良い子は信じちゃいけません
超偏向極私的 各話解説
(ウド編)

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6話「素体」

いよいよふたりの再会ね♪
……と、フィアナフリークとしては浮かれるところですが、今回改めて観直すと、この回の「見どころ」って、やっぱり「キリコと3人組」……なのかも知れない、という気がしました(^^;;)。
けっして「仲間意識」で結ばれているわけじゃない、(3人組同士でさえ)それぞれがそれぞれの思惑ないし欲望に従って動いているのに、何故か気がつくと「チーム」を組んでいる。
口ではなんだかんだ言っても、腹の底では信頼し合っているのかな……な〜んて、ウッカリ思っちゃうと、足払いを食わされそう(^^;;)。
どこまでが「仲間意識」で、どこまでが「欲得ずく」なのか、さだかでないまま展開させる「チームプレイ」の絶妙さなんかが、ウド編前半の持ち味だったなぁ……と、今更に思うわけです。この頃の『ボトムズ』がスキだった人には、確かに終盤の展開についていけなかったり、或いは「フィアナ」さえ「邪魔」に感じられたりするのも無理はないかなぁ……とも。
でも、ゴメンナサイ。ここは「フィアナfanページ」。わたしにとっては、この回は「ふたりの恋物語」のはじまり……なんです。

 

◆キリコの行動フローチャート◆ チャートのみ呼び出す

(5話ラストから引き続き)リアルバトル現場より撤退*1、バニラの塒へ 

>> 治安警察に狙われる訳を問いただすバニラ達をはぐらかす。
  「疲れた。一休みさせてもらう」*2

(ココナ、キリコの寝姿を鑑賞(^^;)、バニラ・ゴウト腹のさぐり合い)

>> キリコ回想・自問自答〜「治安警察の署長に会えば」*3

(3人組、キリコ失踪を知るも、彼抜きで「ジジリウム保管庫襲撃作戦」開始)

>> 警官の制服を奪い、治安警察ビルへ潜入*4

(3人組、地下のモノレールを修理してジジリウム保管庫へ)

>> 所長室に到着。イスクイ尋問。*5
  「あの作戦では何人も死んだ。お前一人くらい死んでも、ものの数ではない。」

>> イスクイの案内で、ヘリで「すべてがわかる場所」ジジリウム保管庫へ
  (途中、イスクイからヒソカに保管庫に警報発令)

(3人組、一足先に保管庫に到着。キリコ侵入のドサクサにまぎれて管制室に潜入)

>> 保管庫到着。治安警察の待ち伏せを受ける 

(3人組、キリコ発見、管制室からキリコを誘導)

>> 3人組と合流 >> 植物と噴水のあるエリアに迷い込む。 

>> ジジリウムを浴びる美女を発見 >> 運命の再会(*^_^*)

>> 美女に逃げられる(^^;;) >> 3人組と一緒に脱出*6
  「あいつがここにいたとは……。あいつが“素体”か……“素体”とは、なんだ?」

 

あ、今回も注釈がいっぱい(^^;;)。結局3人組の行動も併記してるし。
でも、この「別行動」〜「合流」に至るプロセスが、今、観直すと、なんか良いんですよ〜。
「緊迫」のキリコSIDEと、「コミカル」な三人組SIDEのコントラストとかが……。
で、めでたく合流して、ファンタム・レディの私室に迷い込んでからも、「一人シリアス」なキリコちゃんと、周りでボケたりつっこんだりしている三人組の対比……は、後においといて〜……

まず*1ですが、前回も書きましたが、「下水道の中で追いかけっこ」なんてシチュエーションが、やっぱり『ルパン』をホーフツとさせるんですよね〜。ラスト*6の「ヘリで脱出」も、『ルパン』じゃお約束のシチュエーションだし……。 
#試しに、このシーンの音声を消して、『ルパン』のBGM流してみて下さい。
 メチャはまりますよ〜♪

