<簡易案内板>ダンジョンマップ書庫案内所書名インデックス著者別インデックス

前ページへ次ページへ

イクシーの書庫・過去ログ(2002年1月〜2月)

<オススメ度>の解説
 ※あくまで○にの主観に基づいたものです。
☆☆☆☆☆:絶対のお勧め品。必読!!☆☆:お金と時間に余裕があれば
☆☆☆☆:読んで損はありません:読むのはお金と時間のムダです
☆☆☆:まあまあの水準作:問題外(怒)


白銀の聖域 (SF)
(マイクル・ムアコック / 創元SF文庫 1996)

え〜、今年の年越し本(なんだよそれ)は本書、「白銀の聖域」でした。
ムアコックといえば、『エルリック・サーガ』とか『ルーンの杖秘録』とかヒロイック・ファンタジーの諸作品を思い浮かべますが、SFも書いてます。(って、これ読んで初めて知ったんですけど(^^;)
時は遠未来。氷河時代を迎えた地球上では、生き残った人類の末裔が氷上船を駆り、陸鯨(どんな動物かよくわからん)を獲って暮らしています。
そんな中、幻の都市ニューヨークを目指す1隻の氷上帆船・・・。
ま、オチはありがちですが、テンポよくさっさか読めます。

オススメ度:☆☆☆

2002.1.2


インデペンデンス・デイ (SF)
(ディーン・デブリン&ローランド・エメリッヒ&スティーヴン・モルスタッド / 徳間文庫 1996)

例の宇宙人侵略&アメリカ国威高揚(?)映画の、ノベライゼーションです。
いえ、映画自体、見てないんですけど(汗)。
でも、読んでるうちに、どうしても見たくなってしまいました。
今度借りて来よう(ていうか、DVD買っちゃうかも。2500円で売ってたし)。
実は、これって「機動戦艦ナデシコ」の20話の元ネタなんですよね。
あっちを先に見てたもんですから、デイヴィッドの「そうだ、風邪だよ!」というシーンで、「そう! 釣りよ!」というユリカの台詞を思い出して、ついニヤリとしてしまったり。
確かに“お約束”の展開がいっぱいで、ご都合主義の嵐という気もしますが、やっぱり燃える展開は良いです。
映画を見てない人にも、見た人にもお勧めです。

※追記:1年以上経ったのに、借りても買ってもいません(汗)。だって、テレビの映画劇場でやってるのを見たので満足しちゃったし・・・。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.1.3


ヴォル・ゲーム (SF)
(ロイス・マクマスター・ビジョルド / 創元SF文庫 1996)

わ〜い、お気に入りの“マイルズ・ヴォルコシガン”ものです♪
時代としては、
「戦士志願」の続きになります。
士官学校を卒業したマイルズの配属先は、宇宙艦隊という希望とは裏腹に、辺境の訓練基地。
そこで持ち前の正義感(+無鉄砲)から騒動を起こし、今度は機密保安庁の命で、身分を偽って外星系の情報収集に出かけるのですが・・・。
もう、これでもかこれでもかという、複雑怪奇、錯綜しまくった状況に追いこまれていくマイルズ。(半分は自業自得なのですが)
とにかく、波乱万丈、快刀乱麻、無我夢中のスペース・ドラマが展開します。
黙ってお手にお取りください。

オススメ度:☆☆☆☆☆

2002.1.5


スワン・ソング(上・下) (ファンタジー)
(ロバート・R・マキャモン / 福武文庫 1996)

