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イクシーの書庫・過去ログ(2001年4月〜5月)

<オススメ度>の解説
 ※あくまで○にの主観に基づいたものです。
☆☆☆☆☆:絶対のお勧め品。必読!!☆☆:お金と時間に余裕があれば
☆☆☆☆:読んで損はありません:読むのはお金と時間のムダです
☆☆☆:まあまあの水準作:問題外(怒)


黎明の王 白昼の女王 (ファンタジー)
(イアン・マクドナルド / ハヤカワ文庫FT 1995)

これ、いろんな意味ですごい小説です。ベースはケルトのファンタジーなんですが、3部構成のぶっ飛び方がすごい。(以下、ネタバレ強です。ご注意)
第1部の舞台は20世紀初頭(場所は3部ともアイルランドです)。これはまさにヴィクトリア朝時代のケルトの妖精物語そのものです。トールキン以前の、原型のままっていうか・・・。コッティングリーの妖精写真事件を思わせるエピソードもありますし。
第2部は、20世紀半ば。文体もがらりと変わって、アナグラムなどの言葉遊びを多用しながら(翻訳者泣かせでしょうね)、レイ・ラインのネタとか、クライブ・バーカーの「不滅の愛」を思わせる叙情豊かな神話譚になっています。
そして、ぶっ飛んだのが第3部。舞台は現代、というより近未来で、ドラッグとコンピューターが異界への入口を開く手段になってたり、主人公は剣道の技で敵に立ち向かったり、MIBは出てきたり・・・と、まるでサイバーパンク。でもすっきりファンタジーと融合するんですよ。
そして、しっかり物語は(象徴的な意味で)出発点に戻り、ウロボロス・サークルを完結させるわけです。むうう。
しかし、なんですね。こういうファンタジーは、アメリカの作家にゃ書けないですね。血筋というだけじゃなくて(アメリカにもアイルランド系の人はたくさんいるけど)、背景というか、やっぱりケルトの魔力の色濃く残る土地で醸成されないと、こういう作品はできないでしょう。
(移民船で新世界に渡った妖精たちは、ネイティブ・アメリカンの精霊たちに駆逐されちゃったんでしょう、きっと)

オススメ度:☆☆☆☆

2001.4.2


アルベマス (SF)
(フィリップ・K・ディック / 創元SF文庫 1995)

え・・・と。
難しいです、ディックの作品を紹介するのは(興味があったら読んでみて、としか言えない)。
ま、他の作品に比べると、ストーリーもアイディアもシンプルで、わかりやすいです。
サンリオSF文庫でずっと絶版になってた作品が次々と復刊されて、嬉しい限りです。

オススメ度:☆☆☆

2001.4.4


殺人プログラミング (ホラー)
(ディーン・R・クーンツ / 光文社文庫 1995)

これはクーンツの初期の作品です。1976年だから、連続してベストセラーをかっ飛ばし始める数年前ですね。たしかにプロットも複雑ではなくて、謎解きも(御都合主義なくらい)あっさりしています。
それでも最後までぐいぐい引っ張っていってくれるのがクーンツなんだなあ。
最後は(一応)ハッピーエンドになるし。

オススメ度:☆☆☆

2001.4.7


アムネリスの婚約 (ヒロイック・ファンタジー)
(栗本 薫 / ハヤカワ文庫JA 1995)

いわずと知れた「グイン・サーガ」の47巻。
なんで今ごろ読んでるんだろう。6年遅れてるぞ、はよ追いつけ。(それはムリというもの)
この巻は非常に静かな巻で、戦争もなければ悪辣な陰謀も目立たない。ただ、とうとうと流れてきた大河がひとときのよどみに入り、いっときたゆたっているような状況です。しかし、やがて次の大瀑布に向かって徐々にわずかに流れはじめているようにも見えます。
関係ないですけれど、「グイ・サーガ」にはかなり影響受けてるようです。
なぜって、文体が似てるんです。自分の小説と。意識してるつもりはあまりないんですけど。
でも、普通に書くと似てしまう。ま、いっか(おい)

オススメ度:☆☆☆

2001.4.7


はじめての死体解剖 (ノンフィクション)
(アルバート・H・カーター / 飛鳥新社 2001)

