今、仏像に会いに行こう

仏像の基本知識

2009.10.2更新
仏像の一覧  
仏像の基本知識
これが運慶だ。
運慶の作品一覧
仏教と仏像の基本
仏像の団体(笑)のいろいろ
仏像の参考著書
これが運慶だ。
仏像は数多くあれども、これほどに心を騒がせる仏師はいない。
12世紀半ばから13世紀初頭。王朝が没落し、武者の世が幕をあける歴史の転換期であった。
運慶については、生まれ年さえ正確に分からない、どんな人だったのかも分からない。
800年の歳月を超えて、今に伝わる、およそ30体の仏像があるだけ。
リアルな形を彫るノミさばきは、まさに天才の名にふさわしい。
運慶作 大日如来像
2008.3ニューヨークのクリスティーズのオークションに出たこの作品は、三越が14億円で落札。買主は宗教法人「真如苑」。
2008年7月10日(木)~2008年9月21日(日) に東京国立博物館の平常展で公開された。今後5年間は、東京国立博物館で預かり、研究、公開される。
10年後には、教団が施設を作って公開するとのこと。
幸い2度行く機会がありました。
14億円の大日如来坐像  東京国立博物館

   運慶の作品一覧(確実に運慶作と言われるもの。他に運慶作と伝わるという仏像は多数ある。)
       現在 31体。リストは芸術新潮 2009.1月号特集「運慶」による。

寺名 仏像名 備考
栃木 光得寺   大日如来坐像(重要文化財) 1  
東京 真如苑 大日如来坐像 1 このページのカット写真
神奈川 浄楽寺   阿弥陀三尊像(重要文化財) 3 阿弥陀如来と両脇侍像
神奈川 浄楽寺   不動明王立像(重要文化財) 1  
神奈川 浄楽寺   毘沙門天立像(重要文化財) 1  
神奈川 称名寺光明院   大威徳明王像(重要文化財) 1  
静岡 願成就院   阿弥陀如来坐像(重要文化財) 1  
静岡 願成就院   不動明王(重要文化財) 1  
静岡 願成就院   二童子立像(重要文化財) 2  
静岡 願成就院   毘沙門天立像(重要文化財) 1  
愛知 滝山寺   聖観音菩薩(重要文化財) 1  
愛知 滝山寺   梵天・帝釈天立像(重要文化財) 2  
京都 六波羅蜜寺 地蔵菩薩坐像(重要文化財) 1  
奈良 円成寺 大日如来坐像(国宝) 1  
奈良 東大寺 南大門 金剛力士立像(国宝) 2  
奈良 東大寺 俊乗堂 俊乗上人(俊乗房重源)坐像(国宝) 1 俊乗上人は、ここ 
奈良 興福寺 北円堂 弥勒仏坐像(国宝) 1  
奈良 興福寺 北円堂 無著菩薩・世親菩薩立像(国宝) 2  
奈良 興福寺   木造仏頭(重要文化財) 1 興福寺西金堂(廃絶)の旧本尊・釈迦如来像頭部。
和歌山 金剛峯寺 八大童子立像(国宝) 6 8体の内6体が運慶作
八大童子立像の特集はここ

平安後期は、定朝一派全盛期であった。そんな中、運慶の父、康慶は独自のスタイルを作っていく。
後を継いだ運慶は、鎌倉幕府との繋がりを強めていった。
絵画のような、定朝の作風から、立体的要素の強い、たくましく、リアルな作風が武士に好まれたのであろう。残っている作品が関東に多いのも、そのせいかも。


東大寺 南大門 金剛力士立像 六波羅蜜寺 地蔵菩薩坐像
円成寺 大日如来坐像
運慶20代の作品
興福寺 北円堂 弥勒仏坐像
運慶、円熟期の作品
八大童子・制多迦(せいたか)童子立像 八大童子・恵光(えこう)童子立像





仏教と仏像の基本
釈迦は紀元前6世紀にインドに生まれた王子で、6年間修行した後、菩提樹の木の下で瞑想に入り、ついに「悟り」を開いた。35歳の時である。
その後、伝道を続け、80歳で、沙羅双樹の木の下で亡くなった(入滅という)
当時は、具体的な崇拝の対象としての仏像はなく、遺骨を埋葬した「塔」や仏陀の足跡をあらわす「仏足石」が出来た。
入滅後500年経って、インド(ガンダーラ、マトーラ)で仏像が最初に作られた。

