑)拍手が鳴り止まない・・・。5分くらいずっと拍手が鳴り響く・・。久石さんも、バイバイの手振りを(笑)しかし、大阪は帰さない(爆)チェロの10人の方もステージを跡にするが・・、拍手はなり続ける・・。手が痛くなる(笑)と、ようやく久石さんがピアノに!

そして何とアンコール3曲目は 「君だけを見ていた」ピアノソロの演奏だった!92年に放送されたTVドラマ「大人は分かってくれない」のテーマ曲として書かれたものである。シングルのみの発売で、アルバムには収録されず、音源を持つ人がすくない、非常に貴重な一曲である。ファンの間では根強い人気の曲でもあり、今回のコンサートでの演奏は非常に貴重なものとなりそうだ。

そしてコンサートは終了。約2時間半、22曲と非常にボリュームのあるコンサートだった。ホールを後にしホワイエへ。ホワイエの柱には、さっそく「本日の演奏曲目」が張り出されていた。皆さん、こぞってその張り紙の写真を撮る・・。別にそれほど、貴重なものではないのだが、なぜか、とても貴重なものが!という雰囲気に(爆)カメラ付き携帯が普及したためか、携帯のカメラでその張り紙を撮る人がとてもたくさん・・・(笑)


 コンサート後・・・そして

オフ会同士は、久石さんの出待ちに行くことになった。すずしろさんなどは、久石さんのためにお酒をプレゼントする予定だ(笑)ホールの丁度裏側、すでに20人くらいが、楽屋口に集まっていた。シンフォニーホールの楽屋口はちょうど、正面円エントランスから真後ろの位置にある。警備の方が何人か常駐されていて、少し物々しい雰囲気であった。なんだか、大物芸能人を待ち構えているかのようだ。中からは、スタッフの皆さんがぞくぞく出てくる。そんな中、今回のコンサートの主役チェロ10人の方も一人つづぽつり、ぽつりと登場!中にはサインを求める人も・・(笑)あの、髭がトレードマークのコンサートマスター近藤さんも登場!チェロを肩に抱えた姿は渋い・・(笑)

そしてオフ会同士が楽屋口について、10分くらいたっただろうか・・関係者の方2,3人とともに久石さんが登場!「あ、久石さん!」と辺りはざわざわっと!コンサートのびしっと決まった服装から、一変、やはりラフなトレーナーに、頭にはキャップと、いつもの普段着であった。久石さんは、満面の笑みで、さっそく一人一人のサイン書きが始まった!久石さんは、Hisaさんに「今日の大阪はおとなしかったよ〜」と話されていた(笑)私もサインを貰いに久石さんに近づく、いつも緊張して、思ったことが言えないのだが、今回も、不意に作曲家を目指しています!、と久石さん本人に宣言をしてしまった!(笑)これはもう後には引けない・・(爆)

そんなこんなで「そろそろ時間です!」と御付の方の声が・・。コンサートが少々押したのと、今日中に新幹線で東京へ帰らないと(すでに21時!)行けないということで、相変わらず非常に多忙な久石さんであった(苦笑)久石さんはちょっと早足で黒い自動車に乗り込み、新大阪の駅へと向かった。そしてオフ会同士も正面エントランスへもどり、ホールをバックに記念撮影を。すっかりあたりは静かになり、オフ会同士の声がエントランスに前の広場に響く。

こうして、大興奮のコンサート&出待ちは終了し、オフ会同士はJR大阪環状線福島駅へと向かう。梅田周辺で夕食を兼ねたコンサート後オフ会の開催となった。こうして、今回のコンサートも幕を閉じ、久石さんと10人のチェリストとの音楽を同じ空間で同じ音楽を楽しめたこと、オフ会の楽しい思い出が心に深く刻み込まれた。



↑久石さん登場!

↑さっそくサイン書きが・・。

↑次はどれ?(笑)

↑久石さんが目の前に!

↑タクシーに乗っても手を振る久石さん

コンサート開場〜開演、コンサート前半
Written by HeeFoo at 2003.6.15 最終改訂2003.6.15 執筆協力:Hisa
背景:コンサート開演前のザ・シンフォニーホールホワイエ
 
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