ふわわわ、長かったです〜。上下巻合わせて、1270ページの大作。
でも、読み終わった今、充足感と爽快感にあふれ、生きるってことの素晴らしさをあらためてかみ締めています。
つまり、これはそれほど素晴らしい作品だってこと。(うさぎさん本以来かも知れません)
舞台は、核戦争後のアメリカ。第3次世界大戦で無数の核兵器が撃ち込まれ、空は雲に覆われて太陽は差さず、台地は荒れ果て、人々は<核の冬>に苦しんでいます。
そんな中、3組の主人公グループが描かれます。
1組目は、主人公の少女スワンと、彼女の旅に同行することになった見かけは怖いが心は優しい元悪役黒人レスラーのジョシュ。スワンには、植物に命を与え、台地をよみがえらせるという不思議な能力があります。(スワンって、ナウシカとイメージがダブります。考えてみると、この作品自体、テーマが「風の谷のナウシカ」と同じなんですね)
2組目は、子供を事故で失うというトラウマを抱え、ニューヨークのスラムですさんだ生活を送っていたシスター。彼女は、瓦礫の中から見つけた不思議なガラスのリングがつむぎ出す<ドリームウォーク>に導かれて、西へと向かいます。様々な人と出会い、別れを繰り返しながら。
3組目は、ベトナム帰りの元軍人マクリン大佐と、コンピュータオタクのローランド少年。かれらは武器を集め、心がすさんだ男たちを集めて軍事組織<アーミー・オブ・エクセレンス>を作り、略奪と殺戮を繰り返していきます。
そして、背後で暗躍する謎の男(彼は、邪悪の象徴とも言える超自然の存在です)。
ミズーリ州の小さな町でかれらが互いに出会った時、物語は大団円へ向かって動き出します。
この作品は、一見、ディザスター(大災厄)小説に思えますが、本質はファンタジーです。
芸達者なマキャモンのことですから、書こうと思えば「悪魔のハンマー」(ニーヴン&パーネル)に匹敵するディザスター小説も書けただろうと思うのですが、彼はあえて聖杯伝説を下敷きにしたファンタジーとして、この作品を仕上げました。<核の冬>はただの背景に過ぎません。
そして、作者が描きたかったのは、邪悪なものが存在することを知った上で、人間が人間らしく生きることの素晴らしさ、これに尽きるでしょう。
長大な作品ですが、読み通す価値は絶対にあります。
あと、ひとつだけご注意。
ラスト50ページを読む時は、電車の中とか喫茶店とか、人目のあるところは避けてください。
泣き顔を見られたくはないでしょ?
○には喫茶店で読んでいて、涙が止まらなくなって、恥ずかしい思いをしました(^^;

オススメ度:☆☆☆☆☆

2002.1.12


テラの剣闘士 (SF)
(ハンス・クナイフェル&クラーク・ダールトン / ハヤカワ文庫SF 2002)

おなじみペリー・ローダン・シリーズの最新刊です(277巻)。
相変わらず、“大群”の支配者と地球人類との化かし合いが続きます。
“大群”を支配する“偽神”の不思議な能力がひとつ、明らかになりましたな。
来月は本シリーズは休みの月。3月が待ち遠しいよぉ。

<収録作品と作者>「テラの剣闘士」(ハンス・クナイフェル)、「大宇宙の誘拐者」(クラーク・ダールトン)

オススメ度:☆☆☆

2002.1.12


悪鬼の侯子 (ファンタジー)
(ピーター・モーウッド / 創元推理文庫 1996)

ずっと前に1作目を読んでた“歳月の書”3部作の2作目。
1作目は剣と魔法の正統派ヒロイック・ファンタジーでしたが、今回はちょっと怪奇趣味。
ていうか、かなりグロです。出てくる魔物がスプラッターで、クトゥルー風味入ってるし。
道具立てが派手な割にはストーリーが淡々としてて、いまいち盛り上がりに欠けるかなっと。
最終巻に期待しましょう。

オススメ度:☆☆☆

2002.1.15


火竜の高師 (ファンタジー)
(ピーター・モーウッド / 創元推理文庫 1996)

前巻「悪鬼の侯子」に続く、“歳月の書”完結編。
今度は舞台が敵(?)の王国内部に移り、ますますアルドリックは複雑怪奇な陰謀の渦へ巻き込まれていきます。そして、
1巻で出てきた火竜イマレスの降臨!!
タイトルにもなっている火竜の高師とは・・・。
1巻で出てきた主だったメンバーが再び顔を揃え、ちょっと予定調和的な大団円に突き進んでいくわけですが、ストーリーを追うのに一生懸命で、ちと疲れます。
読むなら、間をおかず1〜3巻を続けて読むべきです。

今後しばらく“悪趣味読書月間”になります(笑)。

オススメ度:☆☆☆

2002.1.17


ドクター・アダー (SF)
(K・W・ジーター / ハヤカワ文庫SF 1993)