日本では、飛鳥時代に、仏像を作る仏師の存在が記録に残っている。
その後、平安時代末期に定朝を創始者として仏師が大活躍する。鎌倉時代には慶派、院派、円派という流派がすばらしい作品を作る。
康慶、快慶、運慶、湛慶等が著名であり、仏像を美術品として評価出来るのは、この頃までと言われている。

    

     仏像の団体(笑)のいろいろ

阿弥陀三尊 阿弥陀如来を中尊とし、観音菩薩を左脇侍、勢至菩薩を右脇侍とする三尊形式
釈迦三尊 釈迦如来を中尊として、脇侍(きょうじ)として左に文殊菩薩、右に普賢菩薩(ふげんぼさつ)を配置するのが一般的。
四天王 天に住む仏教における、4人の守護神
持国天 - 東。
増長天 - 南。
広目天 - 西。
多聞天 - 北。毘沙門天とも呼ぶ
聖徳太子は、四天王に祈願して勝利を得たことに感謝して摂津国(大阪市天王寺区)に四天王寺を建てた。
釈迦三尊像などのメインとなる仏像の置かれる須弥壇の四隅には、たいてい邪鬼を踏みしめて立つ四天王像が配置されている。
四天王像としては、東大寺(奈良市)の戒壇院のものが有名である。(国宝)
五大明王 不動明王が中心に位置し、東を降三世明王、南を軍荼利明王、西を大威徳明王、北を金剛夜叉明王の4人が守護する。なお、この編成は真言宗に伝承される密教のものであり、天台宗に伝承される密教においては金剛夜叉明王の代わりに烏枢沙摩明王が五大明王の一尊として数えられる。
京都の教王護国寺講堂に祀られている平安時代前半の像(国宝)が有名
八大童子 不動明王の眷属。
多くは、八大童子のうちの二名、矜羯羅童子(こんがらどうじ)と制多迦童子(せいたかどうじ)を両脇に従えた三尊の形式で絵画や彫像に表わされることが多い(不動三尊像と言う)
八大童子の彫像の作例としては、高野山金剛峯寺不動堂に伝わった国宝の像がよく知られる。
八部衆 仏法を守護する8神。仏教が流布する以前の古代インドの鬼神、戦闘神、音楽神、動物神などが仏教に帰依し、護法神となったものである。天、竜、夜叉、乾闥婆(けんだつば)、阿修羅、迦楼羅(かるら)、緊那羅(きんなら)、摩こ羅伽(まこらが)の8つを指す。
著名な奈良・興福寺の八部衆像の各像の名称は上述のものと異なる。
二十八部衆の中に含まれる。
十二神将 薬師如来を守護するとされる12の武神である。
頭上には各十二支の動物を形どった標識を置くことが多い。奈良・新薬師寺の等身大の十二神将像が、最古の作であるとともに造形的にも優れたものとして名高い。

宮毘羅大将(くびら):子
伐折羅大将(ばさら):丑
迷企羅大将(めきら):寅
二十八部衆 千手観音の眷属
東西南北と上下に各四部、北東・東南・北西・西南に各一部づつが配されており、合計で二十八部衆となる。
三十三間堂にあるのが有名。

     仏像の参考著書

一個人 2009.11月号

・常時拝観できる 『京都 三大寺を巡る』
・この秋、目白押し!厨子の重い扉が開かれる時 『秘仏開帳!』
・手の形の意味は? 持っている物は? 髪型の意味は? 仏像鑑賞が10倍楽しくなる
   『仏像の見方 基本の「き」』
・超越者・仏陀の姿をあらわした 『京都・如来の名作』
・悟りを求めて修行し、苦悩する人々を救済する仏 『麗姿の菩薩 必見の19体』
日経おとなのOFF 2009.10月号

特集 「仏像のすべてを学ぶ 美仏巡礼」
三好和義 仏像撮り下ろしスペシャル
 東大寺「盧舎那仏坐像」
 長谷寺「十一面観世音菩薩立像」
 唐招提寺「鑑真和上坐像」
47都道府県「美仏図鑑」
 京都-阿弥陀如来 国宝(法界寺)     大阪-弥勒菩薩半跏像(野中寺)
 兵庫-阿弥陀如来立像-国宝(浄土寺)  和歌山-十一面観音立像(紀三井寺)
 奈良-文殊菩薩騎獅像(西大寺)      滋賀-十一面観音立像-国宝(向源寺)
秘仏開帳カレンダー
 2009.9~2010.8 これは役立ちそう
pen 2009.7.1号

神社とは何か?お寺とは何か?

