地上デジタルTV放送受信用ミッドバンドコンバーターの試作(Apr 2007〜)
VHF共聴ではUHF帯で放送されている地上デジタル放送を通過する事が出来ず、殆どの場合受信が困難である。現状では昔の様に個別のUHFアンテナを立てて受信するしか方法が無い。
そこでUHF放送波をVHFのLowバンドとHighバンドとの間にある「ミッドバンド」に変換するコンバーターを試作し地上デジタル放送受信の可能性を探ることにした。
これが実現すればVHF共聴にデジタル放送を流すことが可能となる。また安価な装置で目的を果たすことが出来れば、多くのVHF共聴受信者の吉報になる筈である。

(1)静岡地区(日本平)地上デジタル放送波(UHF)のスペクトラム
写真はアパートの共聴出力のスペクトラム。デジタル放送6波が並ぶ。
13ch:NHK教育テレビ
15ch:SBS静岡放送
17ch:テレビ静岡
18ch:静岡朝日テレビ
19ch:静岡第一テレビ
20ch:NHK総合テレビ

これ以外のUHFアナログ放送。
31ch:静岡第一テレビ
33ch:静岡朝日テレビ
35ch:テレビ静岡
さらにVHFアナログ放送。
2ch:NHK教育テレビ
9ch:NHK総合テレビ
11ch:SBS静岡放送

(2)地上デジタル放送波(UHF)をミッドバンドに変換
写真はアパートの共聴出力を何の処理もせずDBMでミッドバンドに変換した様子。DBMはDiodex4個のリング型(Minicircuits/AED-1)、局発はUHFインピーダンスアナライザ(Kuranishi/BR-400)の発振出力362MHzにセット。
静岡地区の地上デジタル放送波先頭波13chが108MHzからのミッドバンドの1波目に変換され5波目まで確認できる。しかし、6波目はアナログ波の強烈なカブリを受けて確認できない。アナログV/UHFチャンネルも同時に入力されているので、362MHzと加減関係にある成分に変換され複雑な表示状態になっている。Lowバンドの2chの素通りも確認できる。周波数関係を整理すれば入力chと局発の関係が考察できる。
この状態から診て、地上デジタル放送の安定受信のためには・・・
@目的チャンネル成分以外の除去・・・UHF段階で13〜21chのBPFの挿入
A和ヘテロダイン成分の除去・・・ミキサー出力にミッドバンドBPFの挿入
・・・などのフィルター処理が必要になる。局部発振器の周波数精度や安定度が気になるが、資料によれば各社チューナーの周波数精度は±30KHz、引き込み範囲は±250KHz程度あるため、それ程高級な発振器は必要がなさそうである。またメーカーによっては引き込み範囲が±500KHzもあるスグレモノもある。これらは予想外の値で、この実験最大の見方である。

(3)受信入力をUHFアンテナ出力にする
前項はアパートの共聴システム出力のため、VHF波とUHF波が混在しており、ヘテロダインした時に様々なスペクトラムを生みミッドバンド内に目的外の信号が変換される。これを避けるためにUHFアンテナの出力を直にDBMへ入力してみた。

(4)DBM-RF入力にUHF放送波BPFを入れる


(5)DBM-IF出力にミッドバンドBPFを入れる


(6)Local-OSCレベルを適正にする


参考・・・地上デジタル放送受信の実験データ
@名古屋市守山区元郷地区の受信状況と対策
A静岡市葵区上足洗2丁目の受信状況と対策
B静岡市清水区山切伊野川原の受信状況と対策
C静岡市清水区山切伊野川原の受信状況と対策その2
Dミッドバンドコンバータの試作・・・本ページ
E福井市宝永2丁目の受信状況