じゃ、例によってキリコちゃんの行動をサクっと。
*4の治安警察ビルへの潜入ルートは、前回、三人組の手引きで脱獄(^^;)した時に使ったルートを、逆に辿っているんでしょうかね? その種の装備を持ってないキリコちゃんが、床の穴から出てきたところを見ると。(こういう細かいところに気を配った作品って好きだな〜)
受付(?)のお巡りさんを殴り倒して奥に入るとき、気絶させた彼に、メット被せて「ポン」と叩くキリコちゃんの仕草が……なんか、おかしくもカワイイ(^^)。
一見「らしくない」仕草なんだけど、でも、キリコって、時々そういう「らしくない」ことしますね? そういう「意外なときに見せるお茶目さ」という点では、やっぱり「キリコらしい」のかなぁ……

で、*5のイスクイ署長尋問。殴る蹴る、ドーカツする……と、キリコちゃん、ノリノリ(^^;;)。
いつになく口数は多いし、妙に楽しげに見えるのは、はたして、「演技」か「地」か……?
一話でロッチナに言われたセリフをここで返しているあたりからは、これまでやられっぱなしだった「うっぷんばらし」と、とれなくもないかなぁ……なんて(^^;;)。
#やっぱりキリコちゃんて、根がクライかも(^^;;;;)。

……と、一応おさらいも終わったところで、いよいよ今回のメインへ!

◆「衝撃の再会」をトレースする!

カプセルの中、青い光を浴びる全裸の美女。
美しくも異様なその光景に、キリコの脳裏に、あのリドでの出来事が甦る……

「もしや、あいつは……」

美女に歩み寄るキリコ。鏡越しに、彼の接近に気づいた美女が振り返る。
怯えるでもなく、誰何するでもなく、ただまっすぐキリコを見つめる。見つめ合う瞳と瞳。

「こいつが素体か? こいつは確かに、あの時の……!」

キリコの中で確信が高まって行く。そして、ついに口をついた言葉は──

「おれを…おぼえていないか?」

……ちょっと、待て(^^;;)。ナゼ、そこでそーなる!?
こういう場合、「お前は何者だ?」とか、「あの時カプセルの中にいたヤツだな?」とか、“相手の正体を確かめる”方向のセリフになるのが、フツーじゃないか?
ここが相手の「ホームグラウンド」で、自分が「侵入者」だって立場に「遠慮」したって訳でもないでしょうに……

キリコに背を向け、鏡を見つめる美女に、なおも声をかけるキリコ。

「確かにあって……待て!」

あのー、ナンパしてるんじゃないんだから(^^;;)。……ほら、逃げられた。

で、ここからも面白い。スリッパ履きのままでキリコを振り切っちゃう彼女もスゴイ(さすがPS!)けど、この後のキリコちゃんは、もっとスゴイ。

彼女の逃げたエレベーターのドアをこじ開けようとするんですよ。

こういうとき、フツーは、ランプで上か下か行き先を確認して、階段へ走る…とかするのが、正しい対応じゃないかなぁって思うんですけど〜〜(^^;;)。
直後に、バニラが落ち着き払ってボタン押してるだけに、余計にキリコの逆上ぶり(三人のことも完全に忘れているし)が目立ちますね。その直前まで、一人「シリアス担当」だったキリコちゃんと、「コメディ担当」の三人(というよりバニラ&ココナかな)の、当人達の「感情」も、「視点」も、何も変わっていない……んだけど、ここで「道化(ボケ?)」てるのは、キリコちゃんの方……っていうのが、何とも言えず笑える(^^;;)。

前述の「時折見せるお茶目」とも違う、明らかに「キリコらしくない」、まったく「どうしちゃったの?」なんて言いたくなる行動のその理由は……ぶっちゃけて言えば、やっぱり「」の一言に尽きるのではないかと。
ええ、キリコの方は、この時既に「恋におちて」いた……と、わたしは見ています。

根拠は、前述の「あいつ」への第一声「おれを…おぼえていないか?」
これって、相手の正体を確かめるよりも先に、「相手が自分を認識しているかどうか、確認したがっている」……と、わたしは受け取っています。

この回に至るまでに、キリコにとって、『アレ』の存在は、実は当人も意識しない内にかなり大きなものになっていたのではないか……と、わたしは考えているのです。
リドでの出来事から、「空白の半年間」も含めた時間の経過も、「想い」を育てる役割をはたしているんじゃないか……とも。>各話解説二話を参照ください
具体的なことは何も知らなくても、自分の「運命を変えた」存在。何度も記憶を反芻して、既に自分にとって「近しい」存在。その『アレ』が、生きて動く人間として目の前に現れた時、向こうが自分を知っているかどうかをまず気にするっていうのは…これはもう、恋愛の基礎の基礎、「相手が自分をどう思っているのかが気になる」状態と言っても良いんじゃないかと。(だからナンパしているみたいな科白になるの)