悪趣味読書月間その1(笑)。
解説の1行目に「危険で異様で猥雑な物語である」と書いてありますが、まさにその通り。
巻頭にフィリップ・K・ディックが序文を寄せて激賞していますが、たしかにディック好み。
ディックの小説をもっと過激に、猥褻に、下品にしたらこうなるのか、という感じです。
主人公のドクター・アダーは、整形外科医です。ただし、娼婦専門の。しかも、性的倒錯者のために肉体改造を行って、片腕の娼婦や足のない娼婦を作るという・・・。
そんな彼と、過激な宗教団体との抗争が、不気味なスラムと化したロサンゼルスを舞台に繰り広げられます。
ほんと、悪趣味。
普通の人は、読まない方がいいです(読まないって)。

オススメ度:☆

2002.1.19


美しき殺人法100 (ノンフィクション)
(桐生 操 / 角川ホラー文庫 1996)

悪趣味読書月間その2(汗笑)。
何度も書くようですが、この著者の書くものは、美しくないです。題材も処理のし方も、表現も。
いや、だったら読むなというのは正論なんですが。
ついついタイトルに引かれてねえ・・・。

オススメ度:−

2002.1.19


肝盗村鬼譚 (ホラー)
(朝松 健 / 角川ホラー文庫 1996)

えっと、これは悪趣味じゃないですね(笑)。
冒頭の3ページ目に、「マサチューセッツ州ミスカトニック大学の調査団」なる記述を発見して、嬉しい驚き。うおおおお、クトゥルーかよ!?
そうとは知らずに読み始めていたので、望外の喜びでした。
真言立川流とクトゥルー神話の融合ホラーなんて、日本人作家にしか書けませんわね。
幕切れも、ラヴクラフトっぽくて吉(ダーレスが改悪した神話風じゃないってことです)。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.1.21


レベッカ・ポールソンのお告げ (ホラー:アンソロジー)
(ミシェル・スラング:編 / 文春文庫 1996)

悪趣味読書月間その3。
副題は、「13の恐怖とエロスの物語」というわけで、平たく言えばエログロ・ホラーを集めたアンソロジーです。
まあ、けっこう大物の作品も入ってて(S・キングにR・レンデルにJ・キャロルにT・M・ディッシュ・・・全員わかる人はかなりのマニアです)、それなりに面白いんですが。
一応、内容的には18禁の作品もあったりしますが、別にHではないです。

<収録作品と作者>「レベッカ・ポールソンのお告げ」(スティーヴン・キング)、「海の恋人たち」(ヴァレリー・マーティン)、「輝ける未来」(ルース・レンデル)、「山に戻った虎男」(T・L・パーキンソン)、「吸血鬼クリーヴ、すなわち、ゴシック風田園曲」(パトリック・マグラア)、「悪魔のエステ・サロン」(キャロリン・バンクス)、「天使の翼」(ハリエット・ジネス)、「あなたの中の他人」(ジョナサン・キャロル)、「建築請負師」(クリストファー・ファウラー)、「死神と独身女」(トーマス・M・ディッシュ)、「ご主人様」(アンジェラ・カーター)、「征服者の虫」(ステファン・R・ドナルドソン)、「ジャクリーン・エス――彼女の意志と遺言」(クライヴ・バーカー)

オススメ度:☆☆

2002.1.22


筋肉男のハロウィーン (ホラー:アンソロジー)
(ミシェル・スラング:編 / 文春文庫 1996)

悪趣味読書月間その4。
「レベッカ・ポールソンのお告げ」が好評だったらしく、編者のスラング女史が次に編んだアンソロジーがこれ。
同じように「13の恐怖とエロスの物語」と副題が付いていますが、作家の歴史的な幅を広げたためか、エログロ度は薄くなっています。
ハーラン・エリスンやJ・G・バラードなど、SF畑の人の作品があったり、あのコナン・ドイルの幻の短編が入っていたり、バラエティに富んでいます。
ちなみに、ドイルはホームズもの以外にもいろいろと作品を書いていまして、新潮文庫の「ドイル傑作集1〜3」は要チェックです。

<収録作品と作者>「筋肉男のハロウィーン」(レイ・ブラッドベリ)、「初体験」(デーヴィッド・キュール)、「セレモニー」(アーサー・マッケン)、「証拠の性質」(メイ・シンクレア)、「ヘレン・バーヌーの顔」(ハーラン・エリスン)、「妄想のとりこ」(J・G・バラード)、「赤い嵐に襲われて ――乙女が本性にめざめるまでの物語」(サラ・スミス)、「バースデイ」(リサ・タトル)、「倒錯者」(チャールズ・ボーモント)、「モデル」(ロバート・ブロック)、「シルヴァー・サーカス」(A・E・コッパード)、「ハネムーン」(クレメント・ウッド)、「寄生体」(アーサー・コナン・ドイル)