古来から日本人は、「神道」と「仏教」の2つの宗教とともにあった。
まったく異なる宗教にもかかわらず、「神社」と「お寺」は共存し続けてきた。
信心深さを失ったはずの現代の日本人が、神域に身を置くと感じる癒しの空気──。
いま、われわれにとって神社とお寺とは何なのか?
神話や釈迦の教えから、それぞれの歴史と系譜、訪れるべき神社と仏閣。
知りたいことが一杯です。
サライ 2009.6.4号

続.仏像の見方
阿修羅、阿弥陀如来...全64躯を細部から見定める
第1部 拝観前に必読 魅惑の守護神・鑑賞のポイント
「阿修羅」の謎を解く
第2部 印相、持物、坐り方から仏の教えを見出す  
仏像の細部を凝視する

第3部 平等院、中尊寺、浄瑠璃寺...
国宝阿弥陀如来に出会う旅
BRUTUS 2009.4.15号 

「仏像」 わかる?楽しい カッコいい

仏像の歩み。

32の仏像のトレーディングカードが付いてます。

ブツゾウQ&A は、なかなかいいところを突いてます。
京都ぴあ 2009-2010 (ぴあMOOK関西) (ムック)

たくさん載ってるが、今一、ツッコミが足りないかな?
芸術新潮 2009.1月号

 「特集 運慶」

リアルを超えた天才仏師

運慶特集は珍しいです。現存する全31点一挙掲載。

一杯、運慶作と言ってるところがあるのに
大丈夫かな?
サライ 2008.9.4号

如来、菩薩、明王...傑作・全146体一覧

第1部  刮目すべき彫りの技、みなぎる命
大仏師 運慶 万世不朽の仕事
第2部  名作から読み解く、仏の種類や意味
永久保存版 仏像 基本のき
関西大人のウォーカー 2008.1.26号

仏教、感動を旅する

仏像の秘密
京都五山、鎌倉五山へ
日経おとなのOFF 2007.6月号

「愛しい伝説」にあふれる仏像を、より深く味わうために 
仏像の美に癒やされる(今見たいベスト50)

日本100の仏像

JTBキャンブックス 田中 日佐夫

仏像の部門別に代表的なほとけたちを網羅しようとした試みは良しながら、有名でないのも入ってしまった。
ぶつぞう入門

(文春文庫)  柴門ふみ

「なぜに人々は仏像に惹かれ、拝み、千年以上も守りつづけてきたかというと、それがエロティックだったからだ。理屈を超えてリピードに訴えてきたから。しかもポルノもAVも無修正インターネットもない時代である。『お寺に言って仏像見るとなぜかドキドキしていいんだよね』と民は語り合ったはずだ。」
仏像がよくわかる本

(PHP文庫) 瓜生 中

知っているようで、知らない仏像。日本人なら、仏像は誰でも見たことがあるでしょうが、種類や由来、ポーズの意味、顔の意味など、今まで知りたいと思ったことが、全て書かれていました。中国やインドの文化にもふれ、仏像の多様性も、きれいに整理されて書かれています。
仏像は語る

(光文社新書) 宮元健次


仏像の見方を解説した本はたくさんあるが、本書は「なぜ、なんのために」という背景を解説。主に京都・奈良の28体が解説。
知っているとためになる
仏像とお寺のなるほど読本

(青春文庫) 廣澤隆之

なぜお参りに「数珠」がかかせないのか?
なぜ仏さまの手にはいろんな形があるのか?
「仏教2500年の智恵」がわかる。
図解 仏像がわかる事典

(日本実業出版社)  谷 敏朗

仏像はいつから作られるようになったのか、なぜいろいろな種類があるのか。仏像の歴史や種類、持ち物、手の形などの意味がわかると、仏像の世界はどんどん広く深くなる。
50種類以上の仏像を写真と図入りでわかりやすく解説。
すぐわかる日本の仏教美術―彫刻・絵画・工芸・建築

東京美術  守屋 正彦

仏教がはぐくんだ豊かな美の世界をわかりやすく大胆によみとく、仏教美術ファン必携の案内書
知識ゼロからの仏像鑑賞入門

幻冬舎 瓜生中

第1章 仏像ワールドの魅力
第2章 如来—真理を体得した姿
第3章 菩薩—救済に邁進する者
第4章 明王—怒れるインドの神々
第5章 天—仏教の守護神たち
第6章 羅漢・神像—聖なる姿かたち
巻末 全国仏像拝観ガイド

見仏記
「いとうせいこう」と「みうらじゅん」の共著による紀行文のシリーズ。
いとうが本文、みうらが文中の絵を担当している。
ユニークな二人のユニークな仏像見学記。ついていけないところもあるがそれなりに楽しめる。全4巻だが、3巻目は海外編なので読んでない。
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