地上デジタル放送受信テスト(2004年1月11日:名古屋市守山区元郷)・・・方向調整無しの既設アンテナではNGだった!

昨年の12月1日より東名阪の3地域で地上デジタル放送が開始された。守山区元郷地区では、矢田川の土手を歩いていると東南東の方向に瀬戸デジタルタワーを目視することが出来る。
したがって受信も容易で、ひょっとしたら現在アナログUHF放送を受信しているアンテナを、方向調整無しで使えるのではないかと虫のいいことを考えたが結果はNGだった。アンテナは名古屋市の東山(中京TV)を向いていて、方角は南東方向である。瀬戸デジタルタワーはそれから約90度ずれており、ビームパターンのサイド方向となり電界が確保できないようだ。送信電力は現在減力中で30W程度のはずだから、フルパワーである3KWまで上がれば状況は変わってくるはずである。チューナーのチャンネルスキャンを行っても現状では全チャンネルで不感であった。ちなみにアンテナは16エレメント八木、地上高8m程度である。またダメモトで室内の50cmと1.5mホイップアンテナでも実験を行うが見事NGだった・・・当たり前だが藁にもすがる気持ち。
なお、BSデジタル放送と110度CS放送の受信はOKであった。全てのデジタル放送に対応しているためか、このチューナーの設定や扱いは簡単ではない。またその多機能さや小型さにも舌を巻く。言うなればネットワークにつながったコンピューターである。アナログとデジタル、スタンダードTV(SDTV)とハイビジョン(HDTV)、オーディオ・ビデオからマイクロ波、それにネットワークが一つの基板の上に乗っている。誰が作ったか知らないが、多少はエンジニアリングをと思い中を覗くととてもじゃないが手を付ける気にならない。何となく分かるのは電源とRFブロックとアナログAV関係で、他は全てデジタル処理で何をやっているのか想像もつかない。大変な時代になった。
チューナーの背面にはアナログのHDTV(1080i)の出力のほかにダウンコンバートされたSDTV出力もあり、今までのTVにつなげばHDTV放送を見ることが出来るが、画質はハイビジョンモニターには遠く及ばない。
写真左は地上デジタルを諦めBSデジタルのチェックをしている様子。慣れてしまえばなんて事はないが、とにかく初期設定が多いのが難点である。今までのTVだと思って操作すると必ず行き詰るので、必ずマニュアルを見る事をお勧めする。
写真右はマスプロのデジタルチューナーDT200(松下電器OEM供給)の内部を背面から撮影したもの。見た目では殆どPC基板と変わらない。馴染みのあるのは右の電源基板と左下のチューニングユニット位である。背面にはANT端子(UHF/BS-IF)とHDコンポーネント出力、SDコンポジット出力、SD-Sビデオ出力、iリンク、ネットワーク端子、電話線端子、光音声出力などが所狭しと並んでいる。チューナーなのに高周波を殆ど意識させない。高周波として扱っているのは一体何処までなんだろう?。また知らないうちに送信側からソフトを修正できるって言うから、ハードウェアだけ見て驚いていてはいけない。

さて本日の地上デジタルTVの受信テストは失敗に終わったが、後日アンテナ系の対策をする予定なのでご期待願いたい。写真は現状のUHFアンテナ(下)とVHFアンテナ(上/TV塔向け)。UHFエレメントの手前側延長上に瀬戸デジタルタワーがある。中京地区デジタル放送チャンネルを表にまとめた。注目は従来のアナログ放送では同じ地域でチャンネルが連続する事は無かったが、デジタルTVではこのタブーを破っている。1チャンネル当り6MHzの占有周波数帯幅を守りつつ、同一地域で隣接チャンネル割り当てを可能にしているのは地上デジタルならではであろう。




地上デジタル放送受信再テスト(2004年1月12日:名古屋市守山区元郷)・・・何とダイポールアンテナでHDTV受信OK!