オススメ度:☆☆

2002.1.25


パラサイト・イヴ (ホラー)
(瀬名 秀明 / 角川ホラー文庫 1996)

日本のホラー小説に新たな地平を拓いた、画期的ホラー小説です。
つーか、なんで今ごろ読んでるんだ、という感じですが、そこはまあいろいろと事情が。
途中まで読み進んで、「こりゃクーンツだな・・・」と思ってたら、解説にもそう書いてありました。やっぱりね。
「モダンホラーはジャンルミックスである」という巷間の説を基に考えてみれば、この作品、青春小説+SF+ホラー とでもなるのでしょうか。聖美の生い立ちとか、麻理子の日常とか、この辺はよくできた青春小説みたいで(青春&ホラーといえばキングの「キャリー」に止めを刺しますが)、バイオテクノロジーはSFしてるし、ヴィジュアルイメージはけっこう内臓ずるずるで、なんとなく映画の「スペース・バンパイア」風味。
映画にもゲームにもなってますし、読んで損はないです。
分子生物学とか細胞生理学とか遺伝子工学に関する知識があると、より楽しめますが(楽しみました(^^;)。

オススメ度:☆☆☆

2002.1.25


殺戮にいたる病 (ミステリ)
(我孫子 武丸 / 講談社文庫 1996)

悪趣味読書月間その5(汗)。
でも、この作品、それだけじゃありませんでした。
猟奇殺人者と、犯人捜査に執念を燃やす元警官、息子が犯人なのではないかと疑心暗鬼になる母親・・・と、三者三様の視点を細かく切り替えながら、物語は語られていきます。
冒頭で犯人の名前は割れているので、単なるサイコ・ホラーだと思って読み進んでいったら、最終ページに至って、唖然呆然。作者が仕掛けた大トリックに見事にハマッてしまい、「やられたあ!」と叫ぶしかありませんでした。
題材が異常心理と猟奇殺人なので、万人にお勧めできる作品ではありませんが、本格ミステリがお好きな人は、だまされたと思ってぜひ読んでみてください。
「やっぱりだまされたあ!」と叫ぶこと疑いなし。

オススメ度:☆☆☆

2002.1.26


カー短編全集5/黒い塔の恐怖 (ミステリ)
(ディクスン・カー / 創元推理文庫 1996)

第4巻の「幽霊射手」に続く、カー拾遺集の後半部です。
内容的には目立つものはなく、どちらかといえば歴史的意義の方が大きいかと。
巻末の「書誌」を見ると、まだまだ未訳の長編がけっこうあるんですね。
ていうか、翻訳されててまだ買ってないのもかなりあったりして。

あ、言い忘れてましたけど、「悪趣味読書月間」はとりあえず終了してます。

<収録作品と作者>「死を賭けるか?」、「あずまやの悪魔」、「死んでいた男」、「死への扉」、「黒い塔の恐怖」、「コンク・シングルトン卿文書事件」、「有り金残らず置いてゆけ!」、「地上最高のゲーム」、「ジョン・ディクスン・カー書誌」(ダグラス・G・グリーン)、「カー問答」(江戸川 乱歩)

オススメ度:☆

2002.1.27


銀河英雄伝説1 黎明篇 (SF)
(田中 芳樹 / 徳間文庫 1996)

今ごろやっと登場の、銀英伝です。
ずっと、読みたかったんですけどね。まあいろいろと順番とか、事情が。
それに、ノベルスは嫌いなので(なぜか新書版は好きになれない)、文庫に落ちるのを待ってたもんですからね。
OVAはちろっと見てたんですけど。
それにしても、ラインハルトもヤンも、すぐ出世しちゃうんですね(笑)。
「出世なんかしたくない、趣味に生きたい」っていうヤンの気持ちに、えらく共感を覚えたりして。
ところで、これ何巻まで出てるんでしたっけ?