むむう・・・悪趣味ですね、タイトルだけ見ると。
こんな本を好んで読む人は変質者なんじゃないかとか、思われても仕方ないかも。
(ま、普通じゃないことは否定しませんが ←おい)
でも、読んでみると、決して興味本位のスプラッター本ではなく、死というものに対して真摯に向き合う医学部生たちの姿が、時にはユーモアを交え、気取らない文体で描かれていることがわかります。

オススメ度:☆☆

2001.4.7


X−ファイル 闇に潜むもの (ホラー)
(クリス・カーター&チャールズ・グラント / 角川文庫 1995)

1大ブームになった「X−ファイル」のノベライゼーションです。
でも放映してた頃、ほとんど見てないんですよね。時間帯が悪かった。会社から帰ってからじゃ遅くて見られなかったし。ビデオを借りるほどのものでもないかな、とか思って。
ところで、これ書いてるチャールズ・グラントって、あのホラー作家のグラントなんでしょうか。
ミドルネームのLがないから別人かな? でも書きそうでもあるし。むむう。
※後日、確認したらご当人でした。

オススメ度:☆☆☆

2001.4.7


ありえざる都市1 (SF)
(デイヴィッド・ジンデル / ハヤカワ文庫SF 1995)

作者はこれが長編デビュー作だそうです。
それだけに、ものすごいSF的ガジェットとアイディアがてんこもりです。
位相幾何学をベースにした数学的宇宙観と造語の嵐が、ちととっつきずらいですが、1回入り込んでしまえば、それほど気になりません。
でもまあ、全3巻の1冊目ですから、まだまだ物語はこれから。続きは今月中には読めるな。
(いろいろと順番がありまして・・・)

オススメ度:☆☆☆

2001.4.8


ベヴィアール宮の薔薇 (ファンタジー)
(ポーラ・ヴォルスキー / ハヤカワ文庫FT 1995)

これも、出版社の都合で3分冊になった長編ファンタジーの1巻目。
そういう事情で、1巻を読み終わっても、まだ物語は始まったばかりという雰囲気です。
主役のひとりと思われる人物が、冒頭の事件で行方不明になったきり、出て来ないし。
舞台は中世風・・・ではなく、ちょうど市民革命が起こった17〜18世紀のヨーロッパの雰囲気。ヒロインはなんとなくアイゼル様ちっくです(交友度が低い時の(^^;)。

オススメ度:☆☆☆

2001.4.9


ブラック・ドリーム(上・下) (ホラー)
(ケイト・グリーン / 角川ホラー文庫 1995)

いわゆるサイコ・サスペンスもの。主人公(ヒロイン)はサイコメトラーなのです。
プロットもよくできてて、テンポの良い語り口でひょいひょい読めます。
フーダニットの本格ミステリっぽい展開もあって、飽きさせません。
「サイコメトラーって何?」という方も、お読みになっては?

オススメ度:☆☆☆☆

2001.4.10


三惑星ウィルス包囲網 (SF)
(ハンス・クナイフェル&H・G・フランシス / ハヤカワ文庫SF 2001)

おなじみペリー・ローダン・シリーズ最新刊。
そういや『マルコ・ポーロ』(超巨大戦艦の名前)どうしたのかな?・・・と思ってたら、やっと出てきました。しかしいきなり“大群”に突っ込むとは。
2話目(このシリーズは、原本の2巻分が1冊になってます)は、えらく短かったな。通常130〜140ページなのに、なぜか100ページくらい。手抜き?

<収録作品と作者>:「《マルコ・ポーロ》にて」(ハンス・クナイフェル)、「三惑星ウィルス包囲網」(H・G・フランシス)

オススメ度:☆☆☆

2001.4.11


上弦の月を食べる獅子(上・下) (SF)
(夢枕 獏 / ハヤカワ文庫JA 1995)

タイトルからして、わくわくしながら読んだのですが・・・。
ジャンルは、「仏教SF」だそうです。仏教系(?)のSFと言えば、光瀬 龍さんの「百億の昼と千億の夜」が思い出されますが、あれを読んだのはもう20年も昔だな・・・。
で、この作品。ひとことで言ってすごいです。どんな言葉を以ってしても、説明することはできません。感性をもろ揺さぶられました。

オススメ度:☆☆☆☆

2001.4.12


ミステリー(上・下) (?)
(ピーター・ストラウブ / 扶桑社ミステリー 1995)