昨日NGに終わった受信テストに再びトライし見事に成功する。手始めに一体どれ位のレベルで電波が届いているのかをトランシーバー(Kenwood/TH-F7)のワイドバンド受信機能で確認した。玄関の前で18〜23チャンネルに相当する500〜536MHz付近を受信すると「ザー音」が聞こえた。これはいわゆるFMノイズと思いきや、Sメーターが振れているのでそれではない事が分かる。Sが強くなると音声レベルが上がるので普通のFMとは違う。ただし受信モードをWFM(WideBandFM)にしないとSを拾いきれないようでNFM(NarrowFM)では音声出力されなかった。またAMも同様であった。写真は矢田川の土手に上がり瀬戸デジタルタワーの見通し位置に立って測定したものでメーターはS=8まで振れた。アンテナを垂直にするとS=5。更に土手下の見通し外まで降りるとS=5であった。家の前では建物の影響かS=2で瞬断を伴う。これで電波到来を確認できたので、昨日NGだったUHFアンテナの出力を確認すると驚き。全く不感であった。こりゃ可笑しい、アンテナ系にUHFのBPFでも入っているのだろうか、それともアンテナのビームが鋭いのか・・・いずれにしてもこれじゃぁ受信できる訳が無い。



そこでロッドアンテナで作られたダイポールアンテナを持ち出し、TH-F7につなぎ居間で確認をすると微かに受信が出来る。次に2Fのベランダに上がり方向を調整すると見事矢田川の土手で受信したレベルS=8まで上がった。いける!。物置まで降り何かのイベントで貰った「のぼりポール」を持ち出した。その先端にダイポールアンテナを取り付け「仮設アンテナシステム」を組んだ。アンテナは300Ω/BALのためバランで75Ω/UNBALに変換し居間まで3C-2V(約7m)で引き込んだ。これでチューナーのスキャンを行うと見事全てのデジタルチャンネルを拾い上げた。
このデジタルTVシステムは、受信電界と映像の良否がリニアに関係しないので、真面目にアンテナ方向調整をやろうとする場合は必ず高周波段階のレベルを見なければいけない。またさすがOFDMで、ダイポール程度のいいかげんなアンテナでも、反射皆無の大変良好な映像(音声)を受信できる。
丁度NHK-Gでは「青春メッセージ」のアトラクションでロックバンドの演奏を放送しており、照明や電飾が激しく動いていたが、まずまずの画質(ブロック歪みの有無)であった。もっともディスプレイは525本であるから歪みも相殺されてはいるが・・・。



写真は走査線525本のディスプレイに映し出されたハイビジョンのダウンコンバート映像をデジカメで再撮したもの。本来なら走査線1125本(有効1080本)のハイビジョンディスプレイがないと高画質は体験できない。この映像はアスペクト比16:9に変換され横長映像にはなっているが、垂直方向525本(有効485本)のうち使用しているのは360本程度である。したがって、とてもハイビジョンとは呼べないのでご注意を。
写真では「放送映像と地域のデータ」が合成処理されている。こうした映像処理が容易に出来てしまうチューナーは、まさに魔法の箱と呼べないだろうか・・・。余談だが、1.5GHzもあるハイビジョンデータを6MHz幅の放送チャンネルに押し込みそれらしく見せてしまう圧縮技術はスゴイと思う。しかし、圧縮技術に惑わされない目はいつも持ちたいものである。
最後に現状のアンテナでの「電界マージン」とチューナーが表示する「アンテナレベル」、それに隠しコマンドによる「Bit Error Rate」「Error状況」「C/N」を表に示した。Errorは全局FreeであるがBERの悪い局があるのがやや気になる。電界マージンは映像がブロック歪を発生する直前値を1dB単位でATTを挿入し測定したものである。30W出力で規定電力の-20dB落ちだから全く問題ない。今後こうした電界マージンを把握する事がデジタル波受信の要となるだろう。何故なら従来のアナログTVは、電界が低下し映像がノイズに紛れても何とか内容を確認できたが、デジタルでは一気に映像が消えてしまうからである。




アンテナ高アップで各データ大幅改善!(2004年1月17日)