オススメ度:☆☆☆☆

2002.1.28


王子と二人の婚約者 (ファンタジー)
(ピアズ・アンソニイ / ハヤカワ文庫FT 1996)

ほのぼの魔法ファンタジー、『魔法の国ザンス』シリーズの11作目。
前巻
「悪魔の挑発」から新展開に入ったこのシリーズ。行方不明になった良き魔法使いハンフリーの一家を探しに立つのは、ザンスの王子、御年9歳のドルフくん。
骸骨男のマロウを道連れに、ハンフリーの城で見つけた謎めいた言葉を手がかりに、探索を続けるドルフに次から次へと襲いかかる難事件。
なぜ婚約者がふたりなのかという疑問は、読んでいただくとして・・・。
今後への伏線もいろいろあって、次作が楽しみです〜。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.1.29


大暴風(上・下) (SF)
(ジョン・バーンズ / ハヤカワ文庫SF 1996)

北極圏での核攻撃によって、大量のメタンが大気中に流出し、それが原因で史上最大のハリケーンが襲ってくる話です。おわり・・・じゃなくって!
グランド・ホテル形式というか、多数の登場人物のエピソードをモザイクのように組み合わせて、長編に仕上げています。
近未来が舞台ということで、SF的ガジェットも多数。感情・感覚を共有できるメディア“XV”がTVのように普及しているとか、インターネットには“データ鼠”というハッキングプログラムが蔓延していて情報セキュリティなんかないも同然だとか、肉体は死んでもプログラムとして生き続ける人格とか・・・。
ただ、風呂敷を広げすぎて、散漫になってしまった感は否めません。同じバーンズ作品でも
「軌道通信」の方がずっと面白かったよぉ。

オススメ度:☆☆

2002.2.3


銀河英雄伝説2 野望篇 (SF)
(田中 芳樹 / 徳間文庫 1997)

銀英伝の第2巻。
今回は、帝国と同盟との直接対決は無し。お互いに内紛を抱え、ラインハルトとヤンが奮闘します。(ある意味、ふたりの間接的対決ということでもあるのですが)
それにしても、早くもあの人が退場してしまうとは思わなかったよ・・・。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.2.3


地球の記憶 (SF)
(オースン・スコット・カード / ハヤカワ文庫SF 1994)

以前に続編の「地球の呼び声」を先に買ってしまい、第1作の本書が入手できずに、すっきりしない思いをしていました。
でも、さる方のご助力でとうとう入手することができました。ありがとうございました!
ということで、展開がどうなるかはわかっている状態で読んだのですが、その分、伏線の張り方とかよくわかりました。
にしても、なんというか、淡々と話が進んで、淡々と次巻へ続く、という感じ。
解説に「全5話」と書いてありましたが、3作目以降が出ていませんね。あまり売れなかったのかな?

オススメ度:☆☆

2002.2.5


紅玉宮の惨劇 (ヒロイック・ファンタジー)
(栗本 薫 / ハヤカワ文庫JA 1996)

グイン・サーガの第・・・(え〜と、いくつだったっけ)・・・54巻です。
今回のメインイベントは、史上で最も悪趣味とも言える婚礼です、3対3の。
んでもって、タイトル通りの惨劇が起きるんですが、なぜか笑えてしまう(汗)。
ちょっと怒涛の展開になってきて、待て
次巻、という感じですな。

オススメ度:☆☆☆

2002.2.6


殺人鬼 (ミステリ)
(綾辻 行人 / 新潮文庫 1996)

ん〜、すごい小説です。
でもはっきり言ってグロです。狂気全開の血まみれドロドロスプラッターな描写の嵐。胸が悪くなります。気の弱い人は読んじゃいけません。うなされます。
だけど、ある意味すごい小説です。
帰りの電車の中で読んでて、途中でやめることができず、そのまま喫茶店に入って読み続けたりして。
作者が仕掛けたワナに見事にハマって、読了後、「やられたあ!」と嘆息。
先日読んだ
「殺戮にいたる病」に相通じるものがあります。
でもやっぱり気持ち悪いです。
これ、続編が出てるんですよね・・・。もう買い込んであるんですよね・・・。
近日登場。げふ。

オススメ度:☆☆

2002.2.6


コン・ティキ号探検記 (探検記)
(トール・ヘイエルダール / ちくま文庫 1996)

知ってる人は知ってる(知らない人は知らない・・・当たり前)、名著が登場です。
著者のヘイエルダールは、南米のインディオがバルサ材の筏に乗ってポリネシアに植民したという自分の学説を証明するために、ほんとに筏を作ってペルーからポリネシアまで海流と貿易風に乗って行ってしまったという人です。これは、その時の記録ね。
探検記とかって、けっこう好きです。中学の頃、スヴェン・ヘディンの「中央アジア探検記」とか、同じヘイエルダールの「葦舟ラー号航海記」とか、読んでました。
この本でも、筏を作り上げるまでの苦労とか、海の生き物の不思議とか、みどころがいっぱい。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.2.8