ふう・・・。
上下巻合わせて1000ページを越える本を2日で読みきってしまうなんて経験は、そうはありません。つまり、それほどこの作品は、読む人をぐいぐいと引っ張って行く魅力にあふれているということです。
『ココ』の続編だということから、サイコ・サスペンスかな、と思っていたら、全然違いました。 スーパーナチュラルな要素も全然ない。
質のいい謎解きサスペンスと、少年の成長小説を合わせたような、はらはらどきどきするストーリーが、最後まで飽きさせません。
ジャンル分けは不可能です。あえて付けるとすれば、“小説”(笑)。
いや〜、いいもん読ませてもらった。

オススメ度:☆☆☆☆☆

2001.4.14


新・魔界水滸伝 銀河聖戦編(1・2) (伝奇)
(栗本 薫 / 角川文庫 1995)

グイン・サーガと並ぶ栗本 薫さんのライフワーク、「魔界水滸伝」(←これ、一発変換できるうちのPCって・・・)の第3部の開幕です。
舞台が突然、超未来の銀河帝国に移って、この2巻ではまだいろいろと布石を打ってるところだそうで、ストーリーの展開はこれから。わくわく。

オススメ度:☆☆☆

2001.4.16


夜の子供たち(上・下) (ホラー)
(ダン・シモンズ / 角川文庫 1995)

シモンズにしては、ちょっと小粒かな? と思うのは、「殺戮のチェス・ゲーム」「サマー・オブ・ナイト」の印象が強いからでしょうか。
吸血鬼ネタを、血液疾患とからめて描くのは、山田正紀さんの「氷河民族」とかマシスンの「地球最後の男」とかがあります。が、この作品が現代的なのは、ルーマニアの社会主義崩壊とレトロウィルスをからめたところでしょう。また、串刺し候ヴラド・ツェペシュの物語を随所に配し、ラストに味わいを持たせています。
それにしても、「サマー・オブ・ナイト」と繋がってるとは思わなかったよ・・・。

オススメ度:☆☆☆

2001.4.21


魔都シャリーンの嵐 (ファンタジー)
(ポーラ・ヴォルスキー / ハヤカワ文庫FT 1995)

「ベヴィアール宮の薔薇」に続く、『騒乱の国ヴォナール』の第2巻。
ま、ヒロインが革命の嵐の中に放り出されて、物乞いをしたり身を売らなければならぬ羽目に陥る、というのはお約束っぽい展開ではありますが・・・。
革命派の中にも善玉と悪玉がいて、悪玉がとんでもなく悪逆非道に描かれているのが、ちと読んでて不快でしたが、まあ最終巻まで行けばぎゃふんと言う展開になることを期待しましょう。
1巻の冒頭で消えたままの人物が、この巻の最後まで行っても全然出てこないのが、意外と言えば意外。

オススメ度:☆☆☆

2001.4.22


ありえざる都市2 (SF)
(デイヴィッド・ジンデル / ハヤカワ文庫SF 1995)

えっと、3部作の第2巻です。
前半の山場が終わり、クライマックスに向けて動きはじめた、というところ。
しかしこの作者、あっさりキャラを殺しちゃいますね。好きだったのに・・・。
さて、続けて3巻に突入〜。

オススメ度:☆☆☆

2001.4.23


ありえざる都市3 (SF)
(デイヴィッド・ジンデル / ハヤカワ文庫SF 1995)

え〜、上のやつの完結編です。
いや、何と言うか、さすがは処女長編。
3つか4つ長編が書けるネタをひとつの話にぶっこんでいるんで、ちょっと胃にもたれた感じです。
なるほど、生命の謎はああいうところに隠されていたわけね。

オススメ度:☆☆☆

2001.4.26


友なる船 (SF)
(アン・マキャフリイ&マーガレット・ボール / 創元SF文庫 1995)

○に超オススメの《歌う船》シリーズ第4作です。
今回は、就航したての頭脳船が、銀河規模の悪事を企む5人組と対決するというお話。
相変わらず、テンポはいいし、読後感もすっきりしてるし、う〜ん、すいすい読めてしまいます。
5人組ってところで、ジャック・ヴァンスの《魔王子》シリーズをちょいと思い出しました。

オススメ度:☆☆☆☆

2001.4.27


怪異の民俗学3 河童 (ノンフィクション)
(小松 和彦編 河出書房新社 2000)

ひたすらに、河童の起源やらなんやらを、アカデミックに論じた論文集という感じ。
このシリーズ、最初に思ってたイメージに比べて学術色が濃いので、ちょっとどうかな?と思っているのですが、ここまで買うと全巻そろえないと後味悪いしな・・・。
あと5巻。ふひい。