1月17日に2Fベランダに立てたポールを約1m伸ばしてみた。すると表のように受信データが大幅に改善されBERも完璧になった。見通し状態は余り変わらないと思うので、地表や周辺の反射による影響でアンテナ位置の電界パターンに強弱が出来ているものと考えられる。したがって本格的な受信を望むなら周辺の反射の影響を抑えるために八木アンテナなどのビームアンテナが必要であろう。しかし地上デジタル放送最大の特色「OFDM」(オーナーの私見)を意識すれば、よりローコストでシンプルな実用アンテナをアマチュア無線家(Ham)としては探ってみたい。
参考までに瀬戸デジタルタワーから約14Km離れた場所にあるビルの共聴システムのデータも掲示した。このデータと比べると、スパンが短い事もあるがダイポールアンテナ1本にしてはかなり良い常態になってきたと言えないだろうか。
今後ダイポールアンテナのエレメントに清涼飲料のアルミボトルや空き缶等を使ってデータを取ってみる予定である・・・お楽しみに!。 写真はベランダフェンスに取り付けたダイポールアンテナ。フェンスからはマスプロのBSアンテナ取り付け金具KBM-60を取り付け、そのポール(パイプ)にのぼりポールを差し込んでいるだけ。参考までにBSアンテナは試験放送時代からのもので60cmサイズ。製造はToshibaと思われるが全日本テレビサービスブランドで購入した。今ではこんなに大きくなくても同等のC/Nが得られるようだ。





写真は隠しコマンドで表示されたFEMinformationなる画面で、放送映像の左上にスーパーインポーズされる。このコマンド操作は松下電器とマスプロ電工のチューナーでしか確認していないので他社の場合は良く分からない。アンテナレベル表示メニューから←キーを押し続けるとこのモードになる。
もしこのWebの読者で、他社チューナーの隠しコマンドについてご存知の方がいらっしゃいましたら是非御教え下さい。


アルミボトルによるダイポールアンテナ・・・大変良好!(2004年6月12日)

予想以上に広帯域のSWRデータが取得できたので、実際に地上デジタルチューナーにつなぎデータを取得した。測定環境は従来と同じである。なおボトルダイポールの試作につてはTest&Dataコーナーの別項にあるので参照されたい。結果は、今まで使用していたロッドアンテナによるダイポールアンテナに比べ非常に良好で、THK(21ch)以外はアンテナレベルが100を示した。またブロック歪みが始まるまでのマージンも全体に改善されている。こんな「冗談アンテナ」でもオーナーのような比較的近距離(8Km)なら十分に実用になることが分かる。なお給電は3C-2Vの同軸ケーブルだが、ポール(のぼり用ポール)の中を通している。



地上デジタル放送のべリカード

昨年(2003年)12月1日より始まった地上デジタル放送の受信報告をすると、写真の様なべリカードを発行してもらえる事が分かった。
担当者によれば、このカードはNHK名古屋の瀬戸デジタルタワーからの放送(JOCK-DTV・JOCB-DTV)が対象で、今秋に開始予定のNHK岐阜(JOOP-DTV?)や来春に開始予定のNHK津(JONP-DTV?)は対象ではないとの事。
電気店に置いてある受信報告用のハガキに必要事項を記入し切手を貼り投函すれば郵送されてくる。記入内容の中に受信レベルと言う項目があり、これは受信機やチューナーのリモコンメニューでTVに表示された数字を記入する。その他の記入項目は氏名・住所・受信開始日・アンテナ種別・BS受信の有無などで、アンケート的要素が加味されている。
送られてきたカードの右上には手書きの番号が記入されている。オーナーが受領したカードにはNo.300-0006と記されていたが、これは「愛知県の6番目か?」と勝手に想像している。


瀬戸デジタルタワー段階的増力開始中(2004年8月5日)