冥界の魔戦士 (ファンタジー)
(デイヴィッド・エディングズ / ハヤカワ文庫FT 1996)

“聖騎士”スパーホークが活躍する『タムール記』の第5巻。
前巻の終わりで、愛する妻を敵に誘拐されたスパーホーク。仲間とともに、敵の裏をかこうと暗躍を開始します。
すると、敵側も異世界から怪物を召喚(それが、タイトルの「冥界の魔戦士」ですな)。
多数のキャラがめまぐるしく登場し、ストーリーはさくさく進みます。
最終巻が楽しみです。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.2.9


NIGHT HEAD 1 (ホラー)
(飯田 譲治 / 角川文庫 1996)

人間の脳の70%は、使われていないそうです。その、使われていない部分のことを“NIGHT HEAD”と呼ぶのだとか・・・。
これって、TVの深夜ドラマで火がついて、劇場版公開までいっちゃったカルトなお話だそうですが・・・読むまで知らなかったよ(汗)
えっと、強大な超能力(テレキネシスとエンパス)を持った兄弟が主人公です。
あるきっかけで、それまで閉じ込められていた施設を脱出したふたりは、赤裸々な人間性のダークサイドに直面します。自己の欲望だけに忠実な若者や、強迫観念から殺人を続ける女・・・。
そこから逃げずに、正面から対決することで、兄弟は道を切り開いていきます。
かなりハードな描写が多くて(心理的に)辟易する部分もありますが、ラストに救いがありますので・・・。でもこれ、
6巻まであるのね。

オススメ度:☆☆

2002.2.10


NIGHT HEAD 2 (ホラー)
(飯田 譲治 / 角川文庫 1996)

シリーズ第2弾。
主人公の霧原兄弟は、再び謎の事件に巻き込まれていきます。
そして、それが解決した後、ふたりの前に立ちふさがる邪悪な存在。
人類にもたらされる変革とはなにか・・・。
思わせぶりなラストとともに、待て
次巻! ですね。近日登場。

オススメ度:☆☆☆

2002.2.11


緑の少女(上・下) (SF)
(エイミー・トムスン / ハヤカワ文庫SF 1996)

異星のジャングルで遭難した若き女性科学者ジュナは、現住の知性種族テンドゥに救われ、その星で暮らせるように身体を改造されます。かれらは、2本足のカエルに似ており、体表の色や模様を変化させることで意思疎通をし、更に深い交感能力をもっています。調査隊に連絡は取れたものの、異星に置き去りにされたジュナは、人類の母船が戻ってくるまでの間、異星種族の間で生き延びていかねばなりません。
最初のうちは、章毎に、人類であるジュナと異星人アネトとに視点が切り替わり、同じエピソードを両者の視点から繰り返し語ることで、物語に厚みが出ています。また、その視点の切り替えが話が進むにつれて曖昧になり、ついにはふたつの種族が相互理解に達することを象徴的に示しています。
異星冒険SF、生態学テーマのSFであると同時に、ファースト・コンタクトを双方の視点から描いた佳作といえます。ハッピーエンドも吉。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.2.13


孔明の艦隊 (戦争シミュレーション・・・?)
(志茂田 景樹 / 講談社文庫 1996)

一時期、巷で大ブームとなった「架空戦記」もの。
その中でも、この作者の本はひどいと、「トンデモ本の世界」に書かれていましたが・・・。
いやまあ、噂通り(汗笑)。
何が悲しゅうて、中国人の魂が敵国である日本人に憑依せにゃならんのか、という基本設定はまあ、置いといて。
たぶん、口述したものをテープからそのまま書き起こしているのでしょうけど(その証拠に、「ウェーク島」であるはずのものが「ウェープ島」と誤植されてる)、それにしても手抜きがひどい。
「典型的なイケイケ派の猛将である」なんて書かれては、スプルアンスさんも浮かばれないでしょう。ちなみにハルゼーもイケイケらしい。プロなのになんでこんなひどい表現使うかね。「バカバカ撃ち落す」とかさ。
「新黙示録」とか伝奇小説を書いてる頃の志茂田さんは、文章も構成も緻密で、好きだったんですけどね。どうしちゃったのかね・・・。
しかし、このシリーズ、
4巻まであるんですよね。もう買っちゃってるんですよね(汗)。