<執筆者>:折口 信夫、柳田 國男、千葉 徳爾、野村 純一、神野 善治、川田 牧人、若尾 五雄、小松 和彦、中村 禎里、小馬 徹、毛利 龍一、小池 直太郎、中田 千畝、金久 正、丸山 学、楳 垣実、矢口 裕康、丸山 泰明

オススメ度:☆☆

2001.4.30


騎馬の公子 (ファンタジー)
(ピーター・モーウッド / 創元推理文庫 1995)

これ、久々のヒットです。
剣と魔法が縦横無尽の正統派ヒロイックファンタジー。
家族を皆殺しにされて城を失った主人公。死人を操る妖術師。魅力あふれる謎の女騎士(名前はキリーさんならぬキリンさん)。これで竜が出れば完璧だなと思ってたら、しっかり出てきました、火竜フランプファイル(違うって)。
とにかく、3部作の第1巻ということで、
続きが楽しみです。

オススメ度:☆☆☆☆

2001.5.5


神の熱い眠り (SF)
(オースン・スコット・カード / ハヤカワ文庫SF 1995)

ある意味、カードの集大成的な作品。長編ですが、ずっと語られる現在の物語と平行して過去の物語が、オムニバス連作っぽく並んでいます。
ちょっと宗教がかった(なんとなくキリスト教)雰囲気のファンタジーかな?・・・と思ってると、ラストで合理的なオチが待っていたり。
※追記。カードは熱心なモルモン教徒だそうです。納得。

オススメ度:☆☆

2001.5.10


サイノスの攻撃 (SF)
(H・G・エーヴェルス&ウィリアム・フォルツ / ハヤカワ文庫SF 2001)

おなじみペリー・ローダン・シリーズの最新刊。
これまで思わせぶりにちょこちょこと出て来ていた敵(敵か?)、サイノスが遂に本格参戦!
なかなか面白くなりそうです。
でも、来月は新刊が出ない月なんだよなあ・・・。

<収録作品と作者>:「サイノスの実験」(H・G・エーヴェルス)、「サイノスの攻撃」(ウィリアム・フォルツ)

オススメ度:☆☆☆☆

2001.5.12


闇の教室 (ホラー)
(ジョン・ソール / 扶桑社ミステリー 1995)

根暗な、少年少女虐待ホラーが得意なジョン・ソールの、今回はハイテク要素も入った作品。
中盤の、いたいけな少女を見舞う悪逆非道な仕打ちには、胸が悪くなるような思いがしましたが、終盤に至ってとんでもない復讐劇が・・・。
何にしても、主要登場人物のほとんど(10人中8人。厳密にはちがうけど)が死んでしまうという、とんでもない展開で、つい夜更かしして読みふけってしまいました。
ソールの作品の中では、最高傑作かも。

オススメ度:☆☆☆☆

2001.5.12


妖星伝(七) 魔道の巻 (伝奇)
(半村 良 / 講談社文庫 1995)

長大な伝記小説、遂に完結です・・・と言って、6巻を読んだのは10年近く前でした。
なんとか収拾をつけなくては、という作者の苦しみが伝わってくるような完結編でしたが、あら意外。あとがきを読んでみると、作者は満足してるんですね。でも、終わりが見えずに書き始めた、というのには、半分びっくり半分納得。
それより、「太陽の世界」はどうなったんでしょ?

オススメ度:☆☆

2001.5.12


美しき虜囚 (ヒロイック・ファンタジー)
(栗本 薫 / ハヤカワ文庫JA 1995)

グイン・サーガの第48巻。リアルタイムとは程遠いな・・・(汗)
この巻って、単にア●●・ナ●●が幽閉されるだけの話だと思うんですが、それだけで1冊の本にしちゃうんだからすごい。
これからまた、彼の暗躍(本領発揮?)が見られそうで楽しみです。

オススメ度:☆☆☆

2001.5.13


再生の幻術 (ファンタジー)
(ポーラ・ヴォルスキー / ハヤカワ文庫FT 1995)

「ベヴィアール宮の薔薇」「魔都シャリーンの嵐」に続く、『騒乱の国ヴォナール』3部作(というか、繰り返しますが出版社の都合で長編を3つに分けただけ)の完結編です。
1巻の冒頭で消えてしまった“相方”が、ようやく登場し、恋あり危機あり魔法あり陰謀あり、と一気に大団円までなだれ込んでいきます。
まさにロマンス色いっぱいで、3冊まとめて読めばよかったかな、と。
もしこれから読む方は、まとめて読みましょう(笑)