瀬戸デジタルタワーから送信されている地上デジタル放送の空中線電力が段階的に増力されている。現在は最大300Wらしく今までの30Wに比べ10dBもパワーアップされる。その効果に興味があり自宅の受信環境でデータをとってみた。
測定は8月5日、時間は19時15分頃、アンテナは前回の6月12日と同じアルミボトルダイポールで行った。24時間の増力ではないようなので、各局が揃って増力していたかは良く分からないが、データを見る限り全局で改善が見られる。フリーズ映像直前までのマージンが5〜10dB増加している。数字を見る限り増力の程度は各局バラバラのような気もする・・・。
一気にKWまで増力しない理由は、従来のアナログ受信への影響を考慮しているからである。すなわちアナログ受信設備のリニアリティ・ダイナミックレンジ・複数信号特性等を考慮しながら作業を行っているのである。特に受信ブースタの特性は必ずしも満足できる物ばかりではないため、まさに様子を見ながらの対応になっているらしい。サービスエリア拡大には増力は必須だし、デジタルチューナーを持たないアナログ受信者を無視する事は出来ないし、実に難しい作業と言えないだろうか。


続・瀬戸デジタルタワー段階的増力開始中(2004年9月4日)

先月より瀬戸デジタルタワーから送信されている地上デジタル放送の空中線電力が段階的に増力されている。9月1日以降は500Wの模様で、今までの300Wに比べ電力比では僅か1.67倍であるが、取得した受信データからはかなりの改善が見られる。
表は9月4日、時間は13時分頃、アンテナは前々回及び前回と同じアルミボトルダイポールで行った受信データである。このデータから明らかに言えることは、オーナーの居住する地域ではダイポールアンテナ程度の簡易なアンテナで、十分な実用レベルが得られると言う事実である。今後最大電力である3KWまで増力されれば、益々そのマージンが増大しモバイルでのHD受信の可能性が更に高くなる。こうなるとAMやFM変調によるアナログTV放送技術の常識の大半が通じなくなる・・・とんでもない時代になった。


続々・瀬戸デジタルタワー段階的増力開始中(2004年9月8日)

9月1日以降は500Wに増力されていたが、現在は日中1KWに増力されていると聞き従来と同じ環境でデータをとってみた。頭打ちの局もあるがマージンで見て1dB程度の改善がみられる局が多い。測定時間は本日午前9時45分頃。


続々々・瀬戸デジタルタワー段階的増力開始中(2004年10月2日)

9月末より1.5KWに増力されていると聞き、再び同じ環境でデータをとってみた。但しテレビ愛知のライセンスはについては県域なので電力は1KWのままである。マージン以外の数字は殆ど変化が無いが、マージンだけは改善が確認できる。測定時間は本日午前14時30分頃。
また情報によれば次のステップは3KWでライセンス上のフルパワーになる模様。時期は不明。


続々々々・瀬戸デジタルタワー段階的増力開始中(2004年10月4日)

10月4日より9〜18時の間3KWのフルパワーで送信していると聞き、今までと同じ環境でデータをとって見た。但しテレビ愛知は既にライセンスいっぱいの1KWである。各局とも倍に増力したためマージンが3〜4dB程度改善されている。測定時間は本日17時45分頃。
これにより、瀬戸デジタルタワーから放送されている地上デジタル放送の出力が、時限付きだが最大電力になった。昨年12月の開始時の30Wに比べると20dBもアップしており、サービスエリアが実質的に何処まで伸びたか興味あるところである。また近距離エリアにおいては、アンテナを何処まで簡素化或いは小型化できるかにも興味が及ぶ。


瀬戸デジタルタワー・フルパワー運用開始(2004年12月1日)
10月4日より9〜18時の間3KW時限的フルパワーで送信していたが、地上デジタル放送1周年を迎え最大空中線電力3KWでフルタイム運用を始めた模様。
参考・・・地上デジタル放送受信の実験データ
その後2005年6月1日より静岡・浜松地区で地上デジタル放送が開始された。
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A静岡市葵区上足洗2丁目の受信状況と対策
B静岡市清水区山切伊野川原の受信状況と対策
C静岡市清水区山切伊野川原の受信状況と対策その2
Dミッドバンドコンバータの試作
E福井市宝永2丁目の受信状況