オススメ度:−

2002.2.14


星界の戦旗1 ―絆のかたち― (SF)
(森岡 浩之 / ハヤカワ文庫JA 1996)

ニュー・スペース・オペラ、“星界”シリーズ。新展開です。
作者によれば、これまでの
“星界の紋章”は外伝で、今回のが正篇だとか。たしかに、前シリーズは導入篇という感じでしたね。壮大なプロローグというか・・・。
今回は、晴れて艦長に就任したラフィール(実は帝国の王女)と、その部下となった主人公ジント(でもふたりはタメ口きいて、他の士官に妙な目で見られたりする)が、新たな戦いに身を投じます。
個人的には、妙にわがままだけど有能なスポール提督に注目してます。もっと出してほしいなあ。

オススメ度:☆☆☆

2002.2.16


殺人鬼2 逆襲篇 (ホラー)
(綾辻 行人 / 新潮文庫 1997)

ううう、とうとう出てきてしまいました。ノンストップ・スプラッターの第2弾。
前回、双葉山中で雷に打たれ、死んだはずの“殺人鬼”は、死んではいなかった・・・。
というわけで、今度は“殺人鬼”が麓の町に下りて来ちゃいます。
冒頭、けっこう細かく描写される強面の刑事さん、この人が主人公かと思ったら、第1章で家族ぐるみ殺されてしまうという、言語道断な(ホメてるんですよ)展開。
前作のような叙述トリックはない代わり(オチは途中で読めてしまう)、超心理学的な謎解きがなされていて、新鮮です。
でもなあ・・・。また結末で、“殺人鬼”の死体が見つかってないんだよね・・・。
続き、あるんですか・・・?

※追記:第1作を「ミステリ」、今回は「ホラー」とジャンル分けしていますが、あまり深い意味はありません(おい)。

オススメ度:☆

2002.2.17


ミッドナイト・ブルー (ホラー)
(ナンシー・A・コリンズ / ハヤカワ文庫FT 1997)

えっと、サイバーパンクでハードボイルドなダークファンタジーです(つってもわからないですよね)。
冒頭、状況説明もないままいきなりバイオレンスな展開に巻き込まれて、あわわわ状態のまま第2章へ。すると、ようやく回想シーンになって、アン・ライスの“ヴァンパイア・クロニクル”もかくやという主人公の生い立ち(?)が描かれていきます。
要するに、私たちが住む世界と重なり合うようにして、“真世界”なるものがあるというのが、このお話の設定。そこには妖怪やら亡者やらが住んでいて、“偽装者”と呼ばれて人間社会に暮らしています。で、主人公ソーニャ・ブルーは“偽装者”たちを見分けることができ、かれらを狩るハンターだという・・・。しかも彼女の心の中には別の存在が・・・。
このシリーズ、
続きます。

オススメ度:☆☆☆

2002.2.19


スモール・ワールド (ホラー)
(タビサ・キング / 扶桑社ミステリー 1997)

この作者、ご存知の方はご存知と思いますが、かのモダンホラーの巨匠スティーヴン・キングの奥方です。
ただ、ダンナ様が小説が上手だからといって、奥さんがそうとは限らない(笑)。
解説の唐沢俊一さんが「呆れかえったバカ小説」と書いておられますが、まさにその通り。
人でも物でも何でもミニサイズに縮めてしまう“縮小機”なるものが基本アイディアなんですが、それがいかにもお粗末。だいたいが、理論なんかありゃしない。「難しすぎて説明できないよ」と発明者に言わせてごまかしてしまっております(おいおい)。
しかも、ストーリーは行き当たりばったりで、伏線もなけりゃ必然性もない(こらこら)。
評価できるのは、最後の1行だけですな。この1行があるおかげで、このしょうもない小説(よくもまあ500ページ以上も書いたもんだ。付き合う方も付き合うほうだけど(^^;)が救われています。

オススメ度:☆

2002.2.20


聖アウスラ修道院の惨劇 (ミステリ)
(二階堂 黎人 / 講談社文庫 1996)

