暮らしのなかの死に至る毒物・毒虫60 (ノンフィクション)
(唐木 英明他 / 講談社 2000)
タイトルで脅された割りには、中身が薄くてつまらなかった。
みんな、どこかで読んだような内容ばっかりだったし。
それぞれの専門家が専門の分野について書いた、ということなんですけど。
「仕事で書いてる」って感じなんですよね。ある意味、読者を引き込んでいく“熱意”が感じられない。
明らかな記述の誤りもあるしさ。
「サナダムシは成虫になると、長さが4〜6センチにもなる」(本文80ページ)ってのは何だよ! メートルだろ!
「スズメバチは、別名クマンバチとも言う」(本文165ページ)というのも、完全な誤りではないけれど、誤解を招く記述ですね。確かにスズメバチを俗称で“クマンバチ”と呼ぶ人や地域はあるかも知れませんが、分類学上“スズメバチ”と“クマバチ”は別の種類のハチです。プロなら記述の正確さには気をつけてほしいものです。
<執筆者>:唐木 英明、赤堀 文昭、今井 壮一、植村 興、岡田 芳明、仮家 公夫、後藤 京子、山下 衛、米山 智子
オススメ度:☆
2001.2.24
フランケンシュタインの子供 (ホラー:アンソロジー)
(風間 賢二:編 / 角川ホラー文庫 1995)
いわゆる「人造人間」「自動人形」テーマのホラー・アンソロジーです。
そういやハヤカワ文庫版の「フランケンシュタインのライバルたち」、買ってなかったな。もう絶版なんだろうか・・・。(※2009年2月に入手しました)
ところで、フランケンシュタインってのは、あの怪物の名前じゃなくて、怪物を作った科学者の名前だって、知ってました?
あの怪物には固有の名前がなくって、「フランケンシュタインの怪物」というのが本名(?)。
内容は・・・まあ、こんなもんでしょう。けっこうそうそうたるメンバーが揃っているんですけどね。
<収録作品と作者>:「変身」(メアリー・シェリー)、「よみがえった男」(メアリー・シェリー)、「鐘塔」(ハーマン・メルヴィル)、「ダンシング・パートナー」(ジェローム・K・ジェローム)、「新フランケンシュタイン」(E・E・ケレット)、「死体蘇生者ハーバート・ウェスト」(H・P・ラヴクラフト)、「フランケンシュタインの花嫁」(ジョン・L・ボルダーストーン&ウィリアム・ハールバット)、「愛しのヘレン」(レスター・デル・リイ)、「腹話術奇談」(ジョン・コリア)、「ついに明かされるフランケンシュタイン伝説の真相」(ハリー・ハリスン)、「プロットが肝心」(ロバート・ブロック)、「不屈の精神」(カート・ヴォネガット・ジュニア)
オススメ度:☆☆☆
2001.2.27
プレデターズ (ホラー:アンソロジー)
(E・ゴーマン&M・H・グリーンバーグ編 / 扶桑社ミステリー 1994)
「プレデター」といえば、シュワルツェネッガー主演のあの戦争アクションSFゲテモノB級映画(ほめてるんですよ)を思い出しますが、それとの直接の関係はないです。
でも、ネタとしては同じで、タイトル通り、プレデター(捕食者・殺戮者)をテーマにしたホラー小説のアンソロジーです。
内容は、まあ玉石混淆、ただの血まみれスプラッターから、思わずドキリとさせられる秀作まで、いろいろと。
厚い(700ページ)割りには、ひょいひょい読めました。
<収録作品と作者>:「ハードシェル」(ディーン・R・クーンツ)、「カリグラフィー・レッスン」(ジョイス・ハリントン)、「ゴムの笑い」(ジョン・シャーリイ)、「醜悪さに牙を剥く」(ジェイムズ・キシュナー)、「心切り裂かれて」(エドワード・ウェレン)、「思春期」(J・N・ウィリアムスン&スコット・フォーゲル)、「傷跡同盟」(エドワード・D・ホック)、「骨」(ビリー・スー・モジマン)、「恩讐」(F・ポール・ウィルスン)、「渇望」(エド・ナーハ)、「思いちがい」(T・L・パーキンスン)、「殺っちまえば動かない」(ローレンス・ワット=エヴァンズ)、「コレクター」(ジョン・グレゴリー・ベタンコート)、「路傍の医師」(トマス・F・モンテルオーニ)、「ファラオの冠」(クリストファー・フェイ)、「裂け目」(リチャード・レイモン)、「紅玉と真珠」(リック・ホータラ)、「いにしえの血」(ゲイリー・ブランドナー)、「英雄たち」(リチャード・T・チズマー)、「ヴァレンタイン」(ダニエル・ランサム&レックス・ミラー)、「爬虫類の習性」(ジョン・コイン)
オススメ度:☆☆☆
2001.3.4