ずーっと後になって、最後の最後、ワイズマンにフィアナのことを突っ込まれた時にフラッシュバックしたのは、「フィアナ」の名を初めて口にした瞬間じゃなくて、このシーンなんですよね。それって、つまりそういうことなんだと解釈しております。
#その回は作画が荒かったから……とかいう「制作側の事情」は、この際考えてはいけない(^^;;;)。

で、「得体の知れない生命体」(from イスクイ尋問時のセリフ)が、とりあえず「人間」らしいということを確認したキリコの中で、『アレ』のファイル名が書きかえられるんですね。
初めは『あいつ』。その次の回では、もう『彼女』って。 


*2:なんで、初めて来た(だよね?)バニラの家のベッドの場所知ってるんだろう……。
「とりあえず」奥の部屋に行ったら、たまたま寝室だったってこと?
どっちにしても、態度デカイよね〜。今に始まったコトじゃないけど(^^;;)。

*3:このキリコのセリフに続いて、「ぐりん」と振り返るイスクイ署長のアップに繋がるタイミングが、なんか可笑しい(^^;;)


フィアナフリーク、(久々に)大いに語る。

ふと気がつくと、「運命の再会」を、キリコ側からしか語っていないのに気づいた(^^;;;)。
この「再会」が、キリコにとっては、既に「恋に落ちていた」状態である……というわたしの解釈は、先に申し上げたとおりですが、じゃ、フィアナの方はっていうと……ここからが、「恋の始まり」……ではないかと。

「いつもあなたを見ていました」

と、12話で「オトコゴコロ鷲掴み〜」なセリフをのたまう彼女ですが、その「いつも」が「いつから」かというと……実は、「この時」からじゃないのか……と、わたしは思うのです。
無論、それ以前から、彼女の脳裏に「リドでのキリコ」があったことは確かでしょうが、この回で、キリコに「再会」するまでは、彼女にとって、その「映像」は何の意味も持たなかった……いや、ひょっとしたら、「何だろうコレは?」程度のコトは思っていたかもしれないけれど、少なくとも、その「対象」を、積極的に「意識」することはなかったのではないか……と、わたしは見ています。

いわゆる「刷り込み説」というのがありますよね? フィアナは「(ワイズマンの操作による)リドでの出逢いによって、キリコを愛した」=「フィアナの“恋心”はワイズマンの操作によるものである」……みたいな。これ、わたしはちょっと異議があります。
だって、もし「刷り込み」=「恋」だとしたら、この6話でキリコに「再会」した瞬間から、彼女の方は「あなたなのね!」みたいな、「歓び」とか、同じ「逃げ出す」にしても「羞じらい」みたいな、「惚れた男に対する反応」を見せるんじゃないか?……と、わたしは思うんですけど、いかがでしょ?

でも、実際に、キリコに会ったときの、彼女の反応は……

鏡に映ったキリコに気づく >> 振り向き、キリコを凝視する >> 再び鏡に向き直る

>> (記憶の検索?)目を伏せる >> (思い出したのか?)ふいに目を見開く

>> 逃げ出す

「侵入者」であるキリコに対して「警戒心」や「敵意」を見せなかったのが、「妙」と言えば「妙」ですが、それは別に「目の前の男」が、「リドで誕生前に出逢ったあの人」だと分かっていたから……というよりは、単に「命令がないから、戦わない」といったような、「無機質」な「無関心」だと、わたしは受けとめました。
それが、話しかけられて、目の前の男と、記憶の中にある「あの映像」とが結びつき……本来、持ち得ないはずの「与えられた知識」以外の「記憶」の存在に驚き、思わず逃げ出した……と、いった感じかな〜〜。

この頃のフィアナ(ファンタムレディ)は、出番も少なく、「内面」を探るのは、キリコ以上に難しい……というより、観る側の気持ち一つで、なんとでも受け取れてしまうのがナニですが(^^ゞ。
まぁ「こんな見方もあるんだな〜」程度に受け取ってやって下さい。

 

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