“新本格”の雄、二階堂 黎人さんの、これは初読みです。前々からチェックしようとは思っていたんですけどね、いろいろと順番があって・・・。
いや〜、すごいわ、これ。わくわくというか、ゾクゾクしますな。
舞台は修道院という閉鎖空間。修道院と言えば付き物の悪魔礼拝(そうか?)。黙示録をモチーフにした見立て連続殺人に、謎の暗号文。本格ミステリファンにはたまらない設定です。
解説で大森望さんが言ってる通り、「本格ミステリファンによる、本格ミステリファンのための、本格ミステリ」という形容がぴったり。つい寝食忘れて読みふけってしまいましたわ。
特にディクスン・カーに対するオマージュがあっちこっちに見られますが、幕切れも、カーの「火刑法廷」風味。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.2.21


虚空のリング(上・下) (SF)
(スティーヴン・バクスター / ハヤカワ文庫SF 1996)

う〜ん、疲れる(笑)。
最新の科学理論を背景にしたハードSFなので、宇宙ひも理論やら超対称性やら波動方程式やらフラクタル理論やら、テクニカル・タームの嵐で、ついていくのに苦労します。ううう、ホーキングの宇宙論を、まじめに勉強しとけばよかったよお・・・。
前半は、ダブル・プロットで進みます。一方は、ナノマシン処理で変容されたバーチャル人格リゼール(女性ね)が、太陽の核へ送りこまれ、そこで太陽の老化を異常促進する謎の物質を発見します。他方、相対論的時差を利用して未来を探ろうと、世代型宇宙船が旅立ちます。このあたりの船内の描写は、まさに「宇宙の孤児」(ハインライン)なのですが、まあ様々な事件を経て500万年後(船内時間では1千年)の太陽系にたどり着きます。すると、太陽は既に赤色巨星になり、人類の痕跡は失われていました。でもそこへ太陽内部を500万年観察し続けたリゼールが接触して・・・。
で、後半に至って、銀河系はおろか全宇宙を巻き込む壮大なビジョンが判明するわけですが、この作者の
他の作品と密接に連係していたのですね。先に読んでおけばよかった(ちょっと後悔)。

オススメ度:☆☆☆

2002.2.24


インフィニティ・リミテッド(上・下) (ポリティカル・フィクション)
(ジェイムズ・P・ホーガン / 創元SF文庫 1997)

ホーガンといえば、「星を継ぐ者」とか「創世記機械」のようなハードSF作家というイメージが強いんですが・・・(この2作はどちらも絶対のオススメですよ)。
実は、ポリティカル・スリラーも結構書いているという事実が。
確かに、先日読んだ
「ミラー・メイズ」も近未来の謀略小説でしたし、ついに今回は脱SF。
純粋なエスピオナージュ小説に仕上がってます。
主人公は、SAS出身のフリーランスの諜報員(というのも妙な職業ですが)。
アフリカの小国ズゲンダ(ルワンダでもアンゴラでもない架空の国。ありそうで、ない)の政府と、革命軍の双方から依頼を受け、どうしようかと悩んでいると、第3の依頼が。
その第三者というのは“インフィニティ・リミテッド”と呼ばれる秘密組織。どんな宗教やイデオロギーにも与せず、人々の自由と幸福のために暗躍(?)する国際組織だそうな。
で、結局主人公は二重スパイとしてズゲンダに乗り込んで行くわけですが、まあテンポもいいし、キャラも立ってるし(脇役がいろいろと役者揃い)、さくさく読めます。
でもね・・・。ホーガン一流の「あ! そうだったのか! やられたぁ!!」という読後感がなかったです。ちょっと淡々としてるかも。
いや、面白いことは間違いないんですよ。けどね・・・という感じ。

オススメ度:☆☆☆

2002.2.26


ダリの繭 (ミステリ)
(有栖川 有栖 / 角川文庫 1996)

こちらもいわゆる“新本格”の1冊です。
ダリに心酔している宝石商が、「フロートカプセル」という瞑想用のボックス内で殺されているのが発見されます。
とまあ、事件はそれだけで、派手な連続殺人もなければ不可能犯罪でもない。ある意味、たいへんシンプルなプロットですが、それだけに料理のし方が問われるところですが・・・。
う〜ん、うまい。緻密な完全犯罪計画から発生した不完全犯罪(これならネタバレにはならんだろう)を、上手に描ききっております。
ところで、本作で重要なモチーフになっているダリ。好きな画家です。でもマグリットがいちばん好き。

オススメ度:☆☆☆

2002.2.27


前ページへ次ページへ

<簡易案内板>ダンジョンマップ書庫案内所書名インデックス著者別インデックス