オススメ度:☆☆☆

2001.5.14


闇狩り師2 (伝奇バイオレンス)
(夢枕 獏 / 徳間文庫 1995)

“ミスター仙人”こと九十九乱蔵が活躍する伝奇バイオレンス連作。快調です。
どっちかというと、初期の「孔雀王」を小説化したみたいな感じ。純和風のおどろおどろしさが魅力です。
あとがきで、「今度は長編を書く」という作者の言葉があったので、次が楽しみ・・・って、出てるのかな?

※追記:同じ徳間文庫から「蒼獣鬼」(全2巻)という長編が出ていました。

<収録作品>:「馬黄精」、「ほどろ」、「かるかや」、「殯」、「陰陽師」、「餓鬼魂」

オススメ度:☆☆☆

2001.5.15


バベルの薫り(上・下) (SF)
(野阿 梓 / ハヤカワ文庫JA 1995)

日本国に霊的危機迫る!!
月面でそれを察知した超1級の美貌のサイキックと、連れの美少年は謀略渦巻くスペース・コロニーから地球を目指す。そして・・・。
「帝都物語」をほうふつとさせる心霊対決と、近未来のエスピオナージュ、戦略シミュレーションを合体させ、さらに・・・これ以上は書けないです(あの部分は、作者の趣味でいたぶってるとしか思えない・・・必然性あるのか?)
※追記。後日、再読したら、1回目より面白かった。

オススメ度:☆☆☆

2001.5.18


パラサイト・レックス (ノンフィクション)
(カール・ジンマー / 光文社 2001)

タイトルを直訳すると、「寄生虫の王様」(汗)。
ページをめくると、口絵にいきなり鈎虫の頭のどアップとかサナダムシの全身写真とかが出て来てびっくりしますが、内容はちゃんとした科学書です。
寄生生物は、「退化」したのではなく「進化」したのだという論理は説得力があり、これから先の人類と自然との関わりへの提言もうなずけます。

オススメ度:☆☆☆

2001.5.19


銀の森の少年 (ファンタジー)
(リチャード・フォード / 新潮文庫 1995)

動物を擬人化し、人間とのふれあい・自然の素晴らしさを描いたファンタジーはたくさんあります。N・ハンコックの『竜の冬』、中学で読んで以来ずっと自分のベスト1小説になっている『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』。
この『銀の森の少年』も、そんなファンタジーの系譜に連なる心温まる作品です。
森に捨てられ、アナグマに育てられた少年が、自然を愛する少女や動物たちと、世界を救うために旅に出る・・・。人間を、自然保護派と自然破壊派に類型化してるのはちょっとなんだかなあ、と思いますが、それを補ってあまりあるストーリーと、散りばめられた動植物のイラスト。
お勧めの1編です。

オススメ度:☆☆☆☆

2001.5.21


ドラキュラ紀元 (ホラー)
(キム・ニューマン / 創元推理文庫 1995)

これは、すごい小説です!
時は19世紀末。ところがそこでは吸血鬼ドラキュラが勝利し、ヴィクトリア女王の夫となって大英帝国を支配しています。そして、ヴァンパイアと人間が共存する奇妙な社会が・・・。
そこに、ヴァンパイアの娼婦ばかりを殺害する「切り裂きジャック」の跳梁があり、その謎解き(というか、ジャックの正体は冒頭から読者にはバレているんですが)がストーリーの要となります。
その渦中に身を投じるヒロインは、16歳の可憐なご令嬢・・・実はドラキュラより古い血統を誇る御年472歳(!)のヴァンパイア。
さらに、チョイ役ですがジキル博士は出る、モロー博士は出る、モリアーティ教授は出る、マイクロフト・ホームズ(シャーロック・ホームズの兄)は出る、ジョン・メリック(エレファント・マンね)は出る、その他、古今東西の吸血鬼小説・映画の主人公が大集合! ついでにキョンシーまで出てきちゃう。
何も知らなくても十分に面白いですが、元ネタを知ってると2倍3倍楽しめるという、マニア(どんなマニアだ)にはこたえられません。
で、これ、
続編もあるんですよね。う〜ん、楽しみ♪

オススメ度:☆☆☆☆☆

2001.5.24


X−ファイル 旋風 (ホラー)
(クリス・カーター&チャールズ・グラント / 角川文庫 1995)

「X−ファイル」のオリジナル小説版、2作目です。
今回は、なんとなく謎解きも真犯人も盛り上がりに欠け、すんなりと読み進められはするのですが、「あっそう」という感じ。
共著者のグラントは、やっぱりあのホラー小説の大御所グラントでした。本作がキャサリン・プタセクに捧げられていることで判明(プタセクはグラントの奥さん)。

オススメ度:☆☆

2001.5.25


霧越邸殺人事件 (ミステリ)
(綾辻 行人 / 新潮文庫 1995)

“閉ざされた山荘”テーマと“見立て殺人”テーマを盛り込んだ、本格探偵小説です。(“推理小説”という言葉は好きじゃないので使いません。やっぱり“探偵小説”)
こういったテーマというと、クリスティーのあの有名な作品(ポワロもミス・マープルも出てません)や、ヴァン・ダインの代表作、クイーンのいくつかの作品がありますが、この『霧越邸殺人事件』は、それらの本格探偵小説黄金時代の諸作品へのオマージュとも言えます。
もちろん、英米の作品の“見立て”のネタはマザー・グースの独壇場という感じですが、ここでは日本の童謡がネタになってます。
とにかく面白くて、700ページ近くを一気に読み通してしまいました。
でも、冒頭に出てくるミスディレクションは、ちゃんと気がつきましたぜ(これだからすれっからしの読者は・・・)。

オススメ度:☆☆☆☆

2001.5.26


ロマノフ王朝の秘宝(上・下) (冒険)
(典厩 五郎 / ハヤカワ文庫JA 1995)

ロシア革命を背景とした、謀略冒険小説。
革命勢力によって廃位させられた皇帝ニコライ2世と家族を救出しようとする英・日の特殊部隊の活躍と、怪僧ラスプーチンが隠したという秘宝を発見しようとする元ロシア秘密警察の暗躍が、史実と虚構が錯綜した中で描かれ、スリルあふれる作品に仕上がっています。
もともと、謀略(というか、エスピオナージュもの)小説はあまり得意でないのですが(特に戦後の冷戦を背景にしてるやつ)、舞台がシベリアとかチベットとなると、つい触手が動いてしまいますね。

オススメ度:☆☆☆

2001.5.27


ウイルス汚染機着陸不能! (サスペンス)
(リチャード・パリー  / 創元ノヴェルズ 1995)

なんか、実もフタもないタイトルだなあ・・・。
正統派(?)のウイルス・パニック小説かと思ったら、全然ちがいました。
アラブ・テロリストの追跡・戦闘はある、ジャンボジェットに体当たりする軍用機はある、んでもって『着陸不能』(笑)。
ただね。プロットを複雑にし過ぎたために、ストーリーを追うのに一生懸命で、深みが感じられないのですよ。それなりに読めるんですが、それだけ。
それと、ひとこと。解説では「大ネタをバラしたら編集者に殺される」とか書いてありますが、カバーイラストでネタが割れちゃってるよ(笑)

オススメ度:☆

2001.5.29


戦士志願 (SF)
(ロイス・マクマスター・ビジョルド / 創元SF文庫 1995)

モダン・スペース・オペラ(と言っていいのかな?)の傑作シリーズ、“マイルズ・ヴォルコシガン”ものの実質的な第1作。前に読んだ『無限の境界』が気に入って、国内で出ている彼女(女性作家です)の作品は全部押さえようと思っているのですが・・・。
買ってあるのに読む順番がなかなか回って来ないという事実が(^^;
とにかく主人公が、よく考えられています。封建的な惑星バラヤーの貴族の御曹司ですが、母親の胎内にいた時に盛られた毒物のせいで、身体にハンデを負ってしまっている。でも、知性と向こう見ずな性格がうまくマッチして、この作品ではあれよあれよという間に、でっちあげた架空の傭兵部隊が実在のものになってしまうというわくわくするような展開に結び付けています。
冒険SF、戦略SFがお好きな方には、おすすめです。

オススメ度:☆☆☆☆☆

2001.5.30


ダーティペアの大脱走 (SF)
(高千穂 遙 / ハヤカワ文庫JA 1995)

このシリーズ、大好きです。
そんだけ(^^;
今回、ユリの出番が少ないことだけが不満。
(ま、語り手がケイだから仕方ないか)

オススメ度:☆☆☆

2001